リンパ浮腫の外科的治療

  • ページ数 : 307頁
  • 書籍発行日 : 2017年9月
  • 電子版発売日 : 2025年11月26日
¥13,200(税込)
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商品情報

内容

●日英対訳初の実践テキスト。 ●リンパ系の仕組みから浮腫の分類、症状、検査・診断を簡潔にわかりやすくまとめた。 ●リンパ浮腫の外科的治療の基礎と臨床の集大成がここに完成。

序文

序文

この度「リンパ浮腫の外科的治療」が出版されることになった。本書は2011年に出版した「よくわかるリンパ浮腫のすべて」(永井書店刊)の姉妹編でもあるが、この書籍は極めて好評で、特に海外のリンパ浮腫を専門とする外科医から英語訳の要望が多く出ていた。そこで今回は、日本語に加えて英語翻訳を行い、われわれのもとで研修を行った海外の多くの外科医にその滞在中に快く英文添削を行って頂いた。日英表記されたこの書籍が今後、医療のみならず日本の保守的出版業界に革命を起こしてくれることを期待している。また、リンパ浮腫治療にかかわる世界中の多くの専門家にとっても、本書が最新のバイブルとなることを願っている。

全国のリンパ浮腫患者は、2009年の時点で10 万人とも15 万人ともいわれている。海外も含めると、膨大な患者が理学療法さえも受けられず苦悩している。リンパ浮腫の治療は、圧迫療法を中心とした理学療法が行われ外科治療は否定され続けてきた。連日のスリーブ・ストッキングの着用は浮腫の増悪予防には必須であるが、患者たちにとっては身体的にも精神的にも大きな負担である。このため患者は浮腫と同時に理学療法からの解放を外科療法に求め続けてきたが、外科医はその期待に100%応ずることはできなかった。

近年、基礎分野でのリンパ管の機能に関する研究やリンパ系の解剖、リンパ管の新生や再生など分子細胞生物学の研究が急速に進んできた。これらの基礎を基盤として、本邦において1990年以後、臨床の分野で超微小血管吻合手技(スーパーマイクロサージャリー)を用いた低侵襲のリンパ管細静脈吻合術(LVA)が開発された。その後、この術式による著効例が報告され、血管柄付きリンパ管・リンパ節移植など新たな術式も急速に開発されつつある。さらに、2007年以後、われわれのグループによってICG 蛍光リンパ管造影法が導入され、手術が容易となり残っているリンパ管機能が推測でき、stage 0 の浮腫の診断や浮腫予防までもが可能となってきた。これらの術式・診断法は本邦から発信され、2000年以降、海外のライブ手術でその術式を供覧したことで外科的治療法は世界各国に広まった。この発達の背景には、リンパ学の基礎と臨床の両分野における舟岡(京大)や山田(名大)など本邦の先駆者たちの激動の時代下での独自の努力がその礎にあったことを忘れてはならない。

本書はリンパ系の仕組み、浮腫の分類、症状、検査・診断、そして過去と最新の外科治療までをわかりやすく簡潔にまとめた。中でもICG蛍光造影を用いたリンパ管の還流機能評価、超微小外科手技を用いたこれまでの外科的治療の変遷にまで踏み込んでリンパ管について詳細に解説した書籍は、海外を含めて類をみないであろう。

リンパ浮腫の外科的治療に携わる基礎と臨床のそれぞれの専門分野の集大成がここに完成したことは大きな喜びである。本書は、今後各分野の専門家が手を取り合ってリンパ浮腫という難治疾患に対する新たな治療法を開発する礎になるであろう。

編者は本書の完成と同時に、13年間にわたりリンパ浮腫の外科治療の開発を行ってきた東京大学を定年退職することになったが、この間、約300名の外国人留学者や邦人約150 名の熱い心をもったリンパ浮腫の専門家を目指す若手医師とともに術式の進化に邁進してきた。本書はこれまで得られた知見のまとめとして完成させたものである。幸いにも、本年4月から新しい職場である広島大学付属病院に国際リンパ浮腫治療センターの開設とともに、さらなる内外の専門家の育成や術式の進化を行う機会を得ることができた。今後は広島の地において新しいリンパ学の創設と海外への発信を行いたいと考えている。

最後になったが、本書の刊行にあたり、東大時代に私の秘書を長く勤めてくれた山崎連子さんには大変お世話になった。ここに記して謝意を表したい。また、本書の完成は、姉妹本に引き続き永井書店から独立されたぱーそん書房の山本美惠子さんの情熱によるものである。忙殺される編者を絶えず激励して頂いた彼女の貢献に深く感謝したい。

―第8回世界リンパ浮腫外科治療シンポジウム招待講演(2017.3.16 バルセロナ・サンパウ病院)の帰路、機内にて―


2025年10月

編者 光嶋勲

目次

1. 歴史―リンパ浮腫の外科療法(辛川領、伊藤太智、水田栄樹、森下悠也、森脇裕太、光嶋勲)

Ⅰ.リンパ研究と外科治療の歴史

Ⅱ.リンパシンチグラム法

Ⅲ.リンパ浮腫外科治療法の歴史

Ⅳ.リンパ管吻合術

Ⅴ.合併外科治療:予防的リンパ管細静脈吻合術

・Important Reference

 【リンパ節郭清後のリンパ節の再生とリンパ道の回復について】(小谷正彦)

 1.リンパ節の再生…

 2.リンパ道の回復…

2.解剖

1 頭頸部領域におけるリンパ解剖(飯田拓也)

Ⅰ.頭部のリンパ節

Ⅱ.顔面、頭部のリンパ流

Ⅲ.頸部のリンパ節

Ⅳ.MSKCC(Memorial Sloan-Kettering Cancer Center)分類

Ⅴ.頭頸部のリンパに関する臨床との関係

2 四肢のリンパ管解剖(播摩光宣)

Ⅰ.四肢リンパ管のミクロ解剖

Ⅱ.上肢リンパ管のマクロ解剖

Ⅲ.下肢リンパ管のマクロ解剖

3.分類

1 リンパ浮腫の分類(関征央)

Ⅰ.特発性リンパ浮腫

Ⅱ.続発性リンパ浮腫

2 リンパ浮腫症候群(山下修二)

Ⅰ.ターナー症候群

Ⅱ.ヌーナン症候群

Ⅲ.ミルロイ病

Ⅳ.Milroy-like lymphedema

Ⅴ.MCLMR 症候群

Ⅵ.Lymphedema distichiasis syndrome

Ⅶ.メージュ病

Ⅷ.Hennekam 症候群

Ⅸ.WILD 症候群

4. 病態・重症度評価

1 リンパ浮腫の病態(加藤基)

Ⅰ.むくみとリンパ

Ⅱ.リンパ浮腫の種類

Ⅲ.リンパ浮腫の病態

Ⅳ.リンパ浮腫の進行・ステージ分類

2 リンパ管変性・硬化(山本匠、山本奈奈、林明辰)

Ⅰ.リンパ流閉塞によるリンパ循環の変化

Ⅱ.リンパ浮腫の進行とリンパ管変性・硬化

Ⅲ.ICG リンパ管造影所見によるリンパ管硬化の評価

3 ICG リンパ管造影による病態生理的重症度評価(山本匠)

Ⅰ.リンパ循環動態の変化と身体所見による評価

Ⅱ.ダイナミックICG リンパ管造影によるリンパ循環動態の評価

Ⅲ.ICG リンパ管造影所見とDB stage

Ⅳ.原発性リンパ浮腫の評価とICG 分類

・Important Reference

 【四肢リンパ浮腫患者の走査電子顕微鏡所見―リンパ管静脈吻合術で観察される皮下組織の微細構造的特徴】(三浦真弘、濱田裕一)

 1.LVA にて術中観察される皮下組織内の構造的特徴(電顕所見)…

 2.まとめ…

・Important Reference

 【遺伝子変異マウスの胎児浮腫とリンパ管形成異常】(平島正則)

 1.胎児浮腫…

 2.リンパ管の発生…

 3.リンパ管形成異常をきたす遺伝子変異…

5. 術前評価

1 CT・MRI (原尚子)

Ⅰ.CT

Ⅱ.MRI

2 リンパシンチグラフィ・SPECT-CT (原尚子、三原誠)

Ⅰ.リンパシンチグラフィ

Ⅱ.SPECT-CT

Ⅲ.種々の画像診断の比較

3 エコーによるリンパ管の同定とリンパ浮腫の評価(林明辰、林伸子)

Ⅰ.エコーによるリンパ管の同定と手術への応用

Ⅱ.Real-time Elastography を用いたリンパ浮腫の評価

4 ICG リンパ管造影を用いた術前評価(山本匠)

Ⅰ.ICG リンパ管造影所見の評価

Ⅱ.造影所見による術中所見予測

Ⅲ.術前評価におけるLinear パターンの意義

Ⅳ.ICG リンパ管造影所見に基づいた手術戦略

Ⅴ.DB stage に応じた治療戦略

5 早期診断(大島梓)

Ⅰ.早期診断

Ⅱ.予測・予防

6. 治療方針・適応

1 二次性リンパ浮腫の治療方針(山本匠、山本奈奈、林明辰、成島三長)

Ⅰ.二次性リンパ浮腫の病態

Ⅱ.二次性リンパ浮腫の診断と重症度評価

Ⅲ.二次性リンパ浮腫の治療戦略

Ⅳ.不顕性リンパ浮腫の概念と予防的治療

2 原発性リンパ浮腫の治療方針(山本匠、山本奈奈、林明辰、成島三長)

Ⅰ.原発性リンパ浮腫の病態

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書籍情報

  • ISBN:9784911601341
  • ページ数:307頁
  • 書籍発行日:2017年9月
  • 電子版発売日:2025年11月26日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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