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- 救急外来診療のフレームワーク ~簡単に帰してはいけない患者 Bounce-back Admission事例分析の極意~
商品情報
内容
本書では,Short-term Bounce-back Admission:BBA(救急外来から帰宅後まもない入院)の概念とその対策について解説します.予想に反するBBAは患者にとって好ましくありません.それを回避するためには,【問診・病歴聴取】【身体診察】【検査】【診断】の中に潜むエラーを見極め,適切な【帰宅判断と帰宅説明】につなげていく必要があります.しかしながら,BBAの発生要因には“エラー未満”の事象も関与します.一見回避不可能に思えるBBAでも,著者の“過去を振り返る苦しさ”から生まれた本書を読めば,解決のヒントが必ずや見えてくることでしょう. 豊富な具体的症例を通して,「あと一歩,何が足りなかったのか」を振り返ることができるので,真に予後良好な救急医療を目指すきっかけになる一冊です.
序文
本書の発刊に寄せて
本書は,「救急外来から帰宅後まもない入院(Short—term Bounce—back Admission)」という事象を通じて,本邦における救急外来診療のあり方について検討したものです.
Bounce—back Admission(以下BBA)という言葉には聞きなじみがなくとも,救急外来診療に携わったことのある方であれば,恐らく誰でも一度はそれを経験したことがあるでしょう.私は,(それがエラーによるものであろうとなかろうと)一つ一つのBBA事案を丁寧に分析することで,救急外来診療の質を向上させるためのたくさんのヒントが得られる,と考えています.
そこで本書では,実際にあった様々なBBAの事例(※プライバシー保護のため一部改変を加えています)をもとに,「診療エラー」によるBBAをできる限り回避し,「命を救えるタイミング」でのBBAにするためにはどうすればよいかを,診療のプロセスごとに検討し,理想的な行動の枠組み=フレームを構築しました.科学的な安全管理論というよりは,日本独特の救急診療体制の中で,「(日本人の)患者が救急に求めるニーズ」に応えるための方法論であるとお感じになる方もいらっしゃるかもしれません.個々の傷病に焦点を当てたベストな診療法については,すでに数多くの良書が出版されているので,割愛していることをあらかじめご理解いただきたいと思います.
話は変わりますが,私の父は24年前,救急外来を受診して2日後にBBAとなり,その2日後に亡くなりました.
父は悪性疾患ではありませんでしたが,18年間病と闘い,一家の大黒柱として1日でも長く生きようと懸命に努力していました.入退院を繰り返す中,「もはや不死身なのでは」と思うほど何度も生還していただけに,体調が急激に悪化して死に至るまでの過程はあまりにも短期間であっけないものでした.
「救急外来から帰宅後まもない入院」,そして「死」.
まだ医師になっていなかった私には,この出来事が特殊なのか,それともありふれたことなのかよくわかりませんでした.その後,私が医師となり救急外来診療を行なう中で,この疑問は大きくなり,私にBBAの調査というライフワークをもたらしました.そして,救急外来をより安全な場所にし,自分たちと同じような思いをする家族を減らしたい,BBAや死そのものは不可抗力であっても,家族ができるだけ心の準備ができるようにしたい,という思いが強くなりました.
近年,修行の甲斐あって自分自身がBBA/診療エラーの当事者になることはかなり減っていますが,診療責任者・リスクマネジャーとなったことで,科内のBBAの分析をしながら患者さんやそのご家族の思いと向き合う機会は多くなりつつあります.同じ経験をした者として患者・家族の側の気持ちが痛いほどわかるだけに,その思いを受け止め,自分がリスクマネジャーとしてどう振る舞うべきか思い悩んでしまうことも少なくありません.
本書を通じて,BBA事例を抽出し分析する仲間の輪が広がり,つながり合う機会となればと思います.
最後に,本書の執筆の機会を与えてくださった昭和大学医学部内科学講座の矢嶋宣幸先生,執筆にあたりいつも私を温かく励まし導いてくださった中外医学社企画部の桂彰吾さんに深く感謝申し上げます.
2025年2月15日
垂水庸子
目次
1 Bounce-back Admissionとは
症例1:BBA後に死亡した,透析患者の発熱
Short-term Bounce-back Admissionとは
Bounce-back Admissionを利用したエラーの分析
本症例のBounce-back Admissionは避けがたいものであったか?
Bounce-back Admissionの段階で治療を修正することを可能にしよう~命を救えるBBAと救えないBBA~
患者・家族の心情は?
本書におけるBBA事案の分析とその対応策の提案にあたって
2 問診・病歴聴取
症例2:受診動機の聴取によりBBAを回避した,動悸
症例3:紹介元での処置について引き継ぎ不十分であったためにBBAとなった外傷
病歴聴取を制する者は救急外来診療を制す
病歴聴取のゴールは,「あなた(担当医)自身が状況を理解できるまで!」
紹介患者の情報の整理の仕方
「救急を受診した理由」につながる「社会的背景」を把握する
3 身体診察
症例4:発症経過の再確認と所見変化の追跡により診断に至った,急性下肢痛
症例5:身体所見の異常が適切な解釈に結びつかず,診断が遅れた重度の痰がらみ
症例6:繰り返しの診察と診断的治療により適切に診断できた上腹部痛
症例7:患者の自己診断に影響されず反復診察により診断できた上腹部痛
症例8:症状を頼りに画像検査をして診断し損ねた腰痛
症例9:「本物」の所見への気づきが正しい診断につながった若年者の体動困難
問診から予想した疾患に妥当性のある所見なのか,思い込みを捨てて検証する(引き継ぎを受けた症例は,必ず一度身体診察をする)
バイタルサイン+全身を系統的に診る+追加の所見を取る(ルーチンは必ず診る・電子カルテのひな型を活用する)
病態生理と所見を組み合わせて考える
所見の現れる順番,重症を意味する所見を知っておく,繰り返し診察する
痛い場所に所見があるとは限らない
個々の疾患に対する所見の感度と特異度を意識する
異常があると思って診る
偽物と本物を見分けるツールを持っておく
受傷機転とチェックすべき所見のセットを持っておく
どうせわからないと思ってあきらめない
最後に~患者を安全に帰宅させるために必要なその他の視点~
4 検査
症例10:適切な検査ステップが踏めずBBAとなった喘息患者の側腹部痛
症例11:下されていた診断が患者の症状に合致せず,画像の見直しにつながった腹痛
症例12:検査前診断を重視し,画像検査の追加により確定診断できた突然の胸痛
症例13:肺炎診断のための胸部CTで動脈解離を見落とし,BBAとなった失神
症例14:訴えの変化と診療引き継ぎにより,画像診断を誤った認知症患者の腹痛
症例15:不適切なひな型の利用が検査の確認漏れとBBAにつながった嘔気・転倒
救急における検査の目的
検査の計画
検査結果の解釈
検査の継続
結果の見落としへの対処
偶発的な異常への対処
5 診断
症例16:奇妙な訴えだが経過・随伴症状と身体所見から速やかに診断できた腹部症状
症例17:「緊急性」を否定しようとして,手術適応の疾患を診断し損ねた腹痛のBBA
症例18:A/PカルテのAの補完から原因の診断につながった,「ふらつき」のBBA
症例19:研修医は虫垂炎を疑っていたが,Aの内容から診断が修正された右下腹部痛
症例20:未診断だが特徴を捉えて引き継いだことが診断につながった息苦しさ
症例21:Red flag signと軽微な検査異常に着目し,適切な診断ができた腰痛
目指すのは「緊急性の除外」ではない.診断をつけることを目指そう
「カルテを書くこと」を活用しよう.診断根拠をきちんとまとめることが見落としを減らす
診断は検査でするのではないが,検査結果の見落としは言い訳ができない
診断がつかない時は無理につけない.勇気を持って後医に託そう
「後医は名医」だが,初期診断のきっかけとなる所見を謙虚に振り返り,類似した症例の診断に活かそう
6 帰宅判断と帰宅説明
症例22:帰宅時の指示により翌朝を待たず救急外来を再受診できた咽頭痛のBBA
症例23:入院を拒否して帰宅したふらつき,脱力のBBA
「帰宅判断」における大切な
救急外来診療の不確実性について患者とどう共有する
帰宅後の療養における患者の安楽・安全・自立をどう担保するか
医師の考える入院の適応と患者の希望が合致しない時,どう対処すればよいか?
患者と関係をつなげておくために
7 Bounce-back Admissionの事実とどう向き合うか
症例24:待機的検査の適応と判断され,2日後の検査の結果BBAとなっためまい
「患者の帰宅後に判明した未対処の異常」にどう対処するか
「症状を理由とした帰宅後の再受診」にどう向き合うか
BBAとなった時,徴収した時間外選定療養費は返還すべきか
その他想定されるBBAに関連したクレームへの対応
8 安全な救急診療のために医療機関や社会に求めること
経過観察入院を許容する空気
一定数の空床
専門診療科のバックアップ
科選定の困難な患者の行き先
病院内でのメディカルコントロールと,それに対する経営陣の理解
余裕のある診療体制
市民の理解/学校教育
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書籍情報
- ISBN:9784498166721
- ページ数:144頁
- 書籍発行日:2025年3月
- 電子版発売日:2025年3月13日
- 判:A5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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