乳房再建update 患者とともに選択するための確かな技術

  • ページ数 : 288頁
  • 書籍発行日 : 2025年7月
  • 電子版発売日 : 2025年7月29日
¥21,780(税込)
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商品情報

内容

Decision making, 症例,術式解説,最新の知見を章でセパレートし、1冊に収めた。患者と向き合って決めていく、その際にどのような道筋で治療計画を立てるかを示した1章、コマ送りで術式を詳細に解説した2章が、本書のキモとなっている。これから乳房再建をやろうと思う人には必読の書。

序文

はじめに


本邦における乳房再建を取り巻く状況は,この10年で大きく変化しました。シリコン乳房インプラントの普及に始まり,穿通枝皮弁や脂肪注入といった多彩な手法が加わり,患者さんにとっても医療者にとっても「選べる時代」となった一方で,再建医には高度な判断力と技術が求められるようになっています。

本書は,これから乳房再建に関わる形成外科医や乳腺外科医,および乳癌治療に携わる医療者に向けた,標準的な知識と最新の知見を包括的にまとめた実践的なガイドです。第1章では代表的な症例を通して術式選択の考え方を解説し,第2章では基本術式を体系的に整理。第3章ではトピックスとしてハイブリッド再建などの技術革新を紹介し,第4章では先達の知恵をQ&A形式で収載。第5章では編者による対談形式で,乳房再建の未来を語ります。

本書が,読者にとって日々の臨床判断の一助となり,より良い乳癌治療・再建の実現に寄与できれば幸いです。


2025年5月1日

冨田興一



はじめに


オンコプラステックサージャンは,誰よりも乳房の形と患者さんのWell-beingを深く考え,乳癌という試練を乗り越え,その先に何事もなかったかのような日常を取り戻すお手伝いができる,特別な存在です。乳房を創造するという前向きな医療の営みは,再建技術の進歩とともに選択肢を広げ,ますます個別化が求められる時代を迎えています。選択肢が多様化するいま,一人ひとりに寄り添い,ともに最良の再建方法を選び取ることが,プロフェッショナルとしての使命です。未来を見据え,患者さんに「あの時,あなたに出会えてよかった」と,心から思ってもらえる存在を目指して…。

本書には,乳房再建を取り巻く背景と最新知見,先人たちが築いたレガシー,そして日々更新される技術と知識を凝縮しました。第4・5章では,“レジェンド”と称される先生方の頭の中と,編者それぞれの視点を少し覗いていただけます。初学者には本書が診療の心強い伴走者となることを祈っています。中堅の読者にはさらなる飛躍の一助に,またベテランには想像力をかき立てる刺激的な一冊として,お楽しみいただければ幸甚です。


2025年5月1日

素輪善弘

目次

第1章 どうする? at外来 Decision making & CASE file

1. 乳房サイズが小さい -自家組織による再建 素輪善弘・冨田興一

再建の考えかた

選択肢1 LD flap -広背筋の採取と背部瘢痕を許容できる場合

選択肢2 PAP flap -瘢痕が目立ちにくい部位からの皮弁を希望する場合

選択肢3 乳房全切除術後 脂肪注入のみ -新たな瘢痕を避けたい場合

選択肢4 乳房部分切除術後 脂肪注入のみ -新たな瘢痕を避けたい場合

2. 乳房サイズが小さい -インプラントによる再建 素輪善弘・冨田興一

再建の考えかた

選択肢1 インプラントのみ -健側に合わせて再建する場合

選択肢2 インプラント+健側乳房豊胸 -大きめの乳房を希望する場合

3. 乳房サイズが大きい 素輪善弘・冨田興一

再建の考えかた

選択肢1 Double DIEP flap -腹部皮弁による再建を希望する場合

選択肢2 LD flap+インプラント+脂肪注入

-腹部皮弁は選択できないが,できるだけ自家組織での再建を希望する場合

選択肢3 インプラント+健側乳房縮小

-健側乳房が大きく,患側の再建が著しく困難な場合

4. 乳房部分切除後の一次再建 素輪善弘・冨田興一

再建の考えかた

選択肢1 LD flap -広背筋の使用が許容できる場合

選択肢2 局所穿通枝皮弁 -外側(CD領域)が主な欠損の場合

選択肢3 PAP flap -内側(AB領域)が主な欠損の場合

5. 乳房部分切除後の二次再建 冨田興一・素輪善弘

再建の考えかた

選択肢1 脂肪注入のみ -欠損部の拘縮が軽度の場合

選択肢2 皮弁(LD flap) -欠損量が多く,拘縮が強い場合

選択肢3 TEを挿入し,皮弁(LD flap)で二期的に

-皮弁皮島が体表に露出するのを回避したい場合

6. 両側乳房同時再建 -自家組織による再建 冨田興一・素輪善弘

再建の考えかた

選択肢1 遊離腹部皮弁(DIEP flap)+脂肪注入 -皮弁採取部を1カ所にしたい場合

選択肢2 遊離皮弁(両側PAP flap) -両側にそれぞれ皮弁を採取する場合

選択肢3 有茎皮弁(両側LD flap)+脂肪注入 -両側にそれぞれ皮弁を採取する場合

7. 下垂乳房 素輪善弘・冨田興一

再建の考えかた

選択肢1 インプラント -乳房切除がNSM or SSMの場合

選択肢2 インプラント -乳房切除がBtの場合 

選択肢3 自家組織(DIEP flap) -高齢女性の典型的な下垂乳房の場合 

選択肢4 LD flap +インプラント -大部分を有茎皮弁で作成するが組織量が不足する場合

選択肢5 二期DIEP flap +健側縮小固定 -患者が下垂乳房を望まない場合 

8. 放射線治療が併用される 素輪善弘・冨田興一

乳癌の放射線療法 

再建の考えかた 

選択肢1 LD flap+脂肪注入 -RT後に自家組織で再建する場合 

選択肢2 LD flap+脂肪注入 -RT後にインプラントの露出を生じた場合 

選択肢3 LD flap+インプラント+脂肪注入 -RT後,TE拡張中に皮膚潰瘍を生じた場合 

9. 傷を小さくしたい -自家組織による再建 冨田興一・素輪善弘

再建の考えかた

選択肢1 Scarless LD flap+脂肪注入 -組織採取部の瘢痕が少ない方法

選択肢2 PAP flap -瘢痕が目立ちにくい方法 

10. 傷を小さくしたい -インプラントによる再建 素輪善弘・冨田興一

再建の考えかた

選択肢1 IMF切開 -乳房がある程度大きく,IMFがはっきりしている場合 

選択肢2 傍乳輪切開のみ -比較的乳房が大きくなく,かつ乳輪が大きい場合 

11. 知覚の再建 -大きな皮膚欠損を伴う場合 素輪善弘・冨田興一

乳房皮膚の知覚回復

再建の考えかた

選択肢1 神経縫合を伴う知覚化 DIEP flap -腹部皮弁が適応の場合

選択肢2 神経縫合を伴う知覚化 LD flap -有茎皮弁が適応の場合

12. 左右対称な NACの再建 素輪善弘・冨田興一

再建の考えかた

選択肢1 局所皮弁 -健側乳頭を触りたくない場合

選択肢2 乳頭移植 -健側乳頭を触ることに抵抗がない場合

選択肢3 医療アートメイク,刺青 -手術を希望しない場合

選択肢4 人工ニップルの使用 ー再建自体を希望しない場合

columnハイボリュームセンターにおける乳房再建 矢野智之

第2章 これだけは押さえておこう Basic techniques

1. 総論 術式の選択と考えかた 冨田興一

2. 組織拡張器(tissue expander)挿入術 素輪善弘

3. シリコン乳房インプラント挿入術 冨田興一

4. LD flap広背筋皮弁 latissimus dorsi musculocutaneous flap素輪善弘

5. Scarless LD flap背部切開のない広背筋弁 冨田興一

6. DIEP flap深下腹壁動脈穿通枝皮弁 冨田興一

7. PAP flap内側大腿深動静脈穿通枝皮弁 素輪善弘

8. Fat grafting脂肪注入術 素輪善弘

9. 乳房縮小・固定術 冨田興一

10. NACの再建:総論 素輪善弘,冨田興一

11. NACの再建:局所皮弁 素輪善弘

12. NACの再建:乳頭移植 素輪善弘

13. NACの再建:医療アートメイク 素輪善弘

column医療アートメイクは安全か? 冨田祥一

第3章 乳房再建の現在を知る

1. 乳房再建の考えかたと潮流 素輪善弘

2. 自分らしい乳房再建の決めかた 素輪善弘

column乳房再建とsexual well-being雑賀美帆

3. HBOCにおける乳房再建の意義と今後の乳房再建に期待すること 有賀智之

4. 放射線治療において安全で有効な乳房再建を行うために 淡河恵津世・鈴木弦

5. 根治性と整容性の均衡を保つ乳癌手術 伊藤充矢

6. インプラントの選定法 白石知大

7. 整容性をはじめとした術後アウトカム評価 素輪善弘

8. 医療アートメイク(3D法),その方法 岩元淑子

9. 早期回復を目指した周術期管理10. 術後管理1:自家組織による再建 素輪善弘

11. 術後管理2:インプラントによる再建 棚倉健太

12. 術後管理3:インプラントによる再建後の下着 原岡剛一

column術後のからだに合った下着を作っています 中村真由美

13. 術後管理4:再建乳房のフォローアップ 倉元有木子

column術後の乳房を美しく保つケア 小宮貴子

第4章 本音が聞いてみたい! エキスパート Opinion

1. SDM -「正しく実践できる」とはどういうことか 中山健夫

2. 乳房切除における根治と整容性の両立

-乳腺外科医の本音とは 玉木康博

3. 腹部皮弁の採取部を美しくするには? 矢野健二

4. 広背筋皮弁で大きな乳房は再建できないのか 梶川明義

5. 患者への接しかた,満足度の高い再建法とは 野平久仁彦

6. 最適なインプラントの選びかた 寺尾保信

7. 既存のインプラントで最大のパフォーマンスを発揮させるコツ 矢島和宜

8. BIA-ALCL, SCCに対する正しい向き合いかた 森 弘樹

9. インプラントの長期留置による健康被害

-美容外科医のホントのところ 高柳 進

10. 殿部・腰部の穿通枝皮弁と脂肪注入の今後 佐武利彦

<佐武 Dr. 番外編>現在実践中!富山大学の教育システム 佐武利彦

11.「脂肪移植術だけで全乳房再建」は,標準化するか 吉村浩太郎

12. 内視鏡支援下手術 & ロボット支援手術 淺野裕子

13. 手術不要となる日は来るか?乳癌薬物療法の進歩 岩田広治

第5章 編者対談 乳房再建のこれから 冨田興一・素輪善弘

1. 再建法の多様化と術式選択の意思決定:shared decision making(SDM) を実践するために 冨田興一・素輪善弘

2. 放射線治療を伴う乳房再建の留意事項とは? 冨田興一・素輪善弘

3. 脂肪幹細胞を付加した脂肪移植は有効と考えていいだろうか? 冨田興一・素輪善弘

4. BIA-ALCL問題を,どう考える? 冨田興一・素輪善弘

5. HBOCにどう対応していけばよいだろうか 冨田興一・素輪善弘

6. インプラントの術後フォロー問題を,どう考える? 冨田興一・素輪善弘

7. 自家組織再建と人工物再建の割合は,今後どうなっていくだろうか 冨田興一・素輪善弘

8. 乳房再建率の向上,乳房再建医の育成,地域医療格差について 冨田興一・素輪善弘

索引

編著者紹介

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書籍情報

  • ISBN:9784771961524
  • ページ数:288頁
  • 書籍発行日:2025年7月
  • 電子版発売日:2025年7月29日
  • 判:B5変型
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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