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- 臨床画像 2026年4月増刊号 42巻13号 画像診断レポート学-私の書き方-
商品情報
内容
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序文
序説
画像診断を学ぶための教科書・雑誌は山ほどあるのに,画像診断レポートの書き方自体を学ぶための教材は,ほとんど存在しない。学会・研究会で珍しい病態や教訓的なピットフォールを学ぶことはできるが,レポートの全文をみる機会はない。エキスパートの先生方がどんなレポートを書いているかは,(特に異常がない部分に対してはなおさら)たまたま同じ職場にいない限り,知ることができない。私たち画像診断医の仕事の大半はレポート作成であるのに,よいレポートを書くためのエッセンスは散らばっている。かき集めても,どこか物足りない。どうにかならないか。
本号は,その“空白”を埋めることを目的とした,類書のない『臨床画像増刊号』である。
レポートの書き方には個性が出る。本増刊号の執筆を担当してくださったエキスパートの先生方にも各々の流派があり,使われている言葉もさまざまだ。「Aと書くようにしている」派と「Aとは書かないようにしている」派がどちらもいたりする。それぞれの考え方も,その違いも,大変勉強になる。読者の日常診療に役立つことは間違いない。
本増刊号で興味深いところは,著者らの書き方・考え方の多様性だけではない。読み進めていくと,いくつかの共通する理念の存在にも気付くはずである。それは例えば「言葉の厳密さよりも,相手に伝わることをより重視する姿勢」であり,「前線で戦う依頼医への敬意」や「レポートの向こうに確かにいる患者への責任」であり,「画像診断医は学び続けるべき者であるという誇り」である。そこには画像診断の本質が垣間みえていると私は思う。
『各分野のエキスパートの先生方が普段どんなレポートを書いているのか知りたい』
私が専攻医1年目のころからずっと抱えてきたこの希望を叶える機会をいただいた,伊藤様をはじめとするメジカルビュー社の方々,ご多忙のなか,秘伝の知識を公開してくださった著者の先生方,そして私の思いに共鳴し,共編者として企画を一緒に進めてくださった竹田太郎先生に,心より感謝する。本増刊号が画像診断に携わる日本中の医師を支える柱の1つとなり,それがよりよい医療につながっていくことに期待する。
黒川 遼
序説
私が医師になった2002年当時,放射線科レポートの多くは手書きであった。長い文章を書けば書くほど手が疲れる。良・悪の問題ではなく,物理的な制約として,記述の前に十分考察し,できるだけ凝縮して書くという習慣が自然と身についた。短文のレポートは美学ではなく,いわば生存戦略であった。
当時の読影医には個性的な人が多く,それぞれが独自のスタイルをもち,互いに一歩も譲らない気風があった。ある指導医からは「所見はもっと簡潔に書け」と指導され,別の指導医からは「もっと丁寧に記載しろ」と叱られる。両者の間で板ばさみになり途方に暮れることもしばしばであった。彼らは自らの師から受け継いだものを長年の臨床で練り上げ,そのレポート哲学を後進に伝えようとしてくれていたのだと思う。もっとも,そのなかには実にくだらない哲学が含まれていたことも確かである。しかしくだらないものも含めて,押し付けられたからこそ知りえたスタイルの奥行きがあった。
翻って現代は「人に何かを押し付けない」時代である。それ自体は歓迎すべきことだが,一方で押し付けられなくなった結果,他者のスタイルに深く触れる機会が減り,レポートのよさを表層的にしか理解できなくなってはいないだろうか。だからこそ,こうして1冊のなかに多様なスタイルが解説付きで並ぶことには意味があると思う。
実際にほかの執筆者の原稿に目をとおして,その衝撃は予想以上であった。師から教わり,自らも長年の経験をつうじて「これがベスト」と信じて疑わなかったことと,真逆のことが色々と書いてある。SNSでしかやりとりのない顔のみえない相手ならまだしも,何十回と顔を突き合わせ,勉強会を重ねてきた信頼する仲間にまったく逆の持論があったりするのだから心穏やかではない。自分のスタイルはもはや古いのかと冷や汗をかく思いであった。
特に,思ったことをそのまま率直に伝えることしか能がない私にとって,「明らかな」の使い方のバリエーションや,依頼医に対する伝え方に強弱をつけるという発想はとても新鮮であった。私自身,そうした繊細な配慮は,読影の精度を高めることに注力するあまり無意識のうちに切り捨ててきた領域でもあった。
正直,私にはすんなりとは受け入れにくいものがあるのも事実である。しかし真摯に研鑽を重ねてきた方々の持論だからこそ,たとえすぐに実践できずとも,私の思考を揺さぶる力があった。私には無理だと思っていた方法論で診断業務を実際に成立させているのだから,なおさらである。自らのスタイルを公にさらすことは勇気のいる行為にもかかわらず,あえてそれをやり遂げてくれた執筆陣には深く感謝している。
20年以上放射線科医をやっていると,面と向かって私のスタイルに対する反論を述べてもらえる機会はだんだんと少なくなってきた。そんななかで長年かけて固めてきた自分のスタイルが揺さぶられるというのは,考えてみれば贅沢な経験である。読者の皆さんにも,ぜひ同じ揺さぶりを味わっていただきたい。
竹田太郎
目次
特集:画像診断レポート学-私の書き方- 企画・編集:黒川 遼,竹田太郎
【神経系】
神経系領域のレポートのこだわりと,いわゆる「見落とし」についての考え方 黒川 遼
「伝わるレポート」を考える−脳神経領域の実践から− 山本貴之
【頭頸部】
依頼医とのコミュニケーションツールとしての読影レポート−頭頸部領域を題材に− 子安 翔
頭頸部領域における画像診断レポート作成の実践 馬場 亮ほか
【胸部】
胸部領域−画像診断レポート作成にあたる考え− 大山 潤
胸部画像診断レポート−何をみて,何を考えるか− 佐藤晴佳ほか
【腹部】
腹部領域−上腹部画像診断レポートのミニマムデザイン− 田村謙太郎ほか
私の腹部領域の診断レポート 吉田耕太郎
【骨盤部】
婦人科common diseaseにおけるポイント 坪山尚寛
骨盤部領域レポート記載について−自分の考えを伝える気持ちを大切に− 八木文子ほか
【骨軟部】
軟部腫瘤のMRIレポート基本構成 川口真矢ほか
主要関節のMRIレポート基本構成 福田健志ほか
【小児】
小児画像診断レポート−成長・発達を踏まえた書き方− 榎園美香子
私の小児画像診断レポート学−何を書き,何を書かないか− 乗本周平
【核医学】
核医学領域のレポート記載−定型文を中心に− 中條正豊ほか
核医学読影レポートの流儀−判断を求められる検査にどう向き合うか− 横山幸太
【画像診断全般】
相手に伝わらなければ意味がない−画像診断レポートの書き方− 木口貴雄
依頼医に心がみえる読影レポート 竹田太郎
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書籍情報
- ISBN:9784008004605
- ページ数:184頁
- 書籍発行日:2026年4月
- 電子版発売日:2026年4月3日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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