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認知コミュニケーション障害の理解と評価・訓練 -右半球損傷/前頭葉損傷/外傷性脳損傷/小脳性認知情動症候群-

  • ページ数 : 264頁
  • 書籍発行日 : 2025年7月
  • 電子版発売日 : 2025年11月6日
¥5,500(税込)
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商品情報

内容

★第26回日本言語聴覚学会 in 山形(2025年)の書籍販売において、売り上げ第1位に輝きました。

◆本邦初!患者の理解や訓練に困っている臨床家のための、認知コミュニケーション障害の実践書。

―高次脳機能障害はコミュニケーションに影響を与える―
認知コミュニケーション障害とは、「後天性脳損傷に伴う、認知機能障害が背景にあると考えられる、非失語性のコミュニケーション障害の総称」(本文より)です。脳血管疾患や脳腫瘍などの局所性の脳損傷、外傷性脳損傷や低酸素脳症、脳炎などのびまん性の脳損傷のどちらでも出現します。

本書は、認知コミュニケーション障害の病態や原因疾患、評価と訓練の方法について包括的に解説する初めての書籍です。
概念・評価に加え、注意・記憶・遂行機能に焦点を当てた訓練、コミュニケーション障害への直接的な訓練法もわかりやすく紹介しています。

言語聴覚士はもちろん、高次脳機能障害患者に関わるすべての医師、リハビリ専門職、研究者にとって必読の内容。
脳損傷後の患者さんのコミュニケーションの問題を少しでも改善するために知識や技術をアップデートし、専門性を発揮しましょう。

序文

序文

認知コミュニケーション障害(cognitive communication disorders)とは、米国言語聴覚士協会(ASHA)が1987年に初めて用いた用語で、「後天性脳損傷に伴う、認知機能障害が背景にあると考えられる、非失語性のコミュニケーション障害の総称」(筆者の定義)である。認知コミュニケーション障害の解説書は欧米ではすでにいくつか出版されているが、日本では本書が、書名に「認知コミュニケーション障害」と冠した初めての書籍になる。

このような病態は従来、「右半球損傷のコミュニケーション障害」や「外傷性脳損傷(traumatic brain injury:TBI)における社会的コミュニケーションの問題」などと、損傷部位や原因疾患によって個別に論じられてきた。しかし、右半球損傷(損傷部位)とTBI(原因疾患)を並列に論じることは論理的に整合しない(それではTBIによって右半球損傷を生じた患者はどっちなのだろう?)。それらはすべて認知コミュニケーション障害として包括的に捉えられるべきであろうというのが筆者の考えである。ただし、損傷部位や原因疾患によって症状などにそれぞれ特徴があることも確かなので、本書では便宜的に4 亜型(右半球損傷、前頭葉損傷、TBI などのびまん性脳損傷、小脳性認知情動症候群)に類型化して解説している部分もある。

認知コミュニケーション障害という概念が生まれてきた背景には、人の認知機能に対する理解の進歩がある。伝統的には、例えば言語や記憶はそれぞれ独立した機能として捉えられてきた。また、認知機能とは情報処理の機能であって、社会性はその枠外のものとして扱われてきた。しかし最近では、それぞれの認知機能は相互作用をもっていて、お互いに関連し合って情報処理を行っていると考えられるようになっている。また、社会性も一種の情報処理だと捉える見方が有力になっている(例えば、「ソーシャルスキル」という用語は、社会性も「スキル」として学習・習得できるものと捉えていることの反映である)。したがって、認知機能に問題があれば、たとえ狭義の言語機能(音韻・語彙・統語)は保たれていても、コミュニケーションに障害が生じ得ることはよく理解できる。患者のコミュニケーションの問題に対して、医療・福祉・教育の現場で最も専門性を発揮すべきなのは言語聴覚士である。一方で現状は、言語聴覚士の間においてさえ、認知コミュニケーション障害という概念・用語は一般的とはいえない。現場では、脳血管疾患やTBI 後に「失語はないが(または軽いが)コミュニケーションに顕著な問題がある人」は多く経験するけれど、そのような人を「どのような理論的枠組みで捉え理解したらよいのか」「どのような方法でその問題を定量的に評価したらよいのか」「どのように介入したらその問題を少しでも軽減することができるのか」戸惑うことが多いと思われる。本書は、そのような現状に対して、現場の臨床家に、認知コミュニケーション障害の概念およびその評価と訓練の基本的な方法について、包括的に解説したものである。

本書では、認知コミュニケーション障害の概要、症状・病態と原因疾患、評価と訓練について、それぞれ第一線の研究者にご執筆をいただいた。また、認知コミュニケーション障害は複雑な病態で、かつ未解明の部分も多い。臨床では、専門職が自ら考えて仮説を立てながら、手探りで対応しなければいけない局面も少なくない。そのためには、コミュニケーションや語用論の基礎についても理解していることが望ましく、本書ではそれらの専門家の解説もいただいた。  

本書が、認知コミュニケーション障害の社会的な認知度を高め、専門職の間にその概念や基本的な評価・訓練の方法を普及させるきっかけとなり、脳損傷後の患者さんのコミュニケーションの問題を少しでも改善するための一助になれば、編者・著者として大きな喜びである。

最後に、本書の企画から出版までご尽力をいただいた、協同医書出版社の牟田育恵氏に感謝を申し上げる。


本書中の第1 章、第2 章、第6 章、第9 章の編者の執筆においてはJSPS日本学術振興会科学研究費

(課題番号:19K10489、23K09604)の助成を受けた。


2025年5月

中村 光

目次

【第Ⅰ部】コミュニケーションとその障害

第1章 認知コミュニケーション障害の概要(中村 光)

 1 はじめに:認知コミュニケーション障害とは

 2 定義

 3 区別すべき障害

  1)先天性・発達性の障害

  2)機能性の疾患

  3)失語症

  4)認知症

  5)コミュニケーションスタイルにおける個人差

 4 症状と原因疾患など

  1)主な症状

  2)病識またはメタ認知の障害

  3)原因疾患と類型

  4)有症率

 5 障害のメカニズム

  1)認知機能とコミュニケーション:総論

  2)認知機能とコミュニケーション:各論

 6 日常生活への影響

 7 まとめ

第2章 コミュニケーションと脳損傷(中村 光)

 1 はじめに

 2 コミュニケーションとは

  1)意味の共有

  2)コミュニケーションのチャネル

 3 コミュニケーションのプロセスモデル

  1)概要

  2)コンテキスト

 4 語用論とGriceの理論

  1)語用論

  2)Griceの理論

 5 まとめ

[コラム]対人コミュニケーション(小川一美)

【第Ⅱ部】認知コミュニケーション障害と疾患

第3章 認知コミュニケーション障害を伴う症候群(宮﨑泰広)

 1 はじめに

 2 語用論的な要因と高次脳機能障害の関係

  1)語用論的な理解

  2)語用論的な発話(語の運用能力)

  3)プロソディ

  4)注意機能・ワーキングメモリ・情報処理速度

  5)記憶機能

 3 症候群別の認知コミュニケーション障害の特徴

  1)右半球損傷

  2)前頭葉損傷

  3)外傷性脳損傷・びまん性軸索損傷

  4)小脳性認知情動症候群

  5)脳炎

  6)低酸素脳症

  7)認知症

 4 最後に

第4章 認知コミュニケーション障害の原因疾患(船山道隆)

 1 認知コミュニケーション障害の原因疾患

  1)概要

  2)後天性脳損傷の疾患の特徴

  3)損傷や回復の程度を修飾する因子

 2 個別の疾患

  1)脳血管障害(脳卒中)

  2)外傷性脳損傷

  3)脳腫瘍

  4)脳炎

  5)低酸素脳症

 3 脳損傷部位と認知機能障害の関係

 4 神経変性疾患

  1)概要

  2)神経変性疾患の症状

 5 まとめ

[コラム]言語の語用論(時本真吾、時本楠緒子)

【第Ⅲ部】認知コミュニケーション障害の評価

第5章 検査式評価法(藤本憲正)

 1 はじめに

 2 欧米の検査式評価法

  1)感情表現

  2)比喩・ことわざ・慣用句

  3)皮肉

  4)間違い・嘘

  5)ユーモア

  6)推論

 3 日本における検査方法の提案

  1)感情表現

  2)比喩と皮肉

  3)ユーモア

  4)推論

 4 評価の実例

 5 まとめ

第6章 観察式評価法(中村 光)

 1 はじめに

  1)評価を行う際の基本的な注意①

  2)評価を行う際の基本的な注意②

  3)結束性と一貫性

 2 欧米における評価尺度

  1)ラ・トローブコミュニケーション質問票(LCQ)

  2)セントアンドリュース・スウォンジー神経行動評価尺度(SASNOS)

  3)語用論的プロトコール

  4)その他の評価尺度

 3 日本語版がある評価尺度

  1)Pragmatic Rating Scale(日本語版PRS)

  2)後天性脳損傷のための認知コミュニケーションチェックリスト(CCCABI日本語版)

 4 評価の実例

 5 病識またはメタ認知の評価

  1)評価の方法論

  2)評価における注意点

  3)主な評価尺度

 6 まとめ

第7章 会話分析(吉田 敬)

 1 会話分析とは

  1)会話分析の問題意識

  2)修復

 2 会話分析の観点に基づく評価法

  1)会話分析の応用

  2)臨床場面における会話分析の意義

  3)CAPPCI

 3 分析例

  1)職員による質問

  2)認知症がある人の反応

  3)職員の反応

 4 まとめ

【第Ⅳ部】認知コミュニケーション障害の訓練

第8章 治療的介入1:認知機能障害の訓練(吉村貴子)

 1 はじめに-コミュニケーションと認知機能との関係-

 2 認知コミュニケーション障害の背景にある認知機能障害と訓練法、コミュニケーション活動に与える効果

 3 注意障害

  1)注意障害とコミュニケーション障害

  2)注意障害の訓練

  3)注意障害に対する訓練がコミュニケーション活動に与える効果

 4 記憶障害

  1)記憶障害とコミュニケーション障害

  2)記憶障害の訓練

  3)記憶障害に対する訓練がコミュニケーション活動に与える効果

 5 遂行機能障害

  1)遂行機能障害とコミュニケーション障害

  2)遂行機能障害の訓練

  3)遂行機能障害に対する訓練がコミュニケーション活動に与える効果

 6 注意障害、記憶障害、遂行機能障害による言語様式ごとのコミュニケーション障害特性

 7 まとめ-認知コミュニケーション障害における注意、記憶、遂行機能へのアプローチと有効なコミュニケーション活動に向けて-

第9章 治療的介入2:コミュニケーション障害の訓練(中村 光)

 1 訓練法総論

  1)メタ認知

  2)訓練における共通技法

 2 訓練法各論

  1)言語表出の訓練

  2)言語理解の訓練

  3)プロソディの訓練

  4)社会的コミュニケーションの訓練

 3 メタ認知(病識)の訓練

 4 まとめ

第10章 環境的介入:活動制限・参加制約へのアプローチ(本多留美)

 1 認知コミュニケーション障害による活動制限・参加制約とは

  1)ICF による活動制限・参加制約

  2)認知コミュニケーション障害による活動制限・参加制約

  3)認知コミュニケーション障害が就労に及ぼす影響

 2 環境的介入とは

  1)環境的介入の種類

  2)認知コミュニケーション障害に対する環境的介入

 3 人的環境への介入の実際

  1)リハビリテーションに関わるスタッフに望まれる言動・態度

  2)周囲の人々への介入例

  3)家族などの身近な人たちへの介入

 4 就労支援における環境的介入

  1)就労支援における環境的介入の実際

  2)メタ認知を促す環境-より効果のある環境的介入のために-

 5 まとめ

第11章 事例

 事例1:右半球損傷の事例(植谷利英)

 事例2:前頭葉損傷の事例(浦野雅世)

 事例3:びまん性脳損傷(外傷性脳損傷)の事例(宮﨑彰子)

 事例4:小脳性認知情動症候群の事例(塚越千尋)

【第Ⅴ部】認知症のコミュニケーション障害

第12章 認知症のコミュニケーション障害の評価と支援(飯干紀代子)

 1 認知症の定義と分類

 2 コミュニケーション症状

  1)アルツハイマー型認知症(AD)

  2)前頭側頭型認知症(FTD)

  3)原発性進行性失語

 3 評価

  1)考え方の基本

  2)具体的な評価方法

 4 支援

  1)考え方の基本

  2)本人に対する支援

  3)環境調整

  4)家族への支援

 5 まとめ

【資料編】訓練に利用できる教材と使用法(津田哲也、中村 光)

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書籍情報

  • ISBN:9784763995780
  • ページ数:264頁
  • 書籍発行日:2025年7月
  • 電子版発売日:2025年11月6日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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