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- 迷えるメンター・メンティーに捧げる!医学教育に活かすメンタリング
商品情報
内容
「メンタリング」できていますか? 先輩に指導を受けたら,もしくは後輩ができたら即メンター(指導者)・メンティー(指導を受ける側)の関係になるわけではありません.メンタリング(メンターシップ)は,個々人の目指すべき目標や,性格,背景などによってベストな方法が異なります.メンターとして,メンティーから望まれている役割はなんでしょうか(伝統・コネクター・コーチ・スポンサー).メンタリングの基礎を知らずして行き着く先は「ハイジャック犯」「占有者」「搾取者」「カントリークラブの仲間」「ボトルネック」「世界旅行者」です.一方で,“良いメンティー”になるにも条件があります.良いメンターを見つけ,良いメンティーになることこそ,あなたのキャリアの第一歩です.
序文
はじめに
皆様、本書を手に取っていただき誠にありがとうございますす。
本書執筆のきっかけとなったのは2023年に横浜で行われた第97回日本感染症学会総会・学術集会でした。「感染症専門医のこれからとキャリアパスを考える」という特別企画が行われたのですが、その企画の中で、私自身のメンターの一人である、新潟大学小児科教授の齋藤昭彦先生からのご依頼で、大変僭越ながら「小児感染症医としてのキャリアの積み上げ方」というタイトルの講演をさせていただきましたす。
この講演では、若手の先生方向けに、私自身がどのようなキャリアを積んできたか、海外留学で何を学んだか、臨床医が研究する意味とはなにか、などについてお話させていただいたのですが、その時の会場に中外医学社の編集者である桂さんがいらっしゃいました。講演が終わった後に会場でお声をかけていただき、小児科医のキャリアパスに関する本を執筆しないか、とお誘いいただきましたす。
私は感染症を専門とする一小児科医であり、私なんかが小児科医のキャリアパスについての本を出版するなんて分不相応であると最初はお断りしようかと考えました。しかしながらその時に頭に浮かんだのがメンタリングのことでしたす。
ちょうどこの時期に医学教育の世界で大変ご高名なミシガン大学内科教授のSanjay Saint先生のお話を聞く機会がありました(Saint先生は世界中の研修医に人気のセイントとフランシス(最新版ではセイントとチョプラ)の内科診療ガイドシリーズの著者としても有名な医師であり、大変ご高名な医学教育者です)す。
Saint先生は世界中で内科の診断学や医学教育などに関するティーチングを行っているのですが、日本にも定期的に訪問されており、私の所属している国立成育医療研究センターにも、コロナ前は毎年のように訪れていただいておりましたす。
2023年はコロナ禍明けで久しぶりに訪問いただき、その際にお伺いしたお話が「メンタリング」という医学教育手法についてのお話でした。メンタリングについてはこの後、本書で詳しく解説させていただきますが、この時に感じたことは、この概念は日本の医学教育の現場にもっと普及させるべきものだ、という強い気持ちでしたす。
メンタリングは、端的に言えば指導者が若手医師をどう教え、導くかという話なのですが、メンタリングがカバーする範囲は単なる知識や技術の伝達にとどまらず、キャリア形成も含まれています。このメンタリングに関する本を執筆することで、その概念を広めることに少しでも貢献できれば、小児科医のキャリアパスの向上にも何らかの貢献ができるのでは、と考えた次第ですす。
実はメンタリングまたはメンターシップに関してSaint先生とそのお仲間の先生方はThe Mentoring Guide: Helping Mentors and Mentees Succeed(2019年,Michigan Publishing Services)1)という素晴らしい本を書かれており、これは本邦でも徳田安春先生をはじめとする素晴らしい日本の先生方によって『医療者のための成功するメンタリングガイド』(2020年, 医学書院)2)というタイトルで翻訳本としても出版されています。しかしながらSaint先生から、こちらは米国の状況を元に書かれた本であり、日本の伝統、文化、制度などに必ずしもマッチしたものではないので、日本独自の視点も入れつつ本を書いてみたら? とご提案をいただきました。私自身、後輩医師の指導は自己流で四苦八苦しながら実施しているところでしたし、周りを見渡してみても若手医師にどのような指導を行えばよいのかということに関する、体系だった情報はあまりありませんでした。また、自身が若手医師といわれる年次であった時に、いわゆるメンターの先生方から自分が教えやすい存在だったかについても疑問がありました。指導する側も、指導される側も、どのようなことに気を付ければより効率的な指導ができるのか、指導を受けられるのかについてのガイドとなる本があればきっと多くの方々の助けになるのでは、と考えました。そこでまずSaint先生らとともにEffective mentoringin pediatrics3)というタイトルで日本小児科学会の英文誌であるPediatricsInternationalという雑誌にEditorialという形で記事を寄稿させていただきました。そして今回、その内容も踏まえつつ、より対象を広げ、発展させた形で、多くの方に医学教育におけるメンタリングについて知っていただくために本書を執筆させていただくことにしました。メンタリングもキャリアパスも画一的な正解があるわけではなく、個人個人それぞれの目指すべき目標や、性格、背景などによってベストな方法、キャリアは当然異なるものだと思います。しかしながらその基本的な部分、基礎の部分には知っておくと得をする知識や技術がありますす。
是非本書をお気軽に手に取っていただき、指導医の先生方には今後の後輩の指導お役立ていただければと思いますし、若手医師の皆様には効率的な指導を受けるための参考にしていただき、ご自身のよりよいキャリアにつなげていただければ幸いですす。
本書では、全体を通してメンタリングに関する内容を記載しつつ、ところどころに若手医師が研修を行っていくにあたって知っておくと得する知識をコラムとして記載してありますので、そちらも是非楽しんでいただければ幸いです。本書の執筆にあたり、私のメンターとして長年ご指導いただいている新潟大学小児科教授の齋藤昭彦先生、浜松医科大学小児科教授の宮入烈先生、メンターシップの基礎を教えていただいたミシガン大学内科教授のSanjay Saint先生、そしてこれまで私の指導を受けてくれたメンティーの皆様、普段から私を支えてくださっているすべて皆様に感謝申し上げます。
2025年5月
鍋谷 圭宏(千葉県がんセンター 副病院長:食道・胃腸外科/NST)
参考文献
1) Chopra V, Vaughn VM, Saint S. The Mentoring Guide. Helping Mentors & Mentees Succeed. Michigan Publishing. 2019.
2) 徳田安春, 監訳. 医療者のための成功するメンタリングガイド. 医学書院. 2020.
3) Shoji K, Nishiya K, Miyairi I, et al. Effective mentoring in pediatrics. Pediatr Int. 2024; 66: e15731. doi: 10.1111/ped.15731.
目次
はじめに
1 メンタリングとは
〔COLUMN(1)〕研修先の選び方
2 メンタリング・メンターシップに関連するこれまでの研究
1.メンタリングのエビデンス
2.メンタリングは対面でもオンラインでも効果がある
3.メンターシップは持続可能性が大切
・押さえておきたい文献・書籍・ウェブサイト
〔COLUMN(2)〕臨床医が研究をする意味はどこにあるのか
〔COLUMN(3)〕文献整理ソフトの活用法
3 医学教育や医療の現場にメンターシップを導入することで改善が期待できること
1.Win-Winなメンターシップの魅力
2.バーンアウトとメンタリング
〔COLUMN(4)〕専門分野、研究テーマの選び方
〔COLUMN(5)〕留学で得られること・失うことは何か?
4 メンターに知っておいて欲しいこと
1.メンターの型
・「4つの型」以外のメンター像
・まとめ
2.良いメンターの条件
・メンターがすべき4つの行動
3.メンティーを指導するときの工夫
4.メンターが避けるべきこと
5.マインドフルメンターシップ
〔COLUMN(6)〕Teaching is learning twice over(教えることは学ぶこと)
〔COLUMN(7)〕クリニカルピクチャーを書こう!
5 メンティーに知っておいて欲しいこと
1.よいメンティーの条件
2.適切なメンターの選び方
3.一人のメンターに過度に依存することのリスクと、メンタリングチームを作ることの重要性
〔COLUMN(8)〕Done is better than perfect
〔COLUMN(9)〕グラム染色をしよう
6 メンターシップと多様性・女性医師へのメンターシップ
1.一人ひとりにあった指導を考える:女性医師へのメンタリング
2.メンターとメンティーの性別の一致は必要?
〔COLUMN(10)〕EQUATOR networkの紹介
7 国立成育医療研究センターのメンターシッププログラム
〔COLUMN(11)〕 仕事を終わらせる順番
8 メンタリング・メンターシップの今後の課題
〔COLUMN(12)〕医師にとっての減らない貯金
おわりに
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書籍情報
- ISBN:9784498148666
- ページ数:124頁
- 書籍発行日:2025年6月
- 電子版発売日:2025年5月30日
- 判:A5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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