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- 「お金がない」「知識がない」「やる人がいない」から始める看護DX
商品情報
内容
看護現場におけるDX推進を困難にする原因として、DXという概念の広さ、システム構築にかかる金銭的コスト、IT専門家でない医療職が進めていかざるを得ないことなどが挙げられる。本書では、ITの素人であった著者が組織改革によってDX化を実現させるに至った足跡をもとに、看護におけるDX推進のステップを具体例とともに紹介する。
序文
はじめに――貴重な現場の戦力をDX推進担当とすることについて
飯塚病院 副院長兼看護部長の森山です。この度、私たちの看護部におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)推進の道のりを、このような形で書籍としてまとめ、みなさまにお届けできることを大変感慨深く感じております。本書が、日々進化する医療の現場で奮闘されている看護職のみなさま、そしてこれからの看護のあり方を模索されている多くの方々にとって、何らかの示唆や勇気を与える一助となれば、これに勝る喜びはありません。
数年前、看護部としてDX推進にかじを切る決断をした当時、私の胸中は期待と不安が複雑に交錯していました。医療現場における人手不足は、みなさまもご承知の通り、当院も例外ではありません。
限られた人員の中で、病棟運営の要である「師長」という貴重な役職のポストを一つ、まだ実績のない「DX推進担当」という未知の領域に充てることへの葛藤は、決して小さなものではありませんでした。管理職として、組織全体の最適解を常に模索する中で、この決断が本当に正しいのか、自問自答する日々が続きました。
さらに大きな懸念は、その任を託す人材についてでした。今回、DX推進担当という新たな役割を担ってくれた、本書の著者である上川は、長年にわたり看護の最前線で患者と真摯に向き合い、豊富な経験と知識を培ってきた、まさに「現場のプロフェッショナル」です。彼を、これまでとは全く異なるITという分野、デスクワーク中心の業務へと異動させること。それは、彼がこれまで築き上げてきたキャリアや、看護師としてのアイデンティティを揺るがしかねないのではないか、そして何よりも、彼自身の仕事に対するモチベーションを著しく低下させてしまうのではないかという大きな不安がありました。長年、看護師として培ってきた情熱や誇りを、新しい環境で活かせず、失わせてしまうのではないか。それは、彼にとっても、組織にとっても、計り知れない損失になるのではないかと危惧していました。
正直に申し上げて、DX推進担当というポジションを新設したものの、具体的にどのような業務を担ってもらうのか、どのような成果を期待するのか、当時はその明確な道筋は全く見えていませんでした。「DX」という言葉だけが先行し、手探りで進むしかない状況でした。初めての試みであるがゆえの不確かさ、成功への保証は何もない中で、ただ、彼の持つ潜在的な能力、未知の領域にも果敢に挑戦するであろうそのポテンシャルに、私たちは一縷の望みを託しました。期待半分、不安半分、というのが偽らざる心境だったのです。
しかし、私たちの抱いていた不安は、よい意味で裏切られることになります。
実際にDX推進担当として活動を開始した彼は、私たちが想像していた以上に、期待をはるかに超える目覚ましい活躍を見せてくれました。当初は戸惑いもあったことでしょう。それでも彼は、持ち前の探求心と粘り強さで、ITスキルを着実に習得し、看護現場の視点とデジタル技術を結びつけるという、まさに私たちが求めていた役割を見事に体現してくれたのです。
彼の功績の中でも、特に印象深いのは、看護部ホームページの全面リニューアルです。これは単に見た目を刷新したというだけではありません。コンテンツの質、情報の整理、発信力、使いやすさ、そのすべてにおいて格段の向上を見せ、看護部の活動を院内外に効果的に伝えるための強力なツールへと生まれ変わらせてくれました。このホームページは、今や看護師募集における情報提供の核となり、就職希望者からの問い合わせ増加にもつながっています。まさに、飯塚病院看護部の「顔」として、そのブランドイメージ向上に多大なる貢献を果たしてくれたのです。ホームページの活用という点においては、以前とは比較にならないほどの成果を上げています。
上川の奮闘は、ホームページの刷新に留まりません。彼が中心となり、さまざまな業務改善や新たなシステムの導入検討が進められました。その過程で、これまでデジタル技術とは縁遠いと感じていた現場の看護師たちの中にも、「自分たちの業務をもっとよくできるのではないか」「この課題はデジタルで解決できるかもしれない」といった意識が芽生え始めたのです。DX推進担当という、いわば「旗振り役」がいることで、看護部全体のDXに対する意識、そして組織の文化そのものが、確実に、そして力強く変化していくのを、私は目の当たりにしました。
専任の担当者を一人置くという、当初は大きな不安を伴った決断が、ここまで組織の文化や職員の意識を変える力を持つとは、私自身、正直なところ、驚きを隠せませんでした。それは、上川という一人の人間の情熱と努力が、周囲を巻き込み、組織全体を動かした証でもあります。
もちろん、看護現場におけるDXの推進は、まだ道半ばであり、これで終わりというものではありません。むしろ、これは終わりなき旅の始まりなのだと感じています。技術は日々進歩し、医療を取り巻く環境も刻々と変化していきます。私たちは、常に新しい課題に直面し、変化に対応し続けていかなければなりません。しかし、この長く、時に険しい道のりを歩む上で、羅針盤となり、推進力となる専任担当者の存在がいかに重要であるか、私たちはこの数年間の経験を通じて、身をもって学びました。
本書は、飯塚病院看護部という一つの組織における、ささやかな挑戦の記録です。しかし、ここには、変化への戸惑い、挑戦への勇気、そして仲間と共に困難を乗り越えた先に得られた確かな手応えが詰まっています。私たちの経験が、これからDXに取り組もうとされている、あるいは既に取り組んでおられる全国の看護職のみなさまにとって、少しでも参考となり、共感していただける部分があれば幸いです。
私たちの挑戦は、まだ始まったばかりです。しかし、私たちは、未来の看護をより豊かに、そして患者にとってより良いケアを提供するために、確かな一歩を踏み出したという手応えを感じています。
この歩みを止めることなく、さらに前進していく所存です。
本書が、医療現場で日々奮闘しているみなさまにとって、新たな一歩を踏み出すための後押しとなれば嬉しく思います。
2025年10月
飯塚病院 副院長兼看護部長
森山 由香
目次
・はじめに ―貴重な現場の戦力をDX推進担当とすることについて
・執筆者一覧
・序に代えて~できることをやる看護DXのススメ~
【第1章 DXとは?】
1 DXとは何なのか?
2 医療DXとは?~国の大きな動きと私たちの現場~
3 DXって、結局何をすること?~3つのステップで理解しよう〜
4 「2025年の崖」は今、目の前に……医療現場の厳しい現実
5 DXの成功には「組織の文化」も大切~CXという考え方~
6 DXとCXは車の両輪
7 IXって何?~世の中全体の大きな変化の流れ~
column DXの悩みと失敗
【第2章 デジタルのロジックを理解する】
1 DXへの航海に出るためのコンパス
2 なぜ「ロジック」が重要なのか?
column DXの悩みと失敗
【第3章 看護DXの本質・方向性・課題】
1 DXの5つのポイント
2 飯塚病院におけるITの変遷
【第4章 看護部DX推進担当の具体的な活動事例】
1 教育インストラクター用動画の編集
2 ホームページの修正と再制作
3 COVID-19接触者リストの簡便化
4 ポスター・チラシ制作
5 外部向けのスライド修正
6 患者画像アプリの導入サポート
7 電子カルテメンテナンス時のサポート
8 RPA導入のサポート
9 Excelファイルの制作
10 Excel活用~人材資源データベース(スタッフ管理表)~
11 Excel共有ファイルのブッキング問題をマクロで解決!
12 クリニカルラダーレベルの一元管理
13 動画制作の内製化
14 情報発信と共有、ネットワーク構築
15 外部ベンダーとの協働
column DXの悩みと失敗
【第5章 看護DXを進める9つのステップ】
1 DXの推進にはロードマップが不可欠
2 ステップ1:担当者の決定
3 ステップ2:現状分析とニーズ評価
4 ステップ3:ビジョンと目標の設定
5 ステップ4:戦略と計画の立案
6 ステップ5:インフラ整備とシステム導入
7 ステップ6:トレーニングと教育
8 ステップ7:運用とモニタリング
9 ステップ8:継続的な改善と拡張
10 ステップ9:成果の共有と文化の醸成
column DXの悩みと失敗
【第6章 DXの推進は“与える”ことから始まる】
1 同床異夢では組織は変われない
2 DX=バタフライエフェクトのようなもの
3 第4次産業革命
4 DX力とは何か?
5 DX推進の壁を乗り越えるヒントは「恋愛」にあり?
・おわりに
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書籍情報
- ISBN:9784840490870
- ページ数:176頁
- 書籍発行日:2025年12月
- 電子版発売日:2025年11月18日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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