生きものの本質を巡る知への旅

  • ページ数 : 96頁
  • 書籍発行日 : 2026年8月
  • 電子版発売日 : 2026年8月21日
¥2,750(税込)
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商品情報

内容

分子生物学が生まれ,広がり,基盤となるまでの90年の物語
ある教科書の誕生とその歩みを追う物語が,そのまま分子生物学の発展史となる――『細胞の分子生物学』日本語版発行の立役者が,当事者にしか語れない制作の背景を語ります.黎明期を支えた熱気,偉人たちとの忘れがたいエピソード,そして教科書に託された真摯な思い.知識偏重の時代だからこそ問い直したい,本当の学びのかたちが見えてくる一冊です.

序文

はじめに

今や生物学と言えば、基本は分子生物学と言ってよいでしょう。この学問の歴史はほぼ100年(正確には90年)。学問の歴史としてはそれほど長いとは言えない時間に急速な展開をしました。その中で生れた『細胞の分子生物学』という、みごとな教科書を通して考えた21世紀の生命研究の歴史とこれからが本稿のテーマです。

「教科書」という言葉で、まず思い出すのが小学校4年生の時の体験です。1945年8月15日に太平洋戦争が敗戦という形で終わりました。2学期になって学校へ行ったら、最初に指示されたのが、「教科書の墨塗り」でした。それまで、先生から「教科書は日本人として学ぶべきことが書いてあり、あなたにとって一番大切なもの」と教えられてきました。その同じ先生が、「教科書にあるこの部分は間違いなので墨で消しなさい」と指示されるのですから、「これって一体何?」です。全部を黒くするページも少なくありませんでした。ふしぎな気持ちになって当然です。私が大人になってから権力や権威には意味を持たせないという生き方をしてきた原因は、多分この体験にあるのでしょう。

以来、教科書は便利な道具以上のものではないと思って過ごす中で『細胞の分子生物学』と出会い、教科書観をひっくり返されました。そこには、「考えること」を支えてくれる楽しさが充ちており、大切なものと感じられたのです。日本でも教科書にしたいとの思いで翻訳しました。今、この教科書を使っている方にそれがどう受け止められているか気になり、私の中で教科書『細胞の分子生物学』から広がった、生きものを巡る知の旅へお誘いし、一緒に、生命科学のあり方を考えたいと思いました。

まず、この分野の核となる考え方を追うところから始めます。

目次

生命の科学の始まり

生命論的世界観

分⼦生物学の誕生 ― やはり機械論か

1953年、20世紀最⼤の発⾒ ― 分⼦への傾倒

クリックとブレンナー ― セントラルドグマ

調節 ― なんて生きものらしい

日本での小さな体験

「遺伝⼦」から「細胞」へ

世紀の発⾒をした⻘年のその後

ワトソンという特異な存在

学問の基盤として書かれたもの

たしかな実感のある学問

多細胞に挑む

組換えDNA技術の登場

1975年、アシロマ会議

眞剣な教科書製作者であればこそ

1983年 ― 遺伝⼦から細胞へ

旗振り役と実⾏役

日本語訳があるということ

教科書は時代とともに

図版が示す印象的な変遷

「生命の起源と初期の進化」章の登場

「植物細胞」「神経細胞」章の消滅

前向きな削ぎ落とし

社会に与える影響、社会から受ける影響

感染症

Life Scienceと生命科学

1970年のLife Science

1970年の生命科学

「生命科学」を活かそう

世界観を持つ

自然そのものに向き合う自然科学

DNAは遺伝⼦ではなくゲノムとして、そして情報

変わるもの・変わらないもの ― 教科書も学問も超えて

あとがき ― 最後に思うこと

文献

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書籍情報

  • ISBN:9784758121477
  • ページ数:96頁
  • 書籍発行日:2026年8月
  • 電子版発売日:2026年8月21日
  • 判:四六判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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