• m3.com 電子書籍
  • 名古屋えきさい会病院式 ロボット支援鼠径部ヘルニア修復術[Web動画付]

名古屋えきさい会病院式 ロボット支援鼠径部ヘルニア修復術[Web動画付]

  • ページ数 : 162頁
  • 書籍発行日 : 2025年11月
  • 電子版発売日 : 2025年11月27日
¥4,950(税込)
m3.com 電子書籍ポイント: 最大 90pt ( 2 %)
m3ポイント:1%相当
point-info
今すぐ立ち読み
今すぐ立ち読み

商品情報

内容

腹腔鏡手術とは異なる,ロボット手術ならではの鼠径部ヘルニア修復術(TAPP)のアプローチ法を,第一線で活躍する著者が言語化。
まずは鼠径部の複雑な膜構造を,著者解釈も交えて解説。解剖構造を最初に頭に入れることで,手術理解が圧倒的に早まる。
術式解説では,メジャーな外鼠径ヘルニア修復術を,細かく順序立てて徹底的に深掘り。術野で何が見えていて,何に注意しながらどこを剥離すべきかをビジュアライズに解説。
手術動画も約60本付録されており,動画と本を行き来しながら理解を深めることができる。
本術式でロボット手術の修練を始める読者にも,腹腔鏡を経てロボット支援TAPPをスタートする読者にとっても有用な情報が満載の1冊。

序文

序文

私は2005年3月に岐阜大学を卒業して,4月から岐阜県の大垣市にある大垣市民病院で初期研修を開始しました。大垣市民病院外科は毎年鼠径ヘルニア手術が300 件前後あるので,卒後1年目から多くの鼠径ヘルニア手術を執刀させていただきました。ただしいつもモヤモヤして気が晴れませんでした。というのも急性虫垂炎では虫垂を切除,胆石症では胆嚢を切除,内痔核では痔核を切除するといった病因を直接治療したと実感できる手術とは異なり,解剖学的な知識力と実践での膜構造の把握力が要求される鼠径ヘルニア手術は難しく感じていました。Camper 筋膜,Scarpa 筋膜,interparietal fascia,外精筋膜,精巣挙筋のpubic fascicle(恥骨枝),反転靭帯など,当時はその理解に苦しみました。また,今でこそ全例CT 検査を施行するので,外鼠径ヘルニア症例なのか内鼠径ヘルニア症例なのかを,術前にある程度確信をもって手術に臨めますが,当時は術野で全て判断していたので,ヘルニア嚢(sac)が見当たらなくて途方に暮れるといった苦い経験もしていました。またヘルニア嚢が大きい症例では再発を恐れるあまり,メッシュを必要以上にガチガチに周囲組織に縫合固定するという,今では考えられない方針をとっていました。現在採用している膨潤法を行っていなかったので,腸骨鼠径神経,腸骨下腹神経,陰部大腿神経陰部枝の術中把握も甘く,昨今警鐘を鳴らされているCPIP(chronicpostoperative inguinal pain:鼠径部ヘルニア術後慢性疼痛)への対策も不十分でした。とにかく手術後にしっかりとした安心感を得にくい手術でした。

2014年に医局人事で異動した国家公務員共済組合連合会 東海病院にてTAPP を初めて見たときは衝撃でした。ヘルニア門をはっきりと視認することができ,外鼠径ヘルニア症例か内鼠径ヘルニア症例なのか,一目瞭然で感動しました。またTAPP 特有の解剖学的な膜構造や層構造の把握が必要になるものの,腹腔鏡カメラを通して,それらの微細構造が非常に鮮明に視認することができたのです。鼠径ヘルニア手術に対する苦手意識が消えた瞬間でした。ただ,執刀をしてみると,当初は両肩が開いてしまい,人間工学的に無理な姿勢をとることは非常に身体的につらく,助手としてカメラを持つ姿勢はさらにつらく,両側症例のカメラ助手の際には術前から気が滅入っていました。手技面では,当初は腹膜縫合に手間取り,普段からの自己練習の重要性を痛感しました。2016年にはこの腹膜縫合の手間を回避するために,斗南病院の川原田陽先生を招聘してTEP も導入しました。川原田先生の御示唆の下,男性外鼠径ヘルニア症例に対してはTAPP,その他にはTEP を適応していました。この頃は,ヘルニア診療に非常に興味が沸いて,腹壁ヘルニア治療に対しても2018年にeTEP-RivesStoppa 法を開始し,2019年からはWolfgang Reinpold 先生(写真)が考案されたEMILOS 法も導入しました。腹部ヘルニア疾患に対して,バリバリ鏡視下手術をこなしていく一方で,両上肢の可動域制限や術中の体勢はつらく感じたままでした。

そのようななかで,運命のターニングポイントを迎えました。私の出身地である三重県四日市市にて,現日本ヘルニア学会理事長である蜂須賀丈博先生が「第17回日本ヘルニア学会学術集会」を主催されました。その海外招待講演セッションにて全米で有名なDavid Lourié先生がRTAPP について講演されました。ロボット手術を全く経験したことがなかった私には,ロボット手術というだけで非常に眩しいのに,なんと癌ではなく鼠径ヘルニアにまで適応しているという現実に衝撃を覚えました。あまりの凄さに心が打ち震えました。実は,当時の私はヘルニア関連の国際学会で積極的に発表をしはじめていた時期で,英語の勉強をしようという軽い気持ちでその海外招待講演に参加したのですが,強烈なインパクトを受けました。

TAPP を超える3D 映像による解剖学的視認性の良さ,多関節機能による膜や層にこだわった精緻な手術,そして何よりも術者も助手も過酷な身体的負担から劇的に解消されることなど,これは至高の術式だと確信しました。すぐにとはいかないまでも,いずれコストの問題や保険収載の問題がクリアされれば,爆発的に普及するだけのメリットにあふれていると思いました。

それ以降すぐにRTAPP の準備に着手しました。具体的には2019年から,TAPP において通常の環状切開法から内鼠径輪すぐ腹側の腹膜を横切開する方法(腹側環状切開法)に変更し,ある程度慣れたうえで,2020年からは“ みちのくニードル”(株式会社 八光)を用いた膨潤法下でRTAPP と同様の高位切開法を導入しました。私はTEP も経験していたので導入は容易でした。2021年6月には,すでにわが国でRTAPP を導入していた聖路加国際病院に2回手術見学に行きました。嶋田元先生と松原猛人先生のRTAPP を拝見させていただき,そのメリットを再確認しました。そして7月に名古屋掖済会病院に赴任して,10月に名古屋市立大学病院にも手術見学(齊藤健太先生,早川俊輔先生)に行かせていただいた上で,10月28日にRTAPP を初執刀しました(聖路加国際病院 松原猛人先生招聘)。以降,病院全体としての非常に寛大な取り計らいの下,何よりもRTAPP 導入を許可していただき,導入後の長期安価継続を支えてくださった河野弘名誉院長のおかげで,2025年10月現在,導入後丸4年間で222 例施行することができました。この場を借りて厚く御礼申し上げます。

振り返ると,非常に多くの御縁の下で,多くの先生方に支えられて,ここまでRTAPP の経験を重ねてくることができました。その分,今後RTAPP を開始する先生方が安全に執刀することができるように,私の経験を伝えることが恩返しでもあり,責務であると考えて,想いを繋げるべく心を燃やして今回このような本を出版させていただきます。RTAPP は決して簡単な手術ではありませんので,この本を通して多くの先生方がいち早く術式に習熟して,多くの患者さんに恩恵がもたらされれば幸いです。

最後に,編集にご尽力いただきましたメジカルビュー社の小澤祥子氏と関係者の皆様に心より感謝申し上げます。


2025年10月

名古屋掖済会病院 外科・愛知県重症外傷センター
水谷 文俊

目次

Part1 RTAPPの理解を深める

RTAPPの意義

ロボット手術の基本的な考え方手技

RTAPPにおける独自の臨床解剖解釈(ナゴエキイメージ)

Part2 RTAPPの術前準備

RTAPPの事前準備

セッティング

ポート留置(コンソール操作開始前)

 番外編① シミュレーターでの練習

 番外編② 初執刀でも安心! daVinci での指導体制

Part3 RTAPPの術式解説

男性右外鼠径ヘルニア症例-モノポーラカーブドシザーズ(ハサミ)とフェネストレイテッドバイポーラを用いた標準手技-

 Step1 確認作業

 Step2 剥離作業

 Step3 メッシュ留置

 Step4 腹膜縫合閉鎖

その他の症例(内鼠径ヘルニア症例,左側鼠径ヘルニア症例,女性鼠径ヘルニア症例)

RTAPP特有のトラブルシューティング

 番外編③ 閉鎖孔ヘルニア症例でのRTAPP

 番外編④ RTAPPでの環状切開法

 番外編⑤ RTEPの概要

 番外編⑥ ロボットよりも曲がるArtiSential鉗子を用いたAS-TAPP

あとがき

便利機能

  • 対応
  • 一部対応
  • 未対応
便利機能アイコン説明
  • 全文・
    串刺検索
  • 目次・
    索引リンク
  • PCブラウザ閲覧
  • メモ・付箋
  • PubMed
    リンク
  • 動画再生
  • 音声再生
  • 今日の治療薬リンク
  • イヤーノートリンク
  • 南山堂医学
    大辞典
    リンク
  • 対応
  • 一部対応
  • 未対応

対応機種

  • ios icon

    iOS 最新バージョンのOSをご利用ください

    外部メモリ:31.1MB以上(インストール時:64.7MB以上)

    ダウンロード時に必要なメモリ:124.5MB以上

  • android icon

    AndroidOS 最新バージョンのOSをご利用ください

    外部メモリ:31.1MB以上(インストール時:64.7MB以上)

    ダウンロード時に必要なメモリ:124.5MB以上

  • コンテンツのインストールにあたり、無線LANへの接続環境が必要です(3G回線によるインストールも可能ですが、データ量の多い通信のため、通信料が高額となりますので、無線LANを推奨しております)。
  • コンテンツの使用にあたり、m3.com電子書籍アプリが必要です。 導入方法の詳細はこちら
  • Appleロゴは、Apple Inc.の商標です。
  • Androidロゴは Google LLC の商標です。

書籍情報

  • ISBN:9784758324212
  • ページ数:162頁
  • 書籍発行日:2025年11月
  • 電子版発売日:2025年11月27日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

まだ投稿されていません

特記事項

※ご入金確認後、メールにてご案内するダウンロード方法によりダウンロードしていただくとご使用いただけます。

※コンテンツの使用にあたり、m3.com 電子書籍アプリが必要です。

※eBook版は、書籍の体裁そのままで表示しますので、ディスプレイサイズが7インチ以上の端末でのご使用を推奨します。