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- 医療系専門科目へ つながる生物学~消化から学ぶ人体のしくみ
商品情報
内容
医療系学部でのスムーズな学びをサポート!身近な「食物の消化」をテーマに,断片的な知識を結びつけながら人体のしくみをわかりやすく解説.BASICとADVANCED(Web収載)のレベル別で,入学前~低学年で必要な知識はもちろん,国試対策にも役立つ発展的内容が身に付きます.基礎固めに最適!
序文
監修のことば
医療に携わる者にとって「人体を知ること」はすべての出発点であり,終わりのない探求の道でもあります.私は内科医として長年患者さんと向き合い,また医療系大学において多くの若者たちと学びをともにしてきました.そのなかで常に感じてきたのは,人体のしくみは私たちの想像をはるかに超える精緻さと調和をもって働いているという驚きと感動,そしてそれを学ぶことが単なる知識の獲得を超えて,「自分とは何か」を理解する深い問いにつながっている,という実感です.
本書『医療系専門科目へ つながる生物学――消化から学ぶ人体のしくみ』は,医療・薬学・看護・リハビリテーションなど医療系を志す学生の皆さんが,専門的な学びへと進んでいくための“橋渡し”となることをめざして編まれたテキストです.しかしそれは,単なる前段階の教科書にとどまりません.ここに詰め込まれているのは,「なぜそうなるのか」「どうして必要なのか」といった根源的な問いへの導きであり,知を有機的に結び,学問を“つながり”としてとらえる知的な喜びでもあります.
本書が扱う「食物の消化」というテーマは,人間の生命活動の最も根源的な営みの一つであり,食べること=生きることの本質に迫るものです.食物から栄養素を取り入れ,分解し,吸収し,生命活動に利用する――この一連のプロセスは,単なる生理現象ではなく,生命そのものがもつ意志のようなものを感じさせます.私はこの監修を通じて,食という営みを軸にとらえて人体を学ぶというアプローチが,いかに優れた視点であるかを再認識しました.食を起点にすれば,消化器の構造や機能,生化学的反応,ホルモンや神経による調節,さらにはエネルギー代謝のメカニズムなど,学問分野を横断しながら立体的に人体を理解することができます.それはすなわち,生物学・化学・生化学・解剖学・組織学・免疫学といった多岐にわたる知識を一つの“流れ”のなかで自然につなげる学びであり,「知る」ことの面白さに満ちた知的体験です.
また,本書は「BASIC(基礎)」と「ADVANCED(発展)」に二分され,それぞれの段階にふさわしい内容が冊子とWebという媒体に応じて展開されている点も大きな特徴です.知識を積み上げるだけではなく,理解を深め思考力を育てることを目的としたこの構成は,これからの医療教育に求められる学びのかたちを体現しています.とりわけADVANCED編ではやや高度な内容に触れることで,学修者一人ひとりが向き合いながら自らの成長を実感できるようになっています.段階に応じて学びを選び取れるという設計は,まさに現代の学修環境にふさわしいものだと確信しています.
私は,医療に携わるか否かにかかわらず,本書を手にするすべての読者にこう伝えたいのです.人体の学びは単なる試験や進級のための“勉強”ではありません.人間を理解するという学修は,最終的に「自分自身を理解する」という内面的な旅につながっています.そして「食べる」という営みを通してその旅をはじめることは,医療を志す者にとって,あるいは人生をより深く味わいたいと願うすべての人にとって,かけがえのない財産となるはずです.
本書を通して,皆さんのなかに学びの喜びが芽生え,気づきと「もっと学びたい」という前向きな衝動が生まれることを,私は心から願っています.そして,これから出会う学修の数々が,「つながる学び」として確かな実感をともなって自分のなかに蓄積されていくことを,強く期待しています.
2025年6月
帝京平成大学 学長
冲永寛子
はじめに
医療分野を志す皆さんは,社会での活躍につながる学びへ,大きな期待を抱いていると思います.このテキストは,専門科目との「橋渡し」になることを第一の目的としています.同時に,卒業までの「道しるべ」になることもめざしています.そこで,皆さんの人体に関する理解を深めるため,「食物の消化から人体のしくみを学ぶ」ことを意図してつくりました.消化とは,「食物を分解し,日々の生活に必要な栄養を得る」ということです.この身近な体の働きには,食物を物質的にとらえる化学,消化器とその働きを知る解剖生理学,消化反応を知る生化学,それらを調整する内分泌系や神経系の働きなど,複数の科目をまたぐ内容が関係しています.このテキストでは,それらを消化と関連づけながら順に説明していきます.必要なのは断片的な知識を丸暗記することではなく,誰もがわかるように伝えるには,どのように知識を整理しまとめたらよいか考えるということです.断片的な知識を単に寄せ集めただけでは,「人体のしくみ」は説明できません.つまり,『つながる生物学』という書名には,「複数の教科目を関連づけ,体のしくみを体系的に学ぶ」というコンセプトが込められています.
このテキストは,「BASIC(基礎)」と「ADVANCED(発展)」に分かれています.BASIC には,入学前や大学入学後の早い時期に身に付けるべき内容が収められています.人体の構造・機能や生化学などに関する基礎も含まれていますが,それらの内容を読んで,理解していること,あやふやなこと,知らないことなど,自らの現在位置をはっきりさせてほしいと思います.そのような振り返りは,「大学での学び方」として,いつも意識せねばなりません.ADVANCED はBASIC の学びを発展させた内容ですが,有機化学や物理化学などとも関連づけ,人体のしくみをいろいろな角度から考える習慣や力を身に付けることが目標になっています.なかには難しいことがらもあるかもしれませんが,苦手意識からあいまいなまま残してしまうと,卒業を前に大きな壁になりがちな内容を選んでいます.BASIC とのつながりにも気をつけ,「そういうことか」と思えるよう,かみ砕いた説明を心がけました.
高学年での専門科目の学修にも役立ててほしいと思います.
医療や生命科学の分野は,とても速い速度で進歩しています.そのような複雑さが増す時代にあって,将来,医学・薬学・看護学など,異なる分野の医療職と協力して活躍するため,どの分野でも進歩の成果を正しく理解して生かす,総合的な知識や力が重視されるようになっています.医療分野では,知識をうのみにするのではなく,「なぜ」という次への疑問を抱き,知識を広げ深めることが特に大切になります.このテキストによって基礎的な知識が整理され,そのような「なぜ」や,さらには医療分野に関する「好奇心」へとつながり,一人ひとりの学びが後押しされることを願っています.
最後に,このテキストは,長年にわたる教育の現場で出会った学生の顔を思いだしながら,私の経験と反省,さらには感謝の気持ちをまとめたものです.いろいろな医療系の分野で,キット役立つに違いないと思っています.執筆にあたっては友人の小原 進博士から医学教育・研究に関するご経験をもとに貴重なアドバイスをいただきました.また,医学的なアドバイスは医師の渡辺幸康博士からいただきました.心よりお礼を申し上げます.なお,テキストの原図の作成は,長女の萌にお願いしました.記して感謝いたします.
2025年6月
安西偕二郎
目次
監修のことば【冲永寛子】
はじめに【安西偕二郎】
本書の使い方
BASIC Chapter1 食物を食べる体のしくみ
§1 消化器系の構造と機能
1 消化管の基本的な構造 〈Lv.1〉
2 口腔 〈Lv.1〉
2.1構造/2.2機能
3 食道 〈Lv.1〉
3.1構造/3.2機能
4 胃 〈Lv.1〉
4.1構造/4.2機能
5 十二指腸 〈Lv.1〉
5.1構造/5.2機能
6 小腸 〈Lv.1〉
6.1構造/6.2機能
7 大腸 〈Lv.1〉
7.1構造/7.2機能/7.3大腸の腸内細菌
8 胆のう 〈Lv.1〉
9 膵臓 〈Lv.1〉
9.1構造/9.2機能
[MEMO] 日本人の食事摂取基準/血糖値の基準範囲
確認問題
§2 栄養成分のゆくえ
1 体液による運搬 〈Lv.1〉
1.1体液の構成/1.2体液が含む電解質/1.3血漿タンパク質とその役割
2 循環器系による運搬 〈Lv.1〉
2.1心臓/2.2血管系
3 肝臓による代謝 〈Lv.1〉
3.1脈管系─血管と胆管/3.2構造─肝小葉と脈管系/3.3機能
4 腎臓による排泄 〈Lv.1〉
4.1構造/4.2機能─尿の生成/4.3尿の役割
[MEMO] 電解質/「mEq/L」とは/心臓の内分泌機能/再吸収による尿の生成─生理的意義
確認問題
§3 栄養素の構造と消化のしくみ――イントロダクション
1 消化管における消化 〈Lv.1〉
1.1栄養素の消化,利用,排泄/1.2消化酵素と消化液
2 栄養素の消化 〈Lv.1〉
2.1タンパク質の消化/2.2糖質(デンプン)の消化/2.3脂質の消化/2.4核酸の消化
3 消化管におけるタンパク質の消化と吸収 〈Lv.1〉
確認問題
BASIC Chapter2 食物の科学と消化・吸収のしくみ
§1 タンパク質の科学と消化・吸収のしくみ
1 化学物質としてのアミノ酸 〈Lv.2〉
1.1アミノ酸の性質を決める官能基/1.2タンパク質をつくっているアミノ酸/1.3アミノ酸の分類
2 タンパク質の構造と機能 〈Lv.2〉
2.1ペプチド鎖の形成/2.2タンパク質の種類と機能
3 タンパク質の階層構造 〈Lv.3〉
3.1一次構造/3.2二次構造/3.3三次構造/3.4四次構造
4 アミノ酸の相互作用による立体構造形成 〈Lv.3〉
4.1アミノ酸の相互作用/4.2親水性アミノ酸と疎水性アミノ酸の役割
5 タンパク質の構造モデル 〈Lv.3〉
5.1リボンモデル/5.2サーフェスモデル(surfaceモデル,分子表面モデル)
6 タンパク質の変性 〈Lv.3〉
6.1熱による変性/6.2酸や塩基による変性
7 酵素 〈Lv.2〉
7.1酵素表面にある活性部位/7.2触媒作用/7.3酵素の反応速度/7.4補酵素/7.5酵素の阻害
8 タンパク質の消化と吸収 〈Lv.3〉
8.1タンパク質の消化酵素/8.2消化によって生じたアミノ酸の吸収
[MEMO] 異性体/L-アミノ酸とD-アミノ酸の違い/酸と塩基/タンパク質は動的で柔軟な構造をもつ/調理や胃酸による変性/消化酵素の触媒基
確認問題
§2 糖質の科学と消化・吸収のしくみ
1 化学物質としての糖質 〈Lv.2〉
1.1糖の定義/1.2単糖の種類/1.3単糖の構造式/1.4単糖の立体異性体
2 食物が含む糖質 〈Lv.2〉
3 デンプンの構造 〈Lv.3〉
3.1アミロースとアミロペクチン/3.2デンプンをつくるグリコシド結合
4 セルロースの構造 〈Lv.3〉
5 デンプンの消化 〈Lv.3〉
5.1αアミラーゼによる加水分解/5.2αアミラーゼの基質特異性/5.3αアミラーゼの最適pH
6 二糖の消化 〈Lv.3〉
6.1消化酵素による消化/6.2糖質の吸収─グルコースが細胞膜を通過するしくみ
[MEMO] 数を表す接頭辞/構造式は「手」が覚える/アミロースの立体構造/食後の血糖降下薬
確認問題
§3 脂質の科学と消化・吸収のしくみ
1 化学物質としての脂質 〈Lv.2〉
1.1分類/1.2トリアシルグリセロールの構造
2 脂肪酸 〈Lv.2〉
2.1特徴/2.2種類/2.3食品に含まれる脂肪酸/2.4構造式―書き方と命名法
3食品に含まれるトランス脂肪酸 〈Lv.3〉
3.1トランス脂肪酸の生成/3.2健康リスク
4 トリアシルグリセロールの消化 〈Lv.3〉
4.1膵臓の役割/4.2肝臓の役割/4.3消化酵素と胆汁酸
5 トリアシルグリセロールの吸収 〈Lv.3〉
5.1消化産物の吸収/5.2カイロミクロンの形成/5.3カイロミクロンの輸送
[MEMO] トリアシルグリセロールの炭素の番号の振り方/トランス脂肪酸の危険性/不飽和脂肪酸が常温で液体なのはなぜか/脂肪酸はエネルギーに富む/リポタンパク質複合体
確認問題
§4 核酸の科学と消化・吸収のしくみ
1 化学物質としての核酸 〈Lv.2〉
1.1ヌクレオチドの構造/1.2ヌクレオシドとヌクレオチドの名称/1.3ヌクレオチドの略称
2 DNAの構造 〈Lv.2〉
2.1ホスホジエステル結合/2.2高分子DNAの二重らせん構造
3 RNAの種類と構造 〈Lv.3〉
3.1細胞が含むRNA/3.2高分子RNAの構造
4 核酸の消化・吸収 〈Lv.3〉
4.1消化/4.2吸収
[MEMO] ヌクレオチドとビタミンを含む補酵素/核酸による紫外線の吸収とDNAの熱安定性/プリン塩基の代謝
確認問題
BASIC Chapter3 消化調節のしくみ
1 内分泌系による調節 〈Lv.4〉
1.1内分泌系を担うホルモン/1.2ホルモンの種類/1.3ホルモンの分泌様式/1.4ホルモンの受容体/1.5消化管ホルモン/1.6脳相,胃相,腸相における胃酸分泌の調節
2 神経系による調節 〈Lv.4〉
2.1神経系の構成と機能/2.2自律神経系の構成と機能/2.3自律神経系による消化管の調節
[MEMO] 基底顆粒細胞による食物の識別/神経細胞/腸管の自動能
確認問題
※以下ADVANCEDはWebに収載ADVANCED Chapter1 食物を食べる体のしくみ
§1 消化器系の構造と機能
1 腸管免疫系 〈Lv.5〉
1.1免疫とは/1.2免疫系の構成/1.3生体防御のしくみ/1.4感染過程における獲得免疫反応/1.5免疫記憶/1.6免疫寛容/1.7腸管免疫系
[MEMO] 多様な抗体がつくられるしくみ
確認問題
§2 栄養成分のゆくえ
1 浸透圧と物質の吸収と排出 〈Lv.4〉
1.1浸透圧/1.2電解質と浸透圧/1.3毛細血管における吸収と排出
2 代謝 〈Lv.4〉
2.1代謝の基本経路/2.2食物の摂食状況による代謝の変化
[MEMO] 浸透圧を表す単位「mOsm/L」とは/ネフローゼ症候群
確認問題
ADVANCED Chapter2 食物の科学と消化・吸収のしくみ
§1 タンパク質の科学と消化・吸収のしくみ
1 受動輸送と能動輸送による物質の運搬 〈Lv.4〉
1.1受動輸送/1.2能動輸送
2 アミノ酸の解離平衡,酸塩基平衡 〈Lv.5〉
2.1アミノ酸の解離とヘンダーソン・ハッセルバルヒの式/2.2酸塩基平衡と緩衝作用
3 酵素の反応速度論 〈Lv.5〉
3.1酵素の反応速度とミカエリス・メンテンの式/3.2ラインウィーバー・バークプロットとその活用
4 化学結合と分子の形 〈Lv.5〉
4.1共有結合と分子の形/4.2非共有結合と分子の形
[MEMO] 過呼吸による血液のpH変化/Km値が酵素と基質の親和性を表すのはなぜか/Km値の大きい酵素と小さい酵素の生理的な意義/形式電荷
確認問題
§2 糖質の科学と消化・吸収のしくみ
1 ヘミアセタール構造 〈Lv.5〉
1.1ヘミアセタールの形成反応による環状グルコースの生成/1.2ヘミアセタール構造と糖の還元性/1.3二糖と多糖の還元性/1.4還元糖による糖化タンパク質の形成
2 グルコースの吸収・排出 〈Lv.4〉
2.1SGLT1/2.2GLUT2/2.3吸収上皮細胞のナトリウムポンプ
[MEMO] 尿細管におけるグルコースの再吸収 W74/GLUTファミリー
確認問題
§3 脂質の科学と消化・吸収のしくみ
1 脂質と生体膜 〈Lv.4〉
1.1生体膜を構成するリン脂質/1.2さまざまな生体膜
2 脂質メディエーター 〈Lv.5〉
2.1脂質メディエーターの悪影響/2.2脂質メディエーターがつくられるしくみ
[MEMO] ホスファチジルコリンによる「ミセル」と「リポソーム」の形成/コレステロールとステロイドホルモン/抗炎症薬/ω3系脂肪酸によるアレルギー反応や炎症の抑制
確認問題
§4 核酸の科学と消化・吸収のしくみ
1 分子生物学のセントラルドグマ 〈Lv.5〉
1.1 ゲノムと遺伝子/ 1.2 遺伝子の複製/ 1.3 遺伝子の転写/ 1.4 mRNAの翻訳
[MEMO] 突然変異とコドン/mRNAの構造/非翻訳性RNAの重要性
確認問題
ADVANCED Chapter3 消化調節のしくみ
1 胃酸分泌を起こす細胞内シグナル伝達 〈Lv.5〉
1.1Gタンパク質共役型受容体(GPCR)とGタンパク質/1.2神経伝達物質やホルモンによる胃酸分泌
2 リン酸化反応によるシグナル伝達 〈Lv.5〉
2.1リン酸化がシグナルを伝えるしくみ/2.2タンパク質のリン酸化反応から学ぶこと
[MEMO] cAMPの発見/シグナル伝達OFFの重要性/カルシウムの重要性/トランスポーターやチャネルタンパク質の細胞内移動
確認問題
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書籍情報
- ISBN:9784758121811
- ページ数:168頁
- 書籍発行日:2025年7月
- 電子版発売日:2025年8月5日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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