口腔の発生と組織 改訂5版

  • ページ数 : 159頁
  • 書籍発行日 : 2025年4月
  • 電子版発売日 : 2025年3月13日
¥4,400(税込)
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商品情報

内容

難しい内容を独自のイラストでわかりやすく解説.充実の改訂!

筆者オリジナルの「板書の絵」風の簡潔なイラストを多用し,組織写真を極力使わない斬新なアプローチ.読みやすく,わかりやすい内容で,口腔組織の世界に自然と引き込まれる.まるで「コロンブスのタマゴ」のような発見が詰まった一冊.
この教科書は,座学の復習にも最適.やさしい文章ながら高度な内容もカバーし,最新の国試対策や臨床家のニーズにも応えます.前版で好評だった章末コラムもさらに充実し,読み応え抜群.

序文

改訂5版の序


本書は「口腔組織・発生学」の教科書で,改訂3 版(2015 年)から私が編著を受け継いでいます.当時の私には不明の箇所もあり,それ以前の記載を残した部分もありましたが,4版(2019年)でほぼ全ページが私の文章と図になりました.そして,この5版ではさらに完成度を高めることができたと思います.

改訂のたびに,組織写真をいれる誘惑にかられます.組織学の教科書ですから,きれいな組織写真を使って解説をするのが王道だからです.ですが,「組織学の本でありながら,組織写真を極力使わず,『板書の絵』のようなスキーム(模式図)を使って,ほとんどの説明をする」ことを今回も守りました.口腔組織の切片は硬組織が混ざるため,研磨切片ならば軟組織が失われ,脱灰切片ならばエナメル質が失われます.つまり,完全な組織標本を作ることがほぼ不可能なのですが,そうした口腔組織も模式図なら説明がしやすい.そして,初学者の理解には模式図が有効であるし,立体的なイメージも伝えやすい.そういうことも考えて,模式図中心の組み立てを継承しました.歯科医師国家試験の出題範囲を前提に内容を定めていますが,terms,注釈,コラムなどでやや高度なことや専門的なことを盛りこんでいます.研究者や臨床医にも役立つと思います.

かつての大学の授業は,板書のみで進めることが普通で,どの教員もすらすらと見事な図を描き,英語・ドイツ語・ラテン語も交ぜながらどんどん解説をしていく,という形式でした.資料配布は滅多にありませんでしたから,学生は「板書の絵」を描き写しながら,教員の説明を聞き,理解し,書きとめるという忙しい日々でした.ですが,毎年のように繰り返して書かれる「板書の絵」はだんだんと洗練されていき,エッセンスを抜き出したような絵になっていくのが常でした.

こうした板書講義に近いものを目指しているのが本書の特徴です.簡略化した図を使っていますが,色使いは統一しています.例えば,上皮とエナメル質は青,間葉と象牙質は赤,間葉ではあるけれどセメント質と骨のふたつは灰色にしています.上皮と間葉(結合組織)を意識することが,組織学の基本であり,青と赤はヘマトキシリン・エオシンの染色像に準ずるものです.また,文章もできるだけ簡潔かつ平易にし,込み入ったことや高度なこと,英語などは欄外に書きました.眠くなるような講義はしたくない.だらだらと話したりはしない.学生が引き込まれるようなテンポで話を進めたい.そういうマインドで本書は書かれています.

本書執筆につきましては,これまで明海大学名誉教授・久米川正好先生,大阪大学名誉教授・栗栖浩二郎先生,和歌山医科大学・松村達志先生,徳島大学・角田佳折先生,鹿児島大学・宮下桂子先生,赤ちゃん歯科ネットワーク代表・石田房枝先生,元東京医科歯科大学・杉浦真琴さんと山本智子さんなど,多くの方々のお世話になりました.それから,南山堂編集部・齋藤代助さんならびに制作・印刷関係の方々にも御礼申し上げます.本に限らずですが,どんな仕事でも,いい仕事をするには,多くの方の助けがあってのことだと思います.感謝の気持ちでいっぱいです.

2024年の3月,長く勤めておりました東京医科歯科大学(現・東京科学大学)を辞し,郷里にもどりました.そして,九州栄養福祉大学・食物栄養学部で解剖生理学を教えるようになりました.歯学部から離れましたが,歯の研究は続けておりますし,食べることについて新しい面からアプローチできる面白さも感じています.そして,個性豊かで,情緒も豊かで,いろいろな可能性があり,伸びやかな感性をもつ学生たちと共に学ぶ日々を過ごしています.

学問には境界がありません.国境と同じく,境界を作ってしまうのは,人間だと思うようになりました.私自身が,理学部の出身でありながら,歯学部で長く仕事をし,今,栄養学部に居るからかもしれません.でも,そういう「感性の種」を蒔いてくれたのは,学生・院生時代の恩師たちです.ですから,その種を本書にも蒔いておきました.誰かの心の中でこの種が芽生え,健やかな成長をしてくれることを願っています.


2025年1月

田畑 純

目次

第1章 歯とは

1 歯のかたち

1) 歯

2)歯周組織

2 歯の定義

3 4つの硬組織

Column 5つの四大組織

第2章 ヒトの発生

1 精子

2 卵

3 受精

4 卵割期?胚盤胞期

5 着床期?二層性胚盤期

6 内胚葉と中胚葉の形成

7 三層性胚盤期/神経管と原腸の形成

8 神経胚期/体節の形成

9 器官形成期

10 胎児期以降

Column アジのひらき

第3章 口腔の発生

1 咽頭弓

2 神経堤細胞

3 口腔の開通

4 咽頭弓器官

5 舌の発生

6 顎顔面の発生

7 上顎の発生

8 下顎の発生

9 歯の発生

10 口腔の発生障害

1) 口唇裂

2) 顎裂

3) 口蓋裂

4) 正中上唇裂

5) 横顔裂(巨口症)

6) 斜顔裂

7) 舌裂

8) 巨舌症・小舌症

9) 舌小帯短縮症

Column A Child Is Born

第4章 歯冠形成期

1 開始期(肥厚期)と蕾状期

2 帽状期

3 鐘状期初期

1) 外エナメル上皮

2) 星状網

3) 中間層細胞

4) 内エナメル上皮

4 鐘状期後期

5 エナメル質と象牙質の形成

6 咬頭形成

7 歯堤の分岐と消失

Column 魔法のサンドイッチ

第5章 歯根形成期

1 歯根形成開始期

2 歯根伸長期

3 萌出期

1) 顎骨内での歯胚の移動

2) 歯の回転

3) 萌出後の歯の運動

4 咬合開始期と機能期

5 歯根の分岐

6 歯の交換(乳歯脱落)

Column シーラカンス物語

第6章 エナメル質形成

1 エナメル芽細胞

2 基質形成期

3 成熟期

4 エナメル小柱

5 エナメル質の組織構造

1) エナメル象牙境

2) 無小柱エナメル質

3) レッチウス条

4) 周波条

5) 新産線

6) 歯小皮

7) エナメル叢

8) エナメル葉

9) エナメル紡錘

10) ハンター・シュレーゲル条

6 エナメル質特異的タンパク質

Column 魅惑の縞模様

第7章 象牙質形成と歯髄

1 象牙芽細胞

2 基質小胞

3 球状石灰化と板状石灰化

4 石灰化球

5 象牙質の成長線

6 象牙質の分類

1) 歯冠象牙質と歯根象牙質

2) 原生象牙質,二次象牙質,三次象牙質 

3) 外套象牙質と髄周象牙質

4) 管間象牙質と管周象牙質

5) う蝕象牙質

7 象牙質の組織構造

1) 象牙細管

2) 球間区と球間網

3) トームス顆粒

4) 二次象牙質

5) 死帯

6) 三次象牙質

7) 透明象牙質

8 歯髄

1) 象牙芽細胞層

2) 細胞希薄層(ワイルの層)

3) 細胞稠密層

4) ラシュコフの神経叢

9 象牙質の知覚

10 歯髄神経

11 象牙質特異的タンパク質

Column サメの歯の面白さ

第8章 セメント質形成と歯根膜

1 セメント芽細胞とセメント細胞

2 セメント質の構造

1) セメント前質

2) シャーピー線維

3) セメント質の固有線維

4) セメント層板

5) セメント象牙境

6) 中間セメント質

7) 根尖孔の狭窄

8) セメント質の加齢変化

9) エナメルセメント境(セメントエナメル境)

3 歯根膜

4 歯根膜の線維

1) 歯槽頂線維群(歯槽縁線維群)

2) 水平線維群

3) 斜走線維群

4) 根尖線維群

5) 根間線維群

5 歯槽骨

Column シャーピー線維の作り方

第9章 唾液腺

1 唾液腺の構造

2 唾液腺の種類

1) 漿液腺

2) 粘液腺

3) 混合腺

3 大唾液腺

1) 耳下腺

2) 顎下線

3) 舌下腺

4 小唾液腺

Column 食性の進化

第10章 口腔粘膜

1 口腔粘膜の構造

2 口腔粘膜の種類

1) 被覆粘膜(裏装粘膜)

2) 咀嚼粘膜

3) 特殊粘膜

3 口唇

1) 皮膚

2) 赤唇縁

3) 口唇粘膜

4 歯肉と歯槽粘膜

5 歯肉の構造

1) 遊離歯肉

2) 付着歯肉

3) スティップリング

4) 外縁上皮

5) 内縁上皮

6 歯肉溝上皮と歯肉溝滲出液

7 歯肉の付着上皮

8 歯肉線維

1) 歯頸・歯肉線維群

2) 歯頸・骨膜線維群

3) 歯槽骨・歯肉線維群

4) 中隔横断線維群(歯間水平線維群)

5) 輪状線維群

9 口蓋

10 舌背

1) 糸状乳頭

2) 茸状乳頭

3) 葉状乳頭

4) 有郭乳頭

Column 円錐乳頭とレンズ乳頭

第11章 頭蓋骨と顎関節

1 骨と軟骨

2 軟骨性骨と膜性骨

1) 軟骨性骨(軟骨内化骨/間接化骨)

2) 膜性骨(膜内化骨/直接化骨)

3) 複合骨

3 関節

4 頭蓋骨の発生

5 咀嚼筋と開口筋

6 顎関節

1) 下顎頭

2) 下顎窩

3) 関節腔

4) 関節円板

5) 関節前部

6) 外側翼突筋上頭

7) 関節後部

Column 関節の作り方

第12章 加齢変化

1 加齢変化

2 エナメル質

3 象牙質

1) 二次象牙質

2) 三次象牙質

3) 管周象牙質

4) 象牙粒

4 セメント質

1) 挺出

2) セメント粒

5 歯髄

1) 歯髄萎縮

2) 網様萎縮

3) 変性萎縮

4) 歯髄狭窄

6 骨と関節

1) 上顎骨

2) 下顎骨

3) 顎関節

Column 解剖学のハンター

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書籍情報

  • ISBN:9784525810252
  • ページ数:159頁
  • 書籍発行日:2025年4月
  • 電子版発売日:2025年3月13日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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