産業保健と看護 別冊 適切な「設定」の組み立て方

  • ページ数 : 152頁
  • 書籍発行日 : 2025年12月
  • 電子版発売日 : 2025年11月18日
¥3,740(税込)
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商品情報

内容

【「設定」と「言語化」で困難事例を解決!】
メンタルヘルス不調に陥った社員と職場、産業保健スタッフと主治医など、関係者の意向がまとまらず対応が進まない――それは面接やカウンセリングに問題があるのではなく、「設定」ができていないから! 相互に納得感のある支援の方法を徹底解説します。

序文

はじめに


「メンタルヘルス対応が苦手」「自信がない」―そうした声を産業医や保健師、管理職の方々からよく耳にします。けれども、その「苦手」や「自信のなさ」は、具体的に、何に対するものなのでしょうか? 「 なんとなく不安」「なんとなく、これでよかったのだろうか」と感じていても、それが何に起因するのかを言語化できないままでは、学ぶべき課題も明確にならず、実践的なトレーニングも曖昧なものになってしまいます。

メンタルヘルス対応と聞いて、多くの方がまず思い浮かべるのは「面接スキル」かもしれません。確かに、対象者と向き合う場面では、言葉の使い方や関わり方に迷うことも多いでしょう。けれどもみなさんが本当に困っているのは、その「面接」の中身だけでしょうか? 例えば、復職を希望する本人と、「今の状態では復職は難しい」と考える職場との間で意見が一致しないようなケース。こうした状況で、本人、職場、人事、医療職など複数のステークホルダーの意見をどう調整し、合意形成を図るかという点にこそ、最も大きな難しさがあるのではないでしょうか。

実は、この重要なプロセスには、まだ私たちの現場で十分に共有された「名前」、つまりテクニカルタームが存在していません。そのため「どこが苦手なのか」を説明することも難しくなってしまっているのです。精神科の分野では、こうした調整や方向づけのプロセスを「治療設定」と呼びます。精神科治療においては診断や薬物療法、精神療法(面接)といった患者さん個人に対するスキルだけでなく、「治療そのものをどう設計するか」という視点で、「外来か入院か」「キーパーソンは誰か」といった治療の枠組みの整理が不可欠とされています。

この本では、メンタルヘルス対応における「意見が一致しない状況をどうまとめるか」という業務に「設定」という名前をつけました。そして、この「設定スキル」をどのように身に付け、現場で活かしていくのかについて、できるだけ具体的に解説しています。設定という視点を持つことで、対象者個人への対応となる面接スキルだけでは見えにくかった対象者本人、職場、主治医といった多くのステークホルダーが関わる中での全体の流れや支援の枠組みが整理され、自信を持って対応できるようになると思います。それは、結果として対象者にとっても、職場にとっても納得感のある支援につながっていくことでしょう。

本書がみなさんの日々の実践において新たな視点を提供し、対応の質を一歩深める、その一助となれば幸いです。


2025年10月

楠本 朗

目次

・はじめに

【第1章 設定がなぜ必要なのか】

1 プロローグ

2 何が問題?

3 事例性と疾病性

4 線引き・枠決めの明確化

5 主治医への診療情報提供依頼書

6 主治医の返書

7 設定のキモである線引き・枠決め

8 設定の仕切り直しのタイミング

[コラム]

・指導して症状が悪化するのが怖い

・その都度設定を考える必要のない「システム化」

・「分裂」というリスクの回避

・設定の仕切り直しに伴う気まずさ

・精神科における治療設定

【第2章 設定とシステムの違い】

1 うまくいった個別対応(設定)を一律対応(システム)へ

2 システム化できないか

3 システム化すると困るケース

4 行動療法的アプローチ①

5 行動療法的アプローチ②

6 どこまでシステム化するか

[コラム]

・期待が裏切られると怒りが発生する

・一度「この人、怖い!」とプログラムされると

・強迫性障害における行動療法

・あなたの行動も見られています

【第3章 主治医と方向性を合わせる】

1 就業規則にない復職設定

2 線引き・枠決めについて主治医に説明する

3 一方的に決めつけられた内容の診断書

4 客観的事実と主観的事実

[コラム]

・精神科主治医の(私的)意見

・この状態でなぜ働かせるのか?

・連携のお勧めは病院

【第4章 社内スタッフ間の分裂を防ぐ】

1 設定と違う対応をするスタッフ

2 「まあいいか」で亀裂から分裂へ

3 逃げる産業医

4 学習課題は何?

[コラム]

・パーソナリティ障害の治療

・学習成果の5分類

・こわいんでちゅベイビーと妖怪ぬらりひょん

・学習課題「態度」の改善法

【第5章 設定スキルのトレーニング】

1 メンタルヘルスケアにおける3つの業務

2 設定スキルとは

3 設定スキルの学習法

4 求められるアートの要素

【第6章 メンタルヘルス対応の3管理】

1 3管理

2 メンタルヘルス対応の3管理とは

3 ナレッジマネジメント

4 莫大なコストがかかる3管理

5 「態度」という学習課題

6 インストラクショナルデザインという学問

7 エピローグ

[コラム]

・医局という態度改善システム

・引用・参考文献

・おわりに

・執筆者紹介

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書籍情報

  • ISBN:9784840490863
  • ページ数:152頁
  • 書籍発行日:2025年12月
  • 電子版発売日:2025年11月18日
  • 判:A5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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