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実験医学別冊 神経科学者と学ぶ深層学習超入門 AIの種を知り、知識の樹を育て、研究で最新モデルを使いこなす

  • ページ数 : 207頁
  • 書籍発行日 : 2025年7月
  • 電子版発売日 : 2025年8月5日
¥4,290(税込)
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商品情報

内容

AIのしくみ,「要点だけ」でも知っておきたい! そんなときにまず読む本
深層学習・機械学習を一歩深く学びたいと思ったものの,やっぱり難しそう.そんな悩みに応える読み切りサイズの入門書.生命科学の研究者が執筆するから,数学・統計・情報学の知識がなくてもサクサク読める! AIのだいじなことがスルスルわかる! 生命科学・医学研究への応用がミルミル見えてくる!

序文

自称“Neuronist”の私は文字通り「神経細胞」に日々魅了されている.進化の過程で出現した神経細胞は,中枢神経系へと発展し,記憶・学習・知覚・認知といった高度な情報処理を可能にした.やがて思考を職業とする研究者が生まれ,ついには「生命とはなにか」「脳とはなにか」という根源的な問いを立てるまでになった.その挙げ句,このような本を書いたり読んだりしている.神経細胞は誠に魅力的な存在である.

しかしながらそんな神経細胞をもってしても私たちは生命も,脳も,まだ完全には把握できていない.生命が誕生してから40 億年が経った今でも,その探求の旅は道半ばである.そんななか,いま興味深い現象が進行している.人工知能の急速な発展である.神経細胞をモデルにした「人工ニューロン」が生まれ,そのしくみを応用した「深層学習」によって人工知能は著しい進化を遂げはじめた.いまや脳を探求する脳が脳の外側に飛び出し,人間の知的探求を支えはじめているのである.なんとも斬新かつ刺激的な展開である.

実際,人工ニューロンはじつによく働く.さすがは生命が長大な進化の果てに生み出した神経細胞の末裔である.その人工ニューロンが本書の主人公だ.どのような深層学習でも人工ニューロンが働いている.この最小の単位が理解できれば深層学習の本質に近づくことができる.本書は「超入門」を銘打っているが,それは「やさしさ」に重点を置くのではなく,「最も重要な一つ」を丁寧に正確に伝えるという意味である.最も重要な一つがうまく伝われば,それが読者の「あっ,そうだったのか」という気づきになり十を知る力が自然と育まれる.一粒の「種」がやがて根を張り,葉を広げ,花を咲かせる.読者のなかに育つ知の樹が,難解と思われがちな深層学習を超えていく力になるだろう.その一粒の種が人工ニューロンである.

本書の視座は神経科学を中心とした生命科学とした.情報科学の専門家による人工知能や深層学習の解説書は数多く存在するが,本書は生命科学者の立場から深層学習を紐解く試みである.私は動物(なまもの)を長年扱ってきた神経科学者である.そして脳が生み出す知覚世界をモデル化する必要性から,比較的最近深層学習を中心にしたドライ研究の世界に入った(私の研究は2-7 で紹介する).古くからの友人は,深層学習の入門書の執筆者が私であることに,きっと驚くに違いない.しかし,そのような執筆者が書いた本だからこそ,生命科学を志す誰もが理解できる入門書になるはずだ.

本書では複雑な数式や専門用語を極力排し,また直感的に理解できるよう手描きのイラストを用意した.しかし数式や専門用語を100 %避けていては肝心の人工知能の論文への抵抗感を拭うことができないし,なによりも新しい分野の勉強をしようとする方の意欲を大切にしたい.普段数式を使わない方々への配慮をしながら,必要最低限の数式は織り交ぜていく.「やっぱり数式がでてくるのか」とお嘆きの方はご安心いただきたい.私の最初の深層学習の論文には数式もプログラムコードも全く書かなかった.書かなかったと言うと聞こえがいいが,書けなかったというのが本当のところだ.頭では理解していても慣れないことはなかなか筆が進まない.それでも深層学習の論文が書ける.そんな私が書いた本である.ご安心いただきたい.

本書の構成を紹介する.第1 部では,人工ニューロンを出発点にして人工知能の歴史と発展を概観しながら,読者の頭のなかに「人工知能の進化ツリー」を構築することをめざす.要所要所でコラム的に「雑談」も交える.人工ニューロンを使わない機械学習にも触れる.第2 部は応用編だ.第2 部では,生命科学や医学の各分野の研究に深層学習がどのように応用されているかを具体的に例示していく.各分野の代表例を紹介することで第1 部で学んだ知識を総復習していく.仮に自分では直接触れない分野の内容だとしても,将来他分野の人工知能の研究者と共同研究をする可能性があるかもしれない.そんなときに応用事例をある程度広く知っておくと議論が大いに盛り上がるであろう.とはいえ人工知能技術は刻一刻と進化している.昨年の技術はジュラ紀の地層に埋もれて化石になっている.第2 部に黒カビが生えてしまっても,それは私のせいではない.最後に巻末付録として代表的な深層学習のプログラムコードへのリンクを掲載する.すべてクラウド環境のGoogle Colab で動くので,ボタンをポチポチ押すだけで動かせる.プログラムコードは無味乾燥な文字列であるが,動きはじめるとまるで生命のように輝きだす.ぜひ深層学習を体感していただきたい.

本書が生命科学者や関連分野の研究者にとって,人工知能への実りある入り口となることを願い,序文の言葉とさせていただく.


2025年5月

基礎生物学研究所 神経生理学研究室/
基礎生物学研究所 超階層生物学センター AI 解析室/
総合研究大学院大学 基礎生物学コース
渡辺英治

目次

第1部 深層学習の基礎

1-1 超基本用語の整理

 人工知能と機械学習と深層学習

 モデル

 線形と非線形

 [雑談] 世界モデル

1-2 人工ニューロン

 人工ニューロン

 パーセプトロン

 活性化関数

 [雑談] ウォルター・ピッツ

1-3 学習

 ニューラルネットワークの基本構造と学習

 入力と出力

 3種類の学習

 損失関数と目的関数

 誤差逆伝播法

 局所解

 過学習

 転移学習

 構造

 [雑談] 脳と深層学習の速度

1-4 畳み込みニューラルネットワーク

 歴史

 層

 全結合層

 畳み込み層

 プーリング層

 [雑談] スケールと性能

1-5 リカレントニューラルネットワーク

 ホップフィールドネットワーク

 リカレントニューラルネットワークとゲート機構

 エコーステートネットワーク

 [雑談] 恐竜と哺乳類

1-6 画像生成AI

 AutoEncoder

 VAE

 拡散モデル

 [雑談] 視座

1-7 トランスフォーマー

 ALL You Need Is Attention

 トークン

 埋め込み

 自己注意機構

 多頭注意

 残差接続と正規化層

 全結合層

 そしてついに会話ができる

 [雑談] 人工知能の倫理

1-8 深層強化学習

 強化学習

 行動選択ポリシー

 マルコフ決定過程

 Q学習

 深層強化学習(DQN)

 [雑談] 基盤AIとロボット

1-9 機械学習

 機械学習の特徴

 分類のための機械学習

 次元圧縮(PCA)

 次元圧縮(t-SNE)

 次元圧縮(UMAP)

 [雑談] Neuronist

第2部 深層学習と生命科学

2-1 第2部のはじめに

2-2 顕微鏡画像

 Cellpose

2-3 遺伝子解析

 Geneformer

2-4 タンパク質科学

 AlphaFold2

2-5 医療

 DenseNet

 モデルの強化

2-6 神経科学

 解析ツールとして

 脳のモデルとして

2-7 行動科学

 DeepLabCut

2-8 心理学

 筆者の研究

2-9 ALife

 ニューラルセル・オートマトン

2-10 第2部のおわりに

 LLMと人工知能の未来

巻末付録

 付録1 深層学習を体験する

 付録2 おすすめの入門書3選

 あとがき


索引

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書籍情報

  • ISBN:9784758122849
  • ページ数:207頁
  • 書籍発行日:2025年7月
  • 電子版発売日:2025年8月5日
  • 判:A5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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