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- 病院・医療機関のための 治療と仕事の両立支援の進め方
商品情報
内容
病気を抱えながら仕事を続けたいと希望する人のための環境づくりには医療機関と職場との連携が必要である。
本書では、病院で両立支援を始めようとしたときに、何から始めればよいか、何をすればよいのか、産業医科大学病院での実際をもとに解説。
また、両立支援コーディネーターが行う支援について網羅的・具体的にまとめ、多職種連携での支援事例も具体的に紹介。
病気を治療しながら仕事を続けたい人々を支援するための実践的な一冊。
序文
編集のことば
治療と仕事の両立支援に対する社会のニーズが高まっています。しかしながら、両立支援への取り組みは、病院・医療機関において十分に浸透しているとは言い難い状況です。
その理由としては、医療現場の多忙さに加え、両立支援には従来の医療の枠を超えた知識や視点が求められることが挙げられます。診療業務に追われる日常の中で、患者さんの就労環境や職場復帰に関する情報を収集し、支援を行うことは、多くの医療機関にとって新たな挑戦です。
当院は2018年1月に初代診療科長 立石 清一郎先生のもと、両立支援科を立ち上げました。今日まで試行錯誤を繰り返しながら、両立支援の体制を構築してきました。その取り組みが徐々に認知され、全国各地の病院から講演依頼をいただいたり、視察を受け入れたりする機会が増えてきました。しかし、それらの限られた時間の中では、両立支援の理念や個別対応のポイント、そして組織づくりについて十分に伝えきれないというもどかしさを感じることも少なくありませんでした。
そこで、これまでの経験や知見を一冊の本としてまとめることとしました。本書では、両立支援の理論的背景だけでなく、実際の支援の流れや多職種の関わり、使用する書類の様式など、実践的な内容を豊富に盛り込みました。
この本を手に取られた方が、両立支援を普及させる仲間となることを心から期待しています。病院・医療機関それぞれの特色や地域性を活かした両立支援の形があってよいと考えています。本書をきっかけに、皆さまの施設でも両立支援の取り組みが始まり、やがてその輪が地域の中で広がっていくことを願っています。
本書の発刊に際し、多くの方々のご支援とご協力を賜りました。執筆に協力してくれた両立支援チームのメンバー、貴重な体験を共有してくださった患者さん、そして編集の労を取ってくださった出版社の方々にお礼を申し上げます。また、本書を手に取ってくださった読者の皆さまにも、心からの感謝をお伝えいたします。
2025年4月
産業医科大学 医学部 両立支援科学 准教授/
産業医科大学病院 両立支援科長
永田昌子
刊行によせて
●はじめに
本書は、産業医科大学病院における両立支援の実践をもとに、働きながら治療を続ける方々を支援するための手引きとしてまとめられています。私自身、かつて産業医科大学病院両立支援科の診療科長として、病気を抱える労働者の支援に取り組んできました。はじめは個人で基盤を作成し、チームとしての診療体制を整えるため、初期メンバーとともに診療のひな型を検討しながら、次第に形を成していきました。私が実践してきた経験は、現在のメンバーへと引き継がれ、さらなる発展を遂げています。そして、このたび体系化・形式知化され、本書として出版されるに至りました。本書では「産業医大方式」の両立支援の考え方や実践的な手法について紹介します。この取り組みが、産業医科大学病院のみならず、全国の医療機関へと広がり、わが国の両立支援が一層推進されることを期待しております。
●産業医大方式の両立支援とは
産業医科大学病院における両立支援の特徴は、産業医の育成を目的とした大学であることを活かし、産業医学的視座を基盤に、医療・職場・社会資源が連携し、患者本人の意思を尊重しながら支援を行う「産業医大方式」を診療に取り入れていることです。この診療と並行し、厚生労働科学研究をはじめとする多くの研究を積み重ね、広く一般化・均きん霑てん化かできることを目指してきました。その知見を広く共有し、全国の医療機関、企業、支援者に活用いただくことが、本書の目的です。また、実際に使用している書類の様式もダウンロード可能とし、実務に役立てていただけるよう配慮しております。
産業医大方式の両立支援は、単に病状を評価するだけではなく、以下の3つの視点を大切にしています。
①患者本人の意思を尊重する
病気を抱えながら働くかどうかは、患者本人の人生設計に関わる重要な選択です。本人の希望を尊重しながら、最適な支援策を提案します。
②職場との調整を重視する
医療の視点だけでなく、企業の労務管理や安全配慮義務も考慮し、職場と協力しながら両立を支援します。
③多職種・他業種連携を行う
一人の専門家が持つ情報や知見には限りがありますが、多職種・他業種が連携することで、より多角的な視点からのアプローチが可能となり、支援の質を向上させることができます。責任・役割・権限の違いを踏まえながら知恵を出し合い、支援の輪を広げることを目指します。
●本書の活用方法
本書を手に取ってくださった皆さまは、ご自身の医療機関において両立支援を推進したいと考えていることと思います。本書を通読することで体系的な理解を得ることができますが、ご自身の業務に関連する部分から読み進めていただくことも可能です。まずは手を付けやすいところから実践し、少しずつ取り組みを進めていくことをお勧めします。
本書が、皆さまの医療機関における両立支援の確かな一歩を踏み出すきっかけとなることを願っております。この取り組みにご関心を寄せ、本書を手に取っていただいたことに心より感謝申し上げます。
2025年4月
産業医科大学 産業生態科学研究所 災害産業保健センター 教授
立石 清一郎
目次
・編者のことば
・刊行によせて
・編著者・著者一覧
・資料ダウンロード方法
【第1章 はじめに】
1 治療と仕事の両立支援とは
2 治療と仕事の両立支援が求められる背景
3 働くことが患者本人にもたらす効果
4 治療と仕事の両立支援に関連する施策
5 「働けること」とは ─医療と職場の視点の違い─
6 職場で求められる安全配慮義務
7 合理的配慮
8 治療と仕事の両立に関する困りごと
[Column]患者さんの職場が教えてくれたこと:.同一労働同一賃金の必要性
【第2章 個別支援の実際:困りごとの収集と評価】
1 支援の流れ
2 両立支援を希望する患者さんのピックアップ
3 情報収集と困りごとの整理
4 評価と対応
両立支援Q&A:病院で仕事に関する相談をすることをためらう患者さんがいます。どのように対応していますか?
[Column]高額療養費制度と傷病手当制度
[Column]短時間勤務制度
【第3章 意見書の作成】
1 意見書には何を記載するのか
2 意見書の書き方の実際
[Column]意見書の書いてもらい方
[Column]患者さんに仕事のことを聞きづらいときのヒント
【第4章 両立支援者になるには】
1 両立支援者のコンピテンシー
2 両立支援コーディネーターとは
[Column]両立支援者のコンピテンシー獲得を目標とした.研修会の開催
[Column]職場復帰する患者さんを受け入れる職場の戸惑い:.産業医の視点から
【第5章 両立支援組織の立ち上げ】
1 産業医科大学病院での立ち上げ
2 医療機関で両立支援を始める場合の4つのポイント
3 立ち上げから活動の定着まで
4 医療機関の両立支援部門を運営するためのアクションチェックリスト
両立支援Q&A:緊急入院した患者さんは、入院支援室を訪れる機会がないまま入院します。どのようにピックアップしていますか?
両立支援Q&A:両立支援コーディネーターにはさまざまな役割があるとされていますが、実際には医療機関ですべての支援を行っているのでしょうか?
両立支援Q&A:職場からの直接の問い合わせには対応していますか?
【第6章 各職種からの支援】
1 医療ソーシャルワーカー
2 看護師
3 化学療法担当看護師
4 薬剤師
5 管理栄養士
6 作業療法士
7 理学療法士
8 循環器内科医
9 産婦人科医
10 精神保健福祉士
11 公認心理師
12 キャリアコンサルタント
【第7章 両立支援事例の紹介】
1 がん症例における多職種連携
2 脳卒中症例における医療機関と職場との連携
[Column]院内で「つなぐ」
[Column]両立支援の実際:社会保険労務士との連携
[Column]患者さんの不安に寄り添いながら、「仕事」という観点にも意識を向けるよう促す
【巻末資料】産業医科大学病院の様式 (ダウンロード)
資料1 入院予定患者への配布資料:治療と就労の両立支援について
資料2 両立支援問診票
資料3 勤務情報提供書作成のお願い
資料4 勤務情報提供書
資料5 意見書の例
資料6 意見書に対する返信のお願い
資料7 就業配慮報告書(職場→主治医)
資料8 継続した両立支援リーフレット(当事者の方向け)
・両立支援に役立つウェブサイト
・INDEX
・両立支援に関わるメンバー紹介
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書籍情報
- ISBN:9784840488143
- ページ数:168頁
- 書籍発行日:2025年5月
- 電子版発売日:2025年5月22日
- 判:A4判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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