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- ハイリスク薬のリスクマネジメント インシデント・医療事故を防ぐための管理と記録(月刊薬事 2025年7月増刊号 Vol.67 No.10)
商品情報
内容
インシデントや医療事故を防止し、安全な薬物療法を支援することは、薬剤師の基本的な業務です。特に、ハイリスク薬については、薬剤師による積極的な管理と他職種への情報提供が非常に重要です。
本増刊号では、インシデントや医療事故を防ぐための薬剤管理の基本、注意が必要な局面でのハイリスク薬の管理方法、そして他職種への情報提供や記録のポイントについて紹介します。
序文
序
近年,医療の高度化・多様化・複雑化に伴い,薬物治療における安全性の確保はこれまで以上に重要性が増しています。特に,使用方法を誤った場合に患者に重大な被害を及ぼす可能性の高い「ハイリスク薬」の調剤・調製・投与においては,各場面で細心の注意が求められます。医療事故調査・支援センターが発行した「医療事故の再発防止に向けた提言(第15号)薬剤の誤投与に係る死亡事例の分析」では,分析対象となった36例中29例がハイリスク薬によるものであったと報告されています1)。また,腎機能・肝機能障害患者,肥満患者,高齢者,妊婦・授乳婦,小児などの「特定の背景を有する患者」に対する薬物治療では,薬物動態や薬力学の変化により,過量投与による有害事象,あるいは過小投与による効果不十分といったリスクが潜んでいます。こうしたリスクを適切に把握できなかった場合,または把握していたとしても判断を誤った場合には,重大なインシデントへとつながるおそれがあります。
このような背景のもと,薬剤師には薬物治療の専門家として,患者個々の病態や併用薬,社会的背景を含めた多角的なリスクアセスメントを実施し,チーム医療の一員として医療スタッフに対して的確な情報提供を行うことが求められています。さらに,薬剤師が患者およびその家族に対する服薬指導や教育の中心的役割を担い,服薬アドヒアランスの向上や薬物治療に伴う有害事象の早期発見に積極的に関与することも極めて重要です。
本増刊号は,安全な薬物治療を実践するためのリスクマネジメントを主軸に,「基本編」と「応用編」の二部構成としました。薬剤師がインシデントを未然に防ぐために必要な知識,判断力,対応力を解説し,実臨床で頻発しやすいインシデント事例や事前のリスク把握に役立つポイント,患者教育における留意事項なども取り上げ,現場ですぐに役立つ実践的な内容を盛り込みました。
薬剤師が専門性を最大限に発揮し,安全かつ質の高い薬物治療を提供するために,本書が臨床現場に立つすべての薬剤師にとって有益な一冊となれば幸いです。
1) 一般社団法人日本医療安全調査機構 医療事故調査・支援センター:医療事故の再発防止に向けた提言 第15号 薬剤の誤投与に係る死亡事例の分析,2022
2025年7月
北里大学病院医療安全推進室
冨澤 淳
目次
第1章 基本編 安全な薬物治療を行うためのリスクマネジメント:調剤から投与時まで
1.調剤時のリスクマネジメント
2.抗がん薬の調製におけるリスクマネジメント
3.医薬品マスタ管理におけるリスクマネジメント
4.代替薬使用時のリスクマネジメント
5.定数配置薬の使用に関わるリスクマネジメント
6.持参薬の使用に関わるリスクマネジメント
7.注射投与時のリスクマネジメント
8.簡易懸濁法における経管投与時のリスクマネジメント
第2章 基本編 安全な薬物治療を行うためのリスクマネジメント:特殊病態
1.新生児(NICU)
2.小児全般(新生児以外)
3.妊婦(ハイリスク妊娠含む)
4.肥満患者
5.高齢者(フレイル、サルコペニア含む)
6.腎機能障害患者(慢性腎臓病、透析患者含む)
7.肝細胞障害・肝機能障害患者(肝不全患者含む)
第3章 応用編 安全な薬物治療を行うためのリスクマネジメント:ハイリスク薬
1.投与方法やスケジュールが複雑な抗がん薬
2.支持療法が必要な抗がん薬
3.感染症リスクに注意したい分子標的薬(mTOR阻害薬)
4.腎・神経毒性のある免疫抑制薬(カルシニューリン阻害薬)
5.免疫関連有害事象(irAE)に注意したい免疫チェックポイント阻害薬
6.人工弁置換術後のワルファリン
7.心房細動、静脈血栓塞栓症に対する経口抗凝固薬
8.急性冠症候群(ACS)、一過性脳虚血発作(TIA)、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)などに対する抗血小板薬2剤併用療法(DAPT)
9.新規抗てんかん発作薬
10.統合失調症治療薬の投与管理
11.インスリン製剤の管理と患者教育
12.注射用カリウム製剤
13.オピオイドスイッチング
14.局所麻酔薬(キシロカインなど)
15.抗HIV薬
16.拮抗薬
17.HIF-PH阻害薬
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書籍情報
- ISBN:9784020006710
- ページ数:288頁
- 書籍発行日:2025年7月
- 電子版発売日:2025年9月6日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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