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- レジデントノート増刊 Vol.27 No.5 改訂3版 糖尿病薬・インスリン治療 基本と使い分け超Update
商品情報
内容
糖尿病治療薬を学ぶならまずはコレ!『多種類の薬剤がよく整理されわかりやすい』と初版から大好評のベストセラーが待望の改訂!各薬剤の作用機序・適応・選択や量の調整など基本から具体的な使い方まで,丁寧に解説.インスリンの種類や導入,CGMやCSII,SAPの治療も含め,糖尿病治療の全体像が掴めます.さらに妊婦・高齢者,救急・病棟でよく出会う症例対応など,場面別の使い方も充実の記載.今回の改訂では適応拡大や新たな製剤の情報を追加してアップデート.
序文
改訂3版の序
今から8年前の2017年10月,レジデントノート増刊「糖尿病薬・インスリン治療 知りたい、基本と使い分け(Vol.19 No.11)」が発刊されました.今回は2回目の改訂で5年ぶりとなります.このような総説本が2回も改訂をうけるのは珍しいと編集者の私自身が驚いているのですが,その理由はこの増刊号に世のレジデントからのニーズがあるからに他ならないと思いますし,そういうニーズを満たすための項立てをして,それに応えてくれる筆者を熟慮のうえに決定し,そしてそんなスペシャリストの先生に筆を奮っていただいたお陰と確信しております.皆,糖尿病の患者さんと真正面から向き合ってきた先生方です.
ということですのでこの3版は糖尿病の薬物療法について,この5年間における進歩あるいは変化した点を漏らさず取り込んでいます.治療の考え方はそれまで当然と思われていたことが意外に一つのスタディ結果によってひっくり返ることがあります.例えば糖尿病を合併する高血圧症にはこの20年以上ずっとACE阻害薬やARBが第一選択薬だとガイドラインで推奨されていました.しかし,大規模な後ろ向き研究の結果はカルシウム拮抗薬などの他の降圧薬とくらべ,何ら心腎血管イベント抑制の点で差がなかった,ただしアルブミン尿があればそれを減らしてくれるということに限定されたものでした.また,腎硬化症のある患者の降圧療法にはむしろカルシウム拮抗薬を推奨するという専門家もいる状況です.要は血圧を下げれば降圧薬は何でもよいという結論となったのです.前向き無作為割付けの介入試験が最もエビデンスレベルが高いといわれてきましたが,必ずしもそうとは限らないのがこの例なのです.試験に組込まれた患者背景を確認しながら結果を観ることが大事なのです.
それに関連してこの5年の間に注目のされるようになったのが「慢性腎臓病」CKDです.このCKDの病名で適応がとれた治療薬がいくつか発売されたせいもあって,この病名は一気にポピュラーとなり,治療対象としてかなり注目を集めています.患者さんに病気について関心をもってもらう,という疾患啓発の意味ではこの病名の普及は大成功かもしれません.しかし,飽くまで疾患啓発であります.これをレジデントの先生方が勘違いしてもらっては困ります.慢性腎臓病CKDは最終診断名ではありません.
糖尿病性腎症,腎硬化症,慢性腎炎などさまざまな病態の腎臓疾患の「寄せ集め」です.それなのに当院にローテートしてくるレジデントの症例プレゼンテーションの病名リストに,① 2型糖尿病 ② 本態性高血圧 ③ 慢性腎臓病というのをよく見かけます.
確かにクレアチニンが1.3mg/dLありました.「尿蛋白はどうなっていますか?」と聞いてもあわてて検尿結果を電子カルテに探しに行く,そして,「あっ,糖尿病関連腎臓病DKDです」といわれます.糖尿病のある患者のCKDなのだからそれは当たり前,私が聞きたいのは糖尿病性腎症なのか,腎硬化症なのかといったことです.慢性腎臓病CKDで診断が止まってしまってはこれからどのように介入するのかがはっきりしません.突っ込んだ病態の解明,診断名まで至らないといけないのです.本増刊号のコラムにも書きましたが長年糖尿病患者を診て,レジデントとカンファレンスをしてきてこんなプレゼンテーションを聞くようになったのはもちろんこの病名が使われるようになってからです.そういう点では大きな問題をはらんだ病名と言わざるを得ません.この場を借りて問題提起したいと思います.当然,適応を取った薬についてもCKDなら何でもよいわけでないことも付け加えます.
ついついこの件で私は熱くなりがちと何人かの先生方に指摘されましたが,適切に診断し,治療をしていくこと,それは,最後は患者さんのためだからです.実は2型糖尿病というのもかなり「寄せ集め」的な病名であり,患者さん一人ひとりの顔が違うのと同じくらい病態の異なる疾患です.この疾患をどのように薬物治療していくのかというのは大変奥が深いと思います.レジデントの先生方にもぜひこの点を理解いただき,この増刊号をお読みいただけますと幸いです.
2025年4月
東邦大学医学部内科学講座 糖尿病・代謝・内分泌学分野
弘世貴久
目次
改訂3版の序【弘世貴久】
初版の序【弘世貴久】
Color Atlas
執筆者一覧
第1章 糖尿病薬の基本と使い分け
1. ついにできた! 日本人2型糖尿病患者に向けた糖尿病薬物療法のアルゴリズム.元祖ファーストライン,肥満,非肥満で最も分けにくいメトホルミンはどこへ行く?【坊内良太郎】
2. スルホニル尿素(SU)薬【西尾真一,駒津光久】
3. チアゾリジン薬【大森一生,八木稔人】
4. α-グルコシダーゼ阻害薬【青木一孝,寺内康夫】
5. グリニド薬【西村明洋】
6. DPP-4阻害薬【有村愛子,森野勝太郎】
7. ビグアナイド薬【住谷 哲】
8. SGLT2阻害薬【渕上彩子】
9. GLP-1受容体作動薬【岩田葉子】
10. イメグリミン【小田知靖,石垣 泰】
11. 糖尿病の経口配合剤をどのように活かすか【北澤 公】
第2章 インスリンの基本と使い方
1. インスリンにはどんな種類があるの?【竹内 淳】
2. インスリン導入のABC(外来)【紅林昌吾】
3. インスリン導入のABC(入院)【辻󠄀野大助,西村理明】
4. 基礎インスリン/GLP-1受容体作動薬配合剤の使い方【川口祐司】
5. インスリン注射が効かない患者,インスリンボールに注意 〜カレンダー式注射法の勧め【菊地由惠,杉村和彦】
6. QOLを意識したインスリン療法【増谷 剛】
7. CGMの進歩とBOTでの有効利用【半田朋子,尾上剛史,有馬 寛】
8. 進歩するSAP療法【池原佳世子】
9. インスリン療法導入後の退院に向けての他剤併用によるステップダウン【佐藤源記】
第3章 特殊な病態での薬の使い分け
1. 妊娠中の糖尿病薬・インスリン治療【比嘉眞理子,後藤彩紀】
2. 高齢者の糖尿病薬・インスリン【渡邉健太郎】
3. 服薬,注射アドヒアランスが上がりにくい患者への対処法のいろいろ【澤木秀明】
4. 慢性腎臓病,心不全,心血管疾患があるときどうする(適正使用の勧め)【馬場園哲也】
第4章 病棟・救急で困る,こんなときどうする?
1. スライディングスケールの落とし穴【西尾理恵,金澤昭雄】
2. シックデイの一般管理やそのときの内服薬継続,中止について【塩見亮人,三宅映己,古川慎哉】
3. 糖毒性が改善した後のインスリン量調節はどうすればよいですか? インスリン離脱が予想される,病歴の短い患者の入院~退院後の管理【黒住旭,岡田洋右】
4. 血糖が乱高下する1型糖尿病の治療はどうすればよいか?【渡邉大督,今川彰久】
5. 糖尿病治療中の患者が救急に運ばれてきたら!【橋本久仁彦】
6. 周術期,集中治療室での血糖管理のポイントが知りたいです【江木盛時】
7. ステロイド糖尿病の早期発見と治療について教えてください【野見山崇,柳瀬敏彦】
8. 輸液中や胃管管理中の患者の血糖管理のポイントが知りたいです【中西修平】
column
1. SGLT2阻害薬の糖尿病以外での適正な使用を考える【弘世貴久】
2. いよいよ使用可能となった週1回基礎インスリンをどう使うのか【弘世貴久】
3. 経口GLP-1受容体作動薬がオモシロイ【弘世貴久】
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書籍情報
- ISBN:9784758127356
- ページ数:287頁
- 書籍発行日:2025年5月
- 電子版発売日:2025年5月26日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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