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- 医療現場の変容を促す システミック・コーチング入門
商品情報
内容
医療機関でいまなぜコミュニケーションの深化が必要なのか、実際にコーチングを取り入れて組織改革を行ってきた事例を多く盛り込みました。「コミュニケーションの深化が経営にどう影響するのか」といった証明しづらい、あいまいな事象に対してエビデンスとなるデータを提示しながら明確に解説します。後半ではコーチングの基礎の解説をし、日常業務で活用できるノウハウやチェックリス トなども提供します。 厳しい医療経営環境に対応すべく「組織を変革させたい」「組織を変革させられるリーダーを育成したい」と思っている医療経営者・マネジメント層に読んでいただきたい1冊です。
序文
はじめに
あなたは、何を変えたいと思ってこの本を手に取ってくださったのでしょうか。
人との関係性や組織の在り方について、無関心でいることも、気付かないふりをすることも、誰かのせいにすることもできます。「何か変えられることはないだろうか」と、本書を手に取ってくださったこと自体が既に、変化の一歩となっています。
もし、あなたが次のことに悩み、現状を変えたいと思っているのなら、本書はそのヒントになるかもしれません。
● 職員にもっと自発的に動いてほしい
● 指示待ち、受け身の部下の自発性はどうやって高めたらよいのだろう
● 自分で判断して進めることを怖がる部下に責任感を持たせたい
● 言いたいことがあるなら言えばいいのに
● 誰かが自分の思いを言ってくれるのを待っている職員が多い
● 患者さんのために何ができるかもっと考えてほしい
● 周りと連携・協働して仕事の効率を上げてほしい
● 医療安全を大切にしながら、もっと柔軟に、新しいことに挑戦してほしい
● 自分の専門領域にしか興味のない医師に、どうやって病院の方針に協力してもらえるだろうか
● 他業界は賃金を上げて人材を確保できるが、医療業界は限界がある
こうした悩みは、経営幹部だけにとどまらず、1人でも部下や後輩がいたら日常的に直面する課題ではないでしょうか。
医療現場は「人」が最大の資源
医療業界は今まさに、人口減少・高齢社会に合わせて医療資源を再配分しなければいけないという大きな変化に直面しています。また、労働人口の急激な減少によって、人材を獲得するのが難しい中でも、医療の質を維持しながら安全性を確保しなければいけないという状況で、医療従事者は日々の現場に立ち続けています。
どんなにIT 技術で業務効率を図っても、「患者である『人』に対して、『人』たる医療従事者同士が力を合わせてサービスを提供する」ということが、医療現場から無くなることはありません。それ故に、人材を育てる人が不足してしまっては、組織の成長は足踏みし、いずれ衰退するでしょう。しかし、一般企業とは異なり医療現場は、組織のトップである院長ですらプレイング・マネジャーであることがほとんどです。忙しい日々の中、丁寧な人材育成は後手に回されがちではないでしょうか。
組織が人材育成力を持っているかどうかは、医療経営に大きなインパクトを与えるはずです。しかし、多くの医療機関では人材育成力への支援は薄く、「経験を重ねて頑張ってください」とマネジャーを放置します。
そのような状況で、マネジャーは自分なりに一生懸命部下に関わります。部下から反発を受けると、次は放任してみます。放任しすぎて問題が起こると、やはり関わらなくてはと焦ります。これを繰り返していると、やがて上司も部下もどうしたらよいのか分からなくなり、疲れてしまいます。
さらに昨今では、医療現場においても「心理的安全性」「パワーハラスメント」という言葉を頻繁に耳にするようになりました。育成を担う側がビクビクしながら、相手と向き合っている現実もあるでしょう。
このような背景から、「マネジメントはしたくない。医療専門職としてのやりがいだけで十分だ」という声を多く聞くようになりました。もしかしたら、あなたの病院でも起こっていることかもしれません。
これからの厳しい医療経営環境を生き抜いていくためには、自ら変化を生み出し、そして周囲にも影響を与えていけるようなリーダーが不可欠です。さらに、そういったリーダーがハブとなり、職種や役職の壁を越えて職員間のコミュニケーションを深化させ、未来を共創していく必要があります。
こうしたリーダーは、行動を指示したり管理するだけのマネジメントや、自分が持っているスキルや知識、経験を伝えていく「ティーチング」だけでは育成することは難しいでしょう。お互いが双方向的に考える機会を創り出す「コーチング」のアプローチが求められます。成果を上げている経営者や組織のリーダーは、ティーチングやコーチングを適切かつ効果的に使い分け、時には、それぞれを組み合わせて使う試みをしています。
本書は、あまたあるコーチングのアプローチの中でも、医療機関で実践する際、特に大切になるポイントに絞って紹介しています。さらに、組織に変革をもたらす「システミック・コーチング」という選択肢を知るだけできっと、あなたも、あなたの部下も、新しい可能性を開くことができると思います。
カリスマ経営者がいなくなった!でも業績は向上
少し、私の話をさせてください。私は就職の超氷河期と言われる2000年に社会人1年生になりました。米マイクロソフト社のWindowsが世に広まり、アナログだった仕事の進め方は一気にデジタルに変わっていきました。また、IT企業が台頭してきた時代の潮目でもありました。変化にスピーディーに適応し、変化自体を自分たちでつくれなければ、大手企業でも脅かされ、淘汰されてしまうのだと、強い危機感を抱いたことを今でも覚えています。
その後、私はカリスマ経営者が一代で大きくした一部上場のコンサルティング会社に転職しました。そこは、「カリスマ経営者」と、彼に認められた「有能な幹部たち」が考え抜いた戦略・戦術を、「その他社員」に徹底的に落とし込み、圧倒的なスピードで実行する組織でした。
「その他社員」として入社してから2年がたった頃、リーマンショックが世界中を混乱に陥れ、外部環境が急激に変化していきました。その会社は、環境変化に適応していくための戦略・戦術の練り直しが追い付かず、あっという間に経営難に陥りました。経営の立て直しのプロセスで「カリスマ経営者」は追い出され、「有能な幹部たち」も続々と会社を後にして、気が付けば社員は3分の1程度になっていました。
残ったたった1人の有能な幹部と「その他社員」で会社を立て直せるのだろうかと、とても不安でした。しかし、「残った社員でできることを進めるしかない」と皆が開き直り、がむしゃらに取り組んでみると、驚くべきことに業績が以前より向上したのです。
こうした経験から、時代の変化にしなやかに生き残っていく組織には何が必要なのか─。それを探求したいという思いが強くなり、2012年にコーチング専門ファームである(株)コーチ・エィへ入社しました。以後、エグゼクティブコーチとして、企業と医療機関の両方の組織変革の支援に関わらせて頂いています。
本書は、上下間のマネジメントだけではなく、「変化する未来に向けて、職種や役職の壁を越え、どのように他者とコミュニケーションを図りながら変化を共創し協働していけるか」といったことに注目し、コーチングの生かし方を紹介していきます。
私たちコーチ・エィの支援メンバーと共に、組織変革に取り組んできた多くの医療機関の実践者が教えてくれた大事なことを書きたいと思います。本書を通じて、日本の医療機関の皆様に心からのエールを送ります。
2025年10月
大塚 志保
目次
第1章 いま、医療経営に何が起きているのか
1. 医療現場の特徴
インタビュー 病院経営苦境の時代だからこそコミュニケーションの活発化によって盤石な組織を目指す
2.変わり始めた医療経営者・リーダー
エピソード1地方都市の民間医療法人
エピソード2都市部の大規模ヘルスケアグループ
エピソード3新型コロナウイルス感染症対応を経験した民間病院
「人」が重要な経営資本に
3.組織変化には「社員間の関わり」の影響が大きい
4.人と人の関わりは重要な経営資本
組織で高めるべきソーシャルキャピタルとは
医療機関でも重要なソーシャルキャピタル
組織に変革をもたらすシステミック・コーチングとは
第2章 医療経営でコーチングを活用するリーダー
事例1:組織的なコーチングの導入で看護師の離職率改善と持続可能な組織づくりを実践
事例2:薬剤部のコーチング導入で離職率低下と採用者数の増加を実現
事例3:コーチングを取り入れた医療安全の新しいアプローチ
事例4:コーチングを科学的に検証し、医療現場の経営戦略に
第3章 コーチングの組織導入で経営にプラスのインパクトをもたらす
1.コーチングの導入は経営にプラスのインパクトをもたらすか?
2.トップマネジメント層同士こそ対話が重要
コロナ禍で明らかになった対話の重要性
第4章 新時代に活用できるコーチング
1.コーチングの歴史
人の開発にたけている人の行動パターンを体系化
大企業の経営者がエグゼクティブコーチを付ける時代に
2.コーチングとは何をすることなのか
コーチングの4つの要素
自身のコミュニケーションを止まって見てみる
3.コーチングの目的とは
コーチングの定義
コーチングスキルより大切なこと
4.コミュニケーションへの理解を広げるために知っておくべきこと
相手の状態に最も影響する関わりは「聞く」こと
部下のために時間を取るということ
あなたの部下は、なぜ黙ってしまうのか
相手が話したくなる環境を整える
コミュニケーションはキャッチボール
コミュニケーションの5原則
コミュニケーションの目的は人それぞれ
「現実」は人の数だけある
厳しい経営環境にあるからこそ「違い」を認める
第5章 医療現場の変容を促す人材開発の具体的なアプローチ
1.人は変化をためらうもの
相手のレッテルを剥がす
相手をイメージしながら相手のことを考えてみる
2.「 考えて行動する人」を開発する
「発言」と「行動」が一致しない!その理由とは?
自分で考えさせる機会をつくる
事例紹介 コーチングを用いて超過勤務を大幅削減
3.「周囲と連携できる人」を開発する
上司によって周囲との関わり方は変わる
フィードバックとは
4.専門職を組織の一員に開発する
専門職にも組織の一員としての問いかけをしてみる
主体化が変化した医療従事者たちの声
3つの切り口の問いで組織と個人のパーパスをつなげる
第6章 医療現場の変容を持続するための大事なアプローチ
1.エネルギーマネジメントを意識する
新しい行動にはエネルギーが必要
自分自身のエネルギーに目を向ける
エネルギーを奪う「未完了」となっている出来事
「未完了」を「完了」させるメリット
「未完了」を「完了」させるための5つのポイント
エネルギーマネジメントとしてのタイムマネジメント
2.「What to型の目標」を探索する
「目的」を一緒に話して共有する
コーチングが機能する領域の目標を考える
目標の状態を見極める
他者視点を加味する
うまくいっているイメージを描き続ける
3.組織を活性化させるリーダー像とは?
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書籍情報
- ISBN:9784296208579
- ページ数:200頁
- 書籍発行日:2025年10月
- 電子版発売日:2025年10月28日
- 判:A5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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