刑事精神鑑定ハンドブック

  • ページ数 : 288頁
  • 書籍発行日 : 2019年3月
  • 電子版発売日 : 2025年8月5日
¥9,020(税込)
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商品情報

内容

刑事精神鑑定の実際を豊富な鑑定例を示しながら解説するプラクティカルなテキスト。 実践的な内容を基調としつつも、「総論」では「責任能力をどう考えるか」という刑事精神鑑定の本質的な問題に重点を置く。さらに「司法は刑事精神鑑定に何を求めているのか」を司法(裁判官、検察官、弁護人)の立場からの発言のかたちで収載。

序文

刑事責任能力鑑定は,古くから司法精神医学の最重要課題のひとつとされてきた.2005年7月から施行された「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律」(以下,「医療観察法」という.)による司法精神医療では,心神喪失・心神耗弱者の認定が要件とされており,質の高い刑事責任能力鑑定の重要性が増すこととなった.また,2009年5月から施行された「裁判員の参加する刑事裁判に関する法律」(以下,「裁判員裁判法」という.)による裁判員裁判では,口頭主義の徹底をはじめ審理の在り方が大きく変化したが,それに伴い,刑事責任能力鑑定の実施や報告にも大きな変化が要請されるようになった.さらに,医療観察法や裁判員裁判法の施行を契機として,刑事責任能力鑑定の在り方について,活発な議論が行われるようになった.編者の一人である五十嵐が責任編集を担当した『刑事精神鑑定のすべて』は,《専門医のための精神科臨床リュミエール》シリーズ(総編集:松下正明)の第1 巻として,2008年に刊行された.精神科医としての初期研修をすでに修了した医師が,初めて刑事精神鑑定を行うにあたりまず読むべき教科書として企画された同書は,新しい時代の刑事責任能力鑑定の在り方を示す書として,幸いにも多くの読者の好評を得ることができた.しかし,『刑事精神鑑定のすべて』は,裁判員裁判法が施行される前に刊行されており,裁判員制度による刑事責任能力鑑定の変化や最近の刑法学や司法精神医学における議論については,対応していない.

本書『刑事精神鑑定ハンドブック』は,『刑事精神鑑定のすべて』をふまえて企画された.五十嵐,岡田の両名で編集を行い,裁判員制度による刑事責任能力鑑定の変化に対応する内容とすること,刑事責任能力鑑定の経験をもつ精神科医が読んでも,その技量の向上に役立つような内容の本とすることを目指して企画を行った.執筆者については,わが国の司法精神医学・司法精神医療の中核を担っている方々にお願いすることとしたが,『刑事精神鑑定のすべて』との重複を避けるとともに,なるべく若手の先生方にお願いすることとした.

総論では,刑事責任能力鑑定の基礎をなす概念の解説や刑事責任能力判定の具体的な方法論にはじまり,医療観察法,刑事訴訟能力,少年事件,犯罪被害者に関する精神鑑定の問題や犯罪心理学・臨床精神病理学の視点からみた精神鑑定の問題を取り上げた.次いで,鑑定を依頼する立場である法曹関係者が刑事責任能力鑑定に求めるものについて,裁判官,検察官,弁護士のそれぞれの立場から述べていただいた.各論では,刑事責任能力鑑定で問題となることの多い精神疾患について,自験例に基づいたモデル鑑定書を提示したうえで,責任能力判定のポイントや鑑定書の書き方などについて解説をしていただいた.

本書は,精神科医を主たる読者として想定しているが,刑事責任能力鑑定をめぐる諸問題を幅広く網羅しており,裁判官,検察官,弁護士などの法律実務家や刑事法学者,さらには精神鑑定に興味をもつ一般の方が読まれても,刑事責任能力鑑定に関する精神医学の現在の考え方を知るうえでの参考になるものと思われる.

本書の編集にあたり,松下正明先生には,企画当初から大所高所からの貴重なご助言を賜った.松下先生のご助言のおかげで,本書を,刑事責任能力鑑定をめぐる幅広い課題に対応した本とすることができた.ここに特記して,深謝の意を表したい.刑事責任能力鑑定の件数が増加し,経験や知識が十分でない精神科医が刑事責任能力鑑定を依頼されることも少なくない.日本司法精神医学会では,研修・教育の場として刑事精神鑑定ワークショップを開催し,また,刑事責任能力鑑定に関する専門医資格として,学会認定精神鑑定医制度を実施している.本書は,学会認定精神鑑定医に必要とされる刑事責任能力鑑定に関する知識や鑑定書作成に当たり行われるべき作業をカバーする内容となっている.

本書を手にした読者の方々が,刑事責任能力鑑定に関する知識を深め,質の高い刑事責任能力鑑定を行うことができるようになるとすれば,編者として望外の喜びである.


2019年1月

五十嵐禎人,岡田幸之

目次

I.総論

1 刑事責任能力鑑定の精神医学的基礎

2 刑事責任能力鑑定の実際

3 刑事責任能力の判定(1)

4 刑事責任能力の判定(2)

5 医療観察法に関する精神鑑定

6 刑事訴訟能力に関する精神鑑定

7 少年の司法システムと精神鑑定

8 刑事事件における被害者の精神鑑定

9 犯罪心理学からみた精神鑑定

10 臨床精神病理学からみた精神鑑定(健忘・詐病を含む)

II.刑事精神鑑定に望むもの-法曹からみた刑事精神鑑定

1 裁判官の立場から

2 検察官の立場から

3 弁護人の立場から

III.各論-各種疾患の精神鑑定例

1 統合失調症(1)

2 統合失調症(2)

3 気分(感情)障害

4 アルコール関連障害

5 薬物関連障害

6 解離性障害

7 摂食障害(クレプトマニア含む)

8 パーソナリティ障害

9 認知症・器質性精神障害

10 知的能力障害

11 自閉症スペクトラム障害

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書籍情報

  • ISBN:9784521747422
  • ページ数:288頁
  • 書籍発行日:2019年3月
  • 電子版発売日:2025年8月5日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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