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知っておきたいLGBTQの患者診療の手引き 臨床で役立つ患者対応メソッド

  • ページ数 : 160頁
  • 書籍発行日 : 2025年7月
  • 電子版発売日 : 2025年7月18日
¥3,630(税込)
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商品情報

内容

性の多様性(ダイバーシティ)の社会認知は普及し、国民の13人に1人がLGBTQといわれる中で、LGBTQの患者は受診抑制(性差別や偏見,問診時トラブル)、性感染症(告知や予防対策)、メンタルリスク(思春期の対応や物質使用障害)、終末期のケア(介護や意思決定代理人、相続の問題)など、様々な医療的課題や健康リスクに直面しています。これまでの医学教育や臨床研修では性的マイノリティとされる患者への問診スキルや診断上の注意点を十分指導されているといえず、本書では多種多様な価値観や患者背景を尊重した臨床上のケアの在り方を本格的に論じています。

序文

まえがき


まず本書の執筆を引き受けるにあたり,真っ先に思い浮かんだエピソードからお話させてください.

私が自己のアイデンティティの多様性に触れたのは,小学校5年生から中学3年生までの5年間,父の仕事の関係で日本を離れ,米国で過ごしていた時期でした.英語が全く話せなかった私に最初に優しく声をかけてくれたのが,同級生のAちゃんとBくんでした.

Aちゃんとは絵を描くことが共通の趣味で,すぐに親友になりました.彼女は複雑な家庭環境で育ち,時に精神的に不安定になることもありましたが,いつも温かく優しく,惜しみなく愛溢れる友情で接してくれました.中学に進学してしばらく経った頃,Aちゃんは「彼女ができたんだ」と教えてくれました.

驚きはありましたが,Aちゃんに大切な人ができたことを心から嬉しく思いました.さらに後日,「実は彼氏もできて,3人で付き合うことにしたの.私はバイセクシャルみたい」と打ち明けてくれました.

想像もしなかった形の人間関係の在り方に驚きましたが,Aちゃんが幸せなことが何よりも大事だと自然に思えました.紆余曲折を経て,彼女は最終的に男性と結婚しましたが,その優しさと温かさはもちろん変わることがありませんでした.そんなAちゃんの刻々と変化していくジェンダー・アイデンティティ(性自認)と交友関係は,私の視野を広くしてくれると同時に,どのような変化があろうともAちゃんは大好きな友人であることに変わりはない,という本質的な気づきを私に与えてくれました.

Bくんもまた,たくさんの楽しい思い出をくれた友人でした.一緒に映画を見て笑ったり,いたずらをして一緒に怒られたり,と当時の私のモノクロだった世界をグッとカラフルに彩ってくれた,そんなかけがえのない存在でした.小柄で繊細な外見のため,周囲から心無い言葉を浴びせられることもありましたが,高校に進学する頃にはたくましく成長し,いじめも減った様子でした.

日本に帰国した後,SNSでBくんの性的指向が男性パートナーと知りました.Bくんには助けてもらうことばかりで,彼の葛藤に力になれなかったことに無力感も感じましたが,私が医学生になって再会したBくんは,自信に満ち,以前にも増して明るく,ありのままの自分を大切にしている様子で,心から嬉しくなりました.

LGBTQ+の患者さんの診療に関する本の執筆をお受けするにあたり,まず思ったのは,「やっとあの頃の恩返しができる」という気持ちでした.AちゃんとBくんが教えてくれた,性や人間関係の多様性,そしてそれらはその人を形作るほんの一要素に過ぎないという事実は,私の診療のマインドセットの礎となっています.

人一倍,いろいろと悩んだり葛藤を抱えていたりすることの多いLGBTQ+の方々は,人一倍優しく,繊細な心を持っていることが多いと感じます.そんなLGBTQ+の方々は,医療機関にかかるハードルが非常に高いことも少なくなく,様々な健康リスクに晒されやすい現実も存在します.

さらに,昨今の政治的な風潮や社会の在り方の議論の揺り戻しもあり,多様性を抑圧するような動きが見られることも事実です.

多様性は「抑圧するべきものではなく,受け入れ,育んでいくものだ」と私は信じています.誰もが尊重されるべきであり,「平等(equality)」と「公平(equity/fair)」は時に異なる配慮を必要とします.マジョリティを大切にすることと,マイノリティを守ることは対立するものではなく,共存できるはずです.「みんな違って,みんないい」……,この考え方こそが,多様な社会を築く土台になると信じています.

私一人ができることは限られていますが,この本を手にとってくださったあなたの診療によって,一人でも多くの患者さんが安心して医療にかかれる未来に,少しでも貢献できれば,これほど嬉しいことはありません.


2025年5月吉日

著者 百武美沙

目次

1章 LGBTQとは:知っておくべき用語と定義

2章 LGBTQの患者診療に関する臨床教育:次の世代を担う医療者のために

3章 医療面接:性交歴をカジュアルに聞くには?

4章 PrEPとは:HIV予防薬をマスターする

5章 診断・治療の説明:性感染症の診断とその告知

6章 診察での注意点:解剖学的な身体臓器を把握しよう!

7章 メンタルヘルス・ケア1:信頼関係の築き方, 思春期の対応

8章 メンタルヘルス・ケア2:物質使用障害,守秘義務

9章 LGBTQと終末期医療:誰もがよりよい最期を迎える社会へ

10章 臨床現場への提言:ダイバーシティを包括する診療の在り方


コラム一覧

米国のダイバーシティ研修の思い出

LGBTQ理解増進法

「医学」以外のマターを教える必要性を認識させられた医学教育の現場

HPVワクチンの汚名返上

トランス男性も妊娠できる!

日本におけるPrEP

PrEPを希望する患者を医療者として支援するには

細菌性の性感染症の曝露後予防(ドキシペップ)

インテークフォーム(問診票)と名前の重要性

10代の若者と市販薬使用障害

物質使用の日米比較

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書籍情報

  • ISBN:9784621311516
  • ページ数:160頁
  • 書籍発行日:2025年7月
  • 電子版発売日:2025年7月18日
  • 判:A5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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