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- 小説みたいに楽しく読める生態学講義
商品情報
内容
地球は◯◯の惑星!?多様性はなぜ大事?講義さながらのライブ感で,くすりと笑いながら読んでいくうちに生態学の骨格が楽しくわかる!気づけば世界の見方が変わり,地球と生き物が愛おしくなる一冊.未来を変えるヒントのほか,なんと,人生に役立つ視点も満載です.
序文
はじめに
こんにちは。この本を手にしていただき、ありがとうございます。中なか田た兼けん介すけと申します。生き物を眺めているのが好きで、生き物を扱う学問のひとつ、生態学を教えて禄ろくを食はんでいます。お目にかかれて光栄です。
私が勤めているのは京都にある女子大で、学生の多くは特に生き物好きではなく、生き物にかかわる仕事をするつもりもなさそうです。すると、そんな彼女らに生態学を教えてどうなるの?という声がどこからか聞こえてきますが、気にしないようにしています。大事なのは、学んだことを人生のどこかで活いかすこと。就職だけが人生ではないでしょう。
その点、生態学は活かしどころが多い学問です。生き物とかかわりのない人生なんてありえないからです。
私たちは人間関係のなかで暮らしていて、人間だって生き物なので、これだけで生き物とかかわりまくっています。これはさすがに牽強付会と言われそうなので置くとしても、実は私たち、知らず知らず多くの生き物と暮らしています。都市のなかにも多くの生き物がいて(アメリカの話ですが)ふつうの住宅でも調べてみれば、虫だけで何十種類も見つかるそうです。食べ物はすべて生き物ですし、私たちを取り巻く環境も、生き物なしには維持できません。それに今は、経済活動も生態系や生物多様性への配慮が必要です。意外と仕事に使えるかも。
生き物を知れば人間理解も進みます。人間のことだけ考えていると、内向き思考にハマッてしまい、二進三進もいかなくなることがあります。少なくとも私はそうです。そんなとき、人と違うようで同じでもある生き物を思い出し、その生き方を思考の物差し代わりにしてみると、ふっと視界が開けることがあります。
ですから、生態学の知恵をうまく使えば、より良く生きていくことができる。そう私は信じています。ということで午後の教壇に立つ私は、まどろみはじめる学生を見ながら「いつかのときまで今日の話を頭の片隅に置いておいてくれよなあ」と思っています。
この本は、そんな私が大学で話していることをつまみ食いして1冊にしたものです。
生態学の対象は幅が広く、どんな種類の生き物も扱いますし、同じ場所でずっと観察したり、国を超えて研究したり。1種類に集中する場合もあれば地域の生き物すべてが相手のこともあります。このすべてを1人でカバーするのはほとんど無理で、生態学の研究者の多くは何かしら自分の得意分野をもっています。私は動物の個体レベルの話が好きで、最近はもっぱらクモの行動を研究しています。それより大きな、たとえば生態系や地球環境の話などは、頭で理解してはいますが、自分の専門ど真ん中に比べると半可通です。それでこの本は、生態学の森羅万象を扱う体系的な教科書ではなく、私の興味関心に沿った、身近な生き物の話に重きを置いた構成になっています。
毛色が少し違うのは最終章で、最近私が夢中のコメづくりの話をします。私はサラリーマン家庭育ちで、ずっと市街地に住んでいますが、縁あって数年前に近所の小さな田んぼを借りることができました。決して学問のためではなく、ただ楽しいから(と、少しの職業的義務感から)始めたコメづくりですが、やってみると、そこには生態学のすべてが詰まっていたのです。なにせ田んぼはひとつの生態系です。そこで、生態学の目で見た田んぼの経験をお話しして、苦手分野を補おうと思いついたわけです。学んだことがどこで活きてくるか、本当にわからないものですね。
目次
第1章 生態学とはなんだろう
生き物の星に暮らす ―― 地球環境の特徴
エコロジー? ―― 生き物と環境と関係の学問
大事なことは目に見えない ―― 生態学の時空間スケール
増える定め ―― 生き物のもつ性質
誰とも違うあなた ―― 生物多様性
成長なんて幻想です ―― 有限の環境
すべてつながっている ―― 生き物の関係と生態系
1+1=2? ―― システムとして見る
私たちも生き物だから ―― 人間と自然の関係
それ役に立ちますか? ―― 生態学と私たちの社会
第2章 生物世界の縦と横
今はまだ数えきれない ―― 生き物の種数
チワワもコーギーも同じイヌ ―― 種の定義
果てしない枝分かれ ―― 種分化
ポケモンでも出世魚でもなく ―― “進化”の意味
万骨枯れて ―― 自然選択
たとえ話をひとつ ―― 変異、遺伝、選択
神はさいころを振る ―― 偶然の影響
もっと方舟を ―― 進化と多様性
正解はひとつ ―― 収斂
正解はひとつじゃない ―― 頻度依存選択
判官びいきでいこう ―― 少数派有利と多数派有利
あなたは敵? それとも味方? ―― 擬態
楚人に盾と矛をひさぐものあり ―― 共進化
つまりは数が効いてます ―― オスとメス
力か、色か、それが問題だ ―― 性選択と利害の対立
第3章 仲間かライバルか
お金のことがわからない ―― 個体群の成長
サインはS ―― ロジスティック方程式
タイムラグの帰結 ―― 時間遅れの効果
北京のチョウ ―― カオス
悪循環が止まらない ―― 絶滅の渦
ケンカの作法 ―― 儀式的闘争
富めるものはますます富む ―― 勝ち癖負け癖
とはいえ1人で生きるのも ―― 動物の社会
われわれは大勢であるがゆえに ―― 社会性昆虫
あなたの中の私 ―― 血縁選択説
情けは人のためならず ―― 互恵的利他行動
排除の論理 ―― フリーライダー問題
第4章 複雑な世界
両雄並び立たず ―― 種間競争
けんかをやめて ―― 共存の原理
生ける仲達を走らす ―― 捕食
自分でない自分 ―― 寄主操作
リカードでいこうよ ―― 相利的関係
桶屋はいつもうかるか ―― 種間関係のネットワーク
なぜ地球は緑なのか ―― トップダウン栄養カスケード
砂漠の摩天楼 ―― 生態系エンジニア
ゆく川の流れは絶えずして ―― 物質循環
ネッシーの持続可能性 ―― 栄養段階とバイオマス
もし昆虫なかりせば ―― 生態系サービス
第5章 力と責任
家畜の惑星 ―― 生き物の星のバイオマス分布
大絶滅時代 ―― 多様性の危機
我が名はサノス ―― 人間の影響
つくれば彼はやってくる ―― 多様性の保全
つながることで抵抗せよ ―― 生息地の分断化
プレデターの責任感 ―― 外来種問題
夜は暗いもの ―― 感覚汚染・光害
オバQの憂うつ ―― 生き物嫌いの心理
どんな自然がお好きですか? ―― 生物多様性と人間のかかわり
都会のネズミと田舎のネズミ ―― 人間の進化への介入
第6章 田んぼがすべてを教えてくれる
生き物の力を借りる ―― 天敵の効果
私が田んぼにハマる理由 ―― 農業の多様な恩恵
Nの悲劇 ―― 肥料の必要性
こんにちはマルサス ―― 窒素汚染
よそ者の目に映る風景 ―― 協力行動
ホントに彼はやってくる ―― 生き物の生息地としての農地
第八の災い ―― 田んぼの外来生物
田んぼは腰にくる ―― 最終収量一定の法則
干すべきか干さざるべきか ―― 環境保全のなかのトレードオフ
牛丼の面積 ―― エコロジカル・フットプリント
おわりに
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書籍情報
- ISBN:9784758121378
- ページ数:302頁
- 書籍発行日:2025年10月
- 電子版発売日:2025年11月7日
- 判:四六判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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