図解 物理薬剤学

  • ページ数 : 236頁
  • 書籍発行日 : 2025年10月
  • 電子版発売日 : 2025年10月15日
¥3,850(税込)
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商品情報

内容

図解でスッと理解,確かな基礎力が身につく物理薬剤学の新スタンダード!

薬物の溶解性,膜透過性,粉体特性,分散性,安定性など,医薬品の有効性や安全性に大きく影響する物理化学的特性について解説した入門書.本書は,豊富な図表とわかりやすい文章が1対1対応しているため,図表で視覚的に理解を深め,各章末にまとめと国家試験既出問題を掲載することで,学んだ知識の定着を促します.Clinical applicationを通じて,物理薬剤学の臨床的なつながりも学べる教科書です.

序文

監修のことば


薬の性質,作用,体内動態,製剤化,安全性などを研究する薬剤学は,薬剤師や薬科学技術者の業務において基礎となる重要な学問である.

本書が上梓される2025年には,75歳以上の後期高齢者が全人口の約18%を占めることもあって,薬剤師は調剤を中心とした対物業務から,患者とのコミュニケーションを主体とする対人業務へと変化しつつある.このようななかにあって,薬剤師は薬剤学の知識を基に調剤,服薬指導,医薬品情報管理,製剤,研究開発など,多岐にわたる業務を行う.

一方,薬科学技術者は,薬の作用,効果,安全性,使用方法などに関する薬剤学の知識を基に,がん,認知症,感染症など高齢者に多い疾患に効果を示す新薬の開発のみならず,広く医薬品の品質管理,適正使用などの業務も行う.特に,近年の医薬品開発の進歩は急激で,薬剤学を基礎とするものの新規医薬品モダリティへの対応も必要な時代に突入し,生命工学,AI(Artificial Intelligence),IoT(Internet of Things)を含むDX(Digital Transformation)などを活用する必要性が生じた.

また,グローバル化の進展とともに,革新的新薬は一国にとどまらず,すぐに世界に広がるようになってきた.その一方で,COVID-19の例にみるまでもなく,感染症などは急速に世界に伝播し,世界中の人々を苦しめることになる.薬剤師と薬科学技術者は共創力を生かし,革新的な医薬品を創出するだけでなく,医療コストの適正化,患者のQOL(生活の質)やWell-beingの向上にも寄与しなければならない.

このような時代の動きに合わせ,いままで改編を重ねてきた『図解 薬剤学』を,今回は「図解 物理薬剤学」と「図解 生物薬剤学・薬物動態学」との2分冊として上梓することとなった.いつもながら多くの著者の先生方にお世話になり,また今回は,「図解 物理薬剤学」と「図解 生物薬剤学・薬物動態学」のそれぞれのまとめ役として,佐久間信至 先生と片岡 誠 先生にご尽力いただいた.さらに,本書が上梓されるまでの過程において,南山堂 鈴木幹太 代表取締役や大城梨絵子 氏をはじめ,編集部の皆様にもお世話になった.この紙面をお借りして,厚くお礼を申し上げる.


2025年8月

城西大学 常務理事
城西国際大学 参与・特別栄誉教授
杉林堅次



序文


「低分子の有機化合物から高分子のバイオ医薬への創薬ターゲットの移行」,すなわち創薬研究のパラダイムシフトが起こって四半世紀を経た今,ペプチド/タンパク質,抗体,核酸などの多様なモダリティが臨床で用いられ,多くの疾患に対して革新的な治療法を提供している.加えて,AI(人工知能)などのデジタル技術の革新的な進歩はめざましく,創薬/医療機器などの医療関連技術の先端研究開発において,医/薬/工/情報などの連携による異分野融合研究の推進が加速することが予想される.

薬剤師養成を主に目指す6年制薬学教育と創薬研究者の養成を主に目指す4年制薬学教育が2006年4月にスタートしてから,20年の月日が流れた.高度化する医療や医薬分業の進展に伴い,さらに高い能力の薬剤師を養成するため,6年制薬学教育では薬学教育モデル・コア・カリキュラムに準拠した教育が行われ,これまでに二度の改訂作業が行われた.最新の令和4年度改訂版は,2025年4月時点の薬学部1年生および2年生に適用されている.医療人としての薬剤師の視点から臨床教育に力点が置かれ,臨床の諸問題に対する解決力をもつ薬剤師の養成が進められている.一方,薬学部のみが創薬研究者の養成を担っているわけではなく,医療行政を含めた製薬産業全体で解決すべきことであるが,新型コロナウイルス感染症に対する有効なワクチンや治療薬の開発において他の先進諸国に遅れをとった日本の創薬力の低下への対策も喫緊の課題である.

薬剤学は,「化学物質を医薬品として,安全かつ最大限の効果を発揮するように,最適な投与剤形と投与方法を研究する学問」と定義される.物理薬剤学,生物薬剤学,薬物動態学および製剤学に大別され,本書で扱う物理薬剤学は,薬物の物理化学的特性を探求し,創薬やDDS(薬物送達システム)を含めた製剤設計につなげる学問分野である.安定性,溶解性,膜透過性,粉体特性,分散性など,物理薬剤学で扱うパラメータは,人に投与されるモノ,つまり,薬や製剤の設計に直接関連することから,薬の効果や安全性に大きく影響する.加えて,薬物の体内動態を最適化する創薬・創剤技術であるDDSを適用した多くの医薬品が,昨今,臨床に供されている.これらの新規技術は,物理薬剤学に基づく知識や技術なしに設計および評価することは困難であり,低分子医薬品から高分子医薬品,既存製剤からDDS製剤に至るまで,物理薬剤学の学問としての重要性はますます増している.

本書の前身である『図解 薬剤学』では,これまで,薬剤学の内容をできるだけ系統的に理解できるように,第1編に物理薬剤学,第2編に薬物動態学を含めた生物薬剤学に関係する項目を配した書籍として編集してきた.しかし,今回は,物理薬剤学と生物薬剤学を別の書籍とし,物理薬剤学を扱う本書において,薬物の安定性,溶解性,膜透過性(分配や拡散),粉体特性,分散性など,その基本原理を体系的に整理した.さらに,「薬の研究開発や薬剤師の仕事との関連性が不明で,何のために勉強しているのかわからない」という昨今の学生気質を鑑み,初めての試みとして,学修する基本原理が創薬・創剤設計に取り入れられた事例を紹介することにより,物理薬剤学に対する学生の関心を高める工夫を施した.また,従来と同様に,可能な限り本文を左ページにし,その内容に対応する具体的な図表を右ページに配するようにして,理解の助けとなるようにし,章末に要点整理と薬剤師国家試験既出問題および解説を追加することで,自己学修を支援する構成とした.

本書が,臨床現場で働く薬剤師と薬の研究開発に携わる創薬研究者が物理薬剤学の本質を理解し,薬学全体の発展に貢献するための一助となることを願って,ここに序文を記す.

最後に,本書を上梓するにあたり,ご高配をいただいた南山堂 鈴木幹太 代表取締役ならびに担当者の大城梨絵子 氏をはじめ,編集部の皆様に厚くお礼を申し上げる.


2025年8月

摂南大学薬学部 薬物送達学研究室 教授
佐久間信至

目次

1章 薬剤学総論

A 薬剤学と薬学教育モデル・コア・カリキュラム

B 医薬品

C 日本薬局方,製剤総則の剤形と定義

・Essential Point

2章 粒子と粉体

Ⅰ 粒子の性質

A 粒子径の測定

1. 幾何学的測定法(幾何学的粒子径)

2. 有効粒子径(物理的換算径)

B 平均粒子径と粒度分布

1. 粒度分布曲線

2. 粉体の大きさの表現方法

3. 基 準

4. 平均径

Ⅱ 粉体の性質

A 充塡性

1. 体 積

2. 空隙率と充塡率

3. 密 度

4. 粒子径と充塡性

B 粉体の付着・凝集性と流動性

1. 粉体の付着・凝集性

2. 粉体の流動性

C 粉体のぬれ

1. 接触角とヤングの式

2. ぬれの測定法

D 粉体の吸湿性

1. 相対湿度と臨界相対湿度

2. エルダーの仮説

E 共融混合物

F 粉体の混合性

1. 粉体の影響

2. 混合操作

3. 混合度

・Essential Point

・薬剤師国家試験既出問題

【Clinical application】

・粒子径と吸入粉末剤(DPI)

・粒度分布と混合性:2度まきについて

・相対湿度と一包化

3章 溶解現象と溶液

A 溶液と溶解

1. 溶 液

2. 溶解現象

3. 溶液の濃度

B 溶解度

1. 固体の溶解度

C 溶解速度

1. 溶解速度式

2. 溶解速度に影響する因子

D 膜透過速度

1. 膜透過の機構

2. 積層膜の透過

E 溶解補助

1. 溶解補助の機構

2. 化学修飾による溶解性の調節

F 溶液の性質

1. 医薬品溶液の束一的性質

2. 等張溶液と等張化

3. 溶液のpH

・Essential Point

・薬剤師国家試験既出問題

【Clinical application】

・結晶多形が医薬品開発に大きく影響を及ぼした一例

・共結晶による新型コロナウイルス感染症治療薬開発

・SARS-CoV-2による感染症治療薬:シクロデキストリンとの複合体形成

4章 分散系

A 界面の性質

1. 表面張力・界面張力

2. 表面張力の測定

3. 吸着と表面張力

4. 液-液界面

5. ぬれの現象

B 界面活性剤の構造と分類

1. 分 類

2. イオン性界面活性剤

3. 非イオン性界面活性剤

4. 天然に存在する界面活性剤

C 界面活性剤溶液の性質と作用

1. 界面活性剤溶液の性質

2. HLB

3. 界面活性剤の溶解性

4. 可溶化

D 代表的な分散系

1. 分散系の分類

2. コロイド分散系

3. 乳 剤(エマルション)

4. 懸濁剤(サスペンション)

5. リポソーム

・Essential Point

・薬剤師国家試験既出問題

【Clinical application】

・リピッドマイクロスフェア

・エマルション製剤を利用した脂溶性薬物の吸収挙動改善

・伝子改変タンパク質を利用した溶解制御型持続製剤(各種インスリン製剤)

・ドキシル®,アムビソーム®

5章 レオロジー

A 弾性および粘性

1. 変 形

2. 弾 性

3. 粘 性

4. 粘弾性

B 流動とレオグラム

1. ニュートン流動と非ニュートン流動

2. 非ニュートン流動の分類

3. チキソトロピー

C レオロジーの測定

1. 粘度測定法

2. 粘稠度の測定法

D 製剤のレオロジー

1. 懸濁剤

2. 軟膏剤,クリーム剤,ゲル剤

3. 経口ゼリー剤

E 製剤用高分子

1. 高分子の構造と性質

・Essential Point

・薬剤師国家試験既出問題

【Clinical application】

・チキソトロピーを活用した製剤

6章 薬物の安定性

A 反応速度論

1. 反応速度の概念

2. 反応速度の微分式による表現と反応次数

3. 1次反応

4. 0次反応

5. 2次反応

6. 反応次数の決定法

7. 擬0次反応と擬1次反応

8. 複合反応

B 医薬品の安定性に影響する因子

1. 温度の影響

2. 触媒反応

3. イオン強度,誘電率の影響

C 医薬品の安定化

1. 最適条件の選択

2. 分解促進因子の除去,削減

3. 物理化学的性質の修飾

・Essential Point

・薬剤師国家試験既出問題

【Clinical application】

・安定性を考慮した注射剤の取り扱い

・災害時の医薬品供給

・製剤の安定性

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書籍情報

  • ISBN:9784525779214
  • ページ数:236頁
  • 書籍発行日:2025年10月
  • 電子版発売日:2025年10月15日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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