画像診断 2025年3月号（Vol.45 No.3）治療に役立つ循環器画像診断レポートのポイント

序 説

循環器系の画像診断は，多くの放射線科医にとって馴染みの薄い，難解な領域だと思います．本特集では，「治療に役立つ循環器画像診断レポートのポイント」と題して，冠動脈疾患や心筋症といった基本的な疾患に加え，不整脈，肺高血圧症，先天性心疾患といった複雑な疾患についても，体系的に学べる内容を目指しました．さらに，モダリティについてもCT，MRI，核医学検査を網羅的に解説し，臨床に直接役立つ内容に仕上げています．

本特集の最大の特徴は，循環器画像診断のエキスパートたちによる読影レポートの具体例を掲載していることです．これにより，エキスパートがどのように画像を読み解き，どのようなポイントを日常のレポートに記述しているのかを具体的に学ぶことができます．これは，日々の診断レポート作成において非常に有効な参考資料となるでしょう．これから循環器画像診断に取り組んでみようと考えている先生は，本特集に記載されているレポートの記載例を参考に，まずは第一歩を踏み出してみてください．

さらに，本特集では文字どおり，“治療に役立つ”循環器画像診断レポートの作成を目標としています．そのため，画像の読み方を解説するだけでなく，それがどのように患者の治療選択に影響を与えるかについても踏み込んで解説しています．さらに，実際のカテーテル治療と画像の関連性など，やや踏み込んだ尖った内容も含まれており，循環器画像診断をひととおり学んだ先生方にも有益な内容となっております．

読者の皆さまがこの特集を有意義に活用され，日々の診断業務にお役立ていただければ幸いです．

横浜市立大学大学院医学系研究科放射線診断学教室
加藤 真吾
宇都宮 大輔