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CAR-T細胞療法のトリセツ 改訂2版 チームCAR-Tでの取り組み 細胞療法運用学入門

  • ページ数 : 234頁
  • 書籍発行日 : 2025年9月
  • 電子版発売日 : 2025年9月4日
¥3,190(税込)
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商品情報

内容

CAR-T細胞療法に携わるすべての方へ
事前準備から細胞調製の実際,適応判断から投与後の合併症管理まで,紹介元施設やCAR-T実施施設で行うすべてのプロセスを,医師・看護師・臨床検査技師など多様な職種からなる本治療のトップランナー「京大病院『チームCAR-T』」が解説した好評書の改訂版.「連携強化」,「運用最適化」,「治療効果向上」のノウハウがさらに進化し,最新の実践入門書として生まれ変わりました.

序文

改訂2版の刊行にあたって


2023年夏に初版を出版し,およそ2年が経過しました.この間,新規のCAR-T細胞療法製品の承認はなかったものの,施設数の拡大,製造枠の増加などにより,本邦でのCAR-T細胞療法症例数は着実に増えています.

一方,二重特異性抗体など,新しいコンセプトの薬剤の登場もあり,CAR-T細胞療法の前後で使用される薬剤の選択肢が広がり,治療全体にわたってより詳細な検討と個別化された治療戦略が求められるようになり,CAR-T細胞療法の医学的な位置付けも,微修正が繰り返されてきました.さらには,新型コロナウイルスのパンデミックや働き方改革などにより,多くの病院で「収益」がより重視されるようになり,そもそもCAR-T細胞療法が経営的に良いのか悪いかという議論も活発となり,受入可能な患者数などのシミュレーションが行われ,CAR-T細胞療法の医療的な位置づけも変化しつつあります.また,医療的な位置づけ問う意味では,全国に実施可能な施設が広がったとはいえ,未だCAR-T実施施設を有しない都道府県も存在し,実際の医療としてのCAR-T細胞療法の位置づけは,改善の余地があると考えます.

このような医学的・医療的な状況の変化の中でも,CAR-T細胞療法にとって最も重要なことは,本書の軸となるテーマである「連携」であると,改めて強く感じています.CAR-T施設内での連携,CAR-T施設間での連携,患者紹介元・紹介先施設での連携,学会間の連携,製造販売メーカーとの連携,規制当局との連携など,多くの連携を網の目のように張り巡らすことによって,少々の状況変化にも動揺しない,頑健性の強いシステムが構築され,これこそが,安定したCAR-T細胞療法の運用に不可欠であると考えています.

今回の改訂では,テーマとしての軸はブレさせることなく維持し,その上でこの2年間の変化と,向こう数年の未来を織り込む形で,内容をアップデートいたしました.今後,CAR-T細胞療法は,血液がんだけでなく,固形がんや自己免疫疾患など,より広範な疾患への応用が期待されています.製造技術の進歩により,より効率的で低コストなCAR-T細胞療法の開発も進むと考えられます.京都大学医学部附属病院「チームCAR-T」による「現在の認識」と「これからの予測」を是非お目通し頂き,皆様のご認識との比較をご堪能いただけましたら幸いに存じます.


2025年6月

 京都大学医学部附属病院 病院長・血液内科教授
日本血液学会 理事長
高折晃史

目次

CHAPTER 1: CAR-T細胞療法の基礎知識

1-1造血器腫瘍における新規治療の必要性

1 造血器腫瘍発症のメカニズム〈城 友泰 高折晃史〉  

▶がん遺伝子の活性化とがん抑制遺伝子の不活化の機序

▶B細胞の分化成熟と発がん

▶B細胞腫瘍に発現する抗原の特異性とCAR-T療法

2 B細胞リンパ腫における化学療法の現状〈錦織桃子〉  

▶びまん性大細胞型B細胞リンパ腫

▶濾胞性リンパ腫

3 B細胞腫瘍における新規治療〈錦織桃子〉  

▶免疫チェックポイント阻害薬

▶二重特異性抗体

▶その他の新規治療薬

1-2CAR-Tの基本

1 CAR-Tの構造とその作用機序〈城 友泰〉

▶キメラ抗原受容体(CAR)の構造とCAR-T細胞

▶CAR-T細胞の作用機序

2 CAR-T臨床応用の歴史〈城 友泰〉

▶CAR開発以前の免疫療法

▶CARの初期開発

▶CARの改良

▶B細胞腫瘍に対するCD19標的CAR-T細胞療法の開発

▶開発中の新規CD19標的CAR-T製剤

▶その他の標的抗原に対するCARの開発

3 保険診療で使用可能な製剤とその特徴〈城 友泰〉

▶CD19を標的とするCAR-T細胞療法

▶BCMAを標的とするCAR-T細胞療法

CHAPTER 2: CAR-T細胞療法導入の準備

2-1採用準備と施設監査

1 チーム立ち上げの必要性と各メンバーの役割〈新井康之〉

▶細胞療法センターの設立

▶チームCAR-Tの立ち上げと任務

▶臨床現場におけるチームCAR-T内での情報共有

2 施設維持のための文書管理〈松井恵子〉

▶ノバルティスファーマ社によるGlobal Auditの経験から

▶文書管理体系の確立

▶施設維持のための手順書と記録書

▶CAR-T細胞療法の実施のための文書管理

3 FACTやISOに基づいたQMS〈松井恵子〉

▶CAR-T細胞療法における医療機関の位置づけと品質管理

▶FACTやISOに基づくQMS

▶品質リスクマネジメント

2-2臨床現場での準備

1 準備すべき手順書や記録書〈新井康之〉

▶アフェレーシスに関する手順書・記録書

▶細胞調製に関する手順書・記録書

▶細胞取り扱いに関する手順書・記録書

▶細胞投与やその後の経過観察に関する手順

▶細胞療法運用全体に関する手順

2 他施設や製薬会社との連携〈新井康之〉

▶施設間連携の重要性

▶製薬会社との連携の重要性

2-3適格性と患者選択

1 保険診療上の適格性と施設における受入基準〈新井康之〉

▶B細胞性急性リンパ芽球性白血病(B-ALL)

▶悪性リンパ腫

▶多発性骨髄腫

2 患者紹介のタイミングと日程調整〈新井康之〉

▶患者紹介の最適化

CHAPTER 3: アフェレーシスと細胞調製

3-1アフェレーシス

1 リンパ球アフェレーシスの原理と手技〈吉田和広〉

▶バスキュラーアクセス

▶準備とプライミング

▶採取原理と採取の実際

▶装置関連のトラブルシューティング

2 アフェレーシスの計画と効率化〈城 友泰〉

▶アフェレーシスの計画

▶アフェレーシス効率化の取り組み

3 CAR-Tアフェレーシス中の看護〈片山智元 村崎真紀子〉

▶準備

▶患者入室

▶実施中の観察:アフェレーシスの合併症

▶実施中の介助:体動制限などによる安楽障害・ADL低下

▶終了後

3-2細胞調製

1 単核球の分離と凍結〈丹羽紀実〉

▶遠心

▶上清除去

▶凍結保護液作成

▶凍結保護液添加,凍結バッグへの分注

▶凍結

2 アフェレーシス産物の品質管理と記録〈丹羽紀実〉

▶アフェレーシス終了から単核球分離まで

▶単核球分離中

▶プログラムフリーザーでの凍結保存

▶凍結保存終了から出荷まで

3 CD3測定の標準化〈渡邉珠緒〉

▶機器・要員の管理

▶検査実施

CHAPTER 4: CAR-T細胞療法前の管理

4-1製造

1 製造状況の確認と製造不良の予測〈城 友泰〉

▶製造状況の確認

▶製造不良の予測

2 規格外製品治験の準備と運用〈松山倫子〉

▶規格外製品とは何か

▶規格外製品提供に関する規制

▶規格外製品治験立ち上げのポイント

▶スムーズな移行・実施のためのコツ

4-2投与前治療

1 ブリッジング療法の内容とタイミング〈新井康之 山際岳朗〉

▶化学療法の種類

▶化学療法のタイミング

▶放射線療法

2 リンパ球除去化学療法と処方監査〈谷口理沙〉

▶リンパ球除去化学療法の目的

▶リンパ球除去化学療法の用法・用量とハイドレーション

▶腎機能低下時の減量

▶併用に注意する薬剤

CHAPTER 5: CAR-T細胞投与後の管理

5-1投与直後から急性期の管理

1 投与管理と観察項目〈福田裕子〉

▶CAR-T細胞療法の主な副作用

▶投与管理

▶副作用管理(観察項目)

2 投与直後の観察と急性期対応〈諫田淳也〉

▶サイトカイン放出症候群(CRS)

▶免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群(ICANS)

▶アナフィラキシー

▶腫瘍崩壊症候群(tumor lysis syndrom, TLS)

▶偽増悪(pseudo-progression)

3 CAR-T細胞療法後のICU管理〈平松英文〉

▶CAR-T細胞療法の臨床応用

▶ELIANA 試験における知見

▶Tisagenlecleucelの市販後の評価

▶CAR-T細胞療法の主たる合併症であるCRS

▶ICU管理に対する準備

▶重症CRSの経過とマネージメントの実際

Column CAR-T療法後の重症化と集中治療〜集中治療医の見地から〈甲斐慎一〉

5-2投与後中長期の対応

1 治療効果判定と後治療〈北脇年雄〉

▶大細胞型B細胞リンパ腫におけるCAR-T療法後の治療効果判定と後治療

▶FLにおけるCAR-T療法後の治療効果判定と後治療

▶B-ALLにおけるCAR-T療法後の治療効果判定と後治療

▶多発性骨髄腫におけるCAR-T療法後の治療効果判定と後治療

2 血球減少と免疫不全〈北脇年雄〉

▶CAR-T療法後の血球減少

▶CAR-T療法後の免疫不全

3 CAR-T細胞療法後のリハビリテーション〈濱田涼太〉

▶CAR-T細胞療法患者に対するリハビリテーション

▶CAR-T細胞療法患者の身体機能の特徴および治療前後の変化

Column 退院後も注意が必要な副作用〈福田裕子〉

CHAPTER 6: 細胞療法の未来

6-1構築すべきシステム

1 細胞療法におけるデジタルトランスフォーメーション〈新井康之〉

▶細胞療法におけるDXの例

▶今後の課題

2 細胞療法における医療安全〈山本 崇〉

▶新薬に関するリスク

▶集中治療室入室に関する体制

▶説明および同意の取得に関する体制

▶適応外使用に関する体制

▶不具合に関する対応

3 OJTに基づいた人材教育〈松井恵子〉

▶OJTとは

▶特定細胞加工物等製造施設(CCMT)での取り組み

▶OJTとPDCAサイクル

▶細胞療法を促進するために

6-2将来展望

1 新規細胞療法の臨床開発〈島津 裕 中島貴子〉

▶固形がんCAR-T療法の開発状況

▶CAR-T細胞のoff-the-shelf製剤

▶当院の取り組み,固形がん細胞療法チームの結成

2 リアルワールドデータ解析による治療成績の向上〈新井康之〉

▶臨床現場からのクリニカルクエスチョン

▶投与後の凝固異常症

▶投与後の電解質異常

▶再発予測

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書籍情報

  • ISBN:9784498225459
  • ページ数:234頁
  • 書籍発行日:2025年9月
  • 電子版発売日:2025年9月4日
  • 判:A5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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