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- 腰部脊柱管狭窄症でつらい!どう治療しますか?
商品情報
内容
高齢化社会が進む日本において、腰部脊柱管狭窄症による足のしびれや痛みで悩んでいる人は多く,様々な症状は日常生活に影響し生活の質を下げている.本症の治療方法はいくつかあるが,侵襲の高い手術を怖がったり、避けたりする人も少なくない.そこで本書は,局所麻酔下でも簡便に行え、数日の入院期間で治療が可能な「腰椎制動術」という外科的治療の紹介も交えて,腰部脊柱管狭窄症についてわかりやすく解説.医師だけでなく,リハビリテーション・スタッフ,放射線技師,看護師,薬剤師などのメディカルスタッフにも役立つ内容となっている.
序文
はじめに
高齢化が進む日本において,腰部脊柱管狭窄症による足のしびれや痛み,腰痛などに悩まされている人は少なくありません.この疾患の多くは加齢が原因であり,高齢患者さんに多くみられますが,腰部脊柱管狭窄症による様々な症状は日常生活に影響し,生活の質を下げるでしょう.
腰部脊柱管狭窄症には様々な治療方法がありますが,手術を怖がったり,避けたりする人も少なくありません.
そんな中,リスクをできるだけ減らして,局所麻酔下でも簡便に行え,数日の入院期間で治療が可能な「腰椎制動術」という外科的治療が国内でも実施できるようになりました.
本書では,前半のChapter 1〜4で腰部脊柱管狭窄症に関する一般的な解説,そして後半のChapter 5〜8で「腰椎制動術」の紹介をしたいと思います.一部,学術的な内容も含まれますが,難しければ読み飛ばして下さい.
2015年に唯一国内で使用可能であったインプラントが製造中止になったのをきっかけに,国内では腰椎制動術が施行できない期間が続いていました.そんな中,新しいインプラントが2020年に販売され,腰椎制動術が国内でも再度施行可能となりました.
現状では,棘突起間スペーサー(インプラント)を用いた「腰椎制動術」は,腰部脊柱管狭窄症に対する外科的治療の中で,標準的治療法ではありませんが *,非常に低侵襲手技であり,短時間で局所麻酔下でも施行可能であり,なおかつ,従来の椎弓切除術などと同等の症状改善効果が得られることがわかっています.特に高齢者や,様々な併存疾患を抱えており,合併症などのリスクを避けたい人にはいい治療法となりうるでしょう.
どの疾患にも言えることですが,それぞれの治療法にはメリット,デメリットが存在し,完全な治療法というものは存在しません.リスク(合併症)をできる限り小さくしつつも,治療効果を最大限引き出すことができる治療法として,腰椎制動術は第3の外科的治療となる可能性があります.「腰椎制動術」という治療選択肢が一つ増えることで,腰部脊柱管狭窄症による様々な症状で日常生活に困っておられる方々を助けることができればと願っています.
本書では,腰部脊柱管狭窄症に対する治療法の一つとして,この腰椎制動術に焦点を絞り,啓蒙活動の一環として,解説を行います.
脊椎・脊髄疾患を専門として,実際に腰部脊柱管狭窄症の診療に携わっておられる医師はもちろんのこと,ペインクリニックやリハビリテーションなどに関わっておられる医師や,脊椎・脊髄疾患を専門としていない他診療科の医師にもぜひ読んでいただき,理解を深めていただけましたら幸甚です.
さらに,腰部脊柱管狭窄症の患者さんに関わるリハビリテーションスタッフさん,放射線技師さん,看護師さん,薬剤師さんなどコメディカルスタッフにも読んでいただけるよう執筆いたしました.本書が皆さんのお役に少しでも立てましたら幸甚です.
著者は本書で紹介するインプラントに対するCOI(利益相反)はありません.
その他,本書の記載に際して開示すべきCOI(利益相反)はありません.
なお,本書において「ガイドライン*」と記載があるものは,以下のガイドラインを意味しています.
[謝辞]
本書の執筆にあたり,多大なご協力を賜りました,水野順一先生,谷 諭先生にはこの場を借りて御礼申し上げます.
参考文献
*日本整形外科学会, 日本脊椎脊髄病学会, 監修, 日本整形外科学会診療ガイドライン委員会, 腰部脊柱管狭窄症診療ガイドライン策定委員会, 編集. 腰部脊柱管狭窄症診療ガイドライン2021(改訂第2版). 東京: 南江堂; 2021.
2025年 秋
新百合ヶ丘総合病院 脊椎脊髄末梢神経外科
土井一真
目次
Chapter 1 腰部脊柱管狭窄症ってどんな病気?
A 腰部脊柱管狭窄症について
B 腰部脊柱管狭窄症の原因
C 腰部脊柱管狭窄症の症状
D 腰部脊柱管狭窄症の診断
E 腰部脊柱管狭窄症と似た症状?
F 腰部脊柱管狭窄症かも? と思ったら
Column(1) 「これって坐骨神経痛ですか?」
Chapter 2 腰部脊柱管狭窄症の治療
A 腰部脊柱管狭窄症の治療法について
B 腰部脊柱管狭窄症の治療の流れについて
Column(2) インフォームドコンセント
Column(3) 喫煙(たばこ)との関連
Chapter 3 腰部脊柱管狭窄症の内科的治療
A 腰部脊柱管狭窄症に対する内科的治療
B 薬物(投薬)治療(処方する医師向け)
C 運動療法,リハビリテーション
D 装具療法,物理療法
E ブロック治療
F マニピュレーション
Chapter 4 腰部脊柱管狭窄症の外科的治療
A 除圧術(椎弓切除術)
B 固定術
C 腰椎制動術
Chapter 5 第3の外科的治療
A 腰椎制動術とは
B 棘突起間スペーサーによる腰椎制動術の作用
C 棘突起間スペーサーの歴史と変遷
D 海外における腰椎制動術の治療成績(医師向け)
E 腰椎制動術の合併症
F 腰椎制動術を行ってはいけない場合
Chapter 6 腰椎制動術を受けるには?
A 腰椎制動術を受けるまで
B 腰椎制動術を受ける病院が決まったら
C 腰椎制動術の麻酔について
D 腰椎制動術の手術について
E 腰椎制動術後の経過について
F 腰椎制動術後の費用について
Chapter 7 腰椎制動術の国内成績
A 新しいインプラントを用いた腰椎制動術の国内成績
B 腰椎制動術はどのような患者さんに向いている?(執刀医向け)
C 腰椎制動術を行うには(執刀医向け)
Chapter 8 腰椎制動術の代表症例
【症例(1)】~基礎疾患なし,間欠性跛行(中心型)~70歳,男性
【症例(2)】~抗凝固剤内服,複数の基礎疾患あり,間欠性跛行(中心型)~81歳,女性
【症例(3)】~両下肢痛(神経根型)~63歳,男性
索 引
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書籍情報
- ISBN:9784498154025
- ページ数:140頁
- 書籍発行日:2025年10月
- 電子版発売日:2025年10月21日
- 判:A5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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