術前休薬クイックリファレンス

  • ページ数 : 256頁
  • 書籍発行日 : 2025年6月
  • 電子版発売日 : 2025年7月30日
¥3,850(税込)
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商品情報

内容

●入院・手術が決まった患者の服用薬に関する休薬・再開の目安を素早く確認できる実践的な1冊!

あの患者さん、手術が決まったらしいけど、この薬は続けて大丈夫?――こんな疑問が浮かんだ経験はないでしょうか。周術期の患者への関与が求められる場面は、薬局でも病院でも増えています。
本書は、多忙な薬剤師業務のなかで、入院・手術が決まった患者の服用薬について、「いつまで飲むか」「いつから再開するか」の目安を素早く確認できる実践的な1冊です。オリジナルのツールを活用して地域連携を進めている執筆陣が、現場で本当に必要な情報に絞って執筆し、疑義照会や患者指導、持参薬管理にすぐ活かせるポイントをコンパクトにまとめています。薬局・病院の薬剤師、看護師の方々に役立つ、手元に置きたいクイックリファレンスです。

序文

はじめに

「周術期」とは,手術が決定された外来受診時から,手術,そして社会復帰に至るまでの一連の期間を指し,その間には薬物治療の調整,特に休薬の判断が必要となる場合があります。しかし,緊急性のない手術では,実際の施行が数カ月先になることもあり,その間に患者自身で薬物治療を適切に調整するのは困難です。その結果,必要な休薬が行われず,手術の中止や延期に至るケースも見られ,患者に不利益が生じる可能性があります。また,術後に再開すべき薬剤が再開されず,治療に支障を来すことも考えられます。このような周術期における薬物治療の安全管理は,単一の医療機関だけで完結するものではなく,地域の医療機関同士が連携して患者を支えていく必要があります。

本書は,そうした背景を踏まえ,岡山県西部地区(倉敷市周辺)の薬剤師により結成された「周術期の安全な薬剤管理を考える会(倉敷)」が作成した「周術期に休薬を考慮する薬剤一覧(以下,虎の巻)」を基に編纂されたものです。

この虎の巻では,術前に休薬の検討が必要とされる薬剤を抜粋しています。実際には,手術ごとに異なる出血リスクや血栓リスクなどにより,判断基準・休薬期間・再開の目安は医療機関によっても異なります。また,本書に掲載されていない薬剤(OTC 薬やサプリメント等)にもリスクを伴うものが存在します。さらに,手術前後の絶食,手術自体の身体的ストレス,麻酔や造影検査の影響,術後の安静(歩行不可)など,患者個々の状態も考慮しなければなりません。

本書では,周術期に注意を要する主要な薬剤について,出血リスク,血栓リスク,休薬・再開の目安を,周術期におけるポイントとともに整理しています。あわせて,実際のインシデント事例やGood job 事例,さらに代表的な術式別の薬物管理や,周術期各時点での介入ポイントも紹介し,実践的な内容となるよう構成しています。病院薬剤師や保険薬局薬剤師に限らず,看護師をはじめとした多職種の皆様にとっても参考になる一冊となることを目指しました。本書を通じて,患者が周術期において安全に薬物治療を受け,安心して手術に臨めるよう,読者の皆様にとっての一助となれば幸いです。本書の出版にあたり,「周術期の安全な薬剤管理を考える会(倉敷)」の皆様のご協力なくしては実現し得ませんでした。この場を借りて,深く感謝申し上げます。また,本会の活動にご関心を寄せ,書籍化にご尽力くださったじほう社の阿部氏にも,心より御礼申し上げます。

なお,本書は通読というよりも,現場での早見表的な活用を想定した内容です。実務の場における参考資料として,患者との信頼関係の構築,さらには周術期を契機とした地域連携の促進に資するものとなることを願ってやみません。


2025年6月吉日

周術期の安全な薬剤管理を考える会(倉敷)
赤木 晋介

目次

周術期に休薬を考慮する薬剤一覧

薬剤別 休薬の目安と再開時期

 抗血小板薬

 アスピリン

 チクロピジン

 クロピドグレル .

 プラスグレル

 イコサペント酸エチル

 オメガ-3 脂肪酸エチル .

 チカグレロル

 シロスタゾール .

 イブジラスト

 ジラゼプ

 ニセルゴリン

 トリメタジジン .

 セレキシパグ

 イフェンプロジル .

 サルポグレラート .

 ジピリダモール .

 ベラプロスト

 配合剤

  (アスピリン・ボノプラザン、アスピリン・ランソプラゾール) .

 配合剤(アスピリン・クロピドグレル)

抗凝固薬 .

 ワルファリン

 ダビガトランエテキシラート

 リバーロキサバン .

 アピキサバン

 エドキサバン

卵胞ホルモン・黄体ホルモン薬

 低用量経口避妊薬(OC) .

 ノルエチステロン・エチニルエストラジオール

 デソゲストレル・エチニルエストラジオール .

 レボノルゲストレル・エチニルエストラジオール

 月経困難症治療薬 .

 ノルエチステロン・エチニルエストラジオール .

 ドロスピレノン・エチニルエストラジオール .

 レボノルゲストレル・エチニルエストラジオール

 ノルゲストレル・エチニルエストラジオール .

 エストラジオール・酢酸ノルエチステロン .

 エストラジオール・レボノルゲストレル

 結合型エストロゲン

 エストリオール .

 エストラジオール .

 メドロキシプロゲステロン酢酸エステル

子宮内膜症治療薬 .

 ジエノゲスト

選択的エストロゲン受容体モデュレーター(SERM)

 タモキシフェン

 ラロキシフェン

 バゼドキシフェン

ビグアナイド薬

 メトホルミン .

 配合剤

  (メトアナ,イニシンク,エクメット,メホビル,メタクト)

ナトリウム・グルコース共輸送体(SGLT)2 阻害薬 .

 イプラグリフロジン .

 エンパグリフロジン .

 カナグリフロジン

 ダパグリフロジン

 トホグリフロジン

 ルセオグリフロジン .

 配合剤(カナリア,スージャヌ,トラディアンス) .

術式別 介入・確認のポイント

Good job1 出血リスクがある薬剤への対応①

Good job2 出血リスクがある薬剤への対応② .

Good job3 出血リスクがある薬剤への対応③ .

Good job4 出血リスクがある薬剤への対応④ .

Good job5 出血リスクがある薬剤への対応⑤ .

Good job6 静脈血栓塞栓症のリスクがある薬剤への対応①

Good job7 静脈血栓塞栓症のリスクがある薬剤への対応②

Good job8 ケトアシドーシスのリスクがある薬剤への対応

Good job9 お薬手帳の適切な使用方法の指導 .

No Good job1 DOAC 長期休薬による血栓症発症 .

No Good job2 抗血小板薬再開忘れによる血栓症の悪化

No Good job3 配合剤の休薬ミス .

No Good job4 休薬期間の訂正忘れによる不必要な長期休薬 .

No Good job5 メトホルミンの早期再開 .

No Good job6 投与禁忌の薬剤使用の見落とし

No Good job7 休薬していなかったことによる手術延期① .

No Good job8 休薬していなかったことによる手術延期② .

No Good job9 経口避妊薬に対する患者の理解不足 .

No Good job10 家族が休薬指示を薬局に伝えず休薬失敗

周術期のGood job 症例,No Good job 症例

周術期の薬剤師による介入ポイント

脳神経外科  脳腫瘍 .

 脳動脈瘤 .

 頚動脈狭窄症

心臓血管外科  大動脈瘤(腹部, 胸部) .

 冠動脈疾患(狭心症, 心筋􄼷塞) .

 大動脈弁狭窄症 .

呼吸器外科 肺がん

 頭頚部外科 甲状腺がん .

 消化器外科 胃がん

 大腸がん(直腸,結腸) .

 肝がん

 膵臓がん

 胆嚢炎・胆嚢結石症

乳腺外科 乳がん

泌尿器科 膀胱がん

 前立腺肥大症 .

泌尿器科,産科婦人科 骨盤臓器脱(膀胱瘤,子宮・膣断端脱,直腸瘤)

産科婦人科 帝王切開/異常分娩

 子宮がん(体部,頚部) .

整形外科 変形性関節症(膝,股) .

大腿骨頚部骨折 .

眼科 白内障

内科 大腸ポリープ,大腸腫瘍 (腺腫あるいは大腸がん疑い) .

 胃ポリープ,早期胃がん .

 肝がん

検査・処置

APPENDIX

非心臓手術・処置の出血リスク

冠動脈疾患患者における非心臓手術施行時の抗血小板薬の休薬 .

ワルファリンの他剤への置換

血栓塞栓症のリスクが高い症例

ヘパリンブリッジのリスク・ベネフィット

女性ホルモンと血栓形成の関係性

術後のホルモン剤再開時の注意点

周術期のホルモン補充療法 .

避妊薬の医学的適格性基準(WHO) における周術期管理 .

オンライン資格確認等システムで薬局が閲覧できる情報

造影剤検査とメトホルミン

ピルの服用状況と課題 .

休薬した薬剤の再開の目安

周術期のステロイドカバー

抗血小板薬2 剤併用療法(DAPT)

吸入薬指導は大切!

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書籍情報

  • ISBN:9784840756693
  • ページ数:256頁
  • 書籍発行日:2025年6月
  • 電子版発売日:2025年7月30日
  • 判:A5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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