栄養科学イラストレイテッド 有機化学

  • ページ数 : 240頁
  • 書籍発行日 : 2019年5月
  • 電子版発売日 : 2026年1月13日
¥3,080(税込)
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商品情報

内容

有機化学と栄養学のつながりがみえる入門テキストが登場!
栄養学分野で教育経験豊富な執筆陣による栄養学のための有機化学テキストが登場!「レモンが酸っぱい理由」「果物の香りの正体」「食中毒」など栄養素や食品と関連づけながら栄養学に必須の知識を厳選して解説.

序文

本書は,主に管理栄養士養成課程で学ぶ学生を対象にして執筆・編集されました.

学生の皆さんが,これから学ぶ栄養学や食品学,その基盤となる生化学や分子生物学の研究対象は生命現象にかかわる成分で大部分が炭素化合物,すなわち有機化合物です.したがって,栄養学,食品学,生化学を学ぶうえで「有機化学」の基礎的な知識が求められます.

本書を執筆するにあたって,読者である学生が高等学校で学んだ理科の基礎学力がどの程度,身についているかを考慮する必要がありました.現行の高等学校のカリキュラムでは,栄養学や食品学の土台となる理科の科目としては,「化学基礎」と「化学」そして「生物基礎」と「生物」が設定されています.しかし,現実に管理栄養士養成課程に入学してくる学生は,高等学校で文科系クラスに所属していた人が多く,「生物基礎」と「生物」は履修したけれども,化学は全く学んでいないという学生が少なくありません.また,化学は「化学基礎」だけ履修したという人はいますが,現行の「化学基礎」の教科書には有機化学に関する記述はありません.このような高等学校での学修状況を考慮して本書を執筆・編集しました.

執筆には大学の食品栄養学分野で教育経験の豊富な教員が参加しています.したがって,理学部・工学部で教えられているオーソドックスな「有機化学」の内容とは必ずしも同じではなく,有機合成化学や量子化学,分子軌道法などはほとんど記載がありません.特徴的な反応については,有機電子論的なメカニズムの説明が発展学習の位置付けで少し書き加えられました.

また,章のところどころにコラムを設け,有機化学に貢献した化学者を科学史的に紹介したり,有機化学と食品栄養学は決して無関係ではないことを知ってもらえるようなトピックスも挿入しました.編者が学生の頃,化学者の発見,発明のエピソードや人間性に興味を引かれたことが背景にあります.学生の皆さんが,少しでも有機化学に興味をもっていただければ幸いです.

管理栄養士の養成現場や,医療従事者の現場では,よくスローガンとしてEBM という言葉が使われます.EBM とは,Evidence-Based Medicine の頭文字からなる言葉で科学的根拠に基づく医療のことです.管理栄養士が栄養指導を行うなど,人を対象とする臨床現場で活躍するために,科学的根拠が理解できるような自然科学の基礎学力を身に付けることを期待しています.


2019年4月

山田恭正

目次

h3>第Ⅰ部 原子・分子から炭素化合物の化学へ

はじめに

 1 有機化学とは

 2 電子配置と軌道,共有結合

第1章 アルカン―燃料や動植物に由来する成分を構成する天然資源

 1 アルカンとは

 2 構造異性体

 3 アルキル基

 4 アルカンの命名法

 5 アルカンの化学的性質

 6 アルカンに似た構造と性質をもつ食物由来の成分

 7 アルカンの反応

第2章 アルケン―人体にとって必須の脂肪酸の炭素鎖はアルケン!

 1 アルケンの命名法

 2 幾何異性体

 3 共役二重結合と孤立二重結合,ポリエン化合物

 4 アルケンの化学的性質

 [発展]カルボニウムイオンの安定性から見たマルコフニコフの法則

第3章 シクロアルカン,シクロアルケン―体内で重要な働きをする環状の炭化水素もある

 1 シクロアルカンとは

 2 シクロアルケンの命名法

 3 食品成分としてのシクロアルカン,シクロアルケン

 4 シクロアルカン,シクロアルケンの反応

第Ⅱ部 有機化合物の性質は官能基の働きによって決まる

はじめに

第4章 アルコールとエーテル―嗜好品? 食中毒? 身の回りのアルコールとエーテル

§1 アルコール

 1 アルコールの命名法

 2 アルコールの化学的性質

 3 アルコールの分類

 4 アルコールの反応

 5 食品に含まれるアルコール

§2 エーテル

 1 エーテルの命名法

 2 エーテルの化学的性質

 3 ポリエーテル化合物と食中毒

第5章 アルデヒド―良くも悪くも反応性に富んだ化合物

 1 アルデヒドの命名法

 2 アルデヒドの化学的性質

 3 身の回りのアルデヒド

 [発展]求核攻撃

 [発展]アルドール反応

第6章 ケトン―ケトン体とエネルギー代謝のかかわり

 1 ケトンの命名法

 2 ケトンの化学的性質

 3 身の回りのケトン:アセトン

 [発展]エンジオールとα-ジケトンの性質

第7章 カルボン酸―食酢やレモンはなぜ酸っぱいのか? 脂肪酸はどんな性質をもっているのか?

 1 カルボン酸の命名法

 2 食品に含まれるカルボン酸

 3 カルボン酸の化学的性質

 4 脂肪酸の化学

 5 立体化学とカルボン酸

第8章 エステル―甘く熟した果物の香り

 1 エステルの命名法

 2 エステルの化学的性質

 3 身の回りのエステル

 [発展]有機電子論からみるエステル化の反応メカニズム

 [発展]エステルの酸または塩基による加水分解のメカニズム

第9章 アミンとアミド―塩基性を示し,生体にさまざまな影響を与える化合物

§1 アミン(含窒素化合物)

 1 アミンの命名法

 2 アミンの化学的性質

 3 アルカロイド

 4 アミンの反応

 5 食品に含まれるアミン

 [参考]酸と塩基の定義についてのまとめ

 [参考]塩基性,強酸性,弱酸性有機化合物の液性による分画

 [発展]発がん性物質N-ニトロソアミンの生成

§2 アミド(カルボン酸の窒素誘導体)

 1 アミドの命名法

 2 アミドの生成

 3 アミドの加水分解と還元

 4 ペプチド結合

 [発展]アミドの炭素-窒素結合

第Ⅲ部 ベンゼン環がもつ芳香族特有の性質とは

はじめに

第10章 芳香族化合物―“亀の甲”をもつ芳香族化合物 食べ物の色や抗酸化性など多彩な性質をもっている

§1 芳香族炭化水素

 1 芳香族化合物とは

 2 芳香族炭化水素の命名法

 3 芳香族性に関する法則(ヒュッケル則)

 4 芳香族炭化水素の化学的性質

 5 ベンゼン以外の芳香族炭化水素

 [発展]フリーデル-クラフツ反応とオクテット則:ベンゼンのアルキル化

§2 フェノール類

 1 ビタミンE(トコフェロール)はなぜ抗酸化ビタミンといわれるのか?

 2 フェノール類の命名法

 3 フェノールの化学的性質

 4 ポリフェノール

 5 抗酸化性

 [発展]ラジカル捕捉剤

§3 芳香族カルボン酸

 1 芳香族カルボン酸とわれわれの食生活とのかかわり

 2 芳香族カルボン酸の命名法

 3 芳香族カルボン酸の化学的性質

 4 サリチル酸

§4 芳香族アミンとヘテロ環化合物

 1 生理活性のある天然物などに含まれるDNA:塩基を含むのに核酸?

 2 アニリン

 3 ヘテロ環化合物(複素環化合物)

 [参考]ナイアシン欠乏によるペラグラの発症について

第Ⅳ部 栄養素の有機化学から生化学へのいざない

はじめに

第11章 糖類の化学―糖類はダイエットの敵!? 糖鎖は生命科学の扉を開く鍵のひとつ!

 1 糖類の構造のあらわし方

 2 単糖の誘導体

 3 二糖類

 4 多糖類

第12章 脂質の化学―脂質ってどんなもの?

 1 単純脂質

 2 複合脂質

 3 誘導脂質

 4 脂質の分解(消化)

第13章 アミノ酸の化学―アミノ酸ってどんなもの? タンパク質との関係は?

 1 アミノ酸の構造と性質

 2 アミノ酸の性質を利用した分離・検出法:電気泳動法

 3 いろいろなアミノ酸の分類

 4 生体内で行われるアミノ酸の重要な反応

 5 アミノ酸同士の結合

 [発展]タンパク質

第14章 酵素反応の有機化学―酵素は生体で働く触媒

 1 加水分解酵素

 2 酸化および還元酵素

 3 化学構造の変化にかかわるその他の酵素

 [発展]クライゼン縮合(β-ケトエステルの生成,脂肪酸合成)

付表 同義語一覧


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書籍情報

  • ISBN:9784758113571
  • ページ数:240頁
  • 書籍発行日:2019年5月
  • 電子版発売日:2026年1月13日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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