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不登校の子どもを支える 家族・教師・医師のための対応ガイド

  • ページ数 : 144頁
  • 書籍発行日 : 2025年5月
  • 電子版発売日 : 2025年4月4日
¥2,420(税込)
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商品情報

内容

大ロングセラー「学校に行けない子どもたちへの対応ハンドブック」、
約15年の時を経た待望の改訂版!
小児心療科の医師として、長年不登校支援の最前線で診療してきた著者が、
冷静かつ暖かい視点で、子どもを支える医師・教師・家族のためにまとめたこころのガイド。


「学校は行くのが当たり前」の時代から
「学校なんか別に行かなくていい」時代へと変わりつつあります。
とはいえ「行かないでいい」と割り切れるのはいまだ一部の人たちで、
現在でも学校に行けなくなると、行けなくなった子ども自身もその家族も、
どうしたらよいのか悩み苦しむことが多いのが現実です。

どのような不登校にも共通する大きな問題は
「成長に必要な社会参加の機会が奪われてしまう」ということです。
本書は、不登校に伴う問題のうち「いかに社会参加をすすめるか」という点に注目し、
その対応をできるだけ実践的に記載しました。

なかなか一歩が踏み出せない子どもの複雑な状態、不安な気持ちをどう理解し、
どう和らげながら次の一歩を踏み出してもらうのか、
そのための方策を、本書で一緒に考えていきましょう。

著者の豊富な経験や知識に基づく21本のコラムと、「家族へのアドバイス」11本も必読です。

序文

改訂にあたって


本書を執筆中の令和6年10月,令和5年度の不登校児童生徒数が34万6,482人にのぼったと文部科学省から発表がありました。令和3年度に「はじめて20万人を超えた」と驚きをもって報道されたことからすると,数年で隔世の感があります。文部科学省の発表は,あくまで病気や経済的問題以外で30日以上欠席した子どもの数ですから,欠席はしないけれども保健室/相談室登校をしたり,教育支援センター(適応指導教室)などの学校以外の居場所に通ったりしている子どもは含まれません。つまり,登校に負担を感じ,休みがちになっている子どもは,実際にはもっとたくさんいるのだということです。

学校は実際,面倒なところです。勉強しなくてはいけないし,先生には叱られます。一度も「行きたくない」と思ったことがない人なんていないでしょう。とはいえ「面倒だけど行かなければならないから」「行けば楽しいこともあるから」「家にいたって退屈だから」というのが多くの人の感覚だったと思います。それが時代とともに変化し,現在では,学校に行かなくても「勉強はリモートでもできる」「友だちとはSNSでいつでもつながれる」「家にいたってオンラインゲームでもなんでも楽しみはいくらでもある」となりました。それだと,学校に行く動機づけはどんどん低下して当然です。しかし,本当にそれでよいのでしょうか。

コロナ禍でリモートワークが取り入れられ,一時期かなり広がりました。このままリモート化が進むのかと思われましたが,コロナの終息とともに,オフィスに出社する形への揺り戻しが起こっています。オンラインで得られる情報と,対面によって得られる情報の質と量が格段に違うこと,会議の時間だけではなく,隙間時間の雑談にこそ意味があるのだということが再認識されてきているのだと思います。学校も同様です。学習を進めるだけならオンラインでよいでしょう。しかし,集まって過ごすこと自体に重要性があるのです。よく考えてみれば,同級生が周囲にたくさんいるような状況は,学生時代を過ぎるとほとんどありません。そのような場に身を置き,他愛ないおしゃべりのなかから気の合う友だちを見つけたり,自分にとって心地よい居場所を探したりする経験は,これからの人生にとって,とても貴重なものとなるはずです。

もちろん,集う場所はかならずしも学校でなければならないわけではありません。学校に行くと深く傷ついたり,どうしても学校というシステムに合わなかったりする子どもの場合には,学校以外の場所でかまわないのです。しかし,学校に行ける状態であれば登校させたいし,家で長期間孤立する状態だけは避けてもらいたい。そのために子どもと家族になにができるか,いかに手を差し伸べていくかについて,本書では詳しく述べていきます。

本書の初版となる「学校にいけない子どもたちへの対応ハンドブック」が出版されたのは平成21(2009)年,それから約15年が経過し,記載が一部古くなったため,今回改訂版を作成しました。しかし,社会の変化に伴う細かい変更はあるものの,不登校対応の根幹の部分はほとんど変わっていません。それは,不登校の問題が子どもの発達や生き方そのものに関わることだからでしょう。時代は変われども,人が人間として成長していく過程に必要なものや考え方は,なにも変わっていないのです。大人が子どもと関わるときに忘れてはならないのはそのことです。大人は往々にして,自分が子どもの頃になにを感じ,なにを考えていたかを忘れてしまっています。自分の子ども時代をもう一度振り返りながら子どもと向き合う,それによって,目の前にいる子どもに対する理解が深まるのだと思います。

それでは,本書が,不登校に悩む子どもと家族,そして支援者にとって,なんらかのお役に立てることを願っています。


令和7年4月1日

千葉大学大学院医学研究院地域医療教育学
鋪野紀好

目次

Chapter 1 不登校について考える前に

子どもと学校との関わり

子どもの「こころ」の成長における学校の役割

学校における人間関係の問題点

周囲の人たちと安定した関係を形成する能力とは

自己肯定感(自尊感情)

基本的な安心感

不登校の子どもに必要な支援とは

Chapter 2 不登校に関わるもの

こころの問題はどのように起きるか

不登校が始まるとき

子どもの素因

発達特性

過敏で不安が強い子

身体的な問題

精神の疾患

環境の問題

家庭環境

学校環境

ストレス耐性

ストレス耐性とはなにか

ストレス耐性と基本的な安心感自己肯定感(自尊感情)

ストレス耐性はどのように身についていくか

不登校は3つの因子のバランスによって生じる

もっとも影響が大きいと考えられる因子によって不登校のタイプを分ける

内因主体型

家庭環境型

外因主体型

過剰適応型

未熟回避型

Chapter 3 不登校はどのように経過するか

不登校の経過とこころのエネルギー

不登校の経過における共通性

こころのエネルギーとは

こころのエネルギーと症状

こころのエネルギー状態に応じた対応

こころのエネルギーの回復過程として不登校の経過を考える

各期の解説

前駆期(不登校の始まり)

混乱期

休養期

回復期

助走期

復帰期

不登校の経過におけるバリエーション

ゆっくり回復パターン

早めに登校を開始するパターン

引きこもるパターン

Chapter 4 不登校対応の基本プラン

実際の対応手順

子どもの状態を理解する

3つの因子の相互関係を検討する

子どもの状態をストーリーとして考える

対応は二段構えで

最終目標をどう考えるか

Chapter 5 不登校の因子に対するアプローチ

子どもの素因に対するアプローチ

発達特性や過敏さに対して

身体症状への対応

心身症としての身体症状

器質性身体疾患

精神疾患

環境に対するアプローチ

家庭環境に対して

学校環境に対して

ストレス耐性に対するアプローチ

ストレス耐性をどう高めるか

過剰適応型の子ども

未熟回避型の子ども

Chapter 6 不登校の時期に応じたアプローチ

前駆期

前駆期の対応の基

登校刺激への反応と今後の方針

前駆期における医療機関の受診

混乱期

混乱期の対応の基本

混乱期における医療機関の受診

子どもが受診した場合

子どもへのアドバイス

休養

休養期の対応の基本

休養期におけるアドバイス

回復期

回復期の対応の基本

回復期からどう離脱するか

回復期が長期にわたると

助走期

助走期の対応の基本

所属する学校に戻る場合

通学の支援と時間帯をどうするか

家族が同伴しての登校

在籍する学校以外での社会参加

学校以外の社会参加の場

助走期から復帰期へ

助走期から復帰期への移行をどのように考えるか

ステップアップを勧める時期

さまざまな進学先

復帰期

復帰期の対応の基本

どこまで登校が続けられれば安心か

全日制高校に進学後,行けなくなったとき

全日制高校から通信制高校への転校

留年を選択する子ども

通信制高校からの進学就職

Chapter 7 不登校,その後

不登校の子どもの社会復帰

社会で生活していくとはどういうことか

中学を卒業する意味

仕事をしていくということ

仕事を続けていくために大切なこと

高校にうまく進めなかったとき

高校に進学したが,退学してしまった場合

高校中退後のアルバイト

アルバイトから正社員へ

アルバイトから学校へ

仕事にうまく就けないとき

アルバイトが始められない,続かない

障害者手帳の取得と福祉的就労

引きこもってしまったとき

あとがき

参考文献


コラム

ネット上の友だち

神経発達症(発達障害)の診断について

体力のない子

ダムの図におけるストレス耐性のイメージ

いじめと心的外傷後ストレス障害

不登校に関わる因子が年齢によってどう変化するか

解離症変換症(転換性障害)

要保護児童対策地域協議会

いじめの問題にどう関わるか

ストレスコーピング

「 行きたくない」のか「行きたいけど行けない」のか

概日リズム睡眠覚醒障害

不安が強い子どもたち

イベントがきっかけになるか

登校ハードルについて

給食をどうするか

分離不安症

転校は是か非か

進路選定の実際

高校選択をこころのエネルギーとの関連で考えてみる

高校が続けられるかどうか

家族へのアドバイス

不安が強い子どもの不登校の経過

きょうだい例の不登校

低学年からの行き渋り

登校渋りへの対応

前駆期対応の大切さとその限界

ゲームネット依存について

待つことの大切さ

回復期の働きかけ

家族がどのくらい通学を手伝うか

こころの回復には時間がかかる

つながってさえいればきっといつか動き始める

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書籍情報

  • ISBN:9784880029344
  • ページ数:144頁
  • 書籍発行日:2025年5月
  • 電子版発売日:2025年4月4日
  • 判:A5変型
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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