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商品情報
内容
手術手技と手順こそ,エビデンスに基づく定式化が重要です.手順の定式化は,術者の技術取得に役立つばかりでなく,様々なメリットがあります.患者さんの搬入から執刀までの時間が,腹臥位への体位変換と高位確認を含めて30分以内と非常に短縮できるため術者と患者さんへの負担が減ります. また,脊椎脊髄手術には,高位間違いに始まり,不適切な手術方法,出血多量,除圧不足,固定不良,硬膜損傷,術後血腫,創部感染など様々なピットフォールが存在しますが,それらへの対応もスムーズになることで安心して手術が行え,手術成績も向上します. 若手外科医必読の,脊椎脊髄外科手術を行うための実践手引き決定版です!
序文
序文
本書は脊椎脊髄外科を志す外科医のために,実際の臨床の現場において実践の手引書となることを目指しています.小生が44年前に大学の医局に入局した頃は,臨床で必要な技術は,臨床の現場で先輩の動きを見て学ぶという時代でした.恩師である教授からは「手術の技術は,先輩の手術を見て盗め」と教えられ,実際に,そのように実践してきました.確かに,そのようにしたほうが,自分の頭で考えながら習得していきますので確固たるものになります.その反面,習得にかかる時間は長く,その過程で不十分な技術で対応した患者さんもあり不満足な結果も発生しがちでした.
現代は,手術に確固たる安全性としっかりとした効果が求められます.手術適応の決定から手術手技,そして手術後の対応まで一連の定式化された手順があれば,術者は安心して手術に集中できるようになり,より良い結果が得られると考えて,小生の施設ではスタッフ全員の参加のもとで,その手順を作製してきました.
もちろん,手順には文書化されたものもありますが,多くは口伝されてきたものです.今回,その手順を皆様にお伝えしたいと思い,スタッフが手分けして文書化したものが本書です.それは手術手技ばかりでなく,診断から手術適応の決定,術前準備,体位の設定,術後管理と多岐にわたります.手順の定式化は,術者の技術取得に役立つばかりでなく,さまざまなメリットがあります.例えば,患者さんの搬入から執刀までの時間が,腹臥位への体位変換と高位確認を含めて30分以内と非常に短いことがあげられ,術者と患者さんへの負担が減ります.また,脊椎脊髄手術には,高位間違いに始まり,不適切な手術方法,出血多量,除圧不足,固定不良,硬膜損傷,術後血腫,創部感染などさまざまなピットフォールが存在しますが,それらへの対応策を定式化された手順の中に含んでおけば,安心して手術ができますし手術成績の向上につながると確信しています.
定式化された手順は,できるだけエビデンスに基づき理論的に構築されていますが,経験に基づいた記述もありますので,その点につきましては,読者の方の判断にもとづいて取捨選択していただければと考えています.また,本書の内容はこれからもアップデートしていかなければと考えておりますので,何かご意見がございましたら是非お知らせいただければと考えております.
本書では,できるだけわかりやすさを目指し,イラストあるいは写真を多用するようにいたしました.しかしながら,紙面では限りがあります.ここが知りたいがわからないというようなことがありましたら,施設まで見学にいらしてください.歓迎いたします.
本書が,皆様の脊椎脊髄外科の技術取得にお役に立ち,それにより,脊椎脊髄外科が発展していくことになれば望外の喜びです.
2025年8月
寳子丸 稔
目次
第1章 術前診断
A 神経学的診断〈寳子丸 稔〉
1.神経学的診断と画像診断を総合する際に必要な解剖学的事項
2.問診票での病歴聴取
3.視診
4.対面での病歴聴取
5.神経学的検査
6.脊椎疾患以外の疾患との鑑別診断
B 画像診断〈寳子丸 稔 豊嶋敦彦〉
1.単純X線撮影
2.MRI
3.CT
4.脊髄造影
5.腰神経根造影/ブロックによる高位診断
第2章 手術計画〈福田美雪〉
A 手術法選択のガイドライン
1.除圧術と固定術
2.前方到達法と後方到達法の選択
3.固定範囲
B 各病変における手術法の選択
1.頚椎椎間板ヘルニア
2.頚椎症性脊髄症
3.頚椎症性神経根症
4.頚椎後縦靱帯骨化症
5.胸椎黄色靱帯骨化症
6.腰椎椎間板ヘルニア
7.腰部脊柱管狭窄症
8.骨粗鬆症性椎体骨折
C 併存症への対応
1.心機能の評価
2.糖尿病の管理
3.骨粗鬆症
4.止血剤の管理
5.神経疾患
6.精神疾患
7.腎疾患
第3章 脊椎手術の道具〈上田茂雄 黒田昌之〉
A ドリル
1.ドリルの構造と特性
2.ドリルの使用法
B ノミ
1.ノミの種類
2.ノミの使用方法と注意点
C ケリソンロンジュール
1.ケリソンロンジュールの種類
2.ケリソンロンジュールの使用方法と注意点
D 髄核鉗子
第4章 手術室における準備〈上田茂雄〉
A 体位のセッティング
1.メイフィールド型頭部固定器の装着
2.フェイスマスク型固定器の使用
3.体位変換
B 高位確認
1.頚椎前方手術
2.頚椎後方手術
3.胸椎後方手術
4.腰椎後方手術
5.高位確認におけるピットフォール
C 術野の消毒とドレーピング
1.SSI予防のために
2.術野のクリーニング
D 手術支援装置
1.X線透視
第5章 手術方法
A 環軸椎固定術〈佐々木伸洋〉
1.適応
2.術前画像診断
3.手術方針
4.手術の流れ
B 頚椎前方除圧固定術〈福田美雪〉
1.適応
2.術前画像診断
3.手術方針
4.手術の流れ
5.術後合併症を防ぐために
6.手術後のケア
C 片開き式頚椎椎弓形成術〈上田茂雄〉
1.適応と本術式のメリット
2.術前画像診断
3.手術方針
4.手術の流れ
5.術後管理
D 胸椎黄色靱帯骨化症手術〈寳子丸 稔〉
1.適応
2.術前画像診断
3.手術方針
4.手術の流れ
E 腰椎椎間板ヘルニア手術(顕微鏡下腰椎椎間板摘出術)〈佐々木伸洋〉
1.適応
2.術前画像診断
3.手術方針
4.手術の流れ
5.特殊な椎間板ヘルニアの手術
F-1 棘突起縦割式腰椎椎弓切除術(ドリル)〈上田茂雄〉
1.適応と本術式のメリットとデメリット
2.術前画像診断
3.手術方針
4.手術の流れ
5.術後管理
6.除圧術の長期成績を良いものとするために
F-2 腰椎椎弓切除術(ノミ)〈黒田昌之〉
1.適応
2.手術の流れ
G 腰椎後方固定術〈福田美雪〉
1.適応
2.術前画像診断
3.手術方針
4.手術の流れ
5.術後管理
H 側方経路腰椎椎体間固定術〈上田茂雄〉
1.適応と本術式のメリット
2.術前画像診断
3.各病名における手術方針
4.手術の流れ
5.後方固定の追加
I 経皮的椎体形成術〈豊嶋敦彦〉
1.適応
2.術前画像診断
3.各病名における手術方針
4.手術の流れ
5.合併症とその対処法
J 髄内腫瘍摘出術〈寳子丸 稔〉
1.適応
2.術前画像診断
3.各腫瘍における手術方針
4.手術の流れ
5.術後管理
K 髄外腫瘍摘出術〈寳子丸 稔〉
1.適応
2.術前画像診断
3.手術方針
4.手術の流れ
5.術後管理
第6章 術中危険回避のテクニック〈上田茂雄〉
A 術中の止血法
1.止血操作の重要性
2.止血の方法
3.出血部位に応じた止血方法
B 硬膜損傷への対処法
1.硬膜損傷の発生原因と回避法
2.硬膜損傷の修復法
C スクリュー挿入の失敗
1.スクリュー軌道の計画
第7章 閉創ならびに術後管理〈上田茂雄〉
A 閉創
1.各手術における閉創のフロー
2.ドレナージチューブ挿入
3.創部の洗浄
4.縫合
B 周術期管理
1.術後の全身管理
2.ドレナージ
3.神経症状のチェック
4.頚椎前方固定術における周術期管理
C 術後画像評価
D 術後血腫への対応
E 感染予防と感染症への対応
1.術中における対策
2.ドレッシングの管理
3.抗菌薬の使用
4.デブリードマン
F 髄液漏への対応
1.髄液漏の予防
2.髄液漏の早期認識
3.髄液漏の治療
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書籍情報
- ISBN:9784498054981
- ページ数:234頁
- 書籍発行日:2025年10月
- 電子版発売日:2025年10月29日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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