腫瘍脳卒中学

  • ページ数 : 168頁
  • 書籍発行日 : 2025年3月
  • 電子版発売日 : 2025年3月6日
¥6,380(税込)
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内容

国際的に重要度の高まる「腫瘍脳卒中」の本邦初の診療の手引き
がんと脳卒中はともに頻度の高い国民病であり,平均寿命の延伸に伴って両疾患を合併する患者さんに遭遇する機会が増えています.両疾患を併発された状況下での適切な診療の継続および脳卒中・リハビリテーション治療とがん治療継続で直面する制度的な難しさや,患者さんへのAdvance Care Planningについて,実際にどのように対応すべきかエキスパートが解説. 院内発症例の迅速な診療に必要なプロトコルなど実践的内容を含め,がん診療・脳卒中診療・ICU管理・リハビリテーションに関わるすべての医療従事者に役立つ必読書.

序文

はじめに


がんと脳卒中はともに頻度の高い国民病であり,平均寿命の延伸に伴って両疾患を合併する患者さんに遭遇する機会が増えています.従来から,このような状況に陥った患者さんのがんと脳卒中の診療は,異なる専門領域の狭間(はざま)という思い込みからか,それぞれの領域における各医療者の個人的経験に基づいて行われることも多かったようで,ある意味で取り残されていた課題だったと言えるかもしれません.そのような時代背景を受けて,このたび,おそらく本邦初と思われる「腫瘍脳卒中学Stroke Oncology」をまとめた学術誌が刊行されました.

脳卒中の類縁疾患である循環器領域でもこれと似たような状況にあったようで,がん生存者の長期予後に抗がん剤による臓器毒性(心不全)が大きな影響を与えていることが判明し,2017年頃から循環器の学際的領域を取り扱う腫瘍循環器学会が国内外で注目されています.しかしながら,がんと脳卒中においては別の問題があることも明らかとなってきました.すなわち,それぞれの領域についての医療が長足の進歩をしているにもかかわらず,おのおのの治療者は必ずしもその最新の知見を把握しているとは言えず,両疾患を有する患者さんにおいて適切な治療またはその差し控えが時に行われていない懸念があることです.がんと脳卒中を併発された状況下で脳卒中・リハビリテーション治療とがん治療継続で直面する制度的な難しさや,患者さんへのAdvance Care Planningの必要性などの大きなテーマのあることが2020年に設けられた脳卒中学会プロジェクトチームの活動を経て判明し,2023年にこの「腫瘍脳卒中学」を冠する第1回の研究会が始まりました.

国際的にも「腫瘍脳卒中学」の萌芽を感じさせる活動が増えつつありますので,冒頭にあたりその言葉の問題について言及させてください.本邦あるいは非英語圏からの発表で,「腫瘍脳卒中学」の英訳としてStrokologyが用いられている場面に遭遇することがあります.日本人の感覚ではよさそうな印象かもしれませんが,これは言語学的には誤りで学問を意味する接尾辞の—logyは古代ギリシャ語由来の言葉に限って使用されるものだそうです(佐野圭司,personal communication).Strokeは「超越的な力による一撃」の意味である古代ゲルマン語由来のstrikeの過去形なのでStrokologyとすることはできず,この言葉で文献検索をしても全くhitしません.また,通俗的に脳卒中をアポということがあり,これは古代ギリシア語のApoplexy「α,πο(apo)にわかに πληξία(plexie)あたる」に由来しますので,Apoplexiologyは言語学的に成り立つのですが,語呂が悪いためか使用されないと考えられています.

「腫瘍脳卒中学Stroke Oncology」は,まさに産声を上げたばかりの学問領域ですが,今後のさらなる発展に向けて本書がこの新しい活動を深める契機となれば,編集者としてこれに勝る喜びはありません.


2024年12月

編集者代表 塩川 芳昭

目次

はじめに〈塩川芳昭〉

序章 

1 腫瘍脳卒中学とは―脳卒中専門医の立場から〈平野照之〉

1.脳卒中医にとってのがん合併脳卒中患者

2.脳卒中とがんの併発にかかわる倫理的課題

2 腫瘍脳卒中学とは―がん治療医の立場から〈高野利実〉

1.がん治療=積極的治療+支持療法

2.学際的腫瘍学

3.腫瘍脳卒中学への期待

3 腫瘍脳卒中学とは―リハビリテーション科医の立場から〈辻哲也〉

1.“がんと共生する時代”のリハビリテーション診療の重要性

2.がんのリハビリテーション診療の概要

3.脳卒中におけるリハビリテーション治療の流れ

4.診療報酬におけるリハビリテーション料の算定について

5.がん関連脳卒中患者が入院可能な病棟とその特徴

6.がん関連脳卒中患者が在宅生活を行う上での問題点 

I章 腫瘍脳卒中学とは

1 がん関連脳卒中の歴史〈野川茂〉

1.Trousseauによる担がん患者の遊走性血栓性静脈炎の発見

2.担がん患者に好発する非細菌性血栓性心内膜炎

3.剖検例で明らかにされた脳塞栓症の原因としてのNBTE

4.担がん患者における脳梗塞発症機序

5.腺癌で産生されるムチンと脳卒中発症

6.ヘパリンの有効性により再認識されたTrousseau症候群

2 疫学研究からみた腫瘍脳卒中学〈権泰史〉

1.がんと脳卒中―共通のリスク因子―

2.がん患者の脳卒中発症リスク

3.がん患者の脳卒中死亡リスク

4.活動性がん合併脳梗塞の予後

3 国内外における腫瘍脳卒中学の現状〈長尾毅彦〉

1.腫瘍関連血栓症(CAT)のアンバランス

2.Trousseau症候群という名前

II章 がん・脳卒中医療の進歩と腫瘍脳卒中学

1 がん治療成績の向上と腫瘍脳卒中学の重要性〈高橋孝郎〉

1.日本におけるがん治療成績の向上

2.Trousseau症候群

3.がんが脳卒中リスクを高めるメカニズム

4.がん関連脳卒中のサブタイプ

5.がんサバイバーは,脳卒中をおこしやすいか

6.がん専門医と脳卒中専門医(神経内科専門医)との連携の重要性

2 がん関連動脈血栓塞栓症〈坂口学〉

1.がん関連動脈血栓塞栓症の関連因子と血栓形成機序

2.担がん患者の脳梗塞の病型

3.がん関連動脈血栓塞栓症による脳梗塞の治療の現状と展望

3 がん関連脳梗塞の血栓病理〈早川幹人〉

1.回収血栓病理の解析手法

2.血栓組成の臨床的意義

3.悪性腫瘍に合併した脳梗塞の病態

4.「がん関連脳梗塞」の血栓組成とその臨床的意義

4 がん関連の静脈血栓塞栓症〈山崎文之〉

1.静脈血栓塞栓症のリスク因子と徴候

2.Khoranaスコアとその改良スコアの開発

3.簡易Wellsスコアと簡易Genevaスコア

4.がん種による静脈血栓塞栓症のリスク相違

5.肺がんにおけるVTEリスク

6.乳がんにおけるVTEリスク

7.脳腫瘍におけるVTEリスク

8.脳静脈洞血栓症

9.がん患者の静脈血栓症の治療と予防

5 がん関連脳内出血〈菱川朋人〉

1.がん関連脳内出血の病態

2.がん関連脳内出血の診断

3.がん関連脳内出血の治療

4.がん関連脳内出血の予後

5.がん関連脳内出血における抗血栓療法の影響

6.固形がんと血液がんによる脳内出血の浮腫の特徴

7.症例提示

6 がん患者における生活習慣病管理(高血圧・糖尿病・脂質異常症)〈向井幹夫〉

1.がんと循環器疾患に共通する生活習慣病

2.メタボリック症候群と肥満

3.糖尿病

4.高血圧

5.脂質異常症

III章 がん脳卒中医療における領域横断的視点

1 抗がん剤治療に関連した脳卒中〈竹村弘司〉

1.基礎的知識

2.脳血管イベントのリスクがあると考えられている代表的な抗がん剤

3.抗がん剤治療中のがん患者が脳卒中を発症した場合のアプローチ

2 がん放射線療法に関連した脳卒中〈吉田和道〉

1.RICSに対する血行再建

2.動脈硬化進行における放射線治療の影響

3.放射線誘発性動脈硬化促進機序に基づく予防治療の可能性

3 脳卒中によるADL低下とがん治療〈島貫裕実子,下村昭彦〉

1.がん患者の身体能力の評価方法のその意義

2.がん患者の脳卒中後の身体状態

3.脳卒中後の身体状態の評価時期

4.脳卒中後のがん治療

4 脳卒中回復期リハビリテーション治療とがん治療〈村岡香織〉

1.脳卒中回復期リハビリテーション治療の概要

2.脳卒中の回復期リハビリテーション治療とがん治療

IV章 がん・脳卒中医療で求められるマネジメント

1 がん合併脳梗塞に対する緊急治療(rt—PA静注療法,機械的血栓回収療法)〈神谷雄己〉

1.がん関連脳梗塞に対する緊急治療(再開通療法)に関する報告

2.緊急治療(再開通療法)を行ったがん関連脳梗塞の患者背景

3.がん関連脳梗塞に対する機械的血栓回収療法における手技的特徴

4.がん関連脳梗塞に対する機械的血栓回収療法におけるテクニック別の手技的転帰

5.緊急治療(再開通療法)を行ったがん関連脳梗塞の臨床転帰

6.がん関連脳梗塞に対する緊急治療(再開通療法)の課題

2 がん患者の脳卒中合併リスク評価と脳卒中専門医受診のタイミング〈大江洋史〉

がん患者の脳卒中合併リスクの評価とマネジメント

3 脳卒中患者のがん合併リスク評価とがん専門医受診のタイミング〈中島誠〉

1.脳卒中の病型

2.脳卒中リスクとがん合併リスク

3.がん関連脳卒中の予測

4.潜在性がん検索のための検査

5.がん専門医受診のタイミング

4 リハビリテーション科専門医へのコンサルトのタイミング〈土方奈奈子〉

1.脳卒中とがんのリハビリテーション診療

2.リハビリテーション科専門医にコンサルトするタイミング

5 がん患者への脳卒中の情報提供〈藤本茂〉

1.患者および家族が求める項目と脳卒中相談窓口の設置

2.脳卒中相談窓口の役割

3.がん患者に対するケアと情報提供

V章 がん・脳卒中医療における連携のコツと工夫

1 院内発症がん関連脳卒中への取組み〈河野浩之〉

1.院内発症脳卒中とは

2.院内発症脳卒中の特徴

3.院内発症脳卒中への取り組み

4.通常の院内発症脳卒中と院内発症がん関連脳卒中の初期対応に違いはあるか

5.急性期以外の院内発症脳卒中への対応

2 がん専門病院における脳卒中診療の現状〈大野誠,成田善孝〉

1.脳卒中診療体制

2.脳卒中診療の実際

3.代表症例

4.がん関連脳卒中の課題

3 多職種連携〈加藤るみ子〉

1.多職種連携の実際

2.がん関連脳卒中の特徴から考える多職種連携の必要性

3.がん関連脳卒中の経過と多職種連携

4.がん関連脳卒中の多職種連携のポイント

5.がん関連脳卒中における多職種連携の課題

4 腫瘍循環器医の視点から考える腫瘍脳卒中外来の重要性〈志賀太郎〉

1.CATとTrousseau症候群

2.がんと動脈疾患

3.がん治療(薬物療法,放射線療法)と血管疾患

4.がん薬物治療と高血圧

5.がんと心房細動

5 腫瘍脳卒中診療におけるアドバンス・ケア・プラニング〈藤井由記代,中島弘〉

1.終末期の医療に関わる事前指示の種類と運用

2.アドバンス・ケア・プラニング(ACP)

3.脳卒中の病期と意思決定

4.脳卒中診療におけるACPの実際

5.腫瘍脳卒中診療におけるACPの考え方

6.本人の意思の尊重と意思決定支援のプロセスについて

7.シェアード・ディシジョン・メイキング(SDM,共有意思決定)について

付録

がん治療薬による脳卒中合併症一覧〈野村久祥〉

経口抗血栓薬の相互作用〜特にがん患者で使用が想定され,注意が必要な相互作用について〜〈大野能之〉

1.ワルファリンの相互作用

2.DOACの相互作用

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書籍情報

  • ISBN:9784498428287
  • ページ数:168頁
  • 書籍発行日:2025年3月
  • 電子版発売日:2025年3月6日
  • 判:A4判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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