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- 基礎から学ぶ生物学・細胞生物学 第5版
商品情報
内容
大学・専門学校で初めて生物学を学ぶ人向けの定番教科書.生物学の歴史から細胞の構造や機能,発生・免疫・神経系,生物の進化と多様性まで,生物学/生命科学の基本が無理なく身につく.今回の改訂では,エピジェネティクスや生物時計の解説を新たに追加.さらに細胞小器官や筋細胞の顕微鏡写真も加え,より理解しやすくなりました.自主学習に役立つ章末問題ほか,紙でαヘリックスをつくるなど手を動かして学ぶ演習も充実.
序文
第5版の序
第5版を刊行する運びとなった。初版を2006年12月に世に問うてから,20年近くの月日が流れたのだ。幸いなことに,教科書として大勢の方々に受け入れてもらえたようで,本書を教科書として採用された先生方,利用してくださった学生の方々に心から感謝している。今回の改訂では,細かな訂正や補足,演習にDNA の紙の模型の作成の追加に加えて,新型コロナウイルスのパンデミックがあったことも受け,ウイルスに関して新たに書き加えた。ウイルスは災厄だけでなく,生物の進化にとって重要な役割をも演じている。その例として胎盤の進化についての最近の知見に触れた。
また,これまでの版では,それぞれの細胞でどの遺伝子が発現するのかといった問題には触れてこなかった。近年,核内の染色体の配置や遺伝子のオン・オフの機構,さらにRNA による遺伝子発現の干渉がしだいに明らかになってきた。エピジェネティクスである。少し難しくなるが,このことについても3 章の最後に新たに節を置いて書き加えた。
もう一つは,時間生物学に関してで,ヒトを含めた生物の周期的な活動について11 章の最後に書き加えた。この分野は筆者がたずさわっていたので,それとなく自分の論文からの図を載せてしまった。このころ,ウズラを使って歩行活動と鳴く行動を継続して記録する装置を使って研究していたこと,また,ドイツでの国際会議の後に,アーリング・アンデックスのマックスプランク行動生理学研究所を訪ね,Jürgen Aschoff 教授に会ったこと,研究所構内にあった,ヒトの時計機構を解明するための実験設備をそなえた防空壕も見たことを懐かしく思い出す。
今回書き加えたこと以外にも,生物学の分野では,明らかになってきたことがたくさんあるが,すべてを載せることは不可能である。そういった知見はネット上で容易に検索することができる。なかには誤った情報もあるので,この教科書に書かれた基本をよく理解して,そういった情報を眺めてほしい。今や,生物学の知識は,この地球上の環境のもとに生きている人にとって,必須である。この6月に筆者は知床に旅行をしてきたが,ヒグマとヒトとの共生についても考えさせられた。ここでも生物学の知識が不可欠である。進化という歴史を必然的に背負ってこの地球上に暮らしている生物,しかも孤立しているのではなく,お互いにつながりあい,影響しあって生きている生物,同じように見えてそれぞれが全く同一でない生物。このことを理解するために,生き物全体を見渡す大きな視点と,生き物がもつ個々の現象に立ち入ったミクロの視点で理解することが必要なのである。本書で学んだことがそのために役に立ってくれれば幸いである。
最後になってしまったが,今回の改訂で光学顕微鏡ならびに電子顕微鏡の図を多数加えた。これらの写真は駒﨑伸二先生にご提供いただきました。篤くお礼申し上げます。
2025年9月
和田 勝
目次
序章 はじめに
1.科学とは何か?
❶科学とは
❷法則と理論
2.生物学とは,生物学の方法
❶生物学とは
❷生物学は特殊だった?
❸仮説を立てるために
❹観察のための道具
1章 生物学の基本
1.地球上には多様な生物が生息している
❶人は区別する
❷名前をつける
2.神の栄光のために生物を分類する
❶リンネの自然の体系
❷リンネの考え方
❸分類学の基礎
3.進化論の登場(神の退場)
❶ダーウィン以前
❷ダーウィンが考えたこと
❸進化論その後
4.地球上の生物に共通すること①(細胞説)
❶細胞説の前夜
❷細胞説
5.地球上の生物に共通すること②(メンデルの遺伝の法則)
❶メンデル以前
❷メンデルの行った実験
❸メンデルの遺伝の法則
❹見かけ上,メンデルの法則があてはまらない例
❺メンデルの法則その後
6.生物体のつくりと階層性
❶細胞,組織,器官,器官系
❷生物界の階層性
❸細胞が基本
章末問題
演習① データを数量的に扱い,統計処理をしてみよう
2章 細胞のプロフィール
1.光学顕微鏡と電子顕微鏡の発明
2.細胞には多様な横顔がある
❶多様な細胞の形
❷細胞の概観
3.細胞を構成している物質
❶水の性質
❷モノマーとポリマー
❸タンパク質
❹核酸
❺糖質
❻脂質
4.細胞小器官の構造と機能
❶核
❷小胞体とリボソーム
❸ゴルジ装置
❹ミトコンドリア
❺葉緑体
❻細胞骨格
❼リソソーム,ペルオキシソーム
5.細胞を取り巻く細胞膜の構造と機能
❶細胞膜の構造
❷細胞膜の機能
章末問題
演習② タンパク質をデータベースで調べ,パソコンで描いてみよう
3章 何が細胞の形や機能を決めているか
1.形質を決めているものを求めて
❶DNAの発見
❷染色体地図
❸遺伝子はタンパク質をコードしている
❹遺伝子の本体はDNAだ
2.遺伝子としてのDNA
❶DNAの化学的性質の研究
❷ワトソン-クリックのモデル
❸遺伝の暗号はどう解読されたか
3.DNAからタンパク質へ①(転写)
❶転写の過程
❷リボソームとTRNA
4.DNAからタンパク質へ②(翻訳)
❶リボソーム表面上にあるさまざまな結合部位
❷翻訳の過程
❸合成されたタンパク質の行方
5.タンパク質の構造と機能(形と機能の裏腹な関係)
❶ヘモグロビンの形
❷ヘモグロビンのはたらき
❸ヘモグロビンの変異
6.遺伝子の発現を調整するエピジェネティクス
❶核の内部の構造
❷ヌクレオソームの構造とヒストンテール
❸ヒストンのアセチル化,メチル化
❹DNAのメチル化
❺エピジェネティックなスイッチの維持と重要性
❻もう1つのエピジェネティクス,RNA干渉
章末問題
演習③-1 DNAの紙モデルをつくってみよう
演習③-2 タンパク質の二次構造をつくってみよう
4章 細胞が生きて活動していくために
1.何をするにもエネルギー(ATPの産生)
❶ATPって何?
❷エネルギー獲得の概観
❸解糖はサイトソルで
❹解糖の過程を動かし続けるために
❺ミトコンドリア内で営まれる効率的なエネルギー生産
2.葉緑体による光エネルギーの固定
❶グルコース産生は燃焼の逆反応?
❷光電子伝達系
❸炭素同化反応
❹太陽の恵みと動物と植物の深い関係
3.代謝経路のネットワーク
❶代謝経路とは
❷酵素タンパク質
❸補酵素の必要な酵素
❹タンパク質以外の物質の合成
❺代謝の調節
❻代謝経路のネットワーク
章末問題
5章 タンパク質が細胞のさまざまな活動を担う
1.タンパク質のさまざまな機能(酵素,運搬,ホルモン,受容体,細胞骨格)
❶膜輸送タンパク質
❷ホルモンタンパク質
❸受容体タンパク質
2.細胞は動く
❶アクチンフィラメント
❷微小管
❸筋収縮
3.タンパク質はDNAへはたらきかける
❶オペロン説
❷真核生物の場合
4.細胞膜に埋め込まれた膜タンパク質の重要な機能
❶細胞膜の構造
❷グルコーストランスポーターとアクアポリン
❸接着タンパク質
章末問題
演習④ ヒトとチンパンジーのタンパク質を比較してみよう
6章 多細胞生物への道①(細胞間の情報交換)
1.細胞は集まって
❶細胞同士の付き合い方―多細胞生物の場合は
❷細胞間の結合の役割
2.細胞間の情報交換の方式
3.ホルモンと受容体で情報を伝える
❶信号分子としてのホルモン
❷水溶性ホルモン受容体の種類
❸Gタンパク質共役型受容体の場合―グルカゴンが作用するしくみ
❹酵素共役型受容体の場合―インスリンが作用するしくみ
❺骨格筋における代謝―受容体の有無による作用の違い
❻もう1つのGタンパク質共役型受容体(IP3-CA2+系)
4.信号分子による転写の調節(細胞外から遺伝子への情報伝達)
❶ステロイドホルモンと受容体
❷ステロイドホルモン受容体複合体は遺伝子の転写を制御
❸ステロイドホルモンの作用のしかた
5.イオンチャネル連結型受容体を介した情報伝達
❶神経系による情報伝達
❷アセチルコリン受容体
章末問題
演習⑤ インスリンと血糖値の変動をグラフ化してみよう
7章 多細胞生物への道②(細胞の数を増やす)
1.DNAの複製
❶細胞の数を増やす
❷DNAはどのように複製されるのか
❸DNA複製の過程
2.細胞周期と体細胞分裂
❶細胞周期
❷体細胞分裂の過程
3.細胞周期の調節
❶チェックポイント
❷サイクリン依存性キナーゼとサイクリンの発見
4.突然変異とDNA修復機構
❶突然変異
❷突然変異が起こる原因
❸DNAの誤りを正す
章末問題
8章 多細胞生物への道③(個体の数を増やす・発生と分化)
1.減数分裂(次の世代をつくるために)
❶生殖と繁殖
❷減数分裂とは
❸減数分裂の過程
❹減数分裂による遺伝的多様性
2.生殖細胞の形成
❶性とは
❷精子形成
❸卵形成
3.受精
❶先体反応
❷多精拒否機構
❸卵の賦活(活性化)
4.初期発生と器官形成
❶発生とは
❷ウニの初期発生
❸カエルの初期発生
❹鳥類の初期発生
❺哺乳類の初期発生
❻器官形成
5.始原生殖細胞と性分化
❶極細胞,始原生殖細胞
❷生殖腺へ
6.細胞間のコミュニケーションによる分化のしくみ
❶誘導・分化・拘束
❷種によって異なる卵での指定の時期
❸体軸の決定
❹ホメオボックス
章末問題
演習⑥ 体細胞分裂と減数分裂を体感してみよう
9章 個体を守る免疫のシステム
1.病原体から身を守る
2.植物の生体防御機構
❶植物の第一防衛ライン
❷植物の第二防衛ライン
3.無脊椎動物の生体防御機構
❶無脊椎動物の第一防衛ライン
❷無脊椎動物の第二防衛ライン
4.ヒトの生体防御機構(第一防衛ライン)
5.ヒトの第二防衛ライン(自然免疫)
❶血球細胞の種類
❷免疫にかかわる膜タンパク質
❸貪食細胞の活躍
❹貪食と並行して起こること
❺ナチュラルキラー細胞の活躍
6.ヒトの第三防衛ライン(獲得免疫)
❶第二防衛ラインから第三防衛ラインへの橋渡し
❷獲得免疫の概要
❸獲得免疫にはリンパ球が関与する
❹リンパ系器官
❺免疫応答
7.抗体による攻撃(体液性免疫)
❶抗体分子の構造
❷抗体には種類がある
❸抗原とは
❹抗体の多様性はどうして生ずるか
8.細胞傷害性T細胞による攻撃(細胞性免疫)
❶MHCタンパク質
❷細胞傷害性T細胞(キラーT細胞)
❸T細胞受容体
9.免疫機能の制御と記憶,訓練など
❶ヘルパーT細胞は獲得免疫の司令塔
❷記憶細胞
❸胸腺での訓練
❹免疫グロブリンスーパーファミリー
10.もう1つの獲得免疫
章末問題
10章 生きること,死ぬこと(細胞の再生と死,個体の死)
1.細胞の再生
❶細胞再生の違いによる細胞の分類
❷幹細胞による細胞再生系
❸分化した細胞
❹細胞分裂に限りはあるのか
2.細胞が死ぬとき
❶ネクローシスとアポトーシスの違い
❷アポトーシスの起こるとき
❸アポトーシスの共通経路
❹アポトーシスの引き金
3.老化・寿命と遺伝子の関係
❶ヒトの老化は規格外?
❷早老症
❸再び老化とは
4.がんを含むさまざまな病気とその原因
❶病気の定義
❷遺伝子の変異による病気
❸病原体による病気
❹がん
❺その他の病気
章末問題
11章 個体としてのまとまり(外部環境を認識し,内部環境を調節する)
1.内部環境を一定に
❶外部環境と内部環境
❷ホメオスタシスの機構
❸制御中枢の必要性
2.制御中枢による情報の処理と調節
❶ニューロン
❷ニューロンのはたらき
❸グリア細胞
❹神経系の発達
❺内分泌系の中枢
3.動物の行動
❶生まれつき備わった行動
❷学習や知能によって獲得される行動
4.感覚器官と感覚の受容
❶感覚の種類
❷機械的刺激の変換
❸化学的刺激の変換
5.個体の規則的な行動を制御するもの─生物時計
❶測時機構の発見
❷時計遺伝子の発見
❸生物時計はどこに?
章末問題
演習⑦ 静止電位と活動電位を描いてみよう
12章 生物の進化と多様性
1.個体の生きる場所(多様な環境に適応して生きる)
❶多様な生物を支える多様な生態圏
❷個体群密度
2.進化と多様性の創出
❶進化は個体群で起こる
❷ハーディー-ワインベルグの法則
❸実際の個体群は遺伝子平衡ではない
❹ランダムな変異を方向づける
❺中立的な突然変異と遺伝的浮動
❻漸進説,種分化,小進化
❼断続平衡説,大進化
3.地球上の生物多様性を守るために
❶なぜ生物の多様性か
❷生物の多様性とは
❸生物多様性消失の要因と多様性の保全
章末問題
演習⑧ 成長曲線を描いてみよう
演習⑨ 分子系統樹を描いてみよう
参考図書&FURTHER READINGS
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書籍情報
- ISBN:9784758121859
- ページ数:360頁
- 書籍発行日:2025年11月
- 電子版発売日:2025年11月22日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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