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- 実例から学ぶレギュラトリーサイエンス
商品情報
内容
レギュラトリーサイエンス(RS)は科学技術の成果を「人と社会」に調和(レギュレート)させ、真に役立たせるために必要な独自の科学分野とされています。本書は、RSに関する総論と医薬品、医療機器、食品、化学物質に関する最新の話題を各論として解説し、医薬品医療機器等法の改正やモダリティ医薬等の新たなテーマを含め、医薬品等を扱う研究機関や企業、また薬学におけるRSの教育実践にも利用できる構成になっています。
序文
序
レギュラトリーサイエンス(RS)は,科学技術の成果を「人と社会」に調和(レギュレート)させ,真に役立てるために必要な独自の科学分野として,1987年に国立医薬品食品衛生研究所の内山充元所長(当時副所長)によって初めて提唱された概念である。これは,私たちの生活のあらゆる場面において,的確な根拠に基づき最適な予測・評価・判断を行うための方法論や解析法を追求する科学であり,最終的には行政を通じて国民の安全を広く守り,健全な社会を築くことを目的とする。薬学分野においては,医薬品・医療機器・化粧品等の品質・有効性・安全性を確保するための科学的方策の研究や試験法の開発,さらに規制の根拠となるデータの作成・評価などがRSに相当する。また,食品や生活環境分野では,化学物質や微生物等に起因するリスクからの安全性確保のための科学的方策研究,安全性評価法の開発研究,ならびに規制のためのデータ作成・評価などが含まれる。
現在では,RSは内閣府や政府機関,アカデミアでも広く取り上げられ,大学においてもRS教育コースが設置されるようになった。しかし,かつてはRSに関連する研究を統合的に発表・討論する機会はほとんどなかった。こうした状況の中,RSの重要性を踏まえ,2003年に日本薬学会に「RS部会」が設立された。同部会は,各種フォーラムの開催や薬学におけるRS教育の推進を通じて,日本薬学会におけるRS研究分野を牽引してきた。
RSに関して教育は極めて重要であるが,そのための教材は十分とは言えなかった。2013年度より6年制薬学教育モデル・コアカリキュラムにRS教育が新たに導入されたことを契機に,文部科学省の支援を受け,本RS部会が中心となって薬学教育に必要な教材モデル「レギュラトリーサイエンスに係る教材や教育方法の開発に関する調査研究―教材案―」を2015年に作成した。これは現在,薬学教育で用いられている唯一のRS教材である。
RS教育の内容は,大学の学生や教員だけでなく,医薬品・医療機器・化粧品・食品・化学物質等を扱う研究機関や企業,さらには臨床現場で働く医療従事者にも影響を与える。加えて,RS分野は日々変化・進化するため,教育内容には常に最新のテーマを取り入れる必要がある。
前回のRS教材作成から約10年が経過した昨年,薬機法改正や新たなモダリティ医薬品の開発などの最新テーマを盛り込んだ教材の改訂に着手した。その内容を大学のみならずRSに関係する幅広い層に知っていただくため,『ファームテクジャパン』誌において「レギュラトリーサイエンス教材ポイントシリーズ」として連載企画を行った。多くの先生方のご協力のもと,RSの総論に加え,医薬品,医療機器,食品,化学物質に関する最新の話題を各論として執筆いただいた。特に医薬品や医療機器に関しては,特例承認(mRNAワクチン等),先駆的医薬品指定制度,緊急承認,プログラム医療機器,品質保証,模擬審査,医薬品の安定供給などの時事的テーマも取り上げた。
本書は,同誌に連載した内容を再編集し,薬学教育の現場で活用できるRS教材としてまとめたものである。
本書が,医薬品等の関係者における自己学習や研修などで広く活用されることを願っている。
令和7年8月
日本薬学会レギュラトリーサイエンス部会 前部会長
(国立医薬品食品衛生研究所 名誉所長)
本間正充
目次
総論
1.レギュラトリーサイエンスの目的と定義
2.医薬品
3.医療機器
4.食品
5.環境化学物質(大気,水,土壌,家庭用品)
6.薬剤師とレギュラトリーサイエンス
医薬品
1.医薬品における薬剤反応性の民族差評価
2.医薬品の承認審査における海外安全性情報の評価―COX-2阻害剤の事例―
3.N-ニトロソフェンフルラミンの食薬区分
4.生薬製剤のリスク区分
5.天然物医薬品の品質保証
6.医薬品の品質を規定する物理的化学的特性の管理と設定―球形吸着炭製剤を例に―
7.医薬品の安定性およびその評価
8.生物学的同等性の評価におけるバイオウェーバーと複雑な製剤の試験設定
9.特例承認制度と新型コロナウイルス感染症治療薬
10.医薬品の安全性薬理試験の最近動向
11.脂質ナノ粒子製剤の特性評価
12.欧州医薬品庁との革新的医薬品に関する共同リフレクションペーパー策定
13.医薬品中の変異原性不純物の評価と管理
14.生物学的製剤の承認審査
15.バイオ医薬品の品質・安全性確保
16.ヘパリン異物混入問題と日本薬局方改正
17.品質が確保された医薬品の安定供給
18.RMPの効果の向上
19.医薬品開発と承認審査におけるモデリング&シミュレーションの活用 感染症領域の医薬品の事例
20.核酸医薬およびmRNA医薬の特徴と品質評価
21.ICH-S11ガイドラインのWoEアプローチにおける考慮事項
22.バンコマイシンTDMガイドラインの改訂
23.吸収促進剤
医療機器
1.医療機器のクラス分類と一般的名称
2.次世代医療機器・再生医療等製品評価指標
3.プログラム医療機器の実用化を促進する施策や体制
再生医療等製品
1.細胞加工製品の造腫瘍性評価の考え方と試験法
2.細胞加工製品の評価指標(開発から承認審査まで)
化粧品等
1.薬用化粧品による健康被害(白斑)の再発防止について
食品
1.我が国の食品添加物の指定及び改正
2.食品中の放射性物質の規制と現状
3.食品中の残留農薬等の基準値設定の流れ
4.遺伝子組換え食品の表示制度の改正
5.食物アレルギーに関する表示制度
6.ゲノム編集技術応用食品の事前相談・届出制度
化学物質
1.化学物質のインビトロ発達神経毒性試験
2.安全性試験と動物代替法
3.OECD吸入毒性試験ガイドライン
4.遺伝毒性物質のリスク評価と閾値
環境化学物質
1.水道水質基準の逐次改正
2.室内濃度指針値
3.家庭用品中の化学物質による健康被害防止に向けた対策
座談会
薬学部におけるレギュラトリーサイエンス教育を考える
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書籍情報
- ISBN:9784840756792
- ページ数:224頁
- 書籍発行日:2025年9月
- 電子版発売日:2025年10月22日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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