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- 消化器内視鏡 第37巻2号 Up-to-date EUS-BD(超音波内視鏡下胆道ドレナージ)
商品情報
内容
序文
序説
フランスのGiovanniniらにより超音波内視鏡下胆道ドレナージ(EUS-guided biliarydrainage:EUS-BD)手技の一つであるEUS-guided choledochoduodenostomy(EUSCDS)が世界で初めて報告されてから20年以上,EUS-BDが日本で保険収載されてから10年以上が経過した。EUS-guided hepaticogastrostomy(EUS-HGS)に関しても初めての報告は日本以外からであったが,2000年代後半から現在に至るまでのEUSBDに関する論文は日本が突出しているといっても過言ではない。その内容の多くは日本で新規開発されたEUS-BDデバイスや,より安全確実な手技を目指したEUS-BDテクニックの数々である。メタルステントに関しては韓国に後塵を拝しているものの,EUSスコープはもとより,その他のガイドワイヤー,瘻孔拡張デバイス,プラスチックステントに関しては本邦の貢献度は非常に大きいと感じている。特に,海外でのライブデモンストレーションに参加していると,専用でないERCP関連デバイスを駆使してEUS-BDを行っているEUSエキスパートの先生を見ると,専用デバイスを使用してEUS-BDを施行できる日本の環境を誇らしく思うし,幸せにも思う(もちろん患者さんはもっと幸せであろう)。ただし,これはEUS-HGS関連手技(antegrade stentingやbridging stentingなど)についてのことであり,EUS-CDSに関しては大きく異なる。世界ではEUS-BDといえば多くはEUS-CDSを意味している。その大きな理由にはlumen-apposing metal stent(LAMS)の存在がある。デバイス先端に通電機能を装備するHot AXIOSTMは,肝外胆管を瘻孔拡張することなくone-stepでステントを留置することが可能であり,EUS-HGSのようないくつかのステップを踏むことがない。このように,比較的簡単にステント留置できることから海外では,切除不能悪性遠位胆管閉塞に対してはEUS-BD(EUS-CDS)はERCP不成功例の代替ドレナージ法,さらには初回ドレナージの第一選択になりうると多くは考えられている。実際,ランダム化比較試験(randomized controlled trial:RCT)をはじめとする質の高い比較研究結果が数多く出されている。残念ながらこれらの重要な研究に筆者も含め日本の研究者は参加していない。なぜなら,本邦ではHot AXIOSTMをはじめとするLAMSは膵仮性囊胞やwalled-off necrosisなどの膵液体貯留に対しては保険適用となっているが,現時点でも胆管ドレナージに対して適用外となっているからである。さらにHot AXIOSTMが膵液体貯留の治療として本邦で発売された頃には,臨床研究法により保険未承認や適用外使用に対するRCTなどの質の高い研究が難しくなってきたのも災いしている。筆者らはその黎明期からAXIOSTMを用いたEUS-CDSを報告(Itoi T and Binmoeller KF:GIE 2014)してきたが,当初LAMS,特にHot AXIOSTMのようなHot LAMSを用いたEUS-CDSがERCPに取って代わるとは考えていなかった。しかし最近では,これまでの質の高い研究結果から憩室内乳頭などのERCP困難例やERCP不成功例にはERCPで時間をかけるよりもLAMSによるEUS-CDSへの早い変更もリーズナブルと考えている。なお,Hot AXIOSTMを日本に導入した筆者は胆管への保険適用拡大も当初から目指しており,今後の速やかな導入により近い将来,EUS-CDSに関して日本が世界と同じ土俵で熱い議論を交わせる日を期待したい。
次にEUS-GBDについて述べてみたい。EUS-GBDは,世界初の論文はLAMS以外のステントを用いた米国のBaronらや韓国のLeeらによるものであった。本邦では筆者らreviewのなかで初めて報告している(Itoi T et al:JHBPS 2011)。EUS-GBDにおけるエポックメイキングは筆者が世界で初めて報告したLAMSによるEUS-GBDであった(Itoi T et al:GIE 2012)。しかし,その後は前述したように本邦では保険未承認デバイスであったことと臨床研究法により,EUS-GBDに最も適している本ステントが使用できず,香港,欧州を中心とした諸外国(米国は当時未承認)によりLAMSによるEUS-GBD研究が相次いだ。筆者らはこうした遅れを取り戻すべく,日本でもEUS-CDS同様,EUS-GBDへのLAMSの保険適用拡大へ現在尽力しているところである。一方,日本同様に保険承認されなかった米国では,2023年に急性胆囊炎に対してHot AXIOSTMがFDAで承認された。すでに前向き多施設治験も終了しているが,その結果現在問題となっているのがその適応である。当初ICU管理となるような重症急性胆囊炎患者も,LAMSにより状況が改善し,non-surgical candidateとしてHotAXIOSTMが留置された症例がsurgical candidateとなり,最終的に腹腔鏡下胆囊的手術が普通に行われてしまうという症例が相次いだ。一見良いことのように思えたのだが,問題は留置されたLAMSが腹腔鏡下胆囊的手術を困難にしてしまう事例が発生した。そのなかには最終的に腹腔鏡下胆囊的手術ではなく膵頭十二指腸切除をせざるをえなかったというover-surgeryが大問題となった。そこで現在では,米国ではnon-surgicalcandidateを絶対手術不適応症例never-surgeryと通常のnon-surgical candidateに分け,never-surgery症例のみをHot AXIOSTMによるEUS-GBDの真の適応とすべきであるという議論もなされている。日本の慎重で器用な外科医は丁寧な手術により,腹腔鏡下胆囊的手術のみで済むと容易に想像できるが,こうした議論にも日本がいち早く参加できることを期待したい。
東京医科大学消化器内科 糸井隆夫
目次
序説……糸井隆夫
【総論】
EUS-BDの適応と選択……安田一朗ほか
EUS-BDに用いるデバイスの選択……竹中 完ほか
【各論】
Ⅰ.EUS-HGS/HJS
EUS-HGS/HJSの手技とコツ(MSを中心に)【動画付き】……木暮宏史ほか
EUS-HGS/HJSの手技とコツ(PSを中心に)【動画付き】……井上匡央ほか
EUS-HGS/HJSのトラブルシューティング【動画付き】……潟沼朗生ほか
Ⅱ.EUS-CDS
EUS-CDSの手技とコツ【動画付き】……牧 匠ほか
EUS-CDSのトラブルシューティング【動画付き】……小堺史郷ほか
Ⅲ.EUS-AS
EUS-ASの手技とコツ(遠位胆管狭窄を中心に)【動画付き】……鎌田英紀ほか
EUS-ASの手技とコツ(肝門部胆管狭窄を中心に)【動画付き】……孝田博輝ほか
EUS-ASのトラブルシューティング【動画付き】……小倉 健ほか
Ⅳ.EUS-RV
私のEUS-RVの手技とコツ(HGSルートを中心に)【動画付き】……藤田 曜ほか
私のEUS-RVの手技のコツ(CBDルートを中心に)【動画付き】……岩下拓司ほか
EUS-RVのトラブルシューティング【動画付き】……中井陽介ほか
Ⅴ.EUS-BDルートによる胆管結石除去術
EUS-BDルートによる胆管結石除去術の手技とコツ(乳頭部,吻合部からの結石除去を中心に)【動画付き】……塩見英之ほか
EUS-BDルートによる胆管結石除去術の手技とコツ(HGS瘻孔部からの結石除去を中心に)【動画付き】……藤澤聡郎ほか
EUS-BDルートによる胆管結石除去術のトラブルシューティング【動画付き】……向井俊太郎ほか
Ⅵ.EUS-GBD
私のEUS-GBDの手技とコツ(MSを中心に)【動画付き】……糸永昌弘ほか
私のEUS-GBDの手技とコツ(PSを中心に)【動画付き】……長谷川 翔ほか
EUS-GBDのトラブルシューティング【動画付き】……松原三郎ほか
《Note》外科医からみたEUS-GBDの適応と問題点……長尾厚樹ほか
連載
内視鏡ビッグデータとICTを活用する
[第12回(最終回)]下部内視鏡AIの現状……森 悠一ほか
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書籍情報
- ISBN:9784885636967
- ページ数:128頁
- 書籍発行日:2025年2月
- 電子版発売日:2025年4月18日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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