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首下がり症候群の診療マニュアルー病態・診断・治療まで

  • ページ数 : 264頁
  • 書籍発行日 : 2025年4月
  • 電子版発売日 : 2025年5月16日
¥8,800(税込)
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商品情報

内容

治療経験が豊富なエキスパートによる「首下がり症候群」の教科書

 首下がり症候群は、過去においてまとまった症例数の報告が少なく、国内外において、その病態や治療戦略などが確立していないのが現状である。
 今回、本書では、高齢社会や生活習慣の変化で増え続ける、首下がり症候群に対する日常診療に役立つよう、首下がり症候群の治療経験が豊富なエキスパートの医師と研究者の執筆により、現時点での国内外の最新治療・最新知見を書籍としてまとめた。病態・診断・治療の全体像を網羅的に示しており、首下がり症候群の診療に携わる脊椎脊髄外科医、整形外科医、脳神経外科医、脳神経内科医を含むすべての内科医、リハビリテーションスタッフ、看護師、診療放射線技師などの医療従事者が標準的な知識と技術を習得できるバイブルである。

序文

巻頭言

首下がり症候群の診療マニュアルの刊行にあたり

2007年,医師として初めて首下がり症候群の患者を診察しました.あれから約20年,日本はかつてない速度で超高齢社会へと突入し,新たな医療ニーズが次々に生まれています.その中でも首下がり症候群は,長らく見過ごされがちだった疾患ですが,この10年で患者数は増加の一途をたどっています.

本疾患は単なる加齢現象ではなく,多くのケースで神経学的または骨格的異常を背景にもちます.しかし,実臨床においては診断・治療の体系がいまだ確立されておらず,専門的な対応が求められています.世界的にみても,この疾患の概念は十分に整理されておらず,症例報告こそあるものの,確立された診断基準や治療法は存在しません.

しかし,日本の現状は異なります.世界に先駆けて超高齢社会へと突入したわが国では,首下がり症候群の患者数が増加し,それに伴い多くの臨床経験と貴重な症例データが蓄積されつつあります.この疾患に対する診療の課題は,診断と治療の両面にわたります.患者の生活の質(QOL)を向上させるためには,早期診断と適切な治療が不可欠です.しかし,明確な診療ガイドラインが整備されていないため,多くの医師が対応に苦慮しているのが現状です.こうした状況に対し,私たち脊椎外科医や内科医,理学療法士を中心として医療従事者の果たすべき役割はきわめて大きいと考えます.

このような背景のもと,2020年に旧首下がり研究会が最小侵襲脊椎治療学会(MIST学会)の分科会として設立され,2022年には第1回首下がり研究会が開催されました.そして,本疾患の体系的な理解を深めるため,本書の刊行が企画されました.この場を借りて,MIST 学会の創設者および理事の先生方に深く感謝申し上げます.

今回,日本初の専門書として刊行される本書『首下がり症候群の診療マニュアル』は,診断から治療までのあらゆる側面を網羅し,第一線で活躍する専門家による臨床経験と最新の知見を結集した一冊です.本書が,日本の医療の質を向上させる指針となり,医療従事者がより適切な診療を行うための羅針盤となることを願っています.そして何よりも,この知識と経験が,患者一人ひとりの人生をより良い方向へ導く一助となることを,心より願っています.


令和7年4月

New Spine クリニック東京
石井 賢

目次

第1章 疾患概要

1.首下がり症候群の歴史的背景・疫学・分類・・・船尾陽生・工藤理史

  歴史的背景・疫学

  分類

  おわりに

2.首下がり症候群の病態と症候・・・石井 賢・星野雅洋

  首下がり症候群(DHS)の原因

  DHSの臨床症状

  DHSの経時的姿勢異常

  まとめ

第2章 診察と検査

1.診察に対する基本的な考え方・・・工藤理史・石井 賢

  入室時の患者観察,視診

  問診

2.臨床所見

 理学所見と評価・・・石井 賢・浦田龍之介・佐藤公治

  視診と触診

  頸椎可動域

  神経所見

  既存疾患の確認

  患者報告型アウトカム(patient‒reported outcome:PRO)の重要性

 身体測定(身体的特徴,体組成,サルコペニアとの関連)・・・浦田龍之介・井川達也・

石井 賢

  首下がり症候群(DHS)患者の体組成

  DHS患者の運動機能

  DHS診療における身体測定

 歩行分析による動的アライメント評価・・・國府田正雄

  三次元歩行解析の首下がり症候群(DHS)患者への応用

  DHS患者における三次元歩行解析例

  結論

 三次元動作解析・・・浦田龍之介・井川達也

  三次元動作解析を用いた首下がり症候群(DHS)患者の歩行の特徴

 DHSテスト(dropped head syndrome test)・・・佐野裕基・遠藤健司

  DHSテストについて

  DHSテストの臨床的活用方法

3.画像所見

 X線・・・水谷 潤・浦田龍之介・石井 腎

  各Ⅹ線学的パラメータの評価法とその解釈

  動態撮影

  まとめ

 CT・・・工藤理史

  首下がり症候群(DHS)と頸椎変性

  DHSの CT所見とその有用性

 MRI・・・宮本裕史

  単純MRIにおける軟部組織の特徴的所見

  造影 MRI における軟部組織の特徴的所見

  MRI 水平断における頸椎周囲筋面積の評価

 超音波検査・・・遠藤健司・鈴木 遼

  超音波検査(エコー)に必要な頸部伸筋群の解剖

  エコーによる項靱帯の観察

  頭板状筋の筋緊張の変化〔健常者および首下がり(DHS)患者における比較〕

  まとめ:DHSの超音波像の特徴

 嚥下機能評価・・・早川周良

  術前後に行う嚥下機能評価

  症例提示

  まとめ

 筋電図所見・・・関口兼司

  首下がり症候群(DHS)の鑑別

  筋電図所見:誘発筋電図・表面筋電図・針筋電図

4.病理所見・・・遠藤健司

  頸部伸筋群の解剖

  首下がり症候群(DHS)11 例における頸部伸筋群の病理像の検討

  病期と病理像

  DHSの病理像の特徴のまとめ

第3章 治療

1.治療選択の基本的な考え方・・・石井 賢・齋藤貴徳

  海外における治療アルゴリズム

  推奨される治療アルゴリズム

  装具療法とリハビリテーションの効果

  手術療法

  おわりに

2.保存療法

 薬物療法・・・船尾陽生

  原疾患に応じた薬物療法

  首下がり症候群(DHS)の薬物療法のトピック

 リハビリテーション(SHAiRプログラム)・・・浦田龍之介・井川達也・石井 賢

  首下がり症候群(DHS)に対するリハビリテーションのエビデンス

  DHS 患者に対するSHAiR プログラム

  SHAiR プログラムの治療効果

  二次性DHSに対するSHAiRプログラムの治療例

 リハビリテーションと生活指導・・・佐野裕基・遠藤健司

  頸部伸展能力から考えるリハビリテーション(リハ)内容

  全脊柱矢状面X線評価から考えるリハ内容

  生活指導のポイント

  まとめ

 装具療法・・・浦田龍之介・藏本哲也

  保存療法における装具療法の役割

  装具の種類と選択

  頸椎装具装用患者に対する運動・ADL指導

 HAL®ロボットリハビリテーションの効果・・・國府田正雄

  装着型ロボットスーツHALⓇとは

  首下がり症候群(DHS)に対するHALⓇを用いた歩行ロボットリハビリテーション

  結論

3.手術

 手術適応・・・日方智宏

  治療総論

  手術適応について

  まとめ

 前後合併手術・・・宮本裕史

  術式の決定のためのアルゴリズム

  症例提示

 頸(胸)椎前後方固定術・・・工藤理史

  症例提示

  前後合併矯正固定術の適応

 頸椎前後方固定術・・・船尾陽生・石井 賢

  術前評価および準備

  手術計画

  前方固定術

  後方固定術

  術後管理

  症例提示

 頸椎前方手術・・・小沼博明・吉井俊貴

  頸椎前方手術の適応と意義

  術前準備

  手術

  術後管理

 項靱帯再建・棘突起間制動術・・・遠藤健司

  項靱帯再建・棘突起間制動術とは

  症例提示

  項靱帯再建・棘突起間制動術に関する治療戦略

 胸腰椎固定術・・・工藤理史

  症例提示

  首下がり症候群に対する胸腰椎矯正手術の注意点

 後療法〔装具療法,術後リハビリテーション (離床~退院),ADL指導など〕・・・磯貝

宜広

  術後早期の後療法(術当日~術後2週間以内)

  合併症に対しての後療法

  まとめ

 手術成績・・・宮本裕史

  Cavagnaro らによるレビュー

  SVA に基づく手術成績

  SVAとPI‒LLに基づく成績

  全脊椎における代償・非代償の評価およびT1 slope に基づく成績

  代表症例

 手術の合併症―嚥下障害・・・宮本裕史

  術後嚥下障害の発生機序・危険因子についてのこれまでの知見

  症例紹介

  自験例における術後嚥下障害の危険因子の検討

  最後に

第4章 疾患各論

1.特発性首下がり症候群

 特発性首下がり症候群・・・磯貝宜広・石井 賢

  疾患概念

  臨床症状

  病態・X線学的特徴

  治療

  おわりに

2.症候性(二次性)首下がり症候群

 脳神経内科疾患による首下がり

  錐体外路系疾患―パーキンソン病を中心に・・・関 守信

   歴史

   頻度

   特徴

   病態機序

   治療

   おわりに

  運動ニューロン疾患―筋萎縮性側索硬化症(ALS)を中心に・・・北國圭一

   運動ニューロン疾患(MND)の概念

   ALSとそのほかのMND

   ALSの診断

   ALSの電気生理学的検査

   ALSによる首下がり症候群(DHS)

   ALSの治療

  神経筋接合部疾患―重症筋無力症を中心に・・・千葉隆司・畑中裕己

   神経筋接合部疾患による首下がり

   重症筋無力症(MG)による首下がり

   首下がり症候群(DHS)を呈したMGの自験例の検討

   症例提示

   DHSにおけるMGの診断

   ランバート・イートン症候群によるDHS

   おわりに

  筋疾患・・・逸見祥司

   首下がり症候群(DHS)の診断手順

   筋疾患によるDHSの自験例

   DHSをきたしうる筋疾患

   おわりに

 外傷による首下がり・・・山之内健人・石井 賢

   外傷性首下がり症候群(DHS)の臨床所見

   外傷性DHSのX線所見

   外傷性DHSの臨床的特徴のまとめ

   おわりに

 胸腰椎変形による首下がり・・・工藤理史

 頸椎手術後の後弯変形症例・・・水谷 潤

   症例提示

   術後後弯変形の危険因子

第5章 最新知見

1.有限要素解析・・・中平祐子・岩本正実・石井 賢

   人体有限要素(Finite Element:FE)モデル

   筋コントローラ

   筋ソリッドTHUMSの特徴

   筋ソリッドTHUMSを用いた衝突傷害予測

   筋ソリッドTHUMS の日常動作への応用

   脊椎変形症に関する応用

   人体有限要素モデルの今後

2.神経伝達物質との因果関係・・・船尾陽生・石井 賢

   パーキンソン病患者における姿勢制御の異常

   姿勢と歩行の制御に関与する神経機構

   首下がり症候群と神経伝達物質との関連

3.生活習慣と首下がり症候群発症の関連・・・加藤修三・磯貝宜広・石井 賢

   首下がり症候群(DHS)患者へのアンケート調査と結果

   DHS患者の生活習慣―アンケート調査結果からの考察

   まとめ


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書籍情報

  • ISBN:9784895908429
  • ページ数:264頁
  • 書籍発行日:2025年4月
  • 電子版発売日:2025年5月16日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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