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エレガントな全身麻酔のための区域麻酔法:その考え方とイラストでみる局所解剖

  • ページ数 : 156頁
  • 書籍発行日 : 2025年5月
  • 電子版発売日 : 2025年6月24日
¥5,940(税込)
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商品情報

内容

臨床現場で本当に使える、まさに「実践的な区域麻酔」の宝庫だ!

エレガントな麻酔を目指す著者が、各科の手術の全身麻酔に、どのように区域麻酔を使用しているかが紹介され、さらに、著者自作の(チョットかわいい)局所解剖のイラストが140点以上掲載されています。超高齢者の多い施設や重度心身障害者施設での長い勤務歴を経験した著者の考えや、また、比較解剖学や発生学からの著者の私見が散りばめられ、著者の傍らに居なくては伝わらない技術や心境が、ありのまま表現されています。

序文

著者序文
―エレガントな全身麻酔と区域麻酔―

患者さんのための安全な全身麻酔への取り組みや研究は、学会を中心に麻酔科医一丸となって日々活発に行われています。加えて、個々の麻酔科医においては安全な麻酔を前提にして、スムーズで落ち着いた麻酔導入、安定した術中バイタルサイン、早い覚醒、疼痛など苦痛の少ない術後経過など、患者さんの全身麻酔の経過の中により良い質、少し言い換えるとʠエレガントさʡを追求する方々も多くみられるように思います。著者の経歴は、超高齢者の多い地方病院や重度心身障害者施設での勤務歴が長く、こうした患者さんの全身麻酔を数多く経験しています。このような患者さんで問題になるのは、全身麻酔で使用する薬物のクリアランスを含めた体内動態の変化、併存する多種の全身合併症などで、術中バイタルサインの激しい変動や予期せぬ覚醒遅延など、常用量の全身麻酔薬によっても有害な事象をまねく機会が多くあります。こういった患者さんで、上述したようなʠエレガントな麻酔ʡを目指すには、患者さんの呼吸・血行動態、麻酔深度、筋弛緩状態などを厳重にモニタリングしつつ、麻酔薬、麻薬、筋弛緩薬などの全身投与する薬物の使用量を最低限に絞った麻酔などの工夫が必要となります。各種機材を用いた濃厚な患者モニタリングは理想的ではありますが、施設によっては、手間や予算面で現実的ではありません。そこで、標準的なモニタリングで全身麻酔薬を上手く絞っていくにはどうすればよいか?という問題が生じてきます。

全身投与薬物の使用量削減のための手段の一つとして区域麻酔、いわゆる神経ブロックを全身麻酔に併用します。区域麻酔によって手術局所に強力な鎮痛を行うことで、術中の麻酔薬、麻薬の使用量を減らすことが可能となります。また、筋弛緩薬がほとんどの症例で必要となくなることも、脊髄くも膜下麻酔によって下肢手術のみならず、開腹手術が行えうる事実からも容易に想像がつくと思います。筋弛緩薬を使用しなければ、患者さんの表情の変化や体動から覚醒状態をうかがうことも可能です。また、患者さんの自発呼吸の回数は他のバイタルサインよりも鋭敏に疼痛などの術中刺激に反応する印象です。このように、筋弛緩薬を使用せずに区域麻酔を併用するメリットは大きいと思いますが、そうでなくても、昨今の超音波ガイド下神経ブロック法(エコー法)の大流行は全身麻酔への区域麻酔の併用のメリットを多くの麻酔科医が実感している結果によるものと考えています。

本書は各科の手術の全身麻酔に、著者が実際にどのような神経ブロックを併用しているのかを紹介しています。神経ブロックの教科書ならあえて著者が執筆しなくても著名な先生方の立派な成書が多数あることは重々承知です。ただ、あえて他書との違いを言わせていただくならば、何件もの手術麻酔を安全かつ手早く効率良くこなすための現場のライブ感であると思います。このためご紹介する手技はエコー法以外にも多岐にわたります。超音波診断装置を使う必要もない神経ブロックに関しては、昔ながらの解剖学的ランドマークに基づいた盲目的神経ブロック(ブラインド法)や神経刺激装置を用いた神経ブロック法(神経刺激法)によって、術者の手洗い中に手早く行います。手術室にX 線透視装置が準備されていれば、それをちょっと拝借して神経ブロックを行うこともあります。術者を待たせずに確実に効果のある区域麻酔を行う。これもʠエレガントな麻酔ʡとして大切な要素のように考えます。

本書で取り扱う内容は主に区域麻酔の手技についてでです。したがって内容がどうしてもエビデンスレベルが低い経験的、症例報告的な傾向のものとなってしまいます。極力、科学的であるように務めましたが、読者の皆様と共有するライブ感や著者の思いを表現したいがゆえに不適切と思われる表現になってしまったところが多々あるかと存じます。この点につきましてはご容赦くださいますようお願い申し上げます。また、本書では、著者が制作した(チョットかわいい)局所解剖のイラストを数多く掲載しました。読者の皆様のご参考になりましたら幸甚です。また、内容に関するご意見やご叱責、読者の皆様方のこだわりや工夫などご教授いただけるとなお嬉しいです。著者の手技向上の助けとさせていただきます。

本文、第1 章の針の扱い方、テクニックは細川豊史先生(洛和会丸太町病院院長)よりご教授いただきました。また、小児、心身障害者への区域麻酔は愛知県医療療育総合センター中央病院にて重見先生のご指導のもと実践してまいりました。二人の師匠との診療は、本当に自由で伸び伸び楽しませていただきました。また、本書発刊に際しまして克誠堂出版編集部関貴子氏には多大なご尽力をいただきました。皆様にはこの場を借りまして心からお礼申し上げたいと思います。


2025年5月吉日

JA 岐阜厚生連東濃中部医療センター
東濃厚生病院※ 麻酔科
※:2026 年2 月より「公立東濃中部医療センター」として、土岐市立総合病院と統合開院予定
水野省司

目次

第 1 章 総論的な話いろいろ 

1.針の扱い方、進め方 

1 細い針、長い針の扱い方 

2 ベベルテクニック 

3 その他のテクニック 

2.実践的な局所麻酔薬の総論 

1 局所麻酔薬の濃度の選択について 

2 局所麻酔薬の種類の選択について 

第 2 章 開頭術に併用する区域麻酔法

1.開頭術に併用する区域麻酔法:頭部に分布する末梢神経と区域麻酔 

2.眼窩上神経ブロック 

3.頬骨神経(側頭枝)ブロック 

4.耳介側頭神経ブロック 

5.大後頭神経ブロック 

6.超音波ガイド下での大後頭神経ブロック 

第 3 章 頭頸部の手術に併用する区域麻酔法

1.形成外科などの顔面皮膚手術に併用する区域麻酔法 

1 眼窩上神経ブロック 

2 眼窩下神経ブロック 

3 頤神経ブロック 

2.頭頸部・口腔外科手術に併用する区域麻酔法 

1 下顎神経ブロック 

2 上顎神経ブロック 

3 翼口蓋神経ブロック

4 浅頸神経ブロック(浅頸神経叢ブロック) 

5 大口蓋神経ブロック、鼻口蓋神経ブロック 

3.耳鼻科手術に併用する区域麻酔法 

1 舌咽神経ブロック 

2 前篩骨神経ブロック 

3 上喉頭神経ブロック 

4 大耳介神経ブロック 

4.眼科手術に併用する区域麻酔法 

1 全身麻酔下での表面麻酔 

2 眼球周囲ブロック(球周囲ブロック、眼球周囲麻酔:peribulbar block) 

第 4 章 胸腹部の手術に併用する区域麻酔法 

1.胸部の手術に併用する区域麻酔法 

1 胸部傍脊椎神経ブロック 

2 胸筋神経ブロック(pectoral nerves block:PECS ブロック) 

3 肋間神経ブロック;体幹の構造と超音波ガイド下神経ブロックでの考察

2.腹部の手術に併用する区域麻酔法 

1 腹直筋鞘ブロック(rectus sheath block)と臍ブロック 

2 腹横筋膜面ブロック(TAP ブロック)と腰方形筋ブロック 

3 腸骨鼠径神経ブロック 

第 5 章 四肢の手術に併用する区域麻酔法 

1.上肢の手術に併用する区域麻酔法 

1 腕神経叢ブロック 

2 上肢の太い末梢神経ブロック 

3 四肢末節の細い末梢神経ブロック 

2.下肢の手術に併用する区域麻酔法 

1 腰神経叢ブロック 

2 下肢の太い末梢神経ブロック 

3 四肢末節の細い神経ブロック 

第 6 章 その他の神経ブロック 

1.脊椎の手術に併用する区域麻酔法 

1 ブラインド法による脊髄神経後枝ブロック 

2 エコーガイド下での脊髄神経後枝ブロック 

2.会陰部の手術に併用する区域麻酔法 

1 陰茎ブロック 

2 陰部神経ブロック 

3.肩甲上神経ブロック 

第 7 章 小児、重度心身障害者における硬膜外麻酔 

1.仙骨硬膜外麻酔 

2.硬膜外麻酔 

1 硬膜外穿刺の方法 

2 重度心身障害患者での硬膜外麻酔 

3.硬膜外麻酔での局所麻酔薬の投与量の目安 

補遺

―神経ブロックを行うときの全身麻酔;筋弛緩薬を使用しない全身麻酔導入法― 

1.全身麻酔下の神経ブロックと神経損傷 

2.筋弛緩薬を用いない全身麻酔導入法 

3.小児での導入法 

4.まとめ 

おわりに 

索引 

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書籍情報

  • ISBN:9784771961494
  • ページ数:156頁
  • 書籍発行日:2025年5月
  • 電子版発売日:2025年6月24日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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