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- ケースで学ぶ 認知症の診かた
商品情報
内容
本書は,若手神経内科医や精神科医,総合診療医などが臨床現場で迷いやすい「認知症の診かた」を,実際の症例をベースに体系的に学べるよう構成されています.陥りやすいピットフォールや最新のトピックスを織り交ぜながら,診断のプロセスと臨床思考を丁寧に解説.近年のトピックスを入れ込み,可能なかぎり新しい認知症診療にも対応しました.科学としての医学と,人としての患者に向き合う姿勢,その両面から“診かた”を磨く,すべての臨床家必携の一冊です.
序文
序
編者が医者になった頃,認知症は「痴呆」とよばれていました.その言葉が示すように,当時は社会の理解も浅く,学問としても,さまざまな認知領域の障害が混在するその症候からは学ぶべきものが少ないと考えられていた時代でした.治療の手段も限られ,患者さんはしばしば取り残されていたように思います.しかし,その後の認知症診療は大きく変わりました.病態理解から画像診断,バイオマーカー,治療薬の開発に至るまで,その進歩には目を見張るものがあります.本書を企画したのはちょうどレカネマブが承認される頃でした.原稿が集まり始めるころにはドナネマブも承認されました.そのため校正段階で,Aβ抗体薬に関する記載を可能な範囲でアップデートしました.医療が絶えず進歩する中で,本書の内容も時間の経過とともに古くなることは避けられないでしょう.しかし,ひとつひとつの症例の中には,時代を超えて学ぶべき本質が息づいています.その本質に向き合い続けることこそが私たちの使命だと思います.本書はそのような思いのもとに,最先端の研究成果を踏まえつつ,実際の症例を通して理解が深められることを意図して編集しました.
この序文を読んでくださっている方には,まずChapter 1,松田 実先生による「認知症のみかた」をお読みいただきたいと思います.読まなければ絶対に損です.医学がscienceであると同時にartであるように,認知症診療もまた,バイオマーカーなどの生物学的側面だけでなく,患者さん一人ひとりの人間としての側面に向き合う姿勢が求められます.認知機能が壊れゆく中で変容をきたした人間性,家族関係,社会的立場に,私たちはどのように関わることができるか.松田先生はこれを「人生行路的認知症観」と表現されています.臨床家がいかに認知症の患者さんと向き合うべきか,当たり前でありながら最も大切なことが,実に的確に述べられています.稀代の臨床家から次の世代へ向けた熱いメッセージとして,どうかその言葉を深く胸に刻んでいただきたいと思います.
本書の中心となるのは,症例提示に基づいて疾患を解説したChapter 3です.64項目をAからEの5つのカテゴリーに分類しました.分類の意図は各カテゴリーの冒頭に示しましたが,読者が本書を活用される際の道標になれば幸いです.カテゴリーA(Commonな認知症のcommonな臨床型)は,日常診療で最もよく遭遇する病型であり,初学者はまずここから読むことをお勧めします.カテゴリーD(Treatableな認知症)は,見落としてはいけない疾患群であり,改めて確認しておきたい領域です.カテゴリーB(Commonな認知症のatypicalな臨床型)とC(Rareな認知症)は頻度こそ少ないものの,専門医であれば数年に一度は遭遇する重要な病型を含みます.稀な疾患をすべて網羅したわけではありませんが,重要な疾患を紙面の許す限り収載しました.またカテゴリーE(Dementia mimics)は,認知症として紹介されることがあるけれども,実際には認知症ではない疾患を取り上げました.診断力が問われるとともに,treatableなケースも多く,非常に重要なカテゴリーです.これらの分類は絶対的なものではなく,その概念は時代とともに変化していくでしょう.例えばAβ抗体薬の登場により,Alzheimer病はすでにtreatableな疾患となりつつあります.今後さらに治療が進歩し,すべての認知症がtreatableになる日が来ることを願ってやみません.その時まで私たちは科学的エビデンスに基づきながら,患者さん一人ひとりの人生行路を理解し,支えていかなければなりません.本書がその両面から読者の臨床に資することができれば,編者としてこれにまさる喜びはありません.
最後に,多忙な臨床の合間を縫って原稿をご執筆くださった先生方に心より感謝申し上げます.そして,毎月会議室を借りて,編者の原稿整理を手伝ってくださった中外医学社の鈴木真美子様の,あたたかく粘り強いご支援にこの場を借りて深く御礼申し上げます.
2025年10月
小林俊輔
船山道隆
目次
Chapter1 認知症のみかた〈松田 実〉
Chapter2 認知症の評価について―認知機能障害・神経精神症状・生活機能障害〈今村 徹〉
Chapter3 症例
A.Commonな認知症のcommonな臨床型
1 Alzheimer病(AD)[典型例:症候・診断]〈小森雄太 井原涼子〉
2 Alzheimer病(AD),Lewy小体型認知症(DLB)[妄想性誤認症候群・TV徴候など]〈文 鐘玉〉
3 Lewy小体型認知症(DLB)[典型例:症候・診断]〈内山由美子〉
4 Parkinson病認知症(PDD)[典型例:症候・診断]〈馬場 徹〉
5 Alzheimer病(AD)[マネージメント]〈西田晴菜 船山道隆〉
6 Lewy小体型認知症(DLB)[マネージメント]〈松井仁美 大森佑貴 井原涼子〉
7 行動障害型前頭側頭型認知症(bvFTD)[典型例:症候・診断]〈斉藤史明〉
8 非流暢/失文法型進行性失語症(nfvPPA)[典型例:症候・診断]〈東山雄一 田中章景〉
9 意味型進行性失語症(svPPA)[典型例:症候・診断]〈永井知代子〉
10 血管性認知症[典型例:症候・診断]〈船山道隆〉
11 MCI—AD[典型例:症候・診断]〈文 鐘玉〉
12 MCI—LB[典型例:症候・診断]〈川上暢子〉
13 軽度行動障害(MBI)[典型例:症候・診断]〈文 鐘玉〉
14 進行性核上性麻痺(PSP)[典型例:症候・診断]〈馬場 徹〉
15 大脳皮質基底核症候群(CBS)[典型例:症候・診断]〈永井知代子〉
16 頭部外傷後遺症[典型例:症候・診断]〈伊関千書〉
B.Commonな認知症のatypicalな臨床型
17 後部皮質萎縮症(PCA)〈内山由美子〉
18 右半球優位の前頭側頭型認知症(rtvFTD)〈三村 悠〉
19 若年発症のAlzheimer病(Juvenile AD)〈川上暢子〉
20 家族性Alzheimer病(Familial AD)〈?橋健祐 井原涼子〉
21 Strategic single infarct dementia(視床)〈菅野重範〉
22 Strategic single infarct dementia(脳弓)〈菊池雷太〉
23 Strategic single infarct dementia(尾状核)〈森原啓介 東山雄一 田中章景〉
24 慢性外傷性脳症(CTE)〈高畑圭輔〉
25 Atypical progressive supranuclear palsy(PSP)〈馬場 徹〉
26 Atypical corticobasal syndrome(CBS)〈伊関千書〉
27 Delirium—onset dementia with Lewy bodies(DLB)〈菅野重範〉
28 Psychiatric—onset dementia with Lewy bodies(DLB)〈黒瀬 心〉
29 Logopenic型進行性失語〈船山道隆〉
C.Rareな認知症
30 Creutzfeldt—Jakob病(CJD)〈黒瀬 心〉
31 神経核内封入体病(NIID)〈石原健司〉
32 一酸化炭素(CO)中毒の遅発性脳症〈三村 悠〉
33 Cerebral autosomal dominant arteriopathy with subcortical infarcts and leukoencephalopathy:CADASIL)〈吉澤茉莉 小林俊輔〉
34 Cerebral autosomal recessive arteriopathy with subcortical infarcts and leukoencephalopathy:CARASIL)〈福武敏夫〉
35 Huntington病(HD)〈勝瀬一登〉
36 歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症(DRPLA)〈石原健司〉
37 脳内鉄沈着神経変性症(NBIA)〈古和久朋〉
38 SCA(spinocerebellar ataxia)17〈森 友紀子 二村明徳〉
39 Frontotemporal dementia—amyotrophic lateral sclerosis(FTD—ALS)〈菅野重範〉
40 HDLS/ALSP(神経軸索スフェロイドと色素性グリアを伴う白質脳症)〈勝瀬一登〉
41 有棘赤血球舞踏病(ChAc)〈二村明徳〉
D.Treatableな認知症
42 慢性硬膜下血種(CSDH)〈伊関千書〉
43 正常圧水頭症(NPH)〈川上暢子〉
44 神経梅毒〈伊関千書〉
45 中枢神経系原発悪性リンパ腫(PCNSL)〈二村美也子 藤井正純〉
46 髄膜腫〈藤井正純 二村美也子〉
47 多発性硬化症(MS)〈松田 希 小林俊輔〉
48 進行性多巣性白質脳症(PML)〈勝瀬一登〉
49 ビタミンB1欠乏〈船山道隆〉
50 アルコール関連認知症〈船山道隆〉
51 自己免疫性脳炎〈勝瀬一登〉
52 橋本脳症・甲状腺機能低下症〈石原健司〉
53 大脳アミロイドアンギオパチー関連炎症(CAA—RI)〈二村明徳〉
54 HIV脳症(HIV関係神経認知障害)〈三村 悠〉
55 傍腫瘍性症候群〈加藤英生 谷口 豪〉
E.Dementia mimics
56 薬剤誘発性〈菅野重範〉
57 注意欠如・多動症(ADHD)〈船山道隆〉
58 自閉スペクトラム症(ASD)〈丹治和世〉
59 うつ病〈西田晴菜 船山道隆〉
60 一過性全健忘(TGA)〈内山由美子〉
61 非けいれん性てんかん重積発作(NCSE)〈小林俊輔〉
62 一過性てんかん性健忘(TEA)〈二村美也子〉
63 代謝性脳症〈内山由美子〉
64 その他(リウマチ性多発筋痛症)〈金城紀与史 金城光代〉
コラム
1 認知症治療薬について〈井原涼子〉
2 認知機能障害に運動障害を合併する時に考えること〈小林俊輔〉
3 発語失行,文法機能の障害について〈東山雄一〉
4 PPA,FTD,FTLD分類の整理〈永井知代子〉
5 バイオマーカーについて〈栗原正典〉
6 画像診断について(構造画像)〈徳丸阿耶〉
7 アミロイドPETのピットフォール〈石橋賢士〉
8 BPSDについて〈船山道隆〉
9 認知症患者の余命と頻度の高い身体合併症〈船山道隆〉
10 Treatable dementiaの鑑別のためにどんな検査項目を提出すべきか〈金城紀与史〉
11 生活に直結する利用可能な社会資源について〈船山道隆〉
巻末資料[診断基準集]
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書籍情報
- ISBN:9784498428362
- ページ数:500頁
- 書籍発行日:2025年11月
- 電子版発売日:2025年11月15日
- 判:A5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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