1からはじめる健診心電図判定 基本知識と考え方

  • ページ数 : 164頁
  • 書籍発行日 : 2025年5月
  • 電子版発売日 : 2025年6月20日
¥4,400(税込)
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内容

健診心電図の異常所見,どう見る,どう考える? 日々の健診判定で頼りになる・役立つ1冊!
自動解析の時代にこそ大切となる基本知識と考え方を,心電図検定1級健診医がていねいに解説.さらに,3つの判定区分を併記することで,多視点でのとらえ方・考え方を学ぶことができ,理解が進みます.心電図検定の学習にも役立ちます!

序文

序文

健康を維持することは多くの人にとって重要な課題であり、その意味でも健診を受けた後で、所見がないと判断された場合には安心感を与えられ、所見がある場合には適切な対処をすることが迫られます。多くの人が健診の結果に大きな関心を抱いており、年齢を重ねるにつれ、その傾向は強くなると思われます。著者は健診にかかわる医師として、多くの方々の身体診察や胸部X 線所見、心電図所見、血液検査所見の判定に従事してきましたが、どのように所見を返すのが妥当なのか、医学が日々進歩していくこともあいまって、いつも悩んでいます。健診の総合報告書の限られた書面のなかで、いかに適切な対応ができるのか、言い換えれば言葉を選んでいるとした方が正しいかもしれません。

異常として検出された所見に対するある程度マニュアル的な対応法はどの施設にも存在すると思います。しかし、職場や家庭環境などは個々に異なっており、同じ心電図所見であっても対応は個々に異なってもよいのではないかと思います。自覚症状や過去の心電図の所見歴、家族歴、合併する他疾患との相互の関連などを考慮すると、同じ心電図所見に一律の判定を下してはいけないことは明白です。心電図所見は読影も難しく、よい読影には熟練を要するものです。その結果をいかに返せばよいのか、日々自問自答しています。これまでの学会やガイドラインで定められた判定区分では、個々の所見に対して判定していましたが、心電図異常が多くなればなるほど、心血管予後に悪影響を与えることが明らかとなってきています。この影響もあり、健診での心電図判定区分も複合所見として判定する傾向もみられていますが、まだまだその検証が十分な状況とはいえません。今後の適切な判定のために、医療従事者と一般の方々、労働者と職場を取り囲む産業保健関連のスタッフなどが一体となって、これに取り組むことが必要になってくると思われます。

国際的な視点では、健診で心電図検査を取り入れている国は少ないことが知られており、日本は国際的には稀な国のようです。米国では一般の方々にスクリーニングでの心電図検査は推奨されていません。健診で検出される異常所見があり精査が必要な際には、健診受診者は休暇をとって(職場によっては有給休暇や休暇として扱われないところもあるようです)病院に赴くわけであり、個人や会社にとっても負担が強いられることになります。健診で検出された異常所見も精査をして異常がなければ、健診受診者にとっても会社にとっても健康経営を進めるうえでメリットがあると言えますが、見方を変えれば、無駄な精査をしなくても済んだのではないかという考え方もできます。精査のためには医療従事者の負担も増加しますし、精査のための医療費を日本全体で考えれば、莫大なコストを必要とするものであり、必要でない検査であれば、できる限り少なくした方が望ましいと思われます。一方で、日本のように健診に心電図検査を取り入れているが故に、その恩恵を受けている方々が一定数存在するのも確かです。これには致死的な不整脈や突然死をきたしうるQT 延長症候群、ブルガダ症候群、早期再分極症候群、J 波症候群などがあり、WPW 症候群や不整脈源性右室心筋症、拡張型心筋症や肥大型心筋症、二次性心筋症(サルコイドーシスやアミロイドーシス)などの疾患が健診の心電図所見から診断されたり、疑われたりして、循環器内科への受診への契機となり、予後が改善している人も少なくないものと推察されます。

著者自身も健診受診者であり、一般住民の視点で心電図異常の所見を読むことを想定した際、難しい所見が記載されていますが、いったい自分の身体は大丈夫なのか、循環器内科にかかって精査・治療を受けたほうがよいのか、実際のところ書面での記載だけではよくわからないことも多いのではないかと推察しています。健診判定者はみな、懇切丁寧に健診判定報告書に適切な道標を示しているとは思いますが、医療従事者と一般の方々の医療に対する基礎知識に違いがありますので、わかりやすい文面で伝えていく必要があると思います。健診で検出された心電図所見に関して、心電図を学ぶ人にわかりやすい道標があるのかと、心電図所見判定に関する書物を調べましたが、あまりないことが判明しました。インターネットで検索すれば、得られる情報も多いかとは思います。国内には心電図に関する多くの優れた書物が多数出版されていますが、その多くは心電図に精通した医療スタッフ向けのものであり、心電図所見の説明1 つをとっても初学者の方々にはかなり難しい内容と思われます。著者自身、医師の立場からしても、その記載内容の解釈がかなり難しいと感じる専門性の高い書物も多くみられますので、心電図をこれから学ぼうとする初学者の方々がこれらの心電図関連の書物を読むにはかなりハードルが高いものといえます。そうした背景の中で、初学者の方々の視点から健診で判定される心電図所見について、今後どのように対応したらよいか、という道標になるようにと思い、著者自身が本書を書いてみようという気持ちが高まりました。したがって、できる限りわかりやすく、これから医療従事者を目指す人にとっても、心電図所見をわかりやすく解説し、健診で検出された心電図異常所見が実際の病態とどのように関連しているのかを知っていただく内容を目指しました。適切な病院受診や異常所見が経過観察でよいのか、あるいは生活を改善するきっかけを促す道標になりうるものを目標に著者自身も期待を込めて執筆いたしました。心電図異常所見の中でもST 異常などは頻度の高いものでありますが、その多くは心配のないものです。一方で、心電図に所見がないからといって、心臓の疾患がないとも言い切れません。しかし、心電図所見が心臓疾患のスクリーニングのための検査であることは誰もが認めるところだと思います。

著者は健診に主にかかわる医師であり、循環器内科の専門医ではないため、循環器を専門領域とする医師、看護師、臨床検査技師の方々にとっては物足りない内容であるかもしれませんが、今後のよりよい健診心電図所見の対応のためにご助言などをいただければ幸いと感じています。心電図所見の解釈にあたっては日本人間ドック学会(日本人間ドック・予防医療学会)の新しい判定区分や「健診判定基準ガイドライン」の判定区分および北島・関口の判定区分を本文内に参照しております。しかし、著者自身が積極的にこれらの基準作成にかかわったわけではありませんので、本文内の考え方もこれらを重視した考え方を基本にはしていますが、著者自身の経験に基づく個人的見解も多々含まれており、学会の見解と多少異なるところもあるかとは思います。その点は寛大な視点で読んでいただければ幸いです。


2025年4月

きんろう病院・内科
黒田直人

目次

Ⅰ 心臓と心電図の基本事項

1 心臓の構造と血液の循環 

心臓の構造  血液の循環 

2 心臓の電気的興奮の伝わり方、刺激伝導系 

正常な心臓の電気的興奮の伝わり方  刺激伝導系の異常 

3 心臓に酸素や栄養素を供給する血管、冠動脈 

冠動脈と灌流(血液供給)領域  冠動脈と刺激伝導系 

4 心電図の12誘導 

四肢誘導  胸部誘導 

5 心電図所見の判定区分と正常範囲の心電図所見 

3つの判定区分  心電図の記録紙の基本

心電図波形の基本  正常範囲の心電図 

Ⅱ 心電図の異常所見と判定区分

1 QRS電気軸偏位または異常(軸偏位) 

左軸偏位  右軸偏位  高度右軸偏位  北西軸 

不定軸  S1SSパターン 

2 移行帯変化の所見(反時計方向回転、時計方向回転) 

反時計方向回転  時計方向回転 

3 虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞) 

虚血性心疾患の種類と病態の発生機序  虚血性心疾患の心電図変化 

4 洞調律異常

(洞性徐脈、著しい洞性徐脈、洞性頻脈、著しい洞性頻脈、心拍過多、洞性不整脈) 35

洞性徐脈  著しい洞性徐脈  洞性頻脈  著しい洞性頻脈 

心拍過多  洞性不整脈 

5 接合部・心室補充収縮・調律関連所見 

房室接合部調律  房室接合部補充収縮  房室接合部補充調律 

房室解離  心室固有調律  促進性心室固有調律 

心室補充収縮  心室補充調律 

6 左右心房負荷 

左房負荷  右房負荷  両房負荷 

7 左右心房負荷以外のP波異常(異所性のものなど) 

平低P波  異所性心房調律  移動性心房調律 

8 PQ/PR時間異常(延長、短縮) 

PQ/PR延長  PR短縮 

9 1度房室ブロック以外の房室伝導障害(2度、3度房室ブロック) 

ウェンケバッハ型2度房室ブロック  モビッツⅡ型2度房室ブロック 

2:1伝導房室ブロック  高度房室ブロック 

3度(完全)房室ブロック 

10 Q波異常(境界域Q波、異常Q波) 

境界域Q波  異常Q波 

11 QRS波の電位の異常(高電位、低電位) 

R波増高不良  Rwaveregression(reverseRwaveprogression) 

左室高電位  右室高電位  両室高電位  四肢低電位(差) 

胸部誘導低電位 

12 左右心室肥大

左室肥大  左室肥大疑い  左室肥大を否定しえず 

右室肥大・右室肥大疑い  両室肥大 

13 ST異常(ST上昇とST低下)・ST-T変化 

ST上昇  軽度ST低下 

ST低下〔上行傾斜型・U字型(盆状)・水平型・下行傾斜型〕 

非特異的ST-T変化(異常)  二次性ST-T変化 

14 T波異常(増高、平低、陰性、二相性、巨大陰性) 

T波増高  平低T波  陰性T波  二相性T波 

巨大陰性T波(高度陰性T波) 

15 QT時間異常(延長、短縮) 

QT延長  QT短縮 

16 上室性不整脈(心房性期外収縮、心房細動、心房粗動、上室性頻拍) 

散発性心房性(上室性)期外収縮  頻発性心房性(上室性)期外収縮 

心房細動  心房粗動  上室連発性期外収縮  上室(性)頻拍 

17 心室性不整脈(心室性期外収縮、心室頻拍、心室細動) 

散発性心室性期外収縮  頻発性心室性期外収縮 

連発性心室性期外収縮  二(2)源性心室性期外収縮 

多形性(多源性)心室性期外収縮  心室性期外収縮(RonT) 

非持続性心室頻拍  持続性心室頻拍  心室細動 

18 心室内伝導異常(脚ブロック、二枝ブロック、三枝ブロック)

RSR’(rsr’)パターン  不完全右脚ブロック  完全右脚ブロック 

間欠性右脚ブロック  右室伝導遅延  不完全左脚ブロック 

完全左脚ブロック  間欠性左脚ブロック 

 (非特異的)心室内伝導障害(遅延)(心室内ブロック) 

左脚前肢ブロック  左脚後枝ブロック  二(2)枝ブロック 

三(3)枝ブロック  交代性脚ブロック  心室内変行伝導 

19 人工ペースメーカ調律 

20 右胸心 

21 左右の手の電極の付け違い

22 アーチファクト(人工産物) 

23 U波異常(陽性、陰性) 

24 洞不全症候群(持続性洞性徐脈、洞停止、洞房ブロック、頻脈徐脈症候群) 

持続性洞性徐脈  洞停止  洞房ブロック 

頻脈徐脈症候群 

25 ブルガダ型心電図(ブルガダ型ST-T異常) 

26 イプシロン波(不整脈原性右室心筋症) 

27 早期再分極・J波 

28 WPW症候群 

29 心筋症疑い(肥大型心筋症、拡張型心筋症、二次性心筋症など)

30 複合所見その他 

31 心電図自動解析の利点と欠点 

参考図書・文献 

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書籍情報

  • ISBN:9784771961470
  • ページ数:164頁
  • 書籍発行日:2025年5月
  • 電子版発売日:2025年6月20日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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