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膝周囲骨切り術―文献に基づく知識と手術手技アトラス―

  • ページ数 : 296頁
  • 書籍発行日 : 2025年12月
  • 電子版発売日 : 2025年12月3日
¥16,500(税込)
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商品情報

内容

膝周囲骨切り術(HTO)のすべてがここに!
二部構成でおくる、究極の「教科書」がついに完成︕
第一部では多数の文献に基づいて、HTO の歴史や変形矯正の理論、生体力学、各術式の適応、評価、長期成績、合併症の報告が理論的に説明され、第二部では代表的な術式を豊富な写真や模式図で解説︕
HTO を学び始めた臨床医、さらに指導にあたる臨床医にとっても、より深く理解したい内容を収載した必携書です。

序文

巻頭言

膝周囲骨切り術の近代的発展は,Jackson の高位脛骨骨切り術(HTO)に関する論文を嚆矢として1960年代に始まった.本邦に膝周囲骨切り術が導入されたのは,それより10年ほど後になる.しかし本邦の膝関節外科医は,その後の膝周囲骨切り術の発展に大きく貢献してきた.この貢献は,本邦の膝関節外科領域の医療水準の向上をもたらし,国民の健康と生活の質の向上に寄与した.我々はこの発展を,今後も継続させなければならない.そのために今,我々が行うべきことは何であろうか.

この問いには様々な回答があるであろう.しかし最も基盤的に必要なことは,この70年間の試行錯誤の歴史を正しく理解し,現在行われている術式の理論とその長期成績に関する正確な知識を持つことである.例えば,それらを持たない術者が術式の改良に取り組むと,過去の過ちを繰り返してしまう可能性がある.またそれらを持たない研究者が研究を始めると,その結果には新規性がない可能性がある.「過去に学ばない者は,過ちを繰り返す」というジョージ・サンタヤーナの言葉は,間違いなく医学にも当てはまる.

しかし,現代の膝関節外科医が膝周囲骨切り術の研究史のすべてを正しく学ぶことは容易なことではない.これまでに出版された原著論文は4000 編を超える.それらをすべて精読することは,現実には不可能である.そのような状況の下での膝関節外科医の学びを助けるためには,何らかの「参考書」が必要であると考えられる.それは,過去の膝周囲骨切り術に関する重要論文の概要を正確に紹介し,蓄積されてきた基礎理論,術式,および長期臨床成績等を詳細に解説した書籍である.もしもそのような書籍があれば,若い整形外科医がこの領域を一から学ぼうとする時の入門書になり,また術者がその術式に関する歴史と特徴を理解するためのガイドブックになり,さらに臨床研究者が研究を企画する時に既解決問題と未解決問題を整理するためのデータブックになると考えられる.しかし,筆者が知る限り,本邦にはまだそのような書籍がない.今,本邦の膝関節外科医の誰かが,そのような書籍を著すべき時期が来ていると思う.

筆者は1976年に北海道大学整形外科に入局して以来,まもなく50年になる.筆者は本邦の膝周囲骨切り術が黎明から発展に移る時期に,佐々木鉄人先生からCoventry のLCWHTO とMaquet の脛骨結節前方移動術を学んだ.また,当時の膝関節外科をリードしておられた諸先輩の考え方や発想を,研究会等において拝聴することができた.そしてその後は,一貫した方針を持って膝周囲骨切り術に関する診療と研究を行い,世界の膝周囲骨切り術の変遷を見つめてきた.年輪を重ねた今,上述したような書籍を上梓することは,人生の節目における自分の責務ではないかと考えるに至った.そこで筆者は,現在の北海道大学整形外科膝関節班を率いておられる北海道大学病院スポーツ医学診療センターの近藤英司教授と相談し,2023年1月に本書の企画を開始した.

我々編者は,膝周囲骨切り術が北大整形外科膝関節班の60年間に亘る中心的研究課題であったことを勘案し,本書の分担執筆を,同班出身でこの領域に造詣が深い6 人の先生にお願いすることにした.八木知徳先生は佐々木鉄人先生から直接の薫陶を受けられ,CT を用いて内側型OA 膝の下肢捻転の実態を初めて報告された.筆者の同僚である青木喜満先生は,北大で開発された逆V 字型HTO の10年成績を世界へ報告された.遠山晴一先生は膝のバイオメカニクス研究に,井上雅之先生は膝靱帯損傷の研究に,薮内康史先生はMOWHTO の合併症の研究にそれぞれ大きな業績を残された.小野寺智洋先生は現在の北大整形外科下肢班で,CT を用いたHTO の効果の臨床評価に関する多くの研究を指導しておられる.一方,最近の膝周囲骨切り術の新しい研究領域に,脛骨粗面下骨切りMOWHTO とダブルレベル骨切り術がある.編者らは本書におけるこの領域の執筆を,それらの領域の研究を先導しておられる秋山クリニックの秋山武徳先生と兵庫医科大学整形外科の中山寛先生にお願いした.この8 人の先生には本書の趣旨に深くご賛同いただき,膨大な時間と労力を要する依頼を快くお引き受けいただいた.その後,投稿いただいた各先生からの玉稿に対し,筆者は編者校正の過程で更なる内容の追加や修正をお願いした.本書の目的の達成と全体の統一のためとはいえ,それは一般的な書籍の分担執筆では恐らくあり得ないような無理なお願いであったかもしれない.しかし,そのお願いに対しても快く対応をいただき,最終的に極めて充実した本書の各章を書き上げていただいたすべての先生に対して,筆者はこの紙面を借りて心からの感謝を申し上げたい.また,このような「こだわりの専門書」の刊行をお引き受けいただいた,株式会社全日本病院出版会の皆様にも深謝を申し上げたい.

本書は2 部から構成される.「第一部:文献に基づく膝周囲骨切り術の知識」では膝周囲骨切り術の歴史,基礎理論,手術理論と手技,長期成績,成績影響因子,合併症,様々な合併手術,および単顆人工膝関節置換術との比較に関するエビデンスを網羅的に収集し,分類して解説を加えた.その中で議論が継続している領域に関しては,対立する意見を公平に記述するように努めた.本書で引用した文献は,2024年1月の時点における高被引用文献を中心に700 編を超える.本書が読者へ提供できる情報量は,一般的な臨床研究者が有する知識量をはるかに超えているはずである.本書の索引は一般的教科書におけるそれとは少し異なり,ある臨床概念,術式,臨床成績などについて,それが詳しく説明されている書中の場所を読者が探すための索引とした.本書は専門書であり,ある種の専門用語はすべての章で繰り返し使われている.そのような「この領域の一般的用語」は,本書の索引の対象にはしなかった.一方,本書ではFirst author 名によって引くことができる引用文献索引を設けた.有名な文献や人名を冠した手術法の検索には,こちらの索引が役立つことを期待している.本書の「第二部:我々が推奨する膝周囲骨切り術手技アトラス」では,本書が推奨している手術手技を習得したい読者のために,それらを実際の手術の手順に沿って多くの図と写真を駆使して詳述した.また,各術式の所謂「コツ」については,本文の記述とは分離して書中に明示した.これらの術式を追試しようとする読者にとって,本書はそのまま「手技書」として使用いただけるものと確信している.

ここに,すべての共同執筆者が二年間にわたって心血を注いできた『膝周囲骨切り術―文献に基づく知識と手術手技アトラス―』を,本邦初の膝周囲骨切り術に関するエビデンスを集約した専門書として上梓したい.本書が,これから膝周囲骨切り術を本格的に学ぼうとする若い膝関節外科医にとって,その試行錯誤の歴史とその中のエビデンスを正しく理解するための入門書として役に立つことを祈る.また本書が,膝周囲骨切り術を行う術者にとって,行う術式の理論,利点と欠点,手術のコツ,および長期成績を理解するための一助になることを祈念する.さらに本書が,膝周囲骨切り術に関する臨床研究を開始しようとする研究者にとって,既存の研究論文や対立する議論の検索に資することができれば幸いである.そして,もしも本書が今後の本邦の膝周囲骨切り術の更なる発展に僅かでも貢献することができれば,筆者にとってこれに勝る喜びはない.


2025年10月 札幌にて

北海道大学名誉教授
安田和則

目次

第一部  文献に基づく膝周囲骨切り術の知識

第 1 章 膝周囲骨切り術に関する前史 近藤英司

第 2 章 高位脛骨骨切り術の発展史 安田和則

第 3 章 本邦における高位脛骨骨切り術の発展史 安田和則

第 4 章 高位脛骨骨切り術の効果に関するバイオメカニクス 石田知也 遠山晴一

第 5 章 膝周囲骨切り術による変形矯正の理論 近藤英司 安田和則

第 6 章 様々なHTO術式とその変遷と臨床評価の現況 近藤英司

第 7 章 脛骨粗面下骨切り手技を用いたMOWHTOの現況 秋山武徳

第 8 章 様々なHTO術式における合併症の実態 薮内康史

第 9 章 様々なHTO術式の長期成績 青木喜満 安田和則

第10章 HTOの臨床成績に影響を与える因子および適応と禁忌 近藤英司 安田和則

第11章 膝関節線傾斜(JLO)および関節線収束角(JLCA)に関する知識 中山 寛 安田和則

第12章 内反型変形性膝関節症に対するダブルレベル骨切り術 中山 寛

第13章 外反型変形性膝関節症に対する遠位大腿骨内反骨切り術 中山 寛

第14章 膝蓋大腿関節症に対する脛骨結節骨切り術 八木知徳

第15章 HTOの合併手術:腓骨骨切り術 安田和則

第16章 HTOの合併手術としての関節軟骨修復術・移植術 近藤英司

第17章 HTOの合併手術としての膝靱帯再建術 井上雅之 安田和則

第18章 単顆型人工膝関節置換術の適応および高位脛骨骨切り術との使い分け  小野寺智洋

第二部  我々が推奨する膝周囲骨切り術手技アトラス

第 1 章 ロッキングプレートで固定する内側楔状開大式高位脛骨骨切り術 近藤英司

第 2 章 脛骨粗面下アーク骨切り術(DTO)手技による内側楔状開大式高位脛骨骨切り術 秋山武徳 小佐野 圭

第 3 章 ロッキング圧迫プレートで固定する逆V字型高位脛骨骨切り術 安田和則

第 4 章 腓骨骨幹部強斜位骨切り・結紮術 安田和則

第 5 章 脛骨結節前方移動術 近藤英司

第 6 章 遠位大腿骨骨切り術(内反・外反骨切り) 中山 寛


引用文献索引

用語索引

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書籍情報

  • ISBN:9784865198355
  • ページ数:296頁
  • 書籍発行日:2025年12月
  • 電子版発売日:2025年12月3日
  • 判:A4変型
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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