精神科薬物療法マニュアル 改訂2版

  • ページ数 : 360頁
  • 書籍発行日 : 2025年8月
  • 電子版発売日 : 2025年7月28日
¥4,950(税込)
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商品情報

内容

精神医学・薬学を基礎から学び,精神科薬物療法に強くなる!

精神科薬物療法認定薬剤師、精神科専門薬剤師を目指す方,必読!
本書は精神科専門医および精神科専門薬剤師を中心に執筆された,精神科薬物療法の入門から高度な専門性を身につけることができる書籍です.
「精神医学とは何か」といった基礎から、薬剤師としてどう患者に寄り添うべきかの心構え・コミュニケーション、さらに精神科治療薬の使い方や精神科薬物治療の管理など、精神科臨床に欠かせない知識を一冊にまとめました.
精神科薬物療法の理解を深めたい、あらゆる薬剤師に必携の一冊です.

序文

改定の経緯


本書の起源は2003年発行『精神科薬剤師業務標準マニュアル』に遡ります.それから幾度かの書名変更を重ね,前版の『精神科薬物療法マニュアル』に至りました.今回の改訂第2版発行を含め,すべて日本病院薬剤師会監修のもと,出版は南山堂のお世話になっています.各版を振り返るとその時々の重点課題がわかります.

本書は日本病院薬剤師会が認定する精神科薬物療法認定薬剤師,精神科専門薬剤師認定試験の参考書籍として掲げられていますが,2018年の発行から7年が経過し,その間にわれわれを取り巻く環境は大きく変化しました.精神科医療や薬剤師,医薬品に関係する法律,制度が改正され,いくつかの新薬が登場し,多くの添付文書改訂が行われています.精神科医療においても薬剤師が果たすべき課題は拡大し,質的にもより高い関わりが求められるようになりましたが,何より患者さんやご家族は,「現場にいる医療従事者は,皆それぞれ専門性を当然備えている」とみているでしょう.

今版(改訂第2版)発行の主な目的は次の3点です.第1に,情報の鮮度です.できる限り最新情報に更新しました.第2に,前版ではまとめて記述した基礎薬理を,読者から寄せられた意見を反映して,各論精神疾患治療薬それぞれの項目に取り込むことにしました.第3に,全体構成を見直し,総論,各論として新たな項目追加,配置変更を行いました.これは各論で詳述される疾患と治療薬を学ぶ前に,総論として真にこころの医療を理解するに必要な,より深い素養として,脳科学,精神医学・薬学,精神科医療・福祉などを学べるようにリニューアルした次第です.

本書の水準は,初版と同様に精神医学,精神薬学を初歩から学ぶことができ,かつ精神科薬物療法認定薬剤師,精神科専門薬剤師に必要とされるレベル,すなわち本書を十分に理解すれば認定試験に合格できるレベルです.

2016年2月に行われた精神科専門薬剤師部門認定申請資格の改訂では,薬局薬剤師も認定取得できる制度となりました.本書は病院薬剤師のみならず,薬局薬剤師の方々にもお役立ていただけるように記述されています.

精神医学・薬学では,何より患者さんを人として,生活そのものや今を生きる環境を理解しようとする姿勢が大切です.また心と身体を切り離すことなく心身一如,一体として診る視点も大切です.チーム医療の共通語がわかることも重要です.“ 精神” がわかる薬剤師の活躍の場はますます広がっています.この魅力あふれる精神医学・薬学を知るゲートウェイとして,本書をぜひ活用していただきたく思います.


2025年6月

一般社団法人日本病院薬剤師会精神科専門薬剤師部門前部門長
一般財団法人創精会松山記念病院診療部薬剤課課長
梅田賢太



序文


日本病院薬剤師会が監修する精神科領域の書籍は2003年の「精神科薬剤師業務標準化マニュアル」に端を発するが,それは「精神保健医療福祉の改革ビジョン」が示される前年のことであった.この改革ビジョンに基づき,わが国の精神科医療は「入院医療中心から地域生活中心」へとさまざまな改革が行われてきた.マニュアル2003年版は,この精神科医療改革に対応すべく,精神科薬剤師の業務均てん化を推進する内容となっている.

少子高齢化が続くわが国では,社会保障・税一体改革が進められる中で,医療は病院の機能分化と介護・福祉とのシームレスな連携により「地域の特性に合わせた病院の機能分化・連携」「地域包括ケアの構築」を両輪とした「チーム医療の推進」「在宅医療への展開」が期待されている.薬剤師は,入院,外来,在宅医療を受療するすべての患者に対して,病院機能に応じた職能を発揮し,地域の実情に応じておのおのの患者に最適な薬物治療を提供することが求められる.そのためには医薬品使用サイクルを適正に回す次世代型薬物治療管理の実践が,患者個々に最適な薬物治療を提供する礎となる.

2011年に示された第6次医療計画では,広範かつ継続的な医療の提供が必要と認められる疾病として,がん,脳卒中,急性心筋梗塞,糖尿病に精神疾患が加わり5大疾病となり,2020年の患者調査では精神疾患を有する外来患者数は580万人を越え,ほかの4大疾病をはるかに凌ぐ結果であった.翌2021年に,精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築に関する議論が始まり,その後の「新たな地域医療構想等に関する検討会」において2040年頃の医療をとりまく状況と課題などが議論され,2024年12月にとりまとめが公表された.そのなかで,これからの精神科医療は一般医療や保健,福祉と広く連携していくことが期待された.

精神科領域で大きな環境変化が続くなか,日本病院薬剤師会は2006年に精神科専門薬剤師制度を発足させ,精神科薬物療法認定薬剤師,精神科専門薬剤師の認定を行ってきた.さらに,2016年には薬局薬剤師も認定を取得できる制度に拡充し,より多くの薬剤師が連携して地域精神科医療に貢献できるよう整備した.

近年の急速な医療情勢の変化に対応するため,日本病院薬剤師会監修のもと,「精神科薬物療法マニュアル改訂2版」を発刊することにした.本書には,初版発刊後の7年間におけるさまざまな外的・内的環境の変化を反映した最新の知見が記載されている.直接精神科に関わる薬剤師のみならず,すべての薬剤師,薬学生のためのマニュアル・教本として本書を活用いただき,患者をはじめ,ほかの医療関係職種からも喜ばれ,求められる存在として益々活躍されることを祈念する.


2025年6月

一般社団法人日本病院薬剤師会
会長 武田泰生

目次

第1章 総 論

1 精神医学・精神科医療とは

精神医学とは何か

精神医学の歴史

健康と病的(疾病)状態

正常と異常

精神医学の方法(生物学的,心理社会学的アプローチ)

精神疾患の分類と診断

2 精神薬学とは

マクロの視点

こころ患う人を人として知り,病状を察知する

その人に提供する医療全容をわかり,自らを相手に活かす

3 精神機能の正常と異常

意 識

知 覚

記 憶

知 能

思 考

感 情

意欲・行動

4 精神疾患の生物学的理解へのアプローチ

ヒトの脳構造と機能

生物学的基盤としてのゲノム科学

今後の展望

5 精神疾患の診断・治療

診 察

診 断

治 療

6 心理・社会的治療 医療現場でのコミュニケーション

医療現場でのコミュニケーション

対話を始める前に理解しておくべきこと

面接・面談・対話

コミュニケーションのすれ違い

チーム医療のあり方

7 心理・社会的治療 心理・社会的プログラム

精神科治療・リハビリテーションの背景と概念

心理・社会的プログラム

精神療法

精神薬学の実践

8 精神科領域の症状評価尺度

評価尺度

各 論

9 コンサルテーション・リエゾン精神医学・薬学 医師の立場から

コンサルテーションとは

病院におけるコンサルテーション

クライアントを知る,コンサルタントを知る

行ったコンサルテーションを評価する

10コンサルテーション・リエゾン精神医学・薬学 薬剤師の立場から

疾患や病態に基づく向精神薬の選択および調整

精神症状を来す病態に対する向精神薬を使用しない介入

向精神薬による介入

11精神保健福祉の法律・制度・施策とチーム医療・地域連携によるつながり

精神保健政策の歴史

ノーマライゼーションの理念を浸透させるために

精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(精神保健福祉法)

成年後見制度

心神喪失者等医療観察法

障害者の日常及び社会生活を総合的に支援するための法律(障害者総合支援法)

第2章 各 論

各論A 精神疾患

1 統合失調スペクトラム症(統合失調症)

統合失調症とは

発症の仕組み

主な症状と分類

発症までの経過と診断手順

精神病未治療期間と早期診断・介入の重要性

治 療

回復までの経過と治療

予後と再発

2 抑うつ症(うつ病)

うつ病とは

病 態

診断と症状

うつ病のサブタイプ

治 療

経過と予後

3 双極症(双極性感情障害)

双極症とは

診 断

経過・予後・自殺リスク

治 療

病因・病態

4 不安症(不安障害)

不安症とは

発症機序

分類と主な症状

診 断

治療方針

予 後

5 睡眠・覚醒障害(睡眠障害)

不眠症

睡眠関連呼吸障害

中枢性過眠症

概日リズム睡眠・覚醒障害

睡眠時随伴症

睡眠関連運動障害

6 パーソナリティ症・パラフィリア症,衝動制御(成人の人格および行動の障害)

パーソナリティ症とは

行動の異常(衝動制御障害)

パラフィリア症(性嗜好障害)

7 神経発達症(心理的発達の障害)

自閉スペクトラム症

注意欠如多動症

8 神経認知症(認知症)

認知症とは

原因疾患

9 物質関連症および嗜癖症(精神作用物質使用による精神および行動の障害)

物質使用症(Disorders due to substance use)とは

物質使用症の広がり

物質使用症の対象となる物質の種類

物質依存の症状・特徴

治 療

家族支援・自助グループなど

各論B 精神疾患治療薬

1 抗精神病薬

薬理作用

臨床的特徴

精神疾患別にみた抗精神病薬の使い方

副作用・相互作用マネジメント

2 抗うつ薬・抗不安薬

薬理作用

臨床的特徴

精神疾患別にみた抗うつ薬・抗不安薬の使い方

副作用・相互作用マネジメント

3 気分安定薬

薬理作用

臨床的特徴

精神疾患別にみた気分安定薬の使い方

薬物療法の評価

副作用・相互作用マネジメント

その他の基礎知識

4 睡眠薬

薬理作用

精神疾患別にみた睡眠薬の使い方

ガイドラインによる睡眠薬の推奨

急性期・長期管理における薬理学的介入の効果

睡眠薬使用のエキスパートコンセンサス

薬物療法の評価(不眠の再評価)

副作用・相互作用マネジメント

5 認知症治療薬

薬理作用

臨床的特徴

精神疾患別にみた認知症治療薬の使い方

薬物療法の評価

副作用・相互作用マネジメント

その他の基礎知識

6 物質使用症治療薬

薬理作用

臨床的特徴

精神疾患別にみた物質使用症治療薬の使い方

薬物療法の評価

副作用・相互作用マネジメント

その他の基礎知識

7 精神刺激薬

薬理作用

臨床的特徴

精神疾患別にみた精神刺激薬の使い方

副作用・相互作用マネジメント

その他の基礎知識

8 精神疾患治療薬における副作用とその対応

錐体外路症状

悪性症候群・

セロトニン症候群

アクチベーション症候群(賦活症候群)

抗うつ薬による中断症候群

体重増加・高血糖

水中毒

ベンゾジアゼピン系薬剤の依存

9 その他の重要な知識(mECT 実施時の補助薬,精神症状を惹起する薬剤)

修正型電気けいれん療法実施時の補助薬

精神症状を惹起する薬剤

各論C 妊婦・授乳婦と向精神薬

1 精神疾患患者の妊娠・出産

プレコンセプションケア

妊娠に向けた薬の調整

2 妊娠・授乳期の薬物療法の特徴と妊婦服薬カウンセリング

妊娠中の薬物療法の基礎知識とカウンセリングへの応用

妊婦疫学研究の評価について

合併症妊娠と薬物療法

妊婦服薬カウンセリング

授乳婦薬物療法の基礎知識

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書籍情報

  • ISBN:9784525773922
  • ページ数:360頁
  • 書籍発行日:2025年8月
  • 電子版発売日:2025年7月28日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
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