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- ICUとCCU 2025年8月号(Vol.49 No.8)【特集】重症患者の栄養療法 update
商品情報
内容
日本版重症患者の栄養療法ガイドライン 2024 発刊にあたって/重症患者の栄養療法〜潮流と混沌〜/経腸栄養の一般的戦略とその意義 ほか
序文
特集にあたって
重症患者に対する栄養療法は,集中治療の一部としてではなく,生命予後,機能的予後,さらにはQOLや在宅復帰,社会復帰といった長期転帰までを見据えた「治療戦略の柱」として再評価されている。敗血症,多臓器不全,ICU-AW,長期呼吸管理,PICSといった複雑な病態を呈する重症患者において,適切な栄養介入がもたらすベネフィットは,今や疑う余地のないものとなった。
このような背景のもと,2024年に日本集中治療医学会より「日本版重症患者の栄養療法ガイドライン2024」が発刊されたことは,日本の集中治療の現場において極めて大きな意義をもつ。このガイドラインは,ESPEN・ASPENをはじめとする国際ガイドラインを参照しつつも,日本の診療実態や文化的背景を踏まえた推奨がなされており,わが国の重症栄養療法の標準化と質向上に向けたマイルストーンとなるものである。
本特集号「重症患者の栄養療法 update」では,同ガイドラインを起点に,最新の知見を幅広く,かつ実践的な視点で整理した。
まず,小谷穣治先生には「日本版重症患者の栄養ガイドライン2024発刊にあたって」と題し,本ガイドライン策定の経緯や,国際的な動向と比較した際の特徴,今後の方向性を解説いただいた。
日本の重症栄養管理における基本構造を理解するうえで欠かせない一編である。続いて,中村謙介先生には「重症患者の栄養療法〜潮流と混沌〜」として,本ガイドラインの構成,メタ解析の取り扱い,推奨レベルの決定プロセス,改訂における注目点を詳細に論じていただいた。本ガイドラインの活用に不可欠な知識を網羅した内容となっている。東別府直紀先生は「経腸栄養の一般的戦略とその意義」において,投与開始時期,循環動態不安定時の対応,プロトコルの標準化,投与経路や方法など,経腸栄養に関する臨床実装上の課題と最新のエビデンスを整理している。
一方,経腸栄養が困難または禁忌となる場面において,静脈栄養は今も重要な手段である。大島拓先生による「重症患者における静脈栄養」では,TPN導入の適応,開始時期,投与量,合併症予防などの視点から静脈栄養の最前線を論じていただいた。次に,高橋科那子先生には「特定の栄養素を見つめ直す」として,ω-3系脂肪酸,グルタミン,アルギニンなどの特定栄養素に関するRCTやメタ解析の結果を丁寧に読み解いていただいた。従来の信仰が覆されつつある領域において,クリティカルな判断が求められる現在にふさわしい総説である。
腸内環境に着目した介入も注目されている。畠山淳司先生は「プレ/プロ/シンバイオティクス」において,腸内細菌叢,バリア機能,免疫応答などとの関係から,これらの栄養補助剤の位置づけと活用法を論じた。近年のエビデンスの蓄積を踏まえ,臨床応用の意義と限界を明らかにしている。
泉野浩生先生による「重症患者における栄養評価」では,NUTRICスコアやGLIM基準,さらには間接熱量計の活用など,栄養リスクのスクリーニングから個別最適化に向けた評価手法を紹介。重症患者の多様な病態を前提とした評価のあり方を再考する機会となるだろう。また,清水義之先生には「小児重症患者における栄養療法」をご執筆いただいた。成人とは異なる代謝特性と病態を持つ小児において,どのような介入が適切なのか。
エビデンスの乏しさに挑む臨床現場の視点から,貴重な知見を提供いただいている。
本特集では,急性期〜慢性期,小児から成人,経腸から静脈,評価から個別介入,そして特殊栄養素や腸内環境に至るまで,重症栄養療法にかかわる全体像を多角的に照射することを目指した。
集中治療に携わるすべての医療者にとって,本特集が日々の実践を支え,次なるステップの羅針盤となることを願ってやまない。
末筆ながら,多忙を極めるなか,快く執筆をご担当いただいた先生方に心より感謝申し上げる。
井上 茂亮
目次
特集 重症患者の栄養療法 update
特集にあたって
井上 茂亮
日本版重症患者の栄養療法ガイドライン 2024発刊にあたって
小谷 穣治
重症患者の栄養療法〜潮流と混沌〜
中村 謙介
経腸栄養の一般的戦略とその意義
東別府直紀
重症患者における静脈栄養
大島 拓
特定の栄養素を見つめ直す
高橋科那子・長友 一樹・櫻本 秀明・加來 正之・吉田 稔
プレ/プロ/シンバイオティクス
畠山 淳司
重症患者における栄養評価
泉野 浩生
小児重症患者における栄養療法
清水 義之
記録集
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書籍情報
- ISBN:9784865176599
- ページ数:86頁
- 書籍発行日:2025年8月
- 電子版発売日:2025年10月3日
- 判:A4判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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