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薬局 2026年9月 Vol.77 No.10 現場で差がつく「医薬品情報」の活かし方

  • ページ数 : 152頁
  • 書籍発行日 : 2026年9月
  • 電子版発売日 : 2026年8月31日
¥2,200(税込)
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8月31日 12:00 発売
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商品情報

内容

医薬品情報学では,添付文書やインタビューフォームの読み方,文献検索,EBM,生物統計,臨床研究デザイン,リスク管理計画(RMP),個別化医療など,多岐にわたる内容を体系的に学びます.一方で,臨床現場の薬剤師には,「どの情報源を優先し,どの部分を批判的に読み,どこまでを根拠として提案するのか」という実践的判断力が求められます.本特集では,薬剤師が日常業務で遭遇しやすい様々な具体的事例を取り上げました.日々の業務のなかで医薬品情報を主体的に活用し,意思決定の質を高めるための実践的手引きとなる一冊です.


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序文

特集にあたって


医薬品情報は,日々の臨床現場において絶え間なく生成され,更新され続けている.しかし,その膨大な情報のなかから「今,目の前の患者にとって意味のある知見」を抽出し,判断へと結びつけることは容易ではない.薬剤師は単に情報を収集する専門職ではなく,不確実性の高い状況下で意思決定を担う専門職でなければならない.とりわけ近年,生成AIなどの技術により情報収集の効率化が進む一方で,その情報をいかに評価し,意思決定に結びつけるかという能力の重要性は,むしろ一層高まっている.したがって,医薬品情報学は「情報の集め方」を学ぶ学問ではなく,「意思決定のための一連の方法論」を学ぶ学問として位置づけられるべきである.

卒前教育では,添付文書やインタビューフォームの読解,文献検索,EBM,生物統計,研究デザインといった基盤的知識を体系的に学ぶ.しかし,臨床の現場に立ったとき,多くの薬剤師が直面するのは,「この知識をどのように使えばよいのか」という問いである.例えば,処方監査における禁忌や相互作用の解釈,腎・肝機能低下時の投与設計,副作用が疑われる事例における因果関係評価など,いずれも単一の情報源では結論に至らない場面である.さらに,妊婦・授乳婦への対応や,ガイドラインと患者背景が一致しない場合,適応外使用や医薬品の欠品といった状況では,複数の根拠を統合しながら判断を下す力が求められる.

本特集では,こうした実務上の「迷いどころ」を起点として,病院あるいは薬局で日常的に遭遇する具体的事例を取り上げる.各事例は,臨床疑問の明確化に始まり,参照すべき情報源の選択,情報の批判的評価,患者および施設状況への適用,医療チームや患者への伝達,さらに記録と再利用に至るまでの一連のプロセスに沿って解説する.この枠組みによって,添付文書,ガイドライン,一次文献,新薬評価,安全性情報といった多様な情報が,意思決定のどの局面でどのように機能するのかを立体的に理解することができる.

重要なのは,「完璧な答え」を導くことではない.臨床の現場においては,情報は常に不完全であり,時間的制約や患者個別の事情が意思決定に影響を及ぼす.そのなかで求められるのは,複数の情報を統合し,合理的で説明可能な判断を下す力である.そして,その判断の根拠を明確化し,共有可能な方法で伝達し,記録として蓄積することが,次の意思決定を支える基盤となる.個々の対応が蓄積されることで,それは単なる経験にとどまらず,組織の知として機能し,医療の質の向上に寄与する.

本特集は,医薬品情報を「集める」段階から,「評価し,活用し,価値を生み出す」段階への転換を実務のなかで具体化するための一助となることを目指している.日々の業務における判断の質を高めるとともに,現場で生まれた知見が共有され,次の実践へと循環していく.そのような知の連鎖を支える基盤として,本特集が機能することを期待したい.


広島大学病院 薬剤部 副薬剤部長
冨田 隆志
京都薬科大学 臨床薬剤疫学分野 教授
村木 優一

目次

特集 現場で差がつく「医薬品情報」の活かし方

特集にあたって(冨田 隆志 村木 優一)

なぜ医薬品情報の活かし方が「差」を生むのか(冨田 隆志)

ケースでみる 医薬品情報を活かした臨床意思決定

・処方監査で「禁忌/相互作用」をどう読み解くか(冨田  猛)

・腎・肝機能低下患者の投与設計をどう判断するか(鈴木 大介)

・特殊病態(妊婦・授乳婦など)の患者さんからの相談にどう答えるか(畠山 史朗)

・副作用疑い事例で因果関係をどう評価するか(酒井 隆全 ほか)

・重大安全性情報・添付文書改訂にどう対応するか(川名 真理子)

・新薬・新規採用薬をどう比較・評価し,薬事委員会を乗り切るか(金井 紀仁 ほか)

・がん化学療法のレジメンをどう比較・評価するか(中田 英夫)

・先発品から後発品・バイオシミラーへの切り替えをどう説明するか(吉川  博)

・薬物相互作用を機序から評価し代替案をどう提案するか(大野 能之)

・ガイドラインと目の前の患者が合わないときどう適用するか(横山 威一郎)

・適応外の処方をどう評価するか(上田 真由美 ほか)

・供給不安となった医薬品にどう対応するか ─不足する薬を「探す」から,治療を「つなぐ」へ─(大幸  淳)

・医薬品に関する医療安全情報をどう共有するか(槇田 崇志)

・生成AIを医薬品情報業務にどう活かすか(青島 周一)

・対応事例を院内DIの“資産”としてどう管理・活用するか(永田 健一郎)

シリーズ

えびさんぽ

医学論文,どんなふうに検索したらよいですか?

(青島 周一)

医薬品適正使用・育薬フラッシュニュース

・測定方法による血圧の差は?

・添付文書に嚥下障害が記載された薬で誤嚥性肺炎?

(佐藤 宏樹 澤田 康文)

薬剤師40年目の独り言

「脱退」と「卒業」,転職はどっち?

鎧のない薬剤師

飲み合わせ研究所 子どもの服薬Tips

〈第45回〉セロクエル®25mg錠

(小嶋 純 米子 真記)

薬剤師の1,2,3,4!(ヒフみよ) 大井教授の皮膚×くすり講座

21時限目 副腎皮質ステロイドとステロイド剤

(大井 一弥)

みんなどうやってる? がん薬剤師外来

〈番外編〉がん薬剤師外来とホットラインの新たな取り組み

(林 遥 守田 和憲 山下 愛子)

ぐっとよくなる! 漢方処方 快訣(かいけつ)ビフォーアフター

〈第33回〉繰り返す唾液腺炎に対する漢方治療 症状の「外部的」要因と「内部的」要因を考える

(津田 篤太郎)

Gebaita?! 薬剤師の語(カタ)ログ

〈第57回〉隙をつくるのはおスキですか? ~人には余白を,仕事には緊張感を~

(大西 伸幸)

タイパUP!誰も教えてくれなかった 臨床業務の段取りお手本ファイル

〈File 18〉医療安全と処方監査,調剤鑑査

(町谷 安紀)

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書籍情報

  • ISBN:9784525940362
  • ページ数:152頁
  • 書籍発行日:2026年9月
  • 電子版発売日:2026年8月31日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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