- m3.com 電子書籍
- ポケット臨床知 血液疾患
商品情報
内容
シリーズ上板第一作は「血液疾患」をテーマに、非血液専門医が日常臨床において血液疾患を迷いなく診療するために十分な知の体系を提供する、濃やかな健筆に満ちた一本。血液疾患は不得手、苦手意識がある、ちょうどいい本がなくて困っていた……といった臨床家の悩みを一掃する好書の登場です。
経験豊富な著者ならではの気息の籠った簡潔明快な記述で、「症候」や「検査」など様々な角度から手早く引けて、忙中の実用に適います。「かくれ貧血」や「スポーツ貧血」など日常診療でしばしば出会うトピックから、「緊急時の対応」や「在宅」「緩和」まで幅広い場面を想定した構成で日々の臨床を支えます。そして、長くご愛用頂くことを念頭に、コンパクトな判型とビニールカバー装を採用しています。
血液診療の達人があなたに隣る、普段づかいの〈臨床知〉!
序文
推薦の序
一般に血液専門医以外の内科医にとって日進月歩の血液疾患は取っ付きにくい分野の一つであろう.私の場合,日常診療でよく目にする鉄欠乏性貧血や腎性貧血についてはともかく,白血病やリンパ腫の診断・治療についてはあまり携わる機会がないためか古い知識のまま固まってしまっている.かといって血液専門の書籍を読むのはハードルが高い…….
そんな私のような一般内科医(勤務医,開業医)や研修医にとって血液疾患の知識を得るのにちょうどよい書籍の一つがこの『ポケット臨床知 血液疾患』と言えるだろう.
まず全体の概要を「Pocket Piece」と「Perspective」から理解して,さらに深い知識を「Knowledge」で得ることが出来る.そして,それに対する対応を「Practice」のところで学ぶことも出来る.また,どのタイミングで血液専門医に紹介すべきかも示唆してくれる,頼もしい存在だ.
一般勤務医や研修医であれば血液疾患に詳しい先輩にアドバイスを求めることが出来るかも知れない.しかし,そのようなアドバイスを求める適切な人物が身近にいなくても,この書籍がその代わりを務めてくれるのだ.ややもすると独りよがりな診療になりがちな,私のような一般の開業医にとっても同じようにこの本に〈アドバイス〉を求めることが最良の診療につなげられる近道になるだろう.信頼できる先輩が傍にいるようなものだ.
症状や疾患別に記載されているので〈アドバイス〉を求めるのにそう時間はかからない.さらにこの書籍では他に「緊急の対応」や「日常診療でありがちな状況」についても別項を設けてある.前者には発熱性好中球減少症,高カルシウム血症,白血球著増症候群,過粘稠度症候群,腫瘍崩壊症候群,脊髄圧迫症候群,上大静脈症候群の急を要する7つの話題が,後者には健診の血液検査で異常と言われた場合の対応やスポーツ貧血,潜在性鉄欠乏症等々14の一般外来で緊急ではないが「ありがちな状況」についても触れてあり,親切な構成と言えるだろう.
そのうえ,輸血についても別の項目が用意され,さらに「在宅療法」と「緩和療法」についても詳述するなど通常の血液疾患の専門書とは異なり,一般の内科医にとって便利な実用書となっている.この本が多くの一般内科医が血液疾患診療を理解し対処する際の一助になることを期待してやまない.
医療法人 前田内科医院
前田賢司
総合診療専門医が日本専門医機構の基本領域に加わってから4年が経過した.超高齢社会のニーズに対応する新しい専門医ではあるが,その数はまだ限られており,多くの医療機関では,サブスペシャルティを持つ内科系医師が総合診療や一般内科外来を担当しているのが実情である.
血液内科を専門としない医師にとって,学生・研修医時代に接した血液疾患の多くは造血器腫瘍であり,「血液疾患=造血器腫瘍」というイメージが強いのではないだろうか.そのため,初診外来に血液疾患が疑われる患者が来ると戸惑ってしまうことがある.白血病を強く疑うような異常所見があれば速やかに血液内科へコンサルトできて安心だが,健診で白血球3,100/μL,血小板42万/μLといった軽度の異常が見つかった際には,判断に悩むことがある.また,高齢者の貧血のカットオフ値,リンパ節腫脹の精査基準など,血液疾患の軽症例においては対応に自信が持てない医師も多いのではないだろうか.
本書『ポケット臨床知 血液疾患』は,そうした日常診療に戸惑う医師を主要な読者として想定しており,一読すれば,血液専門医の見ている景色が驚くほどクリアに感じられるようになる.読み進める中で,日々の診療で接する血液疾患の多くが,実はプライマリ・ケアの領域であることに気づかされる.血液専門医の〈臨床知〉を伝授してもらうことで,これまで経験と勘に頼って対応していた患者にも,確かな根拠をもって説明できる自信がついた.
本書の構成も洗練されている.Chapter01「症候からのアプローチ」では,内科診断学的な観点から血液疾患を横断的に解説.Chapter02では「検査所見からのアプローチ」が示され,血液内科の診断プロセスが明快に整理されている.Chapter03は「疾患からのアプローチ」で,代表的な24疾患が丁寧に解説されており,各疾患の全体像が把握しやすい.Chapter04「緊急の対応」では,薬剤の用量や投与方法まで記載され,救急マニュアル的な実用性を備えている.Chapter05では「日常診療でありがちな状況」が取り上げられ,特に「潜在性鉄欠乏症」は印象深い.これは,貧血を伴わずに鉄欠乏症状が出現する病態であり,私が専門とする心不全領域でも,Cardio-Renal Anemia Iron Deficiency Syndrome(CRAIDS)として注目されている概念と重なる.さらに,Chapter 06では輸血,Chapter 07では在宅医療と緩和ケアにまで言及している.血液内科の教科書に「在宅医療」という章があること自体,画期的であり,著者の視野の広さを感じる.
総合内科,総合診療,家庭医療,救急に携わるすべての医師にとって,本書は心強い一冊となるだろう.複数の有名教育病院で総合診療にも関与してきた血液専門医による執筆だからこそ,日常臨床に即した内容となっているのだろう.血液疾患に苦手意識を持つ私自身も,本書を通じて,「総合診療のレンズで血液内科の世界を垣間見る」ことができ,明日からの診療に少し自信が持てるようになった.
東京科学大学病院 総合診療科
石田岳史
臨床現場において,血液疾患は専門性が高く,一般医家にとってハードルが高く,診断,治療が難しいことが多い.ひとたび診断がついてしまえば専門科に紹介して,その疾患の治療が開始できるが,患者ははじめから診断名をもって来院するわけではない.新患外来や救急外来,また在宅医療など第一線の現場においてファーストタッチした医師が,症候や検査データをどのようにアセスメントし診断していくかということが非常に重要である.例えば,不明熱の患者の精査で最終的に血液疾患と診断されることはさほど多くないが,症候,検査データから診断に必要なポイントを的確につかむことが出来れば,スムーズに紹介することが可能となる.
本書では,発熱を来す血液疾患としてリンパ腫,白血病だけでなく,発熱性好中球減少症や骨髄異形成症候群,血球貪食症候群なども鑑別疾患として記載されており,実臨床に必要なことがしっかりと網羅されている.特に,本書では臨床判断に必要なエッセンスが簡潔にまとめられており,学生,若手医師だけでなく,小生のようなベテラン医師が読んでも非常にわかりやすい内容となっている.
さらに,本書では,一般臨床家が取りつきやすいように平易な内容から構成されており,かつ専門的なことも盛り込まれている.一般医家が最も遭遇する貧血についても非常にわかりやすく症状や身体所見から記載されている.例えば,「眼瞼結膜の診察」について,「下眼瞼結膜全体が一様に蒼白な色調になる所見の診断的価値が高い」「貧血のない状態では,下眼瞼結膜は手前側が赤く眼球に近い結膜が蒼白になる」といった内容は,我々臨床医が普段あまり意識していないことである.
また,リンパ節腫脹についての記述も非常に実践的でわかりやすい.内科外来にリンパ節腫脹を主訴に来院する患者は非常に多い.「Knowledge」に記載されているように,若年者の場合,大多数は反応性リンパ腫腫脹であり,時間経過とともに軽快していく.「局所性リンパ節腫脹のアプローチ」の図がわかりやすく,とても実践的な内容である.現場で困ったときだけでなく,知識の確認,ブラッシュアップのために通読するのにも適した本であり,血液疾患への苦手意識を減らすことができるよい内容で構成されている.
さいたま赤十字病院 総合臨床内科
江口和男
目次
Chapter 00 臨床知とは何か
01 臨床知とは何か
02 血液とは何か
Chapter 01 症候からのアプローチ
01 問診・身体診察
02 発熱
03 疲労感・全身倦怠感
04 体重減少
05 貧血
06 黄疸
07 舌の症候
08 喉の症候
09 リンパ節腫脹
10 浮腫
11 呼吸困難
12 動悸
13 胸痛
14 腹痛
15 脾腫
16 血尿
17 頭痛
18 意識障害
19 骨格・筋肉の痛み
20 出血傾向
21 凝固傾向(血栓傾向)
Chapter 02 検査所見からのアプローチ
01 検査所見のみかたと考え方
02 貧血
03 赤血球増加症(多血症)
04 白血球減少
05 白血球増多
06 白血球分画異常
07 血小板減少
08 血小板増多
09 汎血球減少
10 凝固検査異常
11 血清蛋白の異常
Chapter 03 疾患からのアプローチ
01 鉄欠乏性貧血
02 慢性疾患に伴う貧血(ACD)
03 溶血性貧血
04 巨赤芽球性貧血
05 再生不良性貧血(AA)
06 赤芽球癆(PRCA)
07 急性骨髄性白血病(AML)
08 急性前骨髄球性白血病(APL)
09 急性リンパ性白血病(ALL)
10 骨髄異形成症候群(MDS)
11 慢性骨髄性白血病(CML)
12 骨髄増殖性腫瘍(MPN)
13 Hodgkin リンパ腫(HL)
14 非Hodgkin リンパ腫(NHL)
15 慢性リンパ性白血病(CLL)
16 成人T細胞性白血病/リンパ腫(ATL)
17 血球貪食性リンパ組織球症(HLH)
18 多発性骨髄腫(MM)
19 マクログロブリン血症
20 免疫性血小板減少症(ITP)
21 血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)+溶血性尿毒症症候群(HUS)
22 播種性血管内凝固(DIC)
23 血友病
24 von Willebrand 病(VWD)
Chapter 04 緊急の対応
01 血液疾患と緊急の対応
02 発熱性好中球減少症(FN)
03 高カルシウム血症
04 白血球著増症候群
05 過粘稠度症候群
06 腫瘍崩壊症候群(TLS)
07 脊髄圧迫症候群
08 上大静脈症候群(SVCS)
Chapter 05 日常診療でありがちな状況
01 血算が「要精査」判定の健康診断結果を持って受診した
02 慢性の軽度の血球減少
03 薬剤性血球減少症
04 高齢者の貧血
05 スポーツ貧血(アスリート貧血)
06 潜在性鉄欠乏症(かくれ貧血)
07 妊娠時の血液所見
08 血液検査で抗HTLV-1抗体陽性と診断された
09 関節リウマチ患者のリンパ節が腫脹してきた
10 術前検査でAPTTが延長していた
11 血小板が少ないが手術や侵襲的処置をしても大丈夫?
12 血小板が少ない患者の抗血栓療法,抗凝固療法はどうする?
13 血液疾患患者がインフルエンザワクチンや新型コロナウイルス(COVID-19)ワクチンを希望して受診した
14 脾摘後の患者が感冒様症状で受診した
Chapter 06 輸血療法
01 輸血療法
Chapter 07 在宅医療と緩和医療
01 在宅医療
02 緩和医療
あとがき
文献案内
索引
著者略歴
便利機能
- 対応
- 一部対応
- 未対応
- 全文・
串刺検索 - 目次・
索引リンク - PCブラウザ閲覧
- メモ・付箋
- PubMed
リンク - 動画再生
- 音声再生
- 今日の治療薬リンク
- イヤーノートリンク
- 南山堂医学
大辞典
リンク
- 対応
- 一部対応
- 未対応
対応機種
iOS 最新バージョンのOSをご利用ください
外部メモリ:29.3MB以上(インストール時:107.1MB以上)
ダウンロード時に必要なメモリ:117.1MB以上
AndroidOS 最新バージョンのOSをご利用ください
外部メモリ:29.3MB以上(インストール時:107.1MB以上)
ダウンロード時に必要なメモリ:117.1MB以上
- コンテンツのインストールにあたり、無線LANへの接続環境が必要です(3G回線によるインストールも可能ですが、データ量の多い通信のため、通信料が高額となりますので、無線LANを推奨しております)。
- コンテンツの使用にあたり、m3.com電子書籍アプリが必要です。 導入方法の詳細はこちら
- Appleロゴは、Apple Inc.の商標です。
- Androidロゴは Google LLC の商標です。
書籍情報
- ISBN:9784911284049
- ページ数:488頁
- 書籍発行日:2025年8月
- 電子版発売日:2025年8月29日
- 判:B6変型
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
お客様の声
まだ投稿されていません
特記事項
※ご入金確認後、メールにてご案内するダウンロード方法によりダウンロードしていただくとご使用いただけます。
※コンテンツの使用にあたり、m3.com 電子書籍アプリが必要です。
※eBook版は、書籍の体裁そのままで表示しますので、ディスプレイサイズが7インチ以上の端末でのご使用を推奨します。


