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実験医学増刊 Vol.43 No.7 生体内外をつなぐ動的な臓器 皮膚 健康と疾患のサイエンス

  • ページ数 : 214頁
  • 書籍発行日 : 2025年4月
  • 電子版発売日 : 2025年5月8日
¥6,160(税込)
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商品情報

内容

“人体最大の臓器”皮膚の健康維持と疾患治療へ向けた研究最前線
身体の表面を覆ってバリア・免疫機能を担い,人体最大の臓器といわれることもある私たちの皮膚ですが,近年では治療薬の相次ぐ登場に加え,アンチエイジングや美容といった観点からも改めて注目されています.本書では皮膚科学の総集編として,いま知っておくべき基礎研究の最前線をご紹介します.

序文


筆者は,皮膚科に入局してから約30年経ちますが,これまで皮膚を対象とした研究や皮膚科医としての臨床に従事してきて一度も「飽きた」と感じたことはありません.いつも新たな疑問が生じ,また皮膚という臓器のふしぎに魅了され続けています.

皮膚は,われわれの身体を外界から保護する重要なバリア機能を担うだけでなく,免疫,感覚,代謝といった多彩な機能を備えた生体における最大の臓器です.皮膚は,単なる外壁ではなく,免疫系や代謝ネットワークの中心として,生体内外の相互作用を調整する非常にダイナミックなシステムとして機能しています.さらに皮膚は,外界とダイレクトに接していることから,肉眼での観察も容易で,また,皮膚の組織サンプルの採取が他臓器に比べて容易であり,さらに多光子励起顕微鏡などの先端技術を導入しやすいという臓器の特異性があります.それ故,近年の技術革新により,皮膚の研究は目覚ましい進歩を遂げており,分子レベルでの皮膚の構造と機能の解明,疾患メカニズムの探求,新たな治療法の開発に至るまで,多方面での成果が蓄積されています.その一方で,未解明の課題も依然として多く,皮膚の健康と疾患の科学をさらに深化させる必要性がこれまで以上に高まっています.

本増刊号『生体内外をつなぐ動的な臓器 皮膚 健康・疾患のサイエンス』は,こうした背景を踏まえ,現代の皮膚科学が抱える課題に挑む最前線の研究を紹介し,基礎から臨床までをつなぐ知見を幅広く共有することを目的としています.各章では,皮膚の発生・構造から疾患メカニズム,さらには新規治療法の開発に至るまで,多岐にわたるテーマを取り上げ,各項では,第一線で活躍する研究者や臨床医が,それぞれの専門分野における最新の知見を詳述しており,読者の皆様にとって新たな視点や洞察を提供する内容となっています.

特に,本増刊号では学際的な観点に注力しています.皮膚科学は,免疫学,分子生物学,遺伝学,さらにはデジタル技術やAIといった最新技術とも密接にかかわっています.これらの分野との連携が新たな発見や治療の突破口となる可能性は非常に高いと考えられます.

例えば,シングルセル解析や空間トランスクリプトミクス,さらには三次元培養モデルやオルガノイドの利用は,皮膚バリア機能や微生物叢,免疫細胞の動態に新たな視点をもたらしました.その結果の一例として,IL-31を標的とした治療薬やJAK阻害外用剤などの新規薬剤が国内で開発され,基礎研究から臨床応用への道程は一気に短縮されています.従来の治療法では十分に対処できなかった皮膚疾患に対する革新的な新薬の開発が望まれています.

最後になりましたが,本増刊号の編集にあたり,多くの執筆者の方々に多大なるご協力を賜りましたことに心より感謝申し上げます.実のところ,本増刊号の構成は,筆者自身が「個人的に興味がある領域であり,かつその領域のこれまでと今後に関するご意見をぜひ伺いたい」と感じる先生方に執筆を依頼しております.本誌を通じて,皮膚科学が他分野と連携しながら進化していく未来像を描き出し,読者の皆様が皮膚の科学の奥深さをさらに探求し,その発展に寄与されることを心より願っております.


2025年3月

椛島健治

目次

序【椛島健治】

概論 皮膚科学の深化と拡張 ―多層的視点からの探究【椛島健治】

第1章 皮膚の恒常性維持と破綻

1.ヒトの皮膚の進化【高橋健造】

2.皮膚免疫の新展開【本田哲也】

3.ライブイメージングによる皮膚バリア恒常性維持機構の理解【福田桂太郎,天谷雅行】

4.皮膚細菌叢が皮膚疾患に与えるインパクト【玉井昌和,松岡悠美】

5.メラノソームの形成・輸送のしくみとその破綻による遺伝性疾患【福田光則】

6.皮膚の伸縮性を生み出すしくみ【中邨智之】

7.セラミドによる皮膚透過性バリア形成【木原章雄】

8.温度感受性TRP チャネルを介した皮膚温度感覚【富永真琴,岩田 萌】

9.皮膚における一次求心性かゆみ神経【津田 誠】

10.皮膚における力学的刺激の役割と創傷治癒に与える影響【小川 令】

第2章 皮膚疾患とそのメカニズム

1.アトピー性皮膚炎:2 型炎症を中心とした病態理解と最新治療戦略【中島沙恵子】

2.皮膚resident memory T 細胞から考える乾癬の病態【渡邉 玲】

3.全身性硬化症(強皮症)【桑名正隆】

4.皮膚から見えるクローン進化 ―正常細胞から皮膚がんへのはるかな旅【石田雄大】

5.重症薬疹における細胞死のメカニズム ―新規治療薬の開発をめざして【長谷川瑛人,阿部理一郎】

6.自己炎症症候群のメカニズム【松田智子,植木瑶子,神戸直智】

第3章 皮膚幹細胞と再生・老化

1.表皮幹細胞ダイナミクスから紐解く皮膚再生と老化【佐田亜衣子】

2.皮膚老化と血管【一條 遼,豊島文子】

3.皮膚老化とケラチノサイト【長谷川達也,中溝 聡,椛島健治】

4.皮膚再生のための技術開発【難波大輔,上田敬博】

5.皮膚付属器官の多様性を支えるパターン形成【待田大輝,藤原裕展】

第4章 大規模解析・テクノロジー ―病態解明から治療・診断まで

1.遺伝解析が明らかにするアトピー性皮膚炎の病態【寺尾知可史】

2.多様な疾患病態を解明し精密医療を実現するためのデータ駆動型医学研究 ―アトピー性皮膚炎を対象とした研究事例と臨床マルチモーダルデータ管理と統合のベストプラクティス【栁田のぞみ,川崎 洋】

3.皮膚の二光子イメージング【江川形平】

4.かたちの数理皮膚医学 ―皮疹の形状から生体内を推定しよう【李 聖林】

5.皮膚の体細胞ゲノム・エピゲノム異常モザイクと疾患【久保亮治,齋藤苑子】

6.日本皮膚科学会がつくるAI 開発の礎 ―大規模画像データベースの今【志藤光介,藤澤康弘,藤本 学】

7.栄養障害型表皮水疱症に対する新規治療法開発【玉井克人】

8.皮膚領域の創薬動向【大塚篤司】

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書籍情報

  • ISBN:9784758104265
  • ページ数:214頁
  • 書籍発行日:2025年4月
  • 電子版発売日:2025年5月8日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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