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- 病理と臨床 2026年11月号 44巻11号 精巣腫瘍 update
商品情報
内容
精巣腫瘍における分子生物学的知見や国際分類の改訂,治療法の変化を踏まえ,本邦で『精巣癌取扱い規約第5版』が出版された.本特集はこうした動向を背景に,胚細胞腫瘍の組織発生や新マーカー,実用的な治療効果判定を整理するほか,性索間質性腫瘍や血液リンパ球系腫瘍の最新動向と課題を提示する.病理医が知るべき臨床知識も含め,病理と臨床の両面から精巣腫瘍の理解を深め,今後の診療の指針となることを期待している.
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序文
精巣腫瘍update
本誌で精巣腫瘍を扱った特集号は,過去20年では30巻10号(2012年)「泌尿器病理Ⅱ─尿路系,精巣,外陰部─」,35巻12号(2017年)「胚細胞腫瘍」に限られ,精巣腫瘍のみを対象としたものはない.その間に,分子生物学的検討から精巣胚細胞腫瘍の組織発生に関する新たな知見が得られ,組織分類に反映された.さらに病期分類の改訂やリスク分類の再評価を通し,治療方針にも化学療法を主体に変化が生じている.また,セルトリ細胞腫,ライディッヒ細胞腫などの精巣性索間質性腫瘍は,その稀少性から臨床・病理像の多くが不明な腫瘍群であったが,近年,多施設研究の長期予後データが提示されつつあり,病理診断マーカーとなる分子異常を含めた新たな腫瘍分類も提言されている.本邦では,それらを踏まえた精巣癌(精巣腫瘍から改題)取扱い規約第5版が本年(2026年)4月に出版された.
まず新規約の改訂点の解説を通し,現状の精巣腫瘍診療,および今後の課題を把握する.精巣胚細胞腫瘍では,前駆病変であるgerm cell neoplasia in situとの関連の有無による組織分類が採用されているが,その基盤となった腫瘍発生仮説については十分に理解が進んでいるとは言い難く,その検証の過程で見出された新しい診断マーカーも含めた知見の整理が必要である.精巣胚細胞腫瘍の治療方針を決定するリスク分類であるInternationalGerm Cell Cancer Collaborative Group分類や化学療法の内容についても病理医が知っておくべき知識と考える.規約改訂項目にはWHO分類第5版(2022年),UICC-TNM分類第9版(2025年)の改訂内容も含まれる.日常診療においては,特に化学療法に不応性であることから臨床上問題となる体細胞型悪性腫瘍が,組織診断でも奇形腫や他臓器由来腫瘍との鑑別の観点から病理医を悩ませることが多い.また,後腹膜リンパ節や遠隔転移巣の切除検体では,抗腫瘍治療後の腫瘍組織像を評価する必要がある.基礎となるデータに乏しいのが現状であるが,新規約では治療に必要な情報を含め,かつ実用性を重視したシンプルな病理学的治療効果判定を掲載している.
性索間質性腫瘍では,Japan Urological Oncology Groupによる患者長期予後の多施設研究,またInternational Society of Urological Pathology,Genitourinary PathologySociety合同の組織分類・病理診断に関するコンセンサス会議の結果が相次いで報告されている.悪性リンパ腫を主体とする血液リンパ球系腫瘍も,胚細胞腫瘍に次いで診断機会の多い疾患であるが,免疫学的に保護されているimmunologically privileged organである精巣における本腫瘍群の特徴についてはあまり知られていない現状がある.
本特集が,病理-臨床の両面で精巣腫瘍に対する理解の向上に役立ち,診療上の指針となることを期待する.
宮居弘輔 [防衛医科大学校 臨床検査医学講座]
都築豊徳 [愛知医科大学医学部 病理診断学講座]
目次
【特 集】
精巣癌取扱い規約第5版改訂のポイントと精巣癌診療の現在─臨床医から病理医へ伝えたいこと─……岸田 健
精巣胚細胞腫瘍の発生……都築豊徳
進行性精巣胚細胞腫瘍のリスク分類と治療方針……山本晃之
精巣胚細胞腫瘍 update……林 博之
精巣胚細胞腫瘍の病理学的治療効果判定……渡邊麗子
精巣性索間質性腫瘍の臨床……安部崇重 他
精巣性索間質性腫瘍の病理……宮居弘輔
精巣の血液リンパ球系腫瘍……佐藤 啓
【連 載】
マクロクイズ[211]……浦野 誠
がん薬物治療選択に関わるバイオマーカー検査:いまとこれから[12]
甲状腺癌における薬物治療選択のためのバイオマーカー検査……千葉知宏
病理学的研究に有用なdry解析の基本[6](最終回)
空間情報解析……島村徹平
知っておきたい眼病理[6]
化膿性肉芽腫と肉芽組織,毛細血管腫……水門由佳
【今月の話題】
「炎症」ってなんですか?……増本純也 他
地方の市中病院と解剖について……松原亜季子
【令和7年度日本病理学会 100周年記念病理学研究新人賞 受賞体験記】
HTLV-1キャリアにATLL以外のT細胞リンパ腫は生じる─厳密な証明と日常診断における鑑別法─……内藤 裕
病理学的観点から明らかにする酸化ストレスとがん……前田勇貴
FFPEを用いた包括的解析によるEBV陽性B細胞リンパ腫の再定義……長瀬駿介
【Information】
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書籍情報
- ISBN:9784011204411
- ページ数:104頁
- 書籍発行日:2026年11月
- 電子版発売日:2026年11月3日
- 判:B5変型
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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