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- 身体拘束最小化はアセスメントが9割
商品情報
内容
序文
はじめに
身体拘束対策と課題
2024年度の診療報酬改定により、病院における「身体拘束の最小化」が、これまで以上に重く問われるようになりました。従来から課題とされてきたこのテーマは、この改定でさらに明確に打ち出され、急性期・回復期・慢性期といったすべての病棟において「身体拘束を最小限にするための体制を整えること」が求められています1)。
とくに注目すべきは、“治療上やむを得ない”と認識されていた救急病棟やICU のようなクリティカルな領域においても、身体拘束を致し方ないものとせず、組織的に身体拘束の最小化を推進する姿勢です。
まず、身体拘束とは「ベルト・紐・椅子・抑制帯・つなぎといった拘束のための道具を用いて対象者の体の一部あるいは全身の動作の自由を制限すること」2)と定義されています。この身体拘束は、患者さん本人または他者の生命や安全を守るために3要件をすべて満たすことで初めて正当化されます( )。
しかし、この3原則すべてに該当したとしても、一度身体拘束が行われると、せん妄や認知症の悪化を招きやすく、解除が困難となり、漫然と続けてしまう状況を引き起こすことも少なくありません。さらに深刻なのは、漫然と続けられる身体拘束によって、看護師をはじめとする医療従事者の「人の尊厳」に対する意識や感性が鈍麻してくるという点です3)。
新たな視点「トリプルロック」
近年では、身体拘束に関する考え方として、「ドラッグロック」や「スピーチロック」という概念にも注目が集まりはじめています。
ドラッグロックとは、過量または不適切な薬物使用による患者の行動を制限するといった意味をもちます。スピーチロックとは、「動かないで」「私がするのでしないで」などの言葉によって、患者さん自身の能動的な行動を制限することです。
これらはどちらも、患者さんの自立性や尊厳を奪いかねない行動制限ですが、医療の現場においては十分に認識されていないのが現状です。本書では、フィジカルロック・ドラッグロック・スピーチロック、この3つを総じて「トリプルロック」と呼び、それぞれを以下のように定義します( )。
目に見えやすいフィジカルロックを回避できたとしても、薬物や言葉による無意識の身体拘束によって患者さんの意思や自立性を妨げてしまっては本末転倒です。これら3つのロックは相互に関連しており、患者さんの自立を支えるのは、一体的に見直すべき視点です。とくに、フィジカルロックは目に見える拘束として認識されやすい一方で、ドラッグロックやスピーチロックは気づかないうちに行われていることが多いため、組織での意識改革も必要です。
しかし、ここで1つ組織として考え直さなければいけないことがあります。それは身体拘束への取り組みは「看護師独自の取り組み」では成り立たないということです。他職種や組織を巻き込んだチーム全体での、身体拘束の最小化に向けた体制づくりや協働こそ、現代の医療現場では重要視すべきことです。
本書では、身体拘束のきっかけとなりやすい点滴・胃管・尿道カテーテル、さらには転倒・転落といった具体的な場面に注目しました。それぞれの領域の専門看護師や認定看護師による専門的な視点から、チームで取り組むべき多職種連携についても紹介します。さらに、トリプルロックを各側面から解説し、身体拘束の最小化に向けた考え方を提供します。
本書が、身体拘束の予防・最小化に取り組むすべての方にとっての実践的なガイドとなり、日々の看護に、そして教育や研修の現場にも広く活用いただけることを願っています。本書の執筆や制作にかかわっていただいた皆様のご協力に、深く感謝申し上げます。
1)厚生労働省(2024).令和6年度診療報酬改定の概要,https://www.mhlw.go.jp/con-tent/12400000/001238907.pdf,(2025年6月閲覧).
2)World Health Organization.( 2019). Strategies to end seclusion and restraint: WHO Quality Rights Specialized training: course guide. https://apps.who.int/iris/handle/10665/329605,(2025年6月閲覧).
3)鈴木みずえほか.認知症plus:身体拘束予防.東京,日本看護協会出版会,2020,2-10.
2025年7月
育和会記念病院・訪問看護リハビリステーションたもつ/ 認知症看護認定看護師
白石朱美
目次
【第1章 フィジカルロックの防止はアセスメントが9割】
・1 フィジカルロックとはなにか~目に見える身体拘束の奥にあるもの~
・2 点滴の自己抜去予防はアセスメントが9割
[9割で語りきれない1割のハナシ1]
フィジカルロックがない世界:多職種のチームで働く介護施設が大切にしていること
・3 胃管の自己抜去予防はアセスメントが9割
[9割で語りきれない1割のハナシ2]
認知症終末期における「Comfort Feeding Only」と経管栄養を選ばない尊厳の守り方
・4 尿道カテーテル抜去予防はアセスメントが9割
・5 オムツ装着患者さんに対する身体拘束の回避は多職種連携が9割
[9割で語りきれない1割のハナシ3]
急性期病院の身体拘束回避の考え方
・6 医療機器を外してしまう患者さんのフィジカルロック回避は多職種連携が9割
・7 酸素外れ予防はアセスメントが9割
[9割で語りきれない1割のハナシ4]
小児の身体拘束の実態~看護師と家族の葛藤~
・8 ドレーン/縫合に関するフィジカルロックの予防はアセスメントが9割
[9割で語りきれない1割のハナシ5]
“安全”vs“尊厳”の綱引きの合意点-「同じ船に乗る」ワンチームへ・9 転倒・転落リスクに対するフィジカルロック防止はアセスメントが9割
[9割で語りきれない1割のハナシ6]
身体拘束に頼らない組織文化をつくる
【第2章 ドラッグロックの防止は薬の理解と観察が9割】
・1 ドラッグロックは薬剤による身体拘束
・2 ドラッグロックの防止は観察とアセスメントが9割
・3 薬剤投与は開始のタイミングの見きわめが9割
・4 薬剤使用後は経時的な評価が9割
[9割で語りきれない1割のハナシ7]
身体拘束を減らしたければ医療安全を知ろう
【第3章 スピーチロックの防止は聞く力・伝える力が9割】
・1 スピーチロックは言葉による身体拘束
・2 繰り返し訴える患者さんへのスピーチロックの回避は背景のアセスメントが9割
・3 残存能力を奪いかねないスピーチロックの回避は行動背景の理解が9割
・4 夜中に起きている患者さんへのスピーチロックの回避は相談しやすい雰囲気づくりが9割
・5 患者さんのペースを尊重できないスピーチロックの回避は待ちの姿勢が9割
[9割で語りきれない1割のハナシ8]
チームマネジメント~現場のつらさを知ったうえで教育を考えていく
【第4章 身体拘束最小化は事例での具体的なイメージが9割】
・1 ICU患者さんへの身体拘束の回避
・2 急性期病棟患者さんへの身体拘束の回避
・3 回復期リハ病棟患者さんへの身体拘束の回避
[9割で語りきれない1割のハナシ9]
看護界を担うスタッフへ~亡き母が身体拘束されたときの娘の思い
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書籍情報
- ISBN:9784840488259
- ページ数:144頁
- 書籍発行日:2025年9月
- 電子版発売日:2025年8月29日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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