• m3.com 電子書籍
  • 実験医学増刊 Vol.44 No.12 口腔細菌叢はいかにして全身疾患へ繋がるか

実験医学増刊 Vol.44 No.12 口腔細菌叢はいかにして全身疾患へ繋がるか

  • ページ数 : 218頁
  • 書籍発行日 : 2026年7月
  • 電子版発売日 : 2026年7月23日
¥6,160(税込)
m3.com 電子書籍ポイント: 最大 112pt ( 2 %)
m3ポイント:1%相当
point-info
今すぐ立ち読み
今すぐ立ち読み

商品情報

内容

歯周病ががんや代謝性疾患を誘発?口-腸連関を軸に疾患の制御へ
口腔細菌叢の乱れが,がんや心血管疾患,代謝性疾患,神経変性疾患といった全身の疾患を誘発し悪化させるメカニズムとは? 歯周病菌の血行性移行,腸内への口腔細菌の流入,免疫環境の変容などの基礎研究の最新知見から,疫学・臨床のエビデンスまでを網羅的に詳解し,疾患制御へのヒントを提示する,すべての医師・歯科医師必携の決定版.

序文

序文


歯周病は口腔細菌叢の正常な状態からの逸脱・異常(ディスバイオーシス)によって引き

起こされる慢性炎症性疾患である.イギリス・ロンドンの大英博物館には古代エジプト王朝時代の頭蓋骨が多数所蔵されているが,それらの顎骨を見ると,歯周病に伴う歯槽骨吸収の痕跡を多数見ることができて興味深い.このことから歯周病は,紀元前にはすでに珍しい疾患ではなかったことがわかる.その後,数千年の時を経て歯周病は,「全世界で最も蔓延している病気」および「人類史上最も感染者数の多い感染症」として2001年にギネス世界記録に認定された.

口腔細菌叢には腸内細菌叢に次ぐ多数の細菌が生息し,その多様性は腸内細菌叢に匹敵するとも言われている.近年,腸内細菌叢のディスバイオーシスは動脈硬化性疾患,糖尿病,関節リウマチ,炎症性腸疾患,がんなど,さまざまな疾患と関連することが明らかになり,注目を集めているが,歯周病など口腔細菌叢のディスバイオーシスを原因とする疾患も同じように広範な疾患と関連することが明らかになっている.しかし,この潮流は最近になって生まれたものではない.イギリス人内科医William Hunterは1900年に,口腔内の病変が常に細菌や毒素を血流に流し込む“慢性感染源”となり,さまざまな全身の障害を引き起こすと述べた.また,アメリカ人内科医Frank Billingsは1912年,慢性感染病巣が全身性炎症性疾患の原因となる,と提唱した.HunterとBillingsの発表は当時の歯学・医学界に大きな影響を与え,後の“focal infection theory(病巣感染説)”の基盤となった.

Mayo Clinicを創設したCharles Mayoなどの著名な医師達がこの説を支持し,権威ある医学雑誌に寄稿したことから,20世紀前半には多くの歯や扁桃が予防的に抜歯・切除されるほど医学界を動かした.しかし,これらの効果が不明確であったこと,対象疾患の原因も徐々に明らかになってきたことなどが重なり,病巣感染説は1940年代までに衰退した.

しかし,洗練された手法を用いた疫学研究により,歯周病と全身疾患の関連は20世紀後半になって再び注目されるようになった.因果メカニズムとして,歯周病に随伴する菌血症とそれが誘発する軽微ながら持続的な全身性の炎症に焦点を当てた研究が進められてきたが,近年,口腔pathobiont(病原性共生菌)の直接的影響に加え,歯周病に関連する口腔細菌叢が引き起こす腸内細菌叢のディスバイオーシス(口- 腸連関)の影響が注目されている.

今回,歯周病・口腔細菌叢のディスバイオーシスと全身の健康に関する研究の現状を確認する機会を得ることができた.本書が,この分野や関連する領域の研究者の新たな視点や着想の一助となり,さらには,臨床に携わる医師・歯科医師の皆様が口腔細菌叢と関連の疾患に興味をもち,あるいはこの分野の研究に参入するきっかけになれば望外の喜びである.ご多忙のなか執筆の労をお取りいただいた先生方にはこの場をお借りして心から御礼申し上げたい.


2026年6月

理化学研究所生命医科学研究センター
山崎和久

目次

序【山崎和久】

概論 健康長寿の鍵を握る口腔細菌叢研究【山崎和久】

第1章 口腔細菌叢の基礎研究

1. 口腔常在微生物叢の成り立ち【影山伸哉,竹下 徹】

2. 口腔マイクロバイオームにおける菌体間相互作用【坂中哲人,久保庭雅恵】

3. 唾液マイクロバイオームの基本的構造と変動要因【高安伶奈,須田 亙】

4. 歯周病の細菌学【石原和幸】

5. 歯周病の病態学:歯周組織はなぜ破壊される【村上伸也】

第2章 口腔細菌叢と全身疾患の疫学/臨床研究

1. 歯周炎と動脈硬化性疾患:疫学的エビデンスの現在地と因果推論【中島貴子】

2. 歯周病と糖尿病:疫学・臨床研究からひもとく相互連関【新城尊徳,西村英紀】

3. 歯周病と関節リウマチ:疫学・臨床的観点から【小林哲夫】

4. MASLD と歯周病の疫学・臨床研究 ―全身疾患として捉える脂肪肝マネジメント【小林 貴,米田正人】

5. 歯周病と炎症性腸疾患(疫学/臨床研究)【北本 祥,鎌田信彦】

6. 歯周病と慢性腎臓病の疫学【岩崎正則】

7. 歯周病と消化器がんをつなぐ新しい視点 ―疫学・臨床研究からみた口腔細菌叢の意義【日暮琢磨】

8. 歯周病と周産期合併症【大場 隆】

9. 歯周病が脳を侵す ―疫学・臨床研究が明かす神経変性疾患との接点と介入の新展望【松下健二】

10. 口腔細菌叢と呼吸器感染症の疫学/臨床研究【岩永直樹,迎 寛】

11. ウイルスと口腔・全身疾患との関連:臨床研究からの考察【神尾宜昌,今井健一】

第3章 口腔細菌叢と全身疾患の関連メカニズム

1. 歯周病原性細菌が誘導する動脈硬化性疾患 ―分子・細胞メカニズム【野村良太,仲野和彦】

2. 歯周病が糖尿病に悪影響を及ぼす分子メカニズム【新城尊徳,西村英紀】

3. 口腔細菌叢を起点とする関節リウマチを中心とした自己免疫疾患の分子病態【白柏魅怜】

4. 口腔細菌叢によるMASLD 増悪の多角的メカニズム ― oral-gut-liver axis を介した炎症・線維化・細胞死の制御【小林 貴,米田正人】

5. 口-腸連関からみる口腔細菌と炎症性腸疾患【山崎恭子,鎌田信彦】

6. 慢性腎臓病(CKD)と歯周病の関連メカニズム【水谷幸嗣,三上理沙子】

7. 消化器がんと口腔細菌叢との関連メカニズム【柴 知史】

8. 口腔細菌叢と周産期合併症との関連メカニズム【滝川雅之】

9. 口腔細菌叢が脳を変える ―アルツハイマー病・パーキンソン病における口腔-腸-脳軸の病態と展望【松下健二】

10. 口腔細菌叢と呼吸器感染症の関連メカニズム【岩永直樹,迎 寛】

11. 「口腔細菌-ウイルス-宿主相互作用」の解明 ―新たな視点に立った感染症の理解と予防法の提示をめざして【神尾宜昌,今井健一】

第4章 口-腸連関と細菌叢(臨床〜基礎)

1. 臨床研究から紐解く口-腸連関【山崎和久】

2. 腸内細菌叢が歯周病に及ぼす影響【田中芳彦,永尾潤一,岸川咲吏,豊永憲司】

索引

便利機能

  • 対応
  • 一部対応
  • 未対応
便利機能アイコン説明
  • 全文・
    串刺検索
  • 目次・
    索引リンク
  • PCブラウザ閲覧
  • メモ・付箋
  • PubMed
    リンク
  • 動画再生
  • 音声再生
  • 今日の治療薬リンク
  • イヤーノートリンク
  • 南山堂医学
    大辞典
    リンク
  • 対応
  • 一部対応
  • 未対応

対応機種

  • ios icon

    iOS 最新バージョンのOSをご利用ください

    外部メモリ:11.3MB以上(インストール時:30.9MB以上)

    ダウンロード時に必要なメモリ:45.0MB以上

  • android icon

    AndroidOS 最新バージョンのOSをご利用ください

    外部メモリ:11.3MB以上(インストール時:30.9MB以上)

    ダウンロード時に必要なメモリ:45.0MB以上

  • コンテンツのインストールにあたり、無線LANへの接続環境が必要です(3G回線によるインストールも可能ですが、データ量の多い通信のため、通信料が高額となりますので、無線LANを推奨しております)。
  • コンテンツの使用にあたり、m3.com電子書籍アプリが必要です。 導入方法の詳細はこちら
  • Appleロゴは、Apple Inc.の商標です。
  • Androidロゴは Google LLC の商標です。

書籍情報

  • ISBN:9784758129725
  • ページ数:218頁
  • 書籍発行日:2026年7月
  • 電子版発売日:2026年7月23日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

まだ投稿されていません

特記事項

※ご入金確認後、メールにてご案内するダウンロード方法によりダウンロードしていただくとご使用いただけます。

※コンテンツの使用にあたり、m3.com 電子書籍アプリが必要です。

※eBook版は、書籍の体裁そのままで表示しますので、ディスプレイサイズが7インチ以上の端末でのご使用を推奨します。