健康危機下で必要となるコンピテンシー

  • ページ数 : 108頁
  • 書籍発行日 : 2025年9月
  • 電子版発売日 : 2025年10月1日
¥2,420(税込)
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商品情報

内容

健康危機下で誰が、どのような行動をとるべきか?本書にこれらの答えがある――
大規模災害や感染症の緊急事態で問われる、命を守る「行動力」と「備え」。本書は欧州CDCが示した「健康危機下のコンピテンシー」を日本の現場に照らし、必要な知識・スキル・行動を体系的に解説しています。
「誰が、いつ、何をすべきか?」という問いに、医療・行政・教育の垣根を越えて答えた実践の書です。
我が国での体系的な健康危機管理教育の第一歩となる公衆衛生の未来を担う人材必読の画期的な一冊、ぜひご覧ください!

序文

訳者序文
我が国の動向を踏まえた本書の意義

このたび欧州疾病予防管理センター(European Centre for DiseasePrevention and Control:欧州CDC)による『Public health emergencypreparedness - Core competencies for EU Member States』を『健康危機下で必要となるコンピテンシー』として翻訳、ご紹介できることを大変嬉しく、光栄に感じている。

日本国内の30年をPublic health emergency(公衆衛生の緊急事態)の視点で振り返ると、自然災害と感染症に厳しく対峙し、新たな組織、制度、そして人材を生み出す経験の積み重ねであった。1995年1月17日の阪神・淡路大震災では建物倒壊の被害者救命のため救急医療の必要性が叫ばれ、2005年のDMAT (DisasterMedical Assistance Team:災害派遣医療チーム)誕生の萌芽となった。2011年3月11日の東日本大震災では地震に続く津波と原発事故の複合災害により、広範囲、長期間にわたって災害関連死や二次的な健康被害の最小化、復興に向けた支援が必要となり、2017年にDHEAT(Disaster Health Emergency Assistance Team:災害時健康危機管理支援チーム)が生まれた。現在ではJMAT(JapanMedical Association Team:日本医師会災害医療チーム)、DPAT(Disaster Psychiatric Assistance Team:災害派遣精神医療チーム)、DWAT(Disaster Welfare Assistance Team:災害派遣福祉チーム)、JRAT(Japan Disaster Rehabilitation Assistance Team:日本災害リハビリテーション支援チーム)、JDA-DAT(The Japan Dietetic

このたび欧州疾病予防管理センター(European Centre for DiseasePrevention and Control:欧州CDC)による『Public health emergencypreparedness - Core competencies for EU Member States』を『健康危機下で必要となるコンピテンシー』として翻訳、ご紹介できることを大変嬉しく、光栄に感じている。

日本国内の30年をPublic health emergency(公衆衛生の緊急事態)の視点で振り返ると、自然災害と感染症に厳しく対峙し、新たな組織、制度、そして人材を生み出す経験の積み重ねであった。1995年1月17日の阪神・淡路大震災では建物倒壊の被害者救命のため救急医療の必要性が叫ばれ、2005年のDMAT (DisasterMedical Assistance Team:災害派遣医療チーム)誕生の萌芽となった。2011年3月11日の東日本大震災では地震に続く津波と原発事故の複合災害により、広範囲、長期間にわたって災害関連死や二次的な健康被害の最小化、復興に向けた支援が必要となり、2017年にDHEAT(Disaster Health Emergency Assistance Team:災害時健康危機管理支援チーム)が生まれた。現在ではJMAT(JapanMedical Association Team:日本医師会災害医療チーム)、DPAT(Disaster Psychiatric Assistance Team:災害派遣精神医療チーム)、DWAT(Disaster Welfare Assistance Team:災害派遣福祉チーム)、JRAT(Japan Disaster Rehabilitation Assistance Team:日本災害リハビリテーション支援チーム)、JDA-DAT(The Japan Dietetic理」が位置付けられ、学習事項として「リスクコミュニケーション」が明記された。「公衆衛生の緊急事態・健康危機」と「リスクコミュニケーション」をつなげる取り組みの重要性と、専門家に限らず医師として学ぶべき必須事項としての認識が定着してきたと言えるであろう。京都大学では2023年度より共訳者の蝦名を中心に公衆衛生大学院である社会健康医学系専攻で「公衆衛生の緊急事態におけるリスクコミュニケーション」を開講し、熱心な受講生が集まってディスカッションを深めている。また2024年には医学研究科にヘルスセキュリティセンターが新設され、自然災害やサイバーテロ、パンデミック、CシーバーンBRNE(化学・生物・放射性物質・核・爆発物などによる災害・人材・大事故)災害を視野に入れ、全学諸部門と連携して研究と専門家育成の体制作りを進めている。重要ではあるけれども限られた専門家のみが向き合ってきた課題が、急速に社会に広く共有され、さまざまな段階でシステムの再構築が確実に始まりつつある。

本書が我が国における公衆衛生の緊急事態、健康危機管理におけるリスクコミュニケーションの計画・実践に求められるコンピテンシーを考える資料として、そのような大きな動きの中で役立っていくことを願い、序文とさせていただく。


中山健夫 京都大学大学院医学研究科 社会健康医学系専攻 健康情報学分野 教授
同 ヘルスセキュリティセンター 教授


訳者序文
原著との出逢いと読みどころ

前例のない危機が発生するたびに、私はヘルス・リスクコミュニケーションの専門家として、政府や自治体、国際機関などの依頼を受け、助言や支援を提供してきた。携わった公衆衛生の緊急事態としては、旧ユーゴ紛争、東日本大震災・福島第一原子力発電所事故、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックがある。

COVID-19パンデミック下では、「公衆衛生の緊急事態」という状況に適したリスクコミュニケーションがとれる人材の育成に尽力し、本分野におけるテキスト2冊i, iiを緊急出版した。

また、2023年に内閣官房内に設置された内閣感染症危機管理統括庁の委託調査研究事業「感染症危機におけるリスクコミュニケーションに関する研究」(2023-2024年度)(受託者:株式会社三菱総合研究所)の委員を務め、その成果物である『感染症危機に備えたリスクコミュニケーションマニュアル』 iii の作成にも貢献した。

京都大学大学院では2023年度より、医学研究科社会健康医学系専攻(公衆衛生大学院)において、科目「公衆衛生の緊急事態におけるリスクコミュニケーション」が開講した。本科目は、計8コマ、実質12時間で、健康危機に特化したリスクコミュニケーションが学べる集中コースである。本書共訳者の中山健夫教授が責任者を、私が担当講師を務めている。これは、我が国の公衆衛生大学院において、「公衆衛生の緊急事態」という状況に適したリスクコミュニケーション教育の第一歩が踏み出されたことを意味する画期的な出来事と言える。さらに本科目は、2025年度より開設された「健康危機管理基盤プログラム」の履修科目のひとつに位置付けられた。

さて公衆衛生大学院では、単に知識やスキルを身につけるだけではなく、それらを実践に活かせること、すなわちコンピテンシーの議論が進みつつある。我々の担当コースもそれを参考にして設計されている。

そうしたなかで、「公衆衛生」全般ではなく、「公衆衛生の緊急事態」に特化したコンピテンシーを体系的に明示する必要性も感じていた。これまで我が国では、リスクコミュニケーションをはじめとする公衆衛生の緊急事態に備えておくことの必要性が繰り返し指摘されてきたものの、効果的な人材育成が進んでいるとは言い難い。

なぜか?

それは、健康危機管理に携わる各従事者のコンピテンシーが明示されていないためだと考える。具体的には、多くの方が次の2つの質問に明確に答えられないままに、人材育成や健康危機管理に取り組まれているのではないだろうか。

1. 「 健康危機管理(リスクコミュニケーションを含む)では、どの部署や職種の人が関わり、各従事者には、具体的にどのような行動をとることが求められるのか?」

2. 「 人材育成の到達目標をどこに定め、その達成のために、誰が、どのような知識とスキルを身につけておかなければならないか?」

欧州CDCが2017年に公表した原著『Public health emergencypreparedness - Core competencies for EU Member States』と出逢ったのは、ちょうどそうした必要性を感じていたときであった。

本書との出逢いは、衝撃的だった。上記2つの質問の答えが、明確に、体系的に示されているのである! 

本書では、公衆衛生の緊急事態への対応分野として、1)探知とアセスメント、2)政策の策定、適応、実施、3)ヘルスサービス、4)調整とコミュニケーション、5)緊急事態リスクコミュニケーション、の5つをあげている。その上で「各分野において、どの部署・職種の人が従事し、それぞれどのようなコンピテンシーが求められるか」が整理されている。また、人材育成において目標とされるコンピテンシー、そしてそのコンピテンシーを習得するために必要となる知識とスキルが体系的かつ具体的に示されている。本書は、まさに「健康危機管理分野の人材育成と行動指針」と言えよう。

もちろん、私も前述の京都大学公衆衛生大学院の担当コースで、本書で示されたコンピテンシーや知識・スキルの向上を意識した講義をしている。このことを関係者に伝えると「自分も受講してみたい」と言っていただける。

もし、あなたも「受講してみたい」と思われたなら、ぜひ本書を手にとっていただきたい。健康危機管理では、どの部署や職種の人が関わり、各従事者には、どのような行動をとることが求められるのか?人材育成の到達目標をどこに定め、その達成のために、誰が、どのような知識とスキルを身につけておかなければならないか?-今まで漠然としていたこれらの問いの答えが、ここにある。


i 蝦名玲子:クライシス・緊急事態リスクコミュニケーション(CERC):危機下において人々

の命と健康を守るための原則と戦略.大修館書店,2020.

ii 蝦名玲子:公衆衛生の緊急事態にまちの医療者が知っておきたいリスクコミュニケーション.

医学書院,2022.

iii 内閣感染症危機管理統括庁:感染症危機におけるリスクコミュニケーションに対する研究(令

和6年度)(受託者:株式会社三菱総合研究所).https://www.caicm.go.jp/action/survey/surveyr06_risk_communication/index.html (2025年7月閲覧)


蝦名玲子  
京都大学大学院医学研究科 社会健康医学系専攻 健康情報学分野
 非常勤講師・研究員
株式会社グローバルヘルスコミュニケーションズ 代表取締役

目次

はじめに

公衆衛生の緊急事態への準備能力

 1 探知とアセスメント

 2 政策の策定、適応、実施

 3 ヘルスサービス

 4 調整とコミュニケーション(公衆衛生の緊急事態準備システム内)

 5 緊急事態リスクコミュニケーション(一般市民と)

それぞれの人材に応じたPHEPコンピテンシーの開発

方法

結果:能力集団および人材別コンピテンシー、知識とスキル

 1. 探知とアセスメント

  1-①インシデントの認識

  1-②リスク判定

  1-③疫学調査

  1-④サーベイランスと疫学的観測

  1-⑤検査施設の分析

  1-⑥環境の観測

 2.政策の策定、適応、実施

  2-①感染制御と治療のガイダンスのための政策の策定と適応

  2-②ポピュレーション・ベースの疾病管理のための政策の策定と適応

  2-③政策の実施:国家と準国家のコミュニケーション、法律と規則の施行

 3.ヘルスサービス

  3-①予防サービス

  3-②医療サージ

  3-③医療対策、物質と備品の管理

  3-④保健医療従事者と緊急事態対応者のための医療サービス

 4.調整とコミュニケーション(公衆衛生の緊急事態準備システム内)

  4-①危機管理

  4-②保健医療提供者とのコミュニケーション

  4-③緊急事態管理、市民保護、その他の部門とのコミュニケーション

  4-④世界、欧州、国家、準国家の各レベルの、

    他の公衆衛生機関とのコミュニケーション

 5.緊急事態リスクコミュニケーション

  5-①コミュニケーションの不平等への対処

  5-②ダイナミック・リスニングを活用し、噂を管理

  5-③リスクを正確に、透明性をもって、適時伝える

  5-④信頼の醸成と維持

結論

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書籍情報

  • ISBN:9784899964988
  • ページ数:108頁
  • 書籍発行日:2025年9月
  • 電子版発売日:2025年10月1日
  • 判:A5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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