未来を拓く周産期の栄養

  • ページ数 : 296頁
  • 書籍発行日 : 2025年6月
  • 電子版発売日 : 2025年6月11日
¥3,960(税込)
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商品情報

内容

【プレコンセプションケアと妊婦支援に活かす】 痩せ体型への志向や偏った食生活などを背景に、20代女性の5人に1人が痩せとされる。慢性的な栄養不足は月経異常や貧血、妊孕性低下、代謝異常、メンタル疾患などさまざまな健康問題をはらみ、妊娠・出産を通してその影響は次世代にまで及ぶ。栄養と疾病発症のエビデンスが蓄積されてきた今、ヘルスリテラシーを高めるためのプレコンセプションケアや周産期医療の現場で活かせる知識を整理・解説する。

序文

周産期の国際学会でヨーロッパの医師から、「日本の産後のうつ病や自殺の多さは、やせ体型や貧血、微量元素などの栄養素不足が原因ではないか?」との質問があり、活発な討論に発展した。鉄や亜鉛、マグネシウム、カルシウムなどの微量元素や葉酸などの各種ビタミンなどは核酸やたんぱくなどの合成に必要な酵素反応に不可欠であり、その不足はさまざまな物質産生や細胞機能に影響し、多くの疾病発症に関与している。近年、これらの栄養素とメンタルヘルスとの関係が明らかになってきており、このような議論になったと思われる。また、糖やたんぱく、不飽和脂肪酸などの栄養素も細胞や臓器の形成や機能発現に重要であり、かつエネルギー源としても使われ、生命維持に必須である。

周産期の栄養の問題は、妊娠・分娩の異常、児の先天異常や低出生体重などの身体的影響だけでなく、最近では子どもの性格、行動、精神的発達や自閉スペクトラム症などとも関連することがわかってきている。生殖分野では、栄養素の受精・着床、妊娠維持、流産や不妊治療への影響なども指摘されている。生殖期や周産期の栄養は、女性、母親のみならず次世代の子どもたちにも多くの影響を及ぼすことをよく理解し、食生活に留意して健康な体を維持し生活することが大切である。このためには自分で考え自分で健康を維持する方法を選択し、健康な生活を送れるようヘルスリテラシーを高め実行することが大切である。

一方、日本の健康診断の結果から、女性(15 ~ 49 歳)の21.8%に貧血を認め、55.3%が診断されておらず、未治療のヘモグロビン値 6 ~ 7g/dLが44.8%も存在していることがわかっている。米国やヨーロッパの国々と若い女性の貧血の頻度を比較すると日本は先進国で最も高く、医療機関にかからず「貧血など病気ではない」と思っている人がいかに多いか、貧血や栄養に無頓着な女性がいかに多いかがわかる。

また日本では過去30年間、男児・女児とも出生時体重の減少が続いている。低出生体重児が成人になるとメタボリック症候群を発症しやすいというDevelopmental Origins of Health and Disease(DOHaD)の観点から、欧米の専門家たちから日本の動向は大いに注目されている。このまま手をこまねいているのではなく、何か対策を講じていかなければならないと痛切に感じ、本書を企画した。メディカ出版編集部の担当者が「ペリネイタルケア」誌の創刊号(1982年)の巻頭言に恩師である故 坂元正一教授(東京大学医学部産婦人科学教室)の描いた“ 愛の祈りをこめた母子像” を見つけてくれた。「ペリネイタルケア」誌の創刊は、私が坂元先生の下で産婦人科研修を開始して4年目のことであり、先生のご指導とご縁に感謝し、表紙絵として使わせていただくことにした。

生殖医療や周産期医療に従事する方々が必要な栄養の知識を持ち、プレコンセプションの時期から高いヘルスリテラシーを持つよう教育・指導できるように著明な研究者や臨床家に執筆をお願いした。臨床現場や教育現場でお役に立てることを願っている。

 


2025年4月

恩賜財団母子愛育会愛育研究所 所長
順天堂大学 医学部産婦人科学講座 名誉教授・客員教授
竹田 省

目次

【第1章 日本が危ない!】

・1 現代日本女性と栄養

・2 現代女性のやせ体型志向

・3 体型と代謝異常

・4 貧血は重大損失

・5 妊産婦死因の第1位は自殺

・6 次世代の危機 DOHaD理論が示す未来への警鐘

【第2章 栄養と生殖医療】

・1 プレコンセプションケア

・2 ヘルスリテラシー教育

・3 着床・妊娠維持と栄養

・4 不妊症・不育症を予防・治療する栄養や生活習慣

・5 女性アスリートと栄養 女性アスリートの三主徴の予防と治療

【第3章 栄養と周産期】

・1 産科異常と栄養

・2 栄養・薬剤と周産期メンタルヘルス

・3 栄養と免疫能・感染防御

・4 妊婦体型が出生体重に及ぼす影響

・5 栄養不足と胎児・新生児への影響

・6 乳幼児の栄養不足

・7 テクノロジーの活用による栄養管理

・8 栄養サポートにおける多職種の役割と連携

【第4章 妊娠期・授乳期における栄養サポートの実際】

・1 エネルギーと体重管理

・2 体型別 栄養指導 ①プレコンセプション

・3 体型別 栄養指導 ②妊娠期

・4 体型別 栄養指導 ③授乳期

・5 体型別 栄養指導 ④乳幼児期

・6 妊娠期における栄養素摂取 ①たんぱく質

・7 妊娠期における栄養素摂取 ②脂質

・8 妊娠期における栄養素摂取 ③炭水化物

・9 妊娠期における栄養素摂取 ④ビタミン

・10 妊娠期における栄養素摂取 ⑤ミネラル


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書籍情報

  • ISBN:9784840488051
  • ページ数:296頁
  • 書籍発行日:2025年6月
  • 電子版発売日:2025年6月11日
  • 判:A5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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