病理と臨床 2026年10月号 44巻10号 絨毛性疾患

  • ページ数 : 100頁
  • 書籍発行日 : 2026年10月
  • 電子版発売日 : 2026年10月6日
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商品情報

内容

【特集】絨毛性疾患

本特集では「絨毛性疾患取扱い規約」の改訂(FIGO2026反映やp57KIP2免疫染色の推奨等)に合わせて,治療の臨床的事項,および病理診断について最新情報を解説する.胞状奇胎や希少な絨毛性腫瘍は,HE標本のみでの鑑別が難しく病理医が苦慮しやすい.適切な診断基準や必要な免疫染色,治療との相関を示すことで,現場の病理医が判断に迷った際に手に取り,確実な鑑別と理解を深める一助となることを目指している.


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序文

特集 絨毛性疾患


絨毛性疾患取扱い規約がまもなく改訂になり,第4版が発刊される予定である.現在使用されている第3版は2011年の発刊であるが,気がつけば現在“最古”の規約になってしまっており,若干期間が空き過ぎた感が否めない.しかし,実は病理組織学的分類はあまり変わっておらず,診断頻度の少なさもあり,規約が古いことで分類できないなどの問題は起こっていない.臨床的に最も重要な変更点はFIGO2026改訂によるステージングとスコアリングの変更点を反映した内容の加筆であるが,全体的に写真や説明を充実させ,より臨床の現場で役に立つ内容にすることを目標とした.

病理診断学的には,診断カテゴリーの変更はほとんどないため,診断精度を重視する加筆となった.最も重要なポイントは,p57KIP2の免疫染色の立ち位置である.HE標本で全胞状奇胎であると確定できる典型例には不要であるが,全胞状奇胎を疑う場合に診断を確定するため,ないし全胞状奇胎を除外するためにp57KIP2の免疫染色を必ず行うことの推奨を明記した.本邦では,流産検体や子宮内掻爬検体の診断を主に担うのは全国各地の衛生検査所の検体を診断する病理専門医である.胞状奇胎の有無の確認が依頼内容と記載されていても,ほとんどが非奇胎絨毛である.栄養膜細胞や絨毛の有無の確認が主な診断業務であるが,ロシアンルーレットのように“変な絨毛”が紛れ込む.全胞状奇胎と部分胞状奇胎,ないし部分胞状奇胎と水腫様流産/非奇胎絨毛の鑑別をHE標本のみの形態診断で行う精度の低さは,少なくとも婦人科病理や絨毛性疾患の専門家の間では既知の事実である.しかし,全国的な産婦人科学会の統計からは,真の診断確定には染色体/遺伝子検査で三倍体の確認が必要な部分胞状奇胎の診断が,案外HE標本のみで確定診断されてしまっている現実がある.臨床経過から臨床医が,学会などで発表する症例提示を見て我々病理医がその部分胞状奇胎の中に全胞状奇胎が紛れているのではと疑うことは少なくない.また,胎盤部トロホブラスト腫瘍 placental site trophoblastic tumor(PSTT)や類上皮性トロホブラスト腫瘍 epithelioid trophoblastic tumor(ETT)などの絨毛性腫瘍も希少腫瘍であるため,内膜生検において腫瘍か否かの鑑別が容易であることはほぼない.

今回の企画は,絨毛性疾患取扱い規約の改訂に合わせて,診断,治療の臨床的事項,および胞状奇胎や絨毛性腫瘍の病理診断について,現時点で最新の情報を記載することを目標とする.病理医にとっては出会うと診断に苦慮する希少疾患であるため,診断時に本書を手に取っていただき,診断基準,必要な免疫染色,診断の臨床的意義や治療との相関を理解するための一助になることを願っている.


南口早智子 [藤田医科大学 病理診断学講座]
佐藤勇一郎 [宮崎大学医学部 病理学講座]

目次

【特 集】

絨毛性疾患の臨床像と診断……井箟一彦 他

絨毛性疾患の治療と病理診断との関わり……新美 薫

非奇胎絨毛(流産)と卵管妊娠……岩本雅美

胞状奇胎の病理診断とp57KIP2評価における注意点……福永真治 他

胞状奇胎における補助的診断法─STR解析の意義・解釈・注意点─……碓井宏和

間葉性異形成胎盤(PMD)の臨床病理学的特徴……竹内 真

着床部結節および過大着床部反応の病理と腫瘍との鑑別……佐藤勇一郎

絨毛性腫瘍;絨毛癌,胎盤部トロホブラスト腫瘍(PSTT),類上皮性トロホブラスト腫瘍(ETT)の臨床病理学的特徴……南口早智子

【速報解説! ここが変わった】

「WHO Classification of Tumours, 6th Edition, Digestive System Tumours」と「胃癌取扱い規約第16版」改訂ポイント……九嶋亮治

【連 載】

マクロクイズ[210]……浦野 誠

がん薬物治療選択に関わるバイオマーカー検査:いまとこれから[11]

非小細胞肺癌における免疫チェックポイント阻害薬を用いた治療戦略のためのバイオマーカー検査……清水淳市

病理学的研究に有用なdry解析の基本[5]

人工知能技術による病理画像解析……小島史也 他

知っておきたい眼病理[5]

結膜母斑と悪性黒色腫……兒玉達夫

【今月の話題】

血栓性微小血管症(TMA)をめぐるあれこれ……原 重雄

皮膚病理の国際認定試験─ICDP-UEMS受験記─……平木 翼

【Information】

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書籍情報

  • ISBN:9784011204410
  • ページ数:100頁
  • 書籍発行日:2026年10月
  • 電子版発売日:2026年10月6日
  • 判:B5変型
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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