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商品情報
内容
序文
推薦の辞
日本老年腫瘍研究会(JGOS)が,『老年腫瘍ハンドブック』を刊行された.本書は米国 “Handbook of Geriatric Oncology: Practical Guide to Caring for the OlderCancer Patient” の翻訳書である.米国でも高齢がん患者の増加は著しく,高齢者に特有の身体的,精神的,経済的問題などを考慮した汎用性の高い教科書がすでに,このように刊行されている.
その翻訳書である本書の1~14章には,高齢者に特徴的な問題点が列挙されている.特に高齢者機能評価に多くが割かれ,日常生活動作の評価や生活機能の障害などが深く論じられている.また,がん治療に伴う有害事象予測モデルも重要で,これは高齢者を対象とした臨床試験のあり方につながっていく.特に高齢者総合機能評価(CGA)では,身体機能,転倒,認知機能,気分,合併症,ポリファーマシー,社会的サポート,経済状況,嗜好,ケアの目標といった複数の領域にまたがる評価が必要で,それらが詳述されている.15章から24章は乳がんから始まって,急性骨髄性白血病と骨髄異形成まで,代表的な臓器がんの各論が展開されている.25章から36章までは,各がんにつながる横断的な問題点が論じられている.例えば造血幹細胞移植や高齢がん患者との意思疎通,特に認知機能に問題がある場合のコミュニケーションを論じている.さらに老人ホームに生活するがん患者の問題点や合併症対策等,アドバンス・ケア・プランニング(ACP),運動療法までもカバーされている.それらが忠実に翻訳されている本書は,米国の現状を踏まえた書物として我が国でも重用されるに違いない.
難を申せば,高齢がん患者を対象とした妥当な臨床試験のあり方や,がんが遺伝子の異常によって発生する細胞の病気であることから,近年凄まじい進歩を遂げているがんの遺伝子異常に基づく高齢者がん治療のあり方等,記述が不十分な面も散見される.しかし,我が国でこれだけ広範に高齢がん患者の医療を論じた書物は初めてのことではないだろうか.その意味で本書を強く推薦申し上げたい.
本書を基に我が国の高齢がん患者を対象としたハンドブックが,さらに充実・発展されることを願って推薦の辞としたい.
公益財団法人日本対がん協会 会長,国立がんセンター 名誉総長
垣添忠生
今,老年腫瘍学が熱い.がん患者層の高齢化だけが理由ではない.老年医学を専門とする者の間にも老年腫瘍学を勉強しようという者が増えているからである.従来,腫瘍は老年医学では概念的にマイナーな疾患であった.高齢者にがんがみつかると,手遅れで,余命いくばくもない場合が多かったからである.緩和ケアという共通項はあるにしても,慢性疾患を抱える高齢者のQOLをいかに維持していくかを最重視する老年医学の主流にはなりえなかったのである.しかるに,近年のがん治療法の進歩により高齢者がんは必ずしも命を落とす病気ではなくなった.また,より若年層のがん患者もがんサバイバーとして高齢期に至る状況になった.これらの変化が老年医学における腫瘍学のポジションを大きく引き上げたし,老年腫瘍学という学問分野の創生をもたらしたと考えられる.
本書『老年腫瘍ハンドブック』は海外で執筆された書籍の翻訳本であるが,ハンドブックといってもマニュアル本ではなく,しっかりと老年腫瘍学の基本的コンセプトが解説されており,理論的理解に役立つ老年腫瘍学の教科書といえる一冊である.また,老年医学を専門とする私からみても,本書は腫瘍学についてはもちろん,老年医学の書籍としてもよく書かれている.脆弱,老年症候群,栄養と運動,ポリファーマシー,併存症の管理,認知症などの精神的問題,孤立や介護などの社会的問題,コミュニケーション,アドバンス・ケア・プラニングなど老年医学的トピックを見出しにした項目も多いのが特徴である.特に,本書の随所に高齢者総合機能評価(CGA)が登場することに驚いた.日本老年医学会などから発表された『高齢者総合機能評価(CGA)に基づく診療・ケアガイドライン2024』(南山堂,2024)では,「高齢者の悪性腫瘍(薬物療法)の管理にCGAは有用か?」というクリニカルクエスチョンに対して,強い推奨がなされている.その実践法は本書に詳しく書かれており,よい参考書にもなっている.
がん専門医療者の老年医学入門書として,逆に老年医学専門医療者の腫瘍学入門書として,また老年腫瘍学をこれから学ぶ者の入門書あるいは参考書として役立つ書籍になるだろう.
地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター センター長
秋下雅弘
訳者序文
世界的に人口の高齢化が急速に進んでおり,これに伴い,がんを患う高齢者の数も増加しています.がんを患う高齢者を診療する頻度は高いものの,老年腫瘍学(geriatric oncology)は世界でも比較的新しい分野であり,また我が国では老年腫瘍学を系統的に習得する機会はほとんどなかったために,医療者は高齢者のがん診療に悩みながら取り組んでいるのが現状です.
高齢者のがん診療では「がん」の診療のみならず「高齢者」の診療もする必要があります.これは腫瘍科医だけでは難しく,老年科医,看護師,薬剤師,栄養士,リハビリテーション専門職,医療ソーシャルワーカーなどの医療従事者の力が必要です.高齢者のがん診療に携わるすべての医療従事者にとって,専門的な知識と適切な評価方法を学ぶことは不可欠です.しかし,老年腫瘍学に関する教育資材は多くありません.学術的であるがゆえに難解な教科書はあるものの,初学者が気軽に手に取り読みこなせる教科書はほぼないように思います.本書『老年腫瘍ハンドブック』は,まさにすべての医療従事者のニーズに応えた教科書です.
原著は,メモリアル・スローン・ケタリングがんセンターの老年腫瘍学の専門家たちが中心となって執筆され,高齢者のがん診療のあらゆる状況と幅広いトピックを網羅しています.特に本書が強調する「高齢者機能評価(geriatricassessment:GA)」は,がんを患う高齢者を理解するための重要なアプローチであり,高齢者のがん診療における意思決定や予後予測に大きく貢献するものです.それぞれの章は簡潔であり,どこから読んでも理解できるようになっているため,多忙な医療従事者に適した教科書です.
本書の翻訳にあたって,我々,日本老年腫瘍研究会(Japan Geriatric OncologySociety:JGOS)は,日本の医療現場で実践されるべき知識をわかりやすく伝えることを目指し,可能な限り平易な表現を心がけました.また,高齢患者特有の病態や治療法の理解を深めていただけるよう,適宜注釈を加えました.本書が,高齢者に対するがん診療の質の向上に寄与することを祈っています.最後に,本書の翻訳に際し,ご協力いただいた関係者の皆様に心より感謝申し上げます.
2025年1月
編集代表 水谷友紀・小川朝生
原書序文
『老年腫瘍ハンドブック』は,世界的に増加する高齢がん患者に対応するために,臨床医にとって最適なタイミングで登場した.高齢がん患者の増加は,世界人口の高齢化とがんの発生が加齢に関連していることが原因である.一方で,腫瘍学と老年医学の両方ができる人材が不足しているため,高齢がん患者のケアは,腫瘍科医や老年科医だけでなく,プライマリ・ケア医や多職種チームのメンバーにとっても「日常業務」の一部となっている.老年腫瘍学の教育が不十分にもかかわらず,医療従事者は高齢がん患者のケアを最適化し,その複雑さを受け入れるための最新のデータを知っておく必要がある.老年医学専門医のBeatrizKorc-Grodzicki博士と腫瘍専門医のWilliam Tew博士は,この必要性に応えるために,がん患者のケアに携わる腫瘍科医,老年科医,その他の医療従事者のための重要な参考書として,『老年腫瘍ハンドブック』を作成した.
「高齢がん患者のケアは高齢ではないがん患者のケアと何が違うのか?」と疑問に思うかもしれない.その答えは,この本に明確に記されている.この本は,腫瘍学と老年医学の最善の対処法を組み合わせ,高齢がん患者のケアを最適化するためのものである.まず,このハンドブックは,高齢者を評価し,単なる「暦年齢」ではなく「機能年齢」を理解する方法を説明している.次に,これらの患者が抱える身体の機能や社会的な面での弱点を理解し,それをサポートするための具体的な方法を提案している.第三に,この本は,高齢者のがん患者のケアにおける最善の対処法を導く最新データを要約している.そして最後に,最も重要なこととして,この本は,これらの知見を患者にどのように伝えるかを提案している.さらに,この知識とスキルの統合により,患者の目標や好みに沿った協力的な意思決定が行われ,がん治療の利益を最大化し,リスクを最小限に抑えることができる.
米国医学研究所(現米国医学アカデミー)や米国臨床腫瘍学会(AmericanSociety of Clinical Oncology:ASCO)は老年腫瘍学の教育と訓練の重要性を訴えている.Tew博士とKorc-Grodzicki博士は,この要望に応えるために,世界中の専門家を集め,日常の診療で使える簡潔な参考書を提供している.この参考書は,高齢のがん患者の評価方法,特定のがんの治療,高齢者のサバイバーシップ,緩和ケア,統合医療など,さまざまなトピックを網羅している.高齢がん患者のケアは,医学の複雑さと人間の最も感動的で意義深い側面を結びつける,満足感と個人的なやりがいのある行動である.
George J. Bosl, MD
Patrick M. Byrne Chair in Clinical Oncology
Memorial Sloan Kettering Cancer Center
New York, New York
Arti Hurria, MD
Professor and Director, Cancer and Aging Research Program
City of Hope Comprehensive Cancer Center
Duarte, California
原書謝辞
以下の方々に感謝の意を表する.優れた事務サポートを提供してくださったCasida CainesさんとLillian Saillantさん,財政的支援をしてくださったベアトリス・サミュエル・A・シーバー財団とジョアキム・シルバーマンファミリープログラム,そして,高齢のがん患者の生活向上に尽力しているMSKCCの“65+team” の優れたメンバーの皆様.
目次
第Ⅰ編 老年腫瘍学:概要
1.老年腫瘍学入門(水谷友紀)
2.加齢に伴う生理的変化(渡邊一久)
3.脆弱性(山本 寛)
4.脆弱性のバイオマーカー(杉本 研)
第Ⅱ編 老年症候群
5.生活機能の障害(原田剛志)
6.高齢がん患者における転倒(佐塚まなみ)
7.栄養(前田圭介)
8.ポリファーマシー(多剤服用)(牧原玲子)
9.がんにおける併存疾患(奥山絢子)
10.認知症候群とせん妄(栁川まどか)
11.高齢がん患者における不安と抑うつ(小川朝生)
12.社会的孤立と介護者の負担(井上順一朗)
第Ⅲ編 老年医学的アセスメント
13.老年医学的アセスメント(石井正紀)
14.老年腫瘍学におけるスクリーニングツール(高橋昌宏)
第Ⅳ編 高齢者におけるがんの選択
15.乳がん(相良安昭)
16.高齢者における前立腺がん(永江浩史)
17.大腸がん(濱口哲弥)
18.肺がん(大森翔太)
19.高齢女性における卵巣がん(石川光也)
20.高齢者における頭頸部がん(伊東和恵)
21.膵がん(小林 智)
22.膀胱がんと腎がん(成田伸太郎)
23.非ホジキンリンパ腫とホジキンリンパ腫(中村信彦)
24.急性骨髄性白血病と骨髄異形成症候群(鈴木智貴)
25.高齢患者に対する造血細胞移植(楠本 茂)
第Ⅴ編 高齢がん患者とのコミュニケーション
26.インターパート:老年医学における言語横断的医療面接のモデル(水谷友紀)
27.認知機能に障害のある高齢者とその家族とのコミュニケーション(小島一宏)
第Ⅵ編 がんを患う老人ホーム患者
28.高齢者の居宅介護レベルとがん検診の役割(福元 剛)
第Ⅶ編 ケアモデル:サバイバーシップ
29.高齢者がん治療・さまざまなケアモデル(安井浩樹)
30.高齢がん患者のサバイバーシップケア:プライマリ・ケア医の役割とコミュニケーションツールとしてのサバイバーシップケアプラン(松岡 歩)
第Ⅷ編 緩和ケア
31.高齢者におけるがん疼痛の治療(藤井恭子)
32.疼痛以外の症状の緩和(山﨑圭一)
33.アドバンス・ケア・プランニング(野々垣 禅)
第Ⅸ編 統合医療
34.高齢者のための運動(福島卓矢)
35.老年期がん治療における鍼灸治療(西山菜々子)
36.補完療法と統合医療(渡邉雄貴)
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書籍情報
- ISBN:9784621310755
- ページ数:408頁
- 書籍発行日:2025年2月
- 電子版発売日:2025年2月28日
- 判:A5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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