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レジデントノート増刊 Vol.28 No.8 次の動きがわかる 電解質異常

  • ページ数 : 237頁
  • 書籍発行日 : 2026年7月
  • 電子版発売日 : 2026年7月23日
¥5,170(税込)
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商品情報

内容

電解質異常の基礎知識から,次どう動くかまでがわかる!
どの科においても出合う「電解質異常」の基本から現場での対応まで解説しました.よく出合うカリウム・ナトリウム異常だけでなくその他の電解質異常もまとめました!「緊急性の判断」「基本の対応」「検査や鑑別」「補正の考え方」「専門医がいないときの対応」など各電解質異常に必要な考え方と動き方がわかる!

序文

序文


日々の慌ただしい診療のなかで血液検査をオーダーする際,電解質を「ルーチン」として何気なくチェックしてはいないでしょうか.しかし,私たちがその数値をチェックする真の意義は,単に基準値から外れたものを見つけることではなく,その数値の背後に隠された病態を深く読み解くことにあります.

電解質は,生体内の恒常性を維持するためのきわめて精緻なバロメーターです.血清ナトリウム濃度ひとつをとっても,それは単に塩分量の過不足を示すものではなく,水分の調節異常や浸透圧の異常を反映しています.また,ほかの血清電解質や尿電解質の数値を総合的に評価することで,体液量の過不足もうかがい知ることができ,さらには血液ガス分析を行わずとも酸塩基平衡の異常までをも認識することが可能です.このように,電解質の動きを細かく解釈することで,今まさに患者さんに起こっている病態を可視化できるのです.電解質異常は,軽微であれば無症状ですが,進行すれば意識障害や致死的な不整脈を招く,きわめて重要な病態です.だからこそ,あらゆる臨床状況において「ルーチン」での確認を欠かすことができないのです.

電解質異常は,内科・外科を問わず,あらゆる診療科の日常診療において頻繁に出合う病態です.しかし,いざ目の前に異常値が現れたとき,自信をもってその機序を解釈し,適切な補正を行えているでしょうか.「ナトリウムが低いから食塩を補充しよう」「カリウムが高いから排出させよう」といった,目先の「数値の正常化」に終始してはいないでしょうか.

電解質異常の裏側にある病態を正しく認識せず,数値だけを正常化しようとすると,思わぬ落とし穴に落ちてしまうことがあります.例えば,心不全に伴う低ナトリウム血症に対し,体液過剰の病態を見逃して食塩負荷を行い心不全を悪化させるケース,あるいは低カリウム性周期性四肢麻痺患者に対して,細胞内シフトの病態を考慮せずにカリウムを過剰補充し,回復期に激しいリバウンドから高カリウム血症を誘発して危ない目に遭うケースなど,電解質管理には多くのピットフォールが存在します.

どの電解質も,多すぎても少なすぎても生体のホメオスタシスは崩れます.また,厳密なフォローを行わなければ,よかれと思った治療が「過剰補正」という新たなリスクを生んでしまう点も,電解質管理の難しさと言えるでしょう.

多くの研修医が電解質管理に苦手意識を抱く原因は,まさにここにあると思います.

患者さんの身体のなかで「今,何が起きているのか」という生理学的な病態を無視して,計算式やマニュアルに当てはめるだけでは,前述のように病態を悪化させることすらあります.本来,電解質を深く理解するためには,腎生理学の学び直しが不可欠です.しかし,多忙をきわめる研修生活のなかで,分厚い腎生理学の教科書とじっくり向き合う時間を確保するのは容易ではありません.

本書では,そのような研修医の皆さんの「もどかしさ」を解消し,明日からの診療において自信をもって電解質管理に臨めるようになることをめざしました.本書の構成は,①電解質異常の基本的事項,②各電解質異常の診断と治療,③患者背景ごとの電解質異常,④救急でよく遭遇する電解質異常症例の実際の管理,という流れになっています.執筆をお願いしたのは,電解質管理や研修医教育のエキスパートとして第一線で活躍されている先生方です.各先生方には,単なるマニュアルの提示に留まらず,電解質異常を目の前にしたときに「何を考え,どこに注目し,どのように判断を下すか」という,実臨床に即した思考プロセスを言語化していただきました.ただのマニュアル本ではなく,臨床経験豊富な先生だからこそ語れるニュアンスが,各稿に散りばめられています.本書を読み終えたとき,電解質を通して見える世界が変わっていることを願っています.

最後に,日常の多忙な臨床業務や研究の合間を縫って,原稿を執筆してくださった諸先生方に,この場を借りて深く感謝申し上げます.先生方の知見が,多くの若手医師の助けとなり,ひいては多くの患者さんの安全な医療につながることを確信しております.


2026年6月

琉球大学病院 第三内科
座間味 亮

目次

序【座間味 亮】

第1章 電解質異常のキホン

1. 緊急性の判断と考え方【岩橋紗良,照屋周造】

2. 電解質異常を疑う病歴・症候【上原裕子,近藤和伸,諸見里拓宏】

3. 電解質異常の心電図波形【廣瀬知人】

4. 注意すべき薬剤【今井直彦】

第2章 各電解質異常の診断と治療

【ナトリウムと水代謝異常】

1. ナトリウムと水代謝異常の病態生理と鑑別【山本(久道)三佳子】

2. 低ナトリウム血症の症候・治療【渡邉絢史,龍華章裕】

3. 体液量に基づく高ナトリウム血症の分類と急性期の対応【河田恭吾】

【カリウム異常】

4. カリウム異常の病態生理と鑑別【田中里奈,鈴木 智】

5. 低カリウム血症の症候・治療【酒井雅史,谷澤雅彦】

6. 重症高カリウム血症の症候・治療(急性期)【藤丸拓也】

7. 高カリウム血症の症候・治療(慢性期)【恒吉章治】

【その他の電解質異常】

8. 低カルシウム血症【嶋野勝太】

9. 高カルシウム血症【山田俊輔,荒瀬北斗】

10. 低リン血症/高リン血症【上間貴仁,上原圭太】

11. 低マグネシウム血症/高マグネシウム血症【平良翔吾】

第3章 患者背景ごとの考え方

1. 循環器疾患患者の電解質異常【新里勇樹】

2. 担がん患者の電解質異常【北村 謙】

3. 血液疾患患者の電解質異常【上原正樹】

4. 高齢患者の電解質異常【桶田佳吾,河原﨑宏雄】

第4章 ケースで学ぶ,救急でよく困る電解質異常

症例1. 低ナトリウム血症【渡邉絢史,龍華章裕】

症例2. 細胞外液量減少型高ナトリウム血症の実践的マネジメント【河田恭吾】

症例3. 低カリウム血症 周期性四肢麻痺を伴う低カリウム血症の症例【井﨑裕都,谷澤雅彦】

症例4. 高カリウム血症【鹿又義貴,藤丸拓也】

症例5. 高カルシウム血症【荒瀬北斗,山田俊輔】

索引

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書籍情報

  • ISBN:9784758127561
  • ページ数:237頁
  • 書籍発行日:2026年7月
  • 電子版発売日:2026年7月23日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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